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元BKがスクラムを理解するまで

ごめんなさい。今日はスキル的な記事ではないです。

今日は現役時代をBKとして過ごした僕が、スクラムをどのように学んだのかということについて書いていきたいと思います。

100%ノンフィクションでお届けします。
この記事を通して僕が伝えたいメッセージは「何を勉強するにもまずは基礎から」という当たり前のことです。
ただ、自分の経験していないポジションのプレーを勉強するのは何から手をつけたらいいのか分かりづらいと思います。
そこで僕の経験が同じ悩みを持つ人たちの一つのロードマップになればいいなという気持ちでこの記事を書いています。


このチームを勝たせたい、だけどスクラムがわからない

僕は今現在コーチングをしている国際基督教大学のグラウンドに初めて行った時にこのように思いました。

後々、藤森啓介さんがコーチとして来てくださることになりましたが、当時コーチは僕一人でした。FWコーチが別にいれば、学ぶ必要もなかったですし、学ぶ気も起きなかったかもしれません。
そういった意味では恵まれた環境にいたと思います。

話を戻しますが、当初僕はこのチームを勝たせてあげたい。勝たせることができると思ってグラウンドに行きました。

自分で言うのもなんですが、戦略戦術に関しては自信を持っていたからです。(のちに考え方を根底から覆されると言う経験をするのですが笑)
ただ、ラグビーの超重要項目である、ラインアウトとスクラムに関する知識が圧倒的に欠如していました。

セットプレーでボールを獲得できなければ勝てるゲームも勝てない。それどころか戦術が意味をなさない...
僕は頭を抱えました。何をするにもセットプレーが大事であることは分かっているのにセットプレーを知らなすぎるってどうしようもないなと。

ラインアウトは考え方はBKのサインプレーと似たようなものだなと感じたのでそれほど苦労しませんでした。しかし、問題はスクラムでした。

試合をどれだけ見てもわからない!!
中で何が起こっているんだ!
そもそも勝ちスクラムと負けスクラムの区別もつかない!!

ここからのスタートです。


知り合いに聞いてみた

とりあえず、高校時代にFWをしていたチームメイト何人かに「スクラムってどうしたらいいの?」と言うわけのわからない漠然とした質問を投げかけてみました。

「わからん。」とだけ返ってきてその時は凹みましたが、今考えると当然だなと思います。
質問が抽象的すぎて答えられない。チームの事情も何を聞きたいのかもわからない。「わからん。」としか返しようがない。

そんな意味での「わからん。」だったんだろうなと解釈しています。


Google先生に聞いてみた

実際にスクラムを組んだことがある人という信用できる情報源を失ったので、Google検索をかけることにしました。

インターネットにある情報というのは誰が書いているかもわからないし、信用できるかどうかも怪しいなと思っていたので、あまり期待していませんでした。

が、色々調べているとこんな論文に出会いました。

ラグビーにおけるスクラム基本動作の言語化

(このリンクを探すために論文の検索をかけていたら他にも色々見つかりました)

スクラムには「クラウチ」「バインド」「セット」の三段階しかないと思っていた僕はまずここで衝撃を受けます。
トップレベルの指導者は7段階に分解して考えているのか...全く知らなかったと。

この考え方を知ったところから僕のスクラムの見方は一気に変わっていきました。

最初の段階ではこういうことを意識しているのかな?
これはチームとして理想の形なのかな?

と色々なことを考えられるようになりました。


また色々聞いてみた

当然ながら、論文を読んだところですんなり全部分かるということはありませんでした。
むしろ疑問は増える一方です。

なぜこのチームはこういう組み方をしているのか。
このバインドの仕方にはどんな意図があるのか。

しかし、基礎知識を手に入れた僕は「わからん。」と答えられたときとは質問のレベルが違いました。

「セットアップの段階でこのHOはPRに対してこういうバインドをしていると思うのですが、どういう意図があってこの形を取るのですか?」

一気に具体的な質問ができるようになりました。
幸運なことに、スクラムに関してトップレベルの経験と知識を有している方に質問する機会があったので、疑問をどんどん解消していくことができるようになりました。
しつこいくらいに質問をしましたが「それはね、〜っていう意図があるんだよ」と、毎回とても親身に答えていただけました。
もちろんその方がとても気さくな方だったということは間違い無いのですが、「スクラムってどうすればいいんですか?」と最初のような質問をしていたら答えてくれることはなかったと思います。


結局大事なのは基礎

このような経緯で僕はスクラムについての考え方を吸収し、自分なりに考えられるようになりました。

もっと効率的な学習法があるのかもしれませんが、僕はこの経験を通じて「質問力を上げるためには基礎を知らなければならない」ということを学びました。

例えば九九を習っていない小さい子供に、「二桁の掛け算を教えて」と言われてもどこから教えればいいか混乱すると思います。初対面であれば、そもそも九九を習っているのかどうかすら分かりませんし、答えようがありませんよね。
そりゃ、「わからん。」となるのも納得なわけです。

普通に考えれば当たり前のことですが、スクラムなどの世間にそれほど情報がないものを学ぶ時には「そもそも何が基礎なのか」というところのリサーチから始めなければいけないという問題があります。

僕は運よく入門に最適な論文に出会うことができましたが、常にこんなにすんなりいくことはないと思います。
同じ悩みを持っている人は多いだろうなという気持ちからスクラムに関するnoteを書いたりしているわけですが、そもそもの学習方法について自分の経験に基づいて伝えることができればもっと効率的なのではないかと思い、今日は自叙伝チックなnoteを書いてみました。


今回のnoteはこちらの質問をきっかけに書こうと思いました。

質問箱にもらった質問を元にnoteの内容が浮かぶことが多々あるので、ぜひ色々質問していただければと思います!!


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