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投球障害予防トレーニング -肘関節-

投球障害予防に必要な「肘のストレッチ・トレーニング」をご紹介します。

■投球障害予防に必要な上肢の機能

○肘関節

・可動域制限がないこと
(屈曲・伸展・回内・回外)
・尺側、橈側の筋群のかたさがないこと
・外反ストレスに対する制動性

肘関節のトレーニングでは、

外反ストレスを受けづらい状態を作っていくことが求められます

■肘関節周囲の柔軟性

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(引用|Visible body)

肘周囲の筋肉のかたさによって、
肘関節のバランスが乱れ、外反ストレスがかかりやすくなるということが言われています

・橈骨頭が掌側偏位し、腕橈関節の適合性が低下すると外反ストレスが増大する

・橈骨頭のアライメント変化には、上腕筋、円回内筋筋、回外筋、腕橈骨筋、長橈側手根伸筋、長母指などの伸張性低下によって誘発される

(宮下浩二:肘関節障害と投球障害-軟部組織による外反制動 PTジャーナル2020.vol54:1035-1040)


また、野球肘では
外反ストレスに対する制動性をもつ回内屈筋群は、筋活動や伸張性が低下しやすいことが分かっています。

投球障害肘では高頻度に前腕屈筋群のスパズムが認められる
(鵜飼建志,他:内側型野球肘に対する当院の理学療法についてー肩甲胸郭関節と前腕屈筋群へのアプローチを中心に、整形リハ研会誌2004:7:29-31)

前腕屈筋群の圧痛や硬さの改善に主眼を置いた運動療法によっても良好な成績が得られる
(福吉正樹,他:肘内側側副靱帯損傷を基盤とした投球障害肘に対する運動療法の意義とは?ー浅指屈筋ならびに内側側副靱帯前斜走線維の組織弾性に着目して.整形リハ会誌2019:21:38-43)

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このように前腕屈筋群はスパズム・硬さによって
筋出力しづらい環境になっていることが考えられます。

日々の前腕屈筋群のケアがとても重要です!

■肘関節の柔軟性向上ストレッチ

○肘内側筋群のストレッチ

【方法】
・肘の内側をマッサージする
・肘の伸ばした状態で手首を反ってストレッチ
・投球に重要な人差し指、中指を伸ばして引っ張る

【目的】
・練習後のリカバリー(マッサージのみ)
・肘内側筋群の柔軟性向上

○肘外側のリリース

【方法】
・肘の外側に指をひっかける
・そのまま曲げ伸ばし繰り返す

【目的】
・腕橈骨筋の柔軟性向上
・橈骨頭のセルフモビライゼーション


○指・手首・肘ストレッチ

【方法】
・指を大きく開いて手をつく
・体を動かしてストレッチをかける
・手の向きを変えてストレッチをかける

【目的】
・肘周囲の筋群のストレッチ
・肘関節の可動域向上
・肩関節、肩甲帯安定性向上

○ストレッチのポイント


ストレッチ中は伸張感をしっかり感じることが大切で、さらに「痛み」のないように実施しましょう。

痛みがある場合は、無理せず範囲を狭めるかそれでも痛む場合は中止してください

■外反制動力

肘外反ストレスに対する安定化機構として、

・尺側手根屈筋
・浅指屈筋
・円回内筋
・橈側手根屈筋

などの回内屈筋群が重要性がいわれています!

○肘内側安定化トレーニング

【方法】
・スポンジや柔らかいボールを用意する
・小指側で握り込む

【目的】
・尺側筋群の筋力向上

○指・手関節屈筋群トレーニング

【方法】
・チューブを握り込む
ポイントは指・手首をしっかり曲げきることです

【目的】
・指、手関節の屈筋群の筋力向上

○リリーストレーニング

ボールリリースの際に、
「示指・中指が伸展された状態からボールリリース時に屈曲」
するため、指屈筋の遠心性収縮→求心性収縮がかかっています

このような、筋収縮特性を考慮するとより効果的かと思います。

【方法】
・人差し指、中指でチューブを握る
・伸展→屈曲を意識する

【目的】
・浅指屈筋、深指屈筋のトレーニングとストレッチ


○上腕三頭筋トレーニング

上腕三頭筋内側頭の機能も肘の安定にとって重要となります

【方法】
・肩挙上位で肘の高さを固定する
・肘が下がらないように肘伸展運動を行う
(チューブがない場合は、ボールやグローブでも可能です)

【目的】
・上腕三頭筋の筋力向上


投球障害予防トレーニング-肩関節編-に続き
最後までお読みいただきありがとうございました!

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