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ご質問にお答えします!『執筆時間の確保の為に上京と転職を考えています』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。

いただいたメッセージを読んで感じたことを率直にお伝えすると、今、上京することは私からはお勧めできません。

まず認識していただきたい事として、「脚本家のなり方」には、王道というものがありません。
現在脚本家として活動している人たちにプロになるまでの経緯を尋ねれば、
「テレビ局主催のコンクールに入賞後、プロットライターを経てプロになった」
「小劇場系舞台の台本を書いていたら、映画プロデューサーに声をかけられた」
「プロの脚本家のアシスタントを経てデビューした」
等々、さまざまな答えが返ってくるはずです。

つまり、「脚本家の数だけなり方がある」といったところなのですが、どの脚本家も、プロになる前に「糸口をつかむ」という段階を経ているはずです。
具体的には、シナリオコンクールに入賞するなり最終選考に残るなりする、プロットライターとしてでも実際に制作される作品に携わる、自分の作品を何らかの形で上演、上映して良い評価を受ける、といったことです。

※以下、質問者さんがこの「糸口」をお持ちでないという前提で書きます。(もしお持ちならば、その内容をメッセージにお書きになると思うので。間違っていたらすみません。)

質問者さんのように働きながら脚本を学んでいると、多くの人がまだ何の糸口もつかめないうちに、「会社を辞めるなり転職するなりして時間を作って、脚本の勉強に集中したい」と感じます。
そして実際に行動に移す人もいますが、私の経験上、この選択をした人が良い結果になったのを見たことはありません。

「執筆時間を増やすために生活スタイルを変えたはずなのに一向に執筆が進まず、そうこうするうちに脚本を書くことを諦めるか、元の生活スタイルに戻る」というのが典型的なパターンです。

「自分の覚悟はそんなに甘いものじゃない」と質問者さんは思われるかもしれません。
ですが、私が見てきた事実を基にアドバイスすると、「脚本家になるための糸口が何もないままで、会社を辞めたり上京したりするのは危険です」と言わざるを得ないのです。
「『時間がないから書けない』という人は、時間ができても書かない」というのが私の持論です。
脚本家は心身共にタフでなくてはならないなので、「会社勤めをしながらでも書き続けられるかどうか?」は、この仕事に向いているかどうかを測る材料のひとつになる、とも考えています。

上京すれば生活コストも上がるでしょう。
東京での生活費を「シナリオの仕事」で稼ぎたいと考えられているようですが、質問者さんが「糸口」をまだ持っていないならば、シナリオで生活費を稼ぐことが現実的だとは私には思えません。
通信講座でシナリオを学ばれているとのことなので、「これが糸口なのでは?」と思われるかもしれませんが、率直に言って「講座で学んだ」という事実だけでは、糸口とは言えないと私は思います。
決して「通信講座だからいけない」とか、「あのスクールなら良いが、こっちのスクールは駄目」といった類のことではありません。
「シナリオの仕事」を依頼する側の人からすれば、「勉強してきました」という事実だけを評価することはできないということです。
「講座で勉強してきただけあって、筆力がある」と思われて、初めて評価を受けることができるのです。
質問者さんは上京後、クライアント候補からそのような評価を得られるという自信がありますか?
もし「自信がある」と言い切れないのでしたら、まずは筆力をつけて糸口をつかむことが優先だと思います。

こちらの投稿も参考になるかと思いますので、よろしければ。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。


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