発音(構音)練習はいつから始める?発音練習に必要なこと
ことばを話し始めた子どもは始めから上手な発音ではありません。発音にも獲得段階もあり、身長や体重の成長だけでなく身体の動かし方も上手になると正しい発音が獲得できるようになります。病院で実施される発音練習は構音訓練とも呼ばれており、以下では構音(=発音)という表記で記載してます。
構音の獲得段階
構音の獲得目安
2歳:母音、ば行、ぱ行、は行、ま行
3歳:た行、だ行、な行、
4歳:か行、が行、
5歳:さ行、ら行
発音の獲得段階はおおよそ上記の順番となります。
さ行、ら行は発音の難しい音とされ、魚を「たかな」と言い間違えてしまうことも多いです。しかしこれらの音は5歳頃の獲得が目安となるため、構音練習の実施年齢は5歳前後からとなります。
正しい発音に必要な力
正しい発音に必要な力はたくさん考えられているため、ここでは私の今までの臨床で感じたことなどを踏まえて紹介します。
正しい発音に必要な力
聞き取り能力
言語理解能力
模倣能力
舌の運動能力
音韻意識能力
聞き取り能力
ことばの学習で欠かせない聞き取る能力。ことばを認識するだけでなく、音そのものが聞き取れているか必ず確認しましょう。
現在は新生児聴力スクリーニング検査(ABR)も受けることができ、難聴を早期から発見することが非常に大切とされています。
実際の音が聞こえているかの聴力だけでなく、聞こえた音が(似ている音)と識別できているかも構音練習には必要不可欠です。
例えば、「き」と「ち」は文字表記では違う記号ですが実際には同じ音として認識してしまうことも多いです。
そのため言い間違ったことばがある際は聴力や音をしっかりと弁別可能か確認することもあります。
言語理解能力
構音練習は「舌をお口の天井に〜」など伝えることもあり、言語理解力や状況文脈力が必要です。
※実際には指導者が実演することが多いです。
さらに構音動作そのものも難しく、上手にできない、言っていることもわからない状況が続くと構音練習の意欲が下がります。
意欲を削がないように工夫しますが言語理解力面が発音獲得年齢よりも下回る場合は構音練習よりもことばの発達指導を勧めています。
模倣能力
指導者と同じ舌の動きをするだけでなく、舌圧子(アイス棒)やストローなどを使用するため、口形模倣や操作模倣が出来る必要があります。さらに構音動作は舌を数mm単位で動かすことが求められるため巧緻動作や協調運動などの運動面にも関連してきます。
舌の運動能力
舌の安静位、舌の筋力、舌の運動などの要素も構音練習には必要不可欠です。舌の安静位とは普段生活している時の舌の位置のことです。お口の天井(口蓋)に舌の中心付近が付くことや舌先が上前歯の後ろに付く(スポット)ことが舌の安静位となります。
舌の筋肉は舌を前に出せる筋肉を付けるだけでなく力を抜く(脱力)というコントロールが求められます。
舌の運動は舌の中央や前歯に触れた状態で息を出すなどの動作が構音に必要となります。
音韻意識能力
あまり馴染みのない言葉ですが音を意識すること(音韻意識)は話すことやひらがな学習などにおいて切り離せない大切な考えです。
私たちの話し言葉は音の連続で言葉を認識します。「いぬ」という単語は「い」と「ぬ」の2つの音から成立しています。文字についても『い』のひらがなを見たら「い【i】」と認識できるように音の存在は不可欠です。
ことばそのものにいくつの音があるのか。どのような音の組み合わせなのか理解することを音韻意識と言います。1つずつの音を意識出来るようになると読み書きに興味が出ることや発音の違いに違いについて認識できるようになってきます。
構音練習の開始年齢
月齢などの違いもあるため、学年では示すことが難しいですが、上記の正しい発音に必要な力が概ね5歳前後のタイミングが構音練習の目安です。
知的に遅れのある場合は知的年齢が5歳以上であることやその年齢でも構音練習でなく他の指導をすすめることも十分考えられます。
構音練習というのは子どもの負担が大きいため、より慎重に進める必要があるため必ず構音に精通した指導者の元で練習を進めていきましょう。
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