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雨降りの日に想う

泣き出しそうな空の日が多くなってきた。

関東はまだ梅雨入りしてないというけれど、私としてはこれはもう立派な梅雨だ。

一年のうちで一番調子が悪くなる季節。5月~7月あたりがいつも元気が出ない。

雨は決して嫌いではないけれど、お日様が出ていないとやはり心がジメジメ湿ってくる。

お日様ってなんてありがたいんだろう、と灰色の空を見上げながらいつも思う。


梅雨時になると、いつも思い出す二つの記憶がある。


ひとつめは、小学校にあがりたての、1~2年生くらいの時。

毎日毎日雨ばかりで、全然外に遊びに行けず、退屈な休み時間。

男の子たちは教室の後ろのほうでプロレスごっこをしてストレスを発散させている。女の子たちはおしゃべりしたり本を読んだり。そんなクラスメートたちの熱気がこもった蒸し暑い教室で、ひとり窓の外を眺めている、そんな記憶。

早く梅雨が明けないかな。早く外で遊びたいな。

そんな思いで降りしきる雨を眺めていた。教室の窓から見える家並みは灰色一色で、裏庭には茶色い水たまりがいっぱい出来ていた。そんな記憶。

あの時の倦んだ気持ちと教室のにおい、晴れた空を待ち焦がれる気持ちを、大人になった今でも、毎年思い出す。


ふたつめも、たぶん小学2年生くらいの時。

いまにも大粒の雨が降り出しそうな鉛色の空の下、重いランドセルを背負って小走りで必死で家に帰っている私。

そのうち、遠くのほうでゴロゴロと雷が鳴りだして、私はおののく。

もっともっと早く、と走り出すのだけれど、雷のほうが早くて、どんどん雷鳴が追いかけてくる。

ピカッと空が光りだす。

私は雷に打たれたら死んでしまう!と恐怖でいっぱいになりながら家を目指すのに、まるで悪い夢の中みたいに、なかなかたどり着かない。(私の小学校は遠くて、歩いて20分くらいはかかった)

それでもなんとか家にたどり着く。

その頃にはもう雨がザーザーと降り出している。

なんとか家にたどり着いて母に迎えられた私は、途端に大泣きする。

雷が怖かった、死んじゃうかと思った、と。

母は笑いながら私を出迎えてくれる。

私はホッとしたのと怖かったので、しばらく泣き止めなかったけれど、その時の母のぬくもりを、今でもずっと覚えている。


そんな記憶。

雨の日は、色々なことを思い出す。

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