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すすきの記念日

すすきのって、すごい。
ひとがいっぱい。
ちょっとセクシーな格好をした女の子と、スーツ姿にキリッとした眉の男の子がたくさん。
みんな歩いている時、目のやり場に困らないのかなあ?
少なくとも私は困る。困っている。
バニーガールのおねぃさんに唐突に万札を渡したい衝動に駆られて、困った。

暇を持て余した私はふらふらとすすきのを歩き回っていた。
お腹も空いたしどこか入れるところ…とさまよっていたところ、ホテルの近くにちょうど気になっていた焼肉店があることに気が付いた。
イケメン大学生的な雰囲気の店員さんに「ひとりなんですけど、空いてますか」とオドオドしながら聞いてみる。
イケメン大学生風の店員さんは爽やかな笑顔で「確認致しますので少々お待ちください」と去っていった。
やはりイケメンは爽やかな笑顔がステキです。

無事席に着いてホッと一息つく。
店内は若い人ばかりだ。私含め。
もちろんひとりで食べている若者は私だけだった。
後ろの席に女の子が3人。女子会を開いているみたい。結構ベロベロなんだろうなと感じる話し方だった。
この店は卓上にレモンサワーのサーバーが取り付けられている。
自分でつぎ放題って楽しい。

店員さんがグラスを持ってきてくれたので、早速ついでみる。

炭酸が爆発して顔面に少し飛び散る。
なんで私はいつもそうなんだ。

ビックリしたらまわりの人に笑われると思って(自意識過剰)、平静を装い、再びビクビクしながらレモンサワーを注いだ。
今度は大丈夫だったことに安心し、メニューを見る。
現在0時。胃はもうおやすみしているかもしれない。
あまり胃を叩き起さない方が良さそうだな…と思いつつ、和牛カルビと牛タンと豚トロを注文。
しっかり油っこい。
まあ、お酒を飲んでいる時点で胃は大ダメージだろうな。

同級生に似ている可愛い店員さんがお肉を持ってきてくれたのでいよいよひとり焼肉スタート。
ついに、おひとり様を極めたなと自分で思う。

少しドヤ顔をかましつつ肉を焼いていると、カルビがファイヤーした。
後ろの女の子3人組が「すごい、すごい火!火がすごいね!」と楽しそうに言っている。
とても恥ずかしい。
カルビはちょこっと焦げたけど、笑顔に出来たなら良かったです。

お酒を飲むのは好きだけど、残念ながらお酒があまり飲めない体質なので、レモンサワー2杯半ほどで割とふわふわしていた。
というよりか眠気が来た。

お会計をしてお店を出る。
…あと2杯くらいどこかでひっかけて行きたいな。

そう思ってまたすすきのをふらふらする。
若者女おひとり様でも浮かないバー的なところに行きたいけれど、店が多すぎる割に全然バーが見当たらない。
キャッチをしている女の子に良いお店を教えて貰ってチップを渡そうか真剣に悩んだ。

どうしようか悩みながら信号待ちをしているとスーツ姿の男の子に声を掛けられた。
キャッチにつかまるってやつだ!!!と少し喜んだ。
「歩いて1~2分、初回1時間1000円なんですけどどうですか?」
目元が綾野剛に似ている。
正直ホストっていうお店にひとりで行くのは少し怖さはあったけれど、まあ飲むところを探してたしな、と案内をお願いした。

店に入って席に案内される。
ひとりだけどボックス席に座るっていうのがなんともむず痒かった。
受付係?の人にキャストの写真を見せてもらい、この中から1人選んで下さいと言われる。
選ぶっていうのもなんか恥ずかしいなと思いつつ、キャッチの綾野剛似の男の子にした。

スーツ姿の男の子は眼福だなとか変態的なことを考えつつ楽しくお話をする。
ミルクティー割りは飲み屋で初めて飲んだお酒。
やっぱり飲みやすいんだよなあ。
10分経った頃、受付係の人が「あーい」みたいなことを言ってこちらに謎のポーズをとっていた。
最初、何事かと思ったら戻ってこいの合図だったらしい。
ありがとうと告げて次の男の子がくる。
なるほど、そういうシステムなのね。
1時間1000円からの気に入ったキャストとこの後もそのまま飲みましょうって感じなのね。
10分経つごとにコロコロ変わる男の子たちとの会話を楽しむ中で気がついたことがある。

同業だったからキャストの気持ちがわかるし、めちゃくちゃいい客を演じてる…。
私は意外とホスト向きでは無いのかもしれない。
よかった。お前はハマるから行くなと言われ続けたけどハマらないで済みそう。

最後についてくれたキャストの名刺に部長と書いていた。
でもひと目見た瞬間から私の頭からとあることが離れなかった。
前の職場の女好きな先輩に似ている…。
なんだろう、全体的に似ている。
それだけでも面白いのに、さすが部長なだけあって会話が途切れない。
とっても楽しくお話をしていたのに私の膀胱が限界だったのでお手洗いに。

あっという間に1時間経ち、この後どうするか聞かれる。
前の私なら流れに任せてあと2時間くらいは居たんだろうな。
しかし、酒と綾野剛君の誘惑に負けずちゃんとお会計をした。
割引券を貰ったので、また綾野剛君か先輩激似部長に会いに来ようかなとは思う。
まあおそらく行かないけれども。
楽しくなかったとかではなくて、割と楽しかったからこそみんなの言う通りハマったら大変なので。

帰り道を歩きながらまた少しだけ経験値を積めたなあと考える。
なんとなく綾野剛くんとLINE交換したけど、逆に申し訳ないなあ。初回だけでホントに帰っちゃったし。

コンビニに寄ると治安の悪いだ男女の集団がレジでわちゃわちゃしていた。
んん〜苦手だ〜
早く買って出よう。
レジに並んでいるともう一個のレジが空いたのでそちらに。

ああ〜ギャルがレジに腰かけてる〜

小心者の私はギャルに構いもせずレジに飲み物を置いた。
内心とてもイライラしているので飲み物が割と勢いよく音を立てて着地した。
ギャル避ける。
私の威嚇ってことにしておこう。
この文章だけでかなりダサい。

ホテルに着いて寝る支度を整える。
やっぱりホテルの匂いは落ち着く。

カプセルの狭い部屋で今日を振り返る。
多分かなりドヤ顔ですすきのを闊歩していたんだろうなと思うと恥ずかしい。
道産子のくせにすすきので飲むのは2回目なのでいい経験になった。
自分が振り返る用にも投稿してみようと思い、筆を執ってみた。

お酒のせいでお腹が痛い。



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