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BKもFWのプレーを学ぶべき

久しぶりの投稿になります。
今回はFWのプレー(主にラインアウトとスクラム)について簡単に解説しながら、BKもこれらのプレーについて学ぶべきだと思う理由を述べたいと思います。

セットプレーを理解する意義

ラグビーは他の競技と違い、スクラムやラインアウトという、ボールを争奪することのできる、セットプレーというものを持っています。
これはラグビーと他のスポーツの大きな違いではないでしょうか?
反則を犯した側にもボールを取り返すチャンスがあるのです。

このラグビーの大きな特徴とも言えるセットプレーを行うのはFWです。
FWが獲得したボールを使って、BKがATをする。

当たり前ですが、FWがボールを獲得できなければBKはATをすることができないのです。
それにもかかわらず、多くのBKはセットプレーにおいてFWが優勢なのか劣勢なのか判断することができません。

もちろん、BKがFWのようにセットプレーを出来るようになれというつもりはありません。
ただ、FWはセットプレーをこなす上にフィールドプレーもBK並みのものを求められつつあるのに、BKはFWに対する理解を深めないというのは少し違和感を感じます。

BKも少しだけFWのセットプレーについて理解を深めるだけで、チームとしてセットプレーからのターンオーバーへの反応が早くなります。

ほんの少しの知識でいいのです。
ほんの少しでも知っていれば最悪のシチュエーションを予測することが出来るようになります。

ラインアウトについて

ラインアウトでは人数や、リフトを上げる場所によってボールの獲得のしやすさが変わります。
また、リフトをする位置によってBKにかかるプレッシャーも変わってきます。

黄色の枠で囲まれたユニットでリフトした場合、10番へのプレッシャーをかけることは困難です。

しかし、こちらの図のようにリフトした場合はどうでしょうか?
同じ人数のラインアウトでもリフトする位置次第でBKへの影響は大きく変わってきます。

もちろんここでタックルされることは避けられますが、プレッシャーがかかりやすいということや、こういう動きをしてくるということを頭に入れておくだけでも、マインドセットや次の動きも変わってきます。

人数が変わった場合についても考えてみましょう。

こちらの図のように7人全員を並ばせてしまう場合(オールメン)や、6人並ばせる場合では獲得することが少し難しくなります。

理由はシンプルで、DFは2つのユニットを作ってリフトすることができるからです。
もちろんスローの精度が高ければうまく回避することはできますが、前で跳ばれてしまうと、相手に引っかかったり、プレッシャーでミスしたりすることが多くなります。

このためか、最近のトップリーグではオールメンをチョイスし、1番前の選手に投げることが多くなっています。

ここまで読んでいると、なぜオールメンをチョイスするのか分からなくなる人もいるかもしれません。
人数が変わろうとも同じ10mの幅にFWが並ぶので獲得率はもちろん低くなります。
しかし、逆に考えると、FW全員を10mの檻の中に閉じ込めることができるのです。
つまり、15mラインから逆サイドのタッチラインまでの55mをBKだけでATすることができるのです。

中盤であれば、DFはキック処理のために2人下がっていることが多いですので、圧倒的な優位性を持つことができます。

以上から、BKがラインアウトを理解するポイントとして大切なことは人数変化による獲得率の変化BKへのプレッシャーの2点だということがわかります。
オールメンをチョイスした場合はターンオーバーされる可能性を考慮しておく。それだけで、実際にターンオーバーされた時の反応速度が変わります。

また、FWは自分たちのラインアウトをミクロな視点とマクロな視点から見ることの重要性を意識すれば、セットプレーを有効に活かせるようになります。

スクラムについて

正直、スクラムについては書くかどうか迷いました。
細かいスキルが多く、BKが優劣をジャッジ出来るかどうか不安だったからです。
ですが、見るべきポイントを知っているだけでも多少は参考になると感じたので、フォーカスポイントを絞って書いていきます。

BKの多くはスクラムはレフェリーの「クラウチ」のコールから開始すると思っているかもしれませんが、実際にはそれ以前に勝負が決まっていることがあります。

ここでの判断基準はとてもざっくりとしていますが、プロップの頭からNO.8のお尻までが一直線になっているチームは強い場合が多いです。
相手よりもセットするのが遅い場合負けスクラムになる確率も高くなります。

スクラムを組む前は自分たちにとって丁度いい間合いの取り合いになるので、早く綺麗にいい間合いを取れた方が有利ということになります。

次に、「バインド」コールがかかった際のプロップのバインドが一つの注目ポイントです。
ここでも相手より遅くバインドしている場合は少し不利です。
また、バインドの際に腕で押し込まれている場合は、背中が曲がったり、膝が必要以上に曲がったりして、強い姿勢が作れないためヒットした瞬間に負けやすくなるので、バインドはとても重要なチェックポイントです。

ここまでサーっと書いてきましたが、ちんぷんかんぷんだと思いますので、突然ですが一度画面の前でスクワットをしてください。(余計ちんぷんかんぷんですね)

スクワットをしていて一番辛いのは膝を90度から120度まで伸ばす時ではないでしょうか?120度以降は比較的楽にあげられると思います。
今まで書いてきたのはこういうことです。
つまり、スクラムを組む前にプロップの膝が何度になっているかが大事なのです。90度くらいになっていると、とても辛いので負けやすくなります。
膝の角度を変える要素として間合いやバインドの駆け引きがあります。
これを踏まえてもう一度読んでいただければ少しは納得していただけるのではないでしょうか?(納得できなければコメント欄等に質問ください)

長くなってきたのでまとめますが、膝を曲げる要素として大きな、初期姿勢の良さと、バインドに注目することで大方の優劣を判断することができるということです。

そしてBKには劣勢だと感じた時には少し寄ってポジショニングするなど、球出しが困難になることを想定して動けるようになってほしいなと思います。
この判断が出来るかどうかで、「FWがギリギリ耐えて出したボール」のキープ率が変わってくると思います。


まとめ

全体のまとめとして、セットプレーはFWの土俵でありながらも、大きな視点で捉えると、次のBKの行動に変化を与える大きな要素だということです。

どのようにボールを獲得するかはFWの仕事。
そのボールをどのように使うかを正しく判断するのはBKの仕事。
そして、セットプレーごとにボールの出方、相手のプレッシャーは変わるため、BKもセットプレーを理解する必要があるということです。

今回は書きませんでしたが、モールがゲーム全体に与える影響について岸岡さんこちらの記事にしていますので、ぜひご覧ください。

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