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ご質問にお答えします!『不得意ジャンルの作品の書き方は?』

脚本家志望の方から、こちらのご質問をいただきました。

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ご質問ありがとうございます。
回答をお待たせして、すみません。
マシュマロのシステムトラブルにより、メッセージの遅延が起きていたそうで、ご質問が私の受信箱に届いたのだが、送信いただいてから11日後でした。


以下、ご質問への回答です。


【作品のクオリティーをどのようにして保っていますか?(締切りとの兼ね合い、プロットの積上げ等々)】

このご質問にきちんとお答えするには、アイデア出しやリサーチ、プロット作成、ハコ書き、キャラクター分析等々の、私の執筆ノウハウをすべてお伝えしなければならず、到底一つの投稿にまとめることはできません。
あえてひと言でお答えするならば、「すべてのプロセスに、自分なりのノウハウを持つ」ということになると思います。

例えば私の場合、「リサーチ」はこちらの投稿に書いた方法で行います。

「キャラクター分析」ならば、こちらの投稿のノウハウで行っています。
(有料記事ですみません。本文内にある通り、以前有料で行った講義の内容をまとめたものなので、記事も有料にしています。)

このように、脚本が完成するまでのどのプロセスに関しても、「自分に合った独自のやり方」を持つことで、作品の質に極端なバラつきが出ないようにしています。
工場で商品を大量生産しているわけではないので、「決まった手順を経ることで、毎回確実に高品質の原稿が仕上がる」というわけにはいきませんが、各プロセスのノウハウを持っていれば、「手詰まりになって一文字も書けなくなる」「完全に破綻した原稿を書いてしまう」といった事態は回避できます。

スクールに通うなり、作劇本を読むなりすれば、プロセス毎のさまざまなノウハウを知ることができますが、重要なのは、それらを参考にして実践を重ねながら、「自分に合った独自のノウハウ」を構築することだと私は思います。
質問者さんもぜひ、ご自身だけのノウハウの構築を目指して、試行錯誤してみてください。


【不得意ジャンルの作品を書く時に注意することは?】

圧倒的に強いジャンルを持っている人と、多くのジャンルで一定レベル以上の作品が書ける人。
どちらのタイプの人も、行きづまった時にはつい「自分とは逆のタイプの人のほうが有利なのでは?」と感じているような気がします。
どちらが良い、悪いと、簡単に言えることではありませんが、”脚本家予備軍”になると(=コンクール入賞等をきっかけにプロデューサーと繋がりができ、プロットライターを務めたりし始めると)、幅広いジャンルに対応できることでチャンスが増えるとは思います。

私が、書いたことのないジャンルや苦手なジャンルに取り組む際、重視しているのは、「執筆に取り掛かる前に、そのジャンルの勘どころをおさえること」です。
具体的にはまず、そのジャンルの名作と言われている作品をできるかぎり鑑賞して、自分が面白いと感じるポイントを言語化します。
更に、そのジャンルが好きな人たちが書いたレビューを読む等して、「どういった点が、このジャンルのファンを惹きつけているのか?」を把握します。

私の経験上、苦手だと思っていたジャンルでも、名作の誉れ高い作品であれば、何かしら面白いと感じるポイントは見つかります。
自分が面白いと感じるポイントが、そのジャンルのファンの人たちの”ツボ”と一致することもあれば、一致しない場合もありますが、いずれにせよ、こういった分析を重ねるうちに、ジャンル独自の「おさえておくべき勘どころ」が見えてきます。

勘どころが分からないまま書き始めると、「とにかくどうにかして書き上げなくては!」と思うあまり、自分が得意なジャンル、好きなジャンルの要素を無理やり入れ込み、自分の書きやすい方向に作品を捻じ曲げてしまいがちです。
例えば、「ミステリーを求められているけれどトリックが思い浮かばないので、得意ジャンルであるラブストーリーの要素を厚くして、事件発生→解決のパートは申し訳程度に入れ、『これはラブミステリーです!』と言ってお茶を濁す」といったことが起きるわけです。
このような作品は、当初から「ラブミステリーを書く」というコンセプトで書かれた作品とは全く違う、中途半端なものになってしまうため、読者・観客が満足するはずがありません。

ですので私は、いきなり執筆に取り掛かるのではなく、まずは「ジャンルの勘どころをおさえること」を優先します。
その後の執筆方法は、得意なジャンル、好きなジャンルを書く場合と違いはないと思います。

これからもお互いがんばりましょう!

ご質問のある方はこちらからどうぞ。
※シナリオコンクールの規定、審査基準に関してはお答えできませんので、その点はご了承ください。


脚本、小説の有料オンラインコンサルも行っていますので、よろしければ。


これまでに脚本家志望のみなさんからいただいたご質問への回答は、こちらのマガジンにまとめてあります。

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#脚本 #シナリオ #エンタメ #質問 #マシュマロ
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