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ご質問にお答えします!『自信作が書けたので読んでほしいのですが、感想は要りません』

脚本家志望の方からごちらの質問をいただきました。

初めて脚本を書...

ご質問ありがとうございます。
申し訳ないのですが、「作品を読んでほしい」というご要望についてはお断りします。
「感想はいりません」とのことですが、仮に読めば、私の頭は勝手にあれこれ分析を始めてしまいますし、一旦考え始めると簡単に止められるものでもないので、結果的に「誰からも求められていないコストを無駄に使う」ということになるからです。

ここで回答を終わらせても良いのですが、「感想はいりません」という部分がどうしても気になるので、もう少し続けます。

自信があるから読んでほしい。
なのに、感想はいらない。

とても面白いご要望だと思います。
「初めて脚本を書きました」とのことなので、おそらく質問者さんはまだ、作品への意見や感想をもらった経験がないのでしょうね。
ご自分としては自信作。
でも、人がどう思うのかはわからない。
感想は聞いてみたい。
けれど、心を折られるような感想は聞きたくない。
願わくば、自信を裏づけしてくれるような言葉だけを聞きたい。
……といったところでしょうか。
仮にこの通りだとしても、何も恥ずかしいことではありません。
むしろごく普通の、当たり前の感情だと思います。

さて、私はこれまでにnoteで44回、脚本家志望の皆さんからのご質問に答える投稿をしています。
読んでくださった皆さん、質問してくださった方からは「優しい脚本家さん」「優しく回答してもらった」と言っていただくことが多いです。
(私の家族や親しい友人が読んだら「優しい脚本家さん⁉」と驚きそうな気がしますが……。)
質問者さんも、私に対して「優しそう」という印象を持ってくれていると仮定すると、「自信作だから読んでほしいけれど、感想はいらない」というメッセージを送って来られた気持ちがなんとなく想像できる気がします。

ケース1)質問者さんの作品への私の評価が低かった場合
「優しい脚本家さん」なので、「感想はいらない」と言っている人に対してわざわざ酷評のメッセージを返してくることはない。

ケース2)質問者さんの作品への私の評価が高かった場合
「優しい脚本家さん」なので、「感想はいらない」と伝えてあっても「自信作とおっしゃるだけあって、良い作品でしたよ!」というメッセージを返してくれそう。

……といったところじゃないでしょうか?
以下、私の推測が当たっているという仮定でのアドバイスです。

自作に対する感想、意見を聞くのは誰でも怖いです。
プロである私も、原稿を送った後、打ち合わせに行く際は毎回「みんな、どう思ってるんだろう……」と考えて気が重いです。
それでもプロとして活動している以上、作品を公表する前に、メインスタッフから客観的な意見を聞くことは絶対に必要です。

脚本家志望の人にとっても、自作への感想、意見を聞くことは、”通過儀礼”みたいなものです。
例えば、作品に込めたメッセージが驚くほど伝わらなかったり、斬新だと思ったアイデアが「よくあるパターン」と言われてしまったり。
そういう時、書き手は酷く傷つきます。
傷つくのですが、マスメディアで作品を発表したいと願うなら、どうしても避けられないことですし、この種の経験は筆力を上げるための大きな原動力にもなります。

先延ばしにしても、いいことはないはずです。
まずは身近な人に、作品を読んでみてもらってはどうでしょうか。
もちろんコンクール応募もした方がいいです。
ちょうど、今月末(2020年2月末日)締切りの大きなコンクールもありますしね。

コンクールは一般に、入賞するか最終選考に残るかしないと個別の講評はもらえませんが、応募の結果自体が「人からの評価」の一つです。


今回の回答は、多くの部分が私の推測に基づいているので、まったく見当違いかもしれません。
そうだとしても、質問者さん以外のこれを読んでくれている皆さんにとって、何かの参考になればいいなと思います。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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#脚本 #シナリオ #エンタメ #質問 #マシュマロ
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