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来週の読書リスト

かつて読んだ短編集と、本の本と、エッセイ。


①『鍵のない夢を見る』

辻村深月 著

audibleで次に聴くエッセイを探していたら、エッセイにたどり着く前に辻村深月に出会ってしまった。出会ったらスルーできない。それが辻村深月である。

短編集『鍵のない夢を見る』は、前に読んだことがあるはずだ。audibleで見つけた表紙は文庫版なのか見覚えがないけれど、わたしがかつて買った単行本はトレーシングペーパーみたいなカバーがかかっていた記憶がある。でも、内容は覚えていない。

望むことは、罪ですか? 誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行──。普通の町に生きるありふれた人々に、ふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる五篇。現代の地方の閉塞感を背景に、五人の女がささやかな夢を叶える鍵を求めてもがく様を、時に突き放し、時にそっと寄り添い描き出す。

audibleの紹介文

これを読んでもなお、思い出せない。本当に読んだのか??
辻村深月の短編集だと、『嚙みあわない会話と、ある過去について』の誰もが心の奥にしまっているやましさみたいなものをえぐってくる感じが記憶に新しい。

②『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』

斎藤美奈子 著

斎藤美奈子氏の本についての本は、とにかく明快でおもしろい。妊娠小説、少女小説、ときて今度は出世と恋愛。

日本の近代文学の主人公である青年たちは、恋を告白できず片思いで終わるケースが多い。たまに恋が成就しても、ヒロインは難病や事故などで、なぜか死ぬのだ。日本の男性作家には恋愛、あるいは大人の女性を書く力がないのではと著者は喝破する。 たかが文学の話ではないかと思うなかれ、近代文学が我が国ニッポンの精神風土に落としている影は思いのほか深い。 明治期の立身出世物語が青年たちの思想に与えた時代背景は見逃せない。同時に戦争が文学に与えた強い影響も。 しかし夏目漱石『三四郎』から20年、女性作家の宮本百合子『伸子』で、「新しい女性」が恋愛や結婚に縛られない「生きる価値」を見つける時代が近代にも到来する。男女ともに時代の変遷とともに成長するのだ。 近代文学で描かれた男女の生き方は、現代日本の「人生の成功と恋愛」にかける人々の思いを読み解く大いなる鍵となる。

audibleの紹介文

今ウィキペディアを覗いてみたら、著書名がズラッと並んでいた。しばらく楽しめそうだ。audibleにはないのがとても残念だが……。

③『幸せへのセンサー』

吉本ばなな 著

『キッチン』を読んだのは、去年だったかな。そう遠くない過去のような気もするし、ずいぶん経ったようにも感じる。やっとこさエッセイのカテゴリーにたどり着いて、一番上に現れたのがこれだった。audibleのための書下ろし作品(オーディオファースト作品)なのだそうだ。それは期待大。
オーディオセカンド作品は時々何を言っているかわからないこと(同じ音の異なる漢字を作者が敢えて使い分けているときとか)があったり、固有名詞の漢字がどうしても気になったりすることがある。その点、オーディオファーストで書き下ろされているとストレスフリーで聴けるだろうし、もしかしたら「聴く」文学だからこその仕掛けなんかも隠されているかもしれない。


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