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一塊のスクラム

スクラムの現場では常に意識されていること。

しっかり味方同士が密着して一塊(ひとかたまり)になれているかどうか。
この問いかけ、実はとてもトリッキーだと思います。

「一塊って具体的にどう言う状況!?どうやったらなれるの?」

一塊の定義、どう組むことが正解なのか。
一塊になれなかったときは何が問題なのか。

選手の頭の上には常にはてなマークが浮かぶと思います。
考えさせること自体は大切ですが、一塊の定義と組み方のイメージは先に共有しなければなりません。
0から最高のスクラムを考えろと言われても無理な話です。

と言うことで今回は一塊のスクラムについて書いていきたいと思います。


◇一塊の定義◇

・FLとLOが接する面以外の全ての接面が強く密着している
・全ての選手の力のベクトルが同じ
・ヒットした後も上の状態が変わらない

定義と言いつつすごくざっくりしていますね...笑
まあここは前提条件なのでさらっといきます。

この一塊の状態を作るために必要になってくる要素が重要です。
と言うより今から書く要素を全て満たしていれば一塊のスクラムと呼べるのでは無いかと思っています。

と言うことで以下が一塊のスクラムを組むために必要な条件です!笑


◇密着◇

スクラムの根幹をなすため、長谷川コーチが「W杯が終わるまで表に出したくない」と話していた技術がある。「4ウオール(壁)」だ。スクラムの中に4つの壁をつくることで、押された時でもFW8人による「家屋」が崩れず、強い体勢を保てるという意味である。

「壁」とは選手の体と体が接する面、つまり(1)プロップの体の側面とフッカーの体の側面(2)プロップの尻とロックの肩(3)プロップの尻とフランカーの肩(4)ロックの尻とナンバー8の肩――を指す。この壁が離れたりずれたりしないようにすることでスクラムはより強固になる。無理に押せば相手の方が崩れる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52341800Z11C19A1000000/ より

これに関してはすぐに出てくる情報です。
「長谷川慎 スクラム」と検索すると4ウォール以外にも4ポイントなど色々と出てくるのでオススメです。

この話は図における赤線の部分が密着していればOKというものです。

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いうまでもなくこの部分が強く密着していなければ、相手とヒットした瞬間に自分の力が逃げるところが生まれてしまいます。
また、衝撃で形が崩れてしまうので、絶対に緩めてはいけない部分です。

具体的なバインドの方法は色々なパターンがあるので割愛しますが、スクラムは練習の段階から赤線の部分に対する味方からの圧力を意識する必要があります。


◇平行、フラット◇

次に意識することは全てがフラットか、平行かどうかという点です。
なんのことかわかりづらいと思うので図を使って説明していきます。


◇上から見た平行線◇

まず、こちらの図はスクラムを上から見たものです。(わかりづらかったらすみません)
画面上側に向かって組んでいる8人を示しているのですが、ここで黄色の線に注目していただきたいです。

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左の良い例では、フロントローの肩のラインフロントローのお尻とロックの肩が接するラインロックのお尻とNO.8の肩が接するラインが平行になっています。

対して、右側の例ではこれらがバラバラになっています。
このラインがバラバラになっていると、ヒットした際などにそれぞれの体がバラバラに動く余裕ができてしまいます。一塊とは程遠い状況です。

また、この黄色い線が平行であることは、これに対して垂直に走る全員の背骨が平行になることも意味します。つまり、全員が同じ方向に向かって押している状況です。


◇横から見た平行線◇

これはとてもベーシックなところかもしれませんが、重要なので書いておきます。
図は画面左に向かってスクラムを組んでいる人を横から見たものです。

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背骨、すね、地面の全てが平行になるとき、体から出る全てのエネルギーが同じ方向に向かいます。

右側の図では、脚は斜め上に、上半身は斜め下にエネルギーが向かうためとても効率が悪くなってしまいます。
それにこの姿勢で組むと頭が下に行ってしまうのでとても危険です。

また、下には二人が前後に組んでいるイメージ図を置いていますが、こうした場合には二人の背骨とすねのラインが全て平行であることが望ましいです。

右下のように、後ろの選手のラインが前の人とずれていると力が100%伝わりません。
また、二人の背骨のラインが平行でも高さが大幅にずれている場合も力が100%伝わらないので、しっかりと前の人の体の芯と、後ろの人の体の芯がフラットになるようにする必要があります。

実際はすねと背骨のラインが必ずしも地面と平行である必要性はありません。
スパイクや地面のコンディションを考えると、斜め上に向かって押す方が効果的な場合もあります。
しかし、低く強いスクラムを追求すると自然とこの形に近づいてきます。


◇前から見たフラット&平行線◇

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とてもわかりづらくて申し訳ないのですが、これはスクラムを組んでいるフロントローを真正面から見た図となります。

全員の肩のラインを繋いだ線が地面と平行になっているかどうか、フラットになっているかどうかというのはとても重要な観点だと思っています。

左図ではプロップとフッカーの肩のラインに段差が無く、どちらかが地面に落ちているということはありません。

右図では、片方のプロップはフッカーよりも肩が下に入っていますし、全体的に斜めに傾いています。

このようになっていると、フロントロー同士のバトルで段差の間に頭を差し込まれて分裂してしまいます。

また、フロントローに限らず、ロック同士の肩のラインも極力地面と平行になるようにすることで、面でフロントローを押し込むことができるのでエネルギーが別の方向に逃げにくくなります。

特に、フッカーをうまく押せないという悩みがあるときはロック同士の密着度合いや肩のラインに問題があることが多いです。


終わりに

今回はざっくりとスクラムの概論を書いていきましたが、このポジションでの組み方を細かく知りたい!などの意見がありましたら、ぜひコメントやTwitter、質問箱などでご連絡ください!

ここまで読んでいただきありがとうございました。

コーチ、アナリストとして活動を続けていくための必要経費のサポートをよろしくお願い致します!!