博士号取得者が修士生に混じって一般企業に就職した話【入社一年目の転職活動】

当時入社一年目で転職活動を実際してみた時にわかった、入社一年目での博士の転職市場の実態についてメモします。

転職先の探し方のパターン

転職先の探し方は大別して4つあります。

1.ヘッドハンティングを受ける

2.転職サイト(SNS)のマッチングサービスを受ける

3.直接応募する

4.知り合いに紹介してもらう


転職サイトは求人票とのマッチングを行うSNSのようなもので、求人を出している企業と直接連絡をとる、あるいは求いくつかの求人票を扱う転職エージェントと連絡を取るという2種の進め方があります。

エージェントとは、馴染みのない人にはわかりにくいものかもしれないが、簡単に説明すると、 企業に人を斡旋して入社させることで企業からお金を受け取る(転職者の年収の~十パーセントほど)ことで利益を得る業者のことです。


転職法を選ぶ

各方法には特徴があります。

まずコスト面。

ここでのコストというのは、利用者(転職希望者)が支払うコストのことではなくて、採用側にかかるコストのことです。

1.ヘッドハンティングは、同業種(競合他社のイメージだと思います)の人を自社へ引き抜くわけですから、転職をそもそも考えていない人(=転職障壁が高い、転職コストが高い人)を相手とするので、引き抜く企業側は高い水準の給与・待遇を用意する必要があります。

一方、2.の転職サイトでは、前述の通り
 A. 企業直接連絡型、
 B. エージェント型
の2種類があります。

転職サイトでは職歴書などの自己PR書類をもとにマッチングアプリ方式でやり取りします。

つまり、掲載されている求人に対してアクション(フォロー)し、企業の担当者あるいはエージェントがリアクション(フォローバック)するとメッセージを交換する、という流れです。

(企業やエージェントからアクションがある場合もかなりあります。)

ここで、エージェントは面接をセッティングしたり、転職アドバイス、賃金交渉などを行ってくれます。 

掲載される求人は、企業HPにも記載のない非公開求人も紛れていますので、余力があれば転職サイトを複数使用してもよいかもしれません。 

また、転職サイトにもどういう職種、年齢層に強いかなどのカラーがあります。

個人的な意見だと、こんな感じです。

・第二新卒 ⇒⇒⇒ リクナビ、リクルートエージェント

・中堅技術系 ⇒⇒⇒ ビズリーチ

・ベンチャー、ソフト関係 ⇒⇒⇒ Wantedly 

(・海外含め専門性マッチング ⇒⇒⇒ Linkedin) 

3.の直接応募は企業の採用ページから直接応募する形です。

したがって、コストの順番は

1 >2B >2A >3,4

となります。

この序列は、別の差別化要因を生みます。 それは、求人ポストの重要度です。

企業にとって重要なポストに一番コストをかけるのは当然です。 

あるいは早くポストに見合った人を募ってポジションを埋めたいと考えているのであれば、転職サイトのマッチング機能を使うのが良いと考えられます。

 したがって、先ほどのコスト序列はポストの重要度を表していることにほかなりません。

また、転職先の探し方パターンではそれぞれビジネスモデルが違うことにも注目しなければなりません。 

1のヘッドハンティングの場合や2Aの場合では、企業が出す条件と転職者の能力がマッチしているかが転職が成功するかをはっきり決めます。

企業側からすれば、提示した条件に達しない人を採用しても本末転倒です。

しかし、エージェントは「候補者を転職させた後、転職先企業から金銭を受け取る」というスタンスです。

したがって、エージェントからすれば「会社に入れてしまえば勝ち」なのです。実際にエージェントの人とやり取りしていると、そんな下心が見えるような人には巡り合いません。

しかし、このことを頭に入れておかないと、実際に自分が求めている仕事に就けるかは分かりません。

なぜなら、自分の希望と転職先の実情は異なっている場合でも、エージェントは「入れてしまえば勝ち」なので必要以上に転職させるように働いてもおかしくありません。


入社一年目博士社員の転職

以上を踏まえて、自分の転職法を考えてみますと、

私の場合、社会人経験がほとんどないので第二新卒、あるいは博士研究を実務経験として考えると若手~中堅社員の枠で転職活動をすることになります。

結論から言うと、博士であれば専門性を武器にすれば就職先はあります。

しかし、多くの製造業では「3年縛り」というものが存在します。

これは、「何かの専門性を身に付けるためには3年程度の時間が必要」との考えからきていると考えられます。

野球の大谷翔平選手も1か月だけ野球をして有名になったわけではありません。一流になるにはそれなりの時間が必要です。

なので、この考えにはagreeです。

一方、博士の場合はどうでしょうか。

博士は3年ほどかけて専門性を磨きます。

社会人になり、修士卒の学生とは3年ほどの年の開きがあります。

 ですので、社会人になりたての「3年」をどう使うかは非常にシビアな問題です。

私自身、現職の環境ではあまりスキルを身に付けられると思わないので、そこに「3年」を費やしてしまうと27歳で入社した場合は30歳になってしまいます。

この間にも、学生時代死ぬ思いで磨いた専門性は失われていきます。

このような博士特有の悩みは、認知こそされていないですが、実際の転職面接では理解してもらえることがほとんどです。

(私の少ないN数に基づく見解ですが)

まとめ

転職のやり方はいろいろとありますが、それぞれの特徴を理解したうえで活用することが重要だと思います。

また博士であれば3年程度の専門分野における実務経験有と評価されることも多いので、修士に比べると短期離職のリスクは少ないと思います。

修士生でも早期転職した人を何人か知っていますが、情報系の学生が多い印象です。

転職活動を始めてみて思うことは、自分(特に20代の若手)の市場価値は「需要の高いスキルセットを持っているか」で決まるということです。

いかにそこを伸ばせるかが今後の人生が充実するかに大きく影響するのだな、と改めて思いました。


参考

ちなみに転職活動についての考え方について、この本は結構参考になりました。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E4%BB%8A%E3%81%AE%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%81%A8%E4%B8%80%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%82%82%E6%80%9D%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%89%E8%AA%AD%E3%82%80-%E8%BB%A2%E8%81%B7%E3%81%AE%E6%80%9D%E8%80%83%E6%B3%95-%E5%8C%97%E9%87%8E-%E5%94%AF%E6%88%91/dp/4478105553/ref=sr_1_1?adgrpid=55094842762&gclid=Cj0KCQiApt_xBRDxARIsAAMUMu_KiTBWRlp135HpNlUlT4SJT3XUuD9WXeoHWEbRvVcDutrKjT2hWGMaApnFEALw_wcB&hvadid=338530858548&hvdev=c&hvlocphy=1009449&hvnetw=g&hvpos=1t1&hvqmt=e&hvrand=3686756908992784342&hvtargid=aud-759242200006%3Akwd-461629914678&hydadcr=17958_11158971&jp-ad-ap=0&keywords=%E8%BB%A2%E8%81%B7%E3%81%AE%E6%80%9D%E8%80%83%E6%B3%95&qid=1581163606&sr=8-1

上記の転職先の探し方から考え方、そもそもの転職市場の原理などもフィクションのストーリーベースでわかりやすく記述されていて、おすすめです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?