スポーツアナリストとは

スポーツアナリストと一口に言っても色んなタイプがあり、定義することがとても難しいと感じたので、一般社団法人日本スポーツアナリスト協会の言葉を引用させていただきます。

"選手及びチームを目標達成に導くために、情報戦略面で高いレベルでの専門性を持ってサポートするスペシャリスト"

http://jsaa.org/sports-analyst/ より

情報戦略面でサポートすることが役割とのことです。
相手がどのようなプレーをしてくるのか、レフェリーはどんな癖を持っているのか、練習でコーチが見落としている情報はないか...などなど情報戦略という言葉自体もかなり大雑把ではあります(笑)

ここでは情報をグラウンドで起こる全ての現象のデータと仮に定義して、話を進めていきたいと思います。

仕事1:情報収拾

まず情報戦略面を担当するからには情報を仕入れなければなりません。
自チームの練習や試合を撮影することや、対戦相手の試合の映像を入手することが最初の仕事です。


仕事2:分析(情報の整理)

手に入れた情報をそのままコーチや選手に手渡すだけでは、受け取った側もあまりの情報量に困惑してしまうので、ここで分析の仕事が発生します。
分析には大きく分けて2種類の手法があります。

数字を計算して傾向などを割り出すような定量分析。
数字を用いずに考えていく定性分析

基本的にアナリストの仕事は定量分析が多めなのではないかと感じています。
というのも、定性分析は数字を用いない分、その競技に精通しているかどうかが分析能力を決定づける要素となるからです。そう考えた場合、必ずしもアナリストの方がコーチよりも定性分析の能力が高いとは限りません。むしろ、コーチの方が定性分析が得意なことも多々あります。

そのため、コーチが定性分析をし、「このような傾向があるように感じたが、実際はどうなのか調べてくれ」とアナリストにオーダーが入り、定量分析を行うというような構図がよく見られるのではないかと思います。

もちろん、そのようなチームの動きだとコーチとアナリストの思考にタイムラグが発生してしまうので、コーチ並みの定性分析力をアナリストが持っているのが一番理想的です。


仕事3:情報の共有

Analyst(アナリスト):分析する人
英語を直訳するとこのようになりますが、アナリストの仕事は分析することだけではありません。むしろ、分析よりも情報伝達の方が重要な仕事だと思っています。

どれだけ良い分析を行っても、コーチや選手に理解されなければ、分析しなかったのと同じです。
分析はコーチや選手に伝わって初めて分析と呼べます。

つまり、アナリストにとって情報の伝え方はとても重要なのです。

では、どのように情報を共有するのか?
・口頭で説明
・数値を見せて説明
・表やグラフを用いて説明
・映像を用いて説明

色々な説明の仕方があると思いますが、どれがベストだというものはないと思っています。映像で見た方が理解できる人や、グラフで説明された方がわかりやすいという人など、理解の仕方にも個性があると思うので様々なアプローチを混ぜて使っていくことが必要になると思います。


仕事4:モチベーションビデオの作成

アナリストはチームの中で誰よりも多くの情報を持っています。
つまり、選手を勇気付けるようなモチベーションビデオを作るときに必要になってくる映像の素材を誰よりも多く持っているということです。
思い出すだけでテンションが上がるような記憶は誰にでもあると思います。
ラグビーで言うのであれば、最高のタックルや勝利を決定づけた得点シーン、チームが一致団結して生まれたプレーなどなど。
こうしたシーンをアナリストが持っている映像から探し出して、編集して選手に見せる。もちろん様々な工夫が必要ですが、こうした仕事は全ての情報を持っているアナリストならではのものです。


これらが僕の考えるアナリストの仕事の流れです。
常に、情報収拾→分析→共有のサイクルを回し続けることが大事だと感じています。
これにはスピード感も重要になってくるので、試合の時などはリアルタイムで分析を行ったりします。
コーチの近くでパソコンとにらめっこしている人がいたら、分析頑張ってるんだなあと言う目で見ていただければと思います。


ラグビーの分析、自分の活動

Twitterでリクエストがありましたので、サラーっと書いていきたいと思います。

ラグビーにおいての分析というのは他競技に比べて、自動化することが難しいものだと思います。例えばサッカーなどでは高性能なカメラやGPSを使って、どの選手がどのように移動したのかということを分析することが出来ますが、ラグビーにおいては常に人がぶつかるため、カメラで選手の移動を分析することは難しいです。

また、バレーボールなどのネット競技とは違い、グラウンド区分けすることも難しいため、アナリストやチームによって区分けの仕方が異なります。

基本的にグラウンドに引かれている線に沿って、4つもしくは5つに横向きの区分け(トライラインと平行な線で分割)は行われますが、縦の区分け(タッチラインと平行な線で分割)に関しては戦術や分析しやすさの問題で、それぞれのチームでかなりばらつきがあります。

他の競技と似ている部分もありますが、ラグビーはコンタクトが発生したり、独特な部分が多いため、分析する項目も他競技と比べてバリエーションがあると感じています。
何を重点的に分析するのかというところで、コーチやアナリストのカラーが出るのが面白いなと思います。


僕個人の活動としては以前、こちらのnoteで少し書きましたが、国際基督教大学でコーチ兼アナリストをしています。

もともとBKでしたが(いつもFWに間違えられます)、ラグビーを成り立たせるためにはセットプレーが重要であるため必死に勉強して、今はBKもFWもコーチング、分析をしています。

セットプレーにのめり込みすぎて、いつの間にかFW向けのnoteを書くことが多くなってきました。

ともかく、現在はコーチ兼アナリストとして活動しています。
今回は特別にどのようにビデオ撮影をしているのか、どのような項目を分析しているのかという部分を紹介したいと思います。

僕の相棒はBiRod×2ビデオカメラ2台&GoProMacBook Airです。グラウンドに行くときは常に持ち歩いています。また、今はライセンスがきれていますが、分析ソフトのSportsCodeもなくてはならないものです。

カメラやパソコンなどに関しては説明がいらないと思いますが、「BiRodってなんだ!?」となった方も多いと思いますので紹介します。

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文字通り相棒です(笑)
長さが7.5mあって、三脚もついているのでビデオ塔がなくてもとてもいい映像が撮れます。

コーチングするときには立てっぱなしで撮影することも出来るので本当に重宝しています。(他大学からは、ヤバい奴がいるという目で見られますが)

スクリーンショット 2020-06-07 19.17.19

GoProと組み合わせて撮影した例です。

とまあこのように撮影しながら

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PCに映像を送ってリアルタイムでフィードバックしたりします。(スクラム練習の一コマです)

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練習後にはこのような形で複数アングルから分析します。
上からのスクラム練習の撮影は本当にいい映像が撮れるのでオススメです!!

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試合は分析ソフト上でこのようなボタン(これは未完成のもの)を大量に作り...........

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このようなウィンドウで即時フィードバックができるようにしています!
※実際のデータではありません

分析ソフトに関しては、「なんのこっちゃわからん」という方もいらっしゃると思いますので、気軽にコメント等で質問いただければと思います〜!

それではこの辺りで。

コーチ、アナリストとして活動を続けていくための必要経費のサポートをよろしくお願い致します!!