「よい政治とは何か?」アリストテレス『政治学』に学ぶ政治哲学
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アリストテレス『政治学』を簡潔に説明
単なる要約ではなく、アリストテレスの政治哲学の基本的立場を解説する
現代でも非常に有益なことがたくさん書かれている作品だからぜひポイントを理解してほしい
政治とはいかにあるべきか
こんな大きな問題に対して、アリストテレスは『政治学』では恐ろしくシンプルな解答を与えてる
それは国制の保全。
現在の国の体制の維持に努めることで、全体的に政治はよくなっていく
「いやひどい国家を維持することの何がいいんだ」ってすぐさま思うんだけど、そういう国家は内乱によって崩壊する。内乱を防ぐには、分断や不平等を是正する必要がある。そういう政策をとっていれば自ずと国家は善くなるという理屈。保全が改良になる。
ちなみに、アリストテレスが直接このように論じているわけではない。
政治とはいかにあるべきか、という問いを立てているわけではない。
でも、アリストテレスならこういうはず。
『政治学』全体の構成
Wikipediaに詳しい目次がある
全8巻
第1巻:国家の定義と起源
ポイント:国家は自然発生的。奴隷や貨幣の存在根拠
第2巻:既存国家や政治理論の批判的検討
ポイント:プラトン理想国家の否定
第3巻:国制の分類
ポイント:6種類の国制。支配者人数3種×善悪2種
第4巻:現実の国制の分析
ポイント:6種類の国制と法律が色々混ざり合ってるのが現実
第5巻:国制の変革と保全
ポイント:革命の原因は内乱。内乱の予防が善い国家を保つ秘訣
第6巻:民主制と寡頭制の維持
ポイント:ほぼすべての国家は民主制と寡頭制の混合形態
第7巻:最善の国家
ポイント:国家における中庸の実現(不公平・不平等の防止)
第8巻:教育論
ポイント:エリート教育ではなく市民全体への公教育の必要性
第1巻は有名な奴隷制の話。今回は割愛。
このなかで特に今回説明するのは、第2巻と第5巻
第5巻はさっき説明した、国制の維持と内乱の予防。
さらに、第2巻のプラトン国家論の批判が、アリストテレスの立場をよく示している。
また、アリストテレスの考える最善の国家が論じられているのが第7巻。第7巻を理解する前提が第3巻・第4巻・第6巻。
プラトン国家論の否定
プラトン国家論は理想国家。有名な哲人王。
つまり「こういう体制のもとで、こういう法律が最善です」という固定的なもの。
プラトンの発想は、絶対性・厳密性が特徴。
しかし、こうしたプラトン的発想をアリストテレスは全否定する。
すでにいろいろなポリスが存在する。
おのおののポリスの歴史的土壌・土台を第一に考え、どんな制度が最善かは、ポリスによって異なる相対的なものととらえる。
最善の国家とは?
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