ご質問にお答えします!『ミステリーを書くコツは?』
脚本家志望の方(多分)から、こちらのご質問をいただきました。
ご質問ありがとうございます。
最初にお伝えしておきたいのですが、これまでに上映、放送、出版された私の作品の中で、ジャンルがミステリーのものはありません。
ですが、ミステリーを書きたいという気持ちは強く持っており、自分なりに研究しながら書き進めてもいます。
つまるところ「勉強中」ということです。
以下は、その前提でお読みください。
【ミステリーの定義】
まずは、ミステリーとはいかなるものか?を理解することが、コツを摑む第一歩だろうと思います。
いろいろな人が、さまざまな表現で定義づけていると思いますが、私は、
「簡単には解けない魅力的な謎を、登場人物(多くの場合は主人公)が合理的に解き明かす」
ということだと認識しています。
書き手は、「簡単には解けない魅力的な謎」と、「それがどのように合理的に解き明かされるか?」を、知恵を絞って考えなくてはならないわけです。
【「簡単には解けない魅力的な謎」の例】
まず、最近のヒット小説から「簡単には解けない魅力的な謎」の例をひとつ挙げます。
こちらのミステリー小説はご存知でしょうか?
「生放送のクイズ番組の出場者が、問題文が一文字も読まれないうちに正解を答えた。なぜそんなことができたのか?」というのが、この作品における「簡単には解けない魅力的な謎」です。
もし質問者さんが未読でしたら、試しに「なぜなのか?」を予想してみてください。
”仮の答え”さえ、簡単には思い浮かばないのではないでしょうか?
まさに「簡単には解けない謎」ですし、「一体なぜ? 知りたい!」という気持ちにもなっていませんか?
このような「魅力的な謎」を考え出すことができれば、まずは読者を引き込むことができるでしょう。
古今東西のミステリーで、「密室殺人」等の不可能犯罪が度々描かれるのも、「簡単には解けない魅力的な謎」の典型だからなのでしょう。
【「合理的に謎を解き明かす登場人物」の例】
くり返しになりますが、作者は読者・観客に対して「簡単には解けない魅力的な謎」を提示し、その謎を登場人物(多くの場合は主人公)に合理的に解かせなければなりません。
読者・観客には解けない謎を登場人物は合理的に、つまりは理屈の通った形で解決するのですから、その登場人物は一般的な読者・観客が持っていない知識やスキルを持っている場合が多いです。
従って、シャーロック・ホームズ、エルキュール・ポアロ等の世に知られた名探偵は、並外れて博識であったり、観察眼がずば抜けていたりするわけです。
こういった”超人的な名探偵”のほかに、「特定の職業に就いていること」や「稀有な経験をしていること」によって、一般の人が持ち得ない知識や観察眼を持った人物が謎を解く、というパターンもありますね。
例えば「薬剤師なので薬物に関する知識が豊富」、「保育士なので幼児の言動のパターンに詳しい」、「かつては詐欺師だったので詐欺師の手口に詳しい」といった人物が、謎解き役となるということです。
このタイプの作品は、「○○探偵」「○○刑事」といったタイトルが付けられ、○○部分で職業名や属性が表されていることが多いと思います。
「どんな人物が、どんな特性を使って謎を解くか?」もミステリーのポイントであり、この部分をいかに面白く、斬新な設定にするかということにも、書き手は知恵を絞るべきなのでしょう。
勉強中の私から、”確からしいこと”としてお伝えできるのは、このぐらいではないかと思います。
最後に、こちらの本に書かれている、東野圭吾さんの言葉をご紹介したいと思います。
身も蓋もない感じに聞こえるかもしれませんが、おそらくこれが、ミステリー以外のジャンルにも通じる創作の極意です。
これからもお互いがんばりましょう!
脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。
ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。
これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。
#脚本 #シナリオ #エンタメ #質問 #マシュマロ
***********************************
Twitterアカウント @chiezo2222
noteで全文無料公開中の小説『すずシネマパラダイス』は映画化を目指しています。 https://note.mu/kotoritori/n/nff436c3aef64 サポートいただきましたら、映画化に向けての活動費用に遣わせていただきます!