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変なプライドは捨てて、素朴な気持ちで自分らしさを大事にしよう(『老子』二十四章)
今回取り上げるのは『老子』二十四章からの言葉。
(注:出土資料の帛書では二十二章にあたる)
自ら伐る者は功なく、自ら矜る者は長しからず
(読み:ミズカらホコるモノはコウなく、ミズカらホコるモノはヒサしからず)
自分の功績を鼻にかけて自慢する者は何事も成功せず、自分の才能をひけらかして尊大になる者は何事も長続きしない、という意味。
つまり、驕り高ぶって行動すると何事もうまくいかなくなるので、初心を忘れずに粛々と行動しなさい、ということですね。
先日の記事でも軽くご紹介しましたが、老子は自然体を好み、争いごとを嫌います。
人間が本来持っている素朴さ、純真さを大事にしているのです。
その点からすると、自慢したり才能をひけらかしたりするような行いは好ましくありません。
プライドをかけて醜い争いをしたり、他者と比較して優越感に浸るような行いは、人間社会が発展する中で生まれてきた「非自然」的な行いだからです。
自然界を見てみると、自分の功績を鼻にかけて自慢したり、他者と自分の才能を比べて優劣を決めたりするようなものは存在しません。
そのようなことをしている暇があるならば、彼らは自分たちが生きていく為にエネルギーを使うでしょう。
私たち人間は必要以上に文明が発展してしまったからこそ、本来の素朴さや純真さを忘れ、余計な人間関係や仕事の成果に追われるようになってしまったのかもしれません。
そういえば、以前読んだ本に、興味深いエピソードが載っていました。
今の私たちよりも、中世の農民たちの方が時間に余裕を感じていた、というお話です。
軽くご紹介すると、
中世の農民たちには時計がなかったため、太陽の動きに合わせて活動していた
例:朝日が昇ったら活動を始め、夕陽が沈んだら寝る
そのため、「あと何時間しかない」「〇時から〜しなきゃ」とスケジュールに追われる意識が無く、自然の動きに合わせてのんびりと生活していた
といったもの。
当時の農民には当時の農民なりの苦労があったと思うので、実際に余裕を持って生活していたかは分かりませんが、少なくとも、現代の我々のように時間に追われることは少なかったことでしょう。
この本を読みながら『老子』の言葉を思い出し、もしかしたら私たちは、便利さと引き換えに日常の素朴さを失っているのかもしれないな、と感じました。
話が少し脱線してしまいましたね。
驕り高ぶって行動すると何事もうまくいかなくなるよ、という言葉をご紹介していたところでした。
こちらについて、老子は以下のように述べています。
自ら伐らず、故に功有り、自ら矜らず、故に長し
(読み:ミズカらホコらず、ユエにコウアり、ミズカらホコらず、ユエにヒサし)
自分の功績を鼻にかけて自慢したりしないからこそ、何事もうまくいくのであり、自分の才能をひけらかして尊大になったりしたりしないからこそ、何事も長続きするのだ、と。
冒頭でご紹介した言葉の逆バージョンになります。
驕り高ぶったりせず、他者と争ったりしないからこそ、何事も長続きしてうまくいくのだ、ということですね。
余計なことはせずに、粛々と進めることが大事なのです。
喧嘩や競争、他者との比較などは、自分の心身を疲弊させます。
そういった争いに勝利したとしても、費やしたエネルギーに対して、得られるものは多くはありません。
大抵の場合はむしろマイナスでしょう。
私の場合は、他者との競争に巻き込まれると気疲れがひどいです。
勝っても負けても気持ちがすっきりしませんし、相手がどのように思っているのかが気になって不安になってしまいます。
『孫子』にもありますが、そもそも戦うことは避けるべきことなのです。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり
(読み:タタカわずしてヒトのヘイをクッするは、ゼンのゼンなるモノなり)
争いには犠牲がつきもの。
現代社会で犠牲になるのは、例えば私たちのメンタルかもしれませんし、体力かもしれません。
いずれにせよ、争いになるようなことは避けた方が良いでしょう。
驕り高ぶって行動すると、何事もうまくいかなくなります。
人間本来の素朴さと純真さを思い出して、余計な争いに巻き込まれないようにして生きていきたいですね。
自ら伐る者は功なく、自ら矜る者は長しからず
(読み:ミズカらホコるモノはコウなく、ミズカらホコるモノはヒサしからず)
今回は、驕り高ぶって行動すると何事もうまくいかなくなるので、初心を忘れずに粛々と行動しなさい、という言葉をご紹介しました。
人との争いは不毛なものです。
例え勝てたとしても、こちらも無傷でいることは難しいでしょう。
そこで大事になるのが、争いを避けることです。
自分から他者との軋轢を生みに行く必要はありません。
傲慢になったり、余計な自慢をしたりせず、素朴な気持ちで自分のやりたいことに集中していきましょう。
それでは今回はここまで。
また次の記事でお会いしましょう👋
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