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アートと経済 そして、私


分からないことを
色々考えたりすることや
想像することは好きだし、
それを紐解くことも好きだ。

ここ最近は「どうして猿は人になったのか」
そんなことを、時々考えている。
(何故そんなことを考えるようになったのかは後ほど)

あらゆる起こりの説があるし
その全てがあって人となっていったのも勿論だ、
それを踏まえての現時点の持論は大きく二つ。

一つ目は「美しいと感じる心が芽生えたこと」
初期の縄文土器には既に縄を押しつけて
縄文模様が付けられている。

ただ使うだけの生活用品としての具・器に
装飾としての模様をつけたこと
そうしたお気に入りのものが暮らしの中にあることの
ちょっとした幸福感、その美意識が人の心を育てていったと思う。

二つ目は「祈ること」、
家族や仲間が死んで、喉が乾いて、お腹が空いて
悲しむ、怒る、無気力になる、それでも人は生きたくて祈った。

目に見えるものの奥にある魂の存在へ、
見えないものに対しての尊さや願いや恐怖があることを知って
大地に祈るということしたのだろう。

そして祈りの中には美も共存している。

弱肉強食のこの世界で、
骨内臓肉皮と、全てを使い尽くす動物もまた人間だけだ。
道具を作ろうと思うことはその祈りや美意識が
心の根底にあったからだろう、と考えている。


でも現代において「美しい」や「祈り」の感情の原初的なエネルギーは、
そのエネルギー強さゆえに多くのしがらみが絡み合い
一筋縄では扱えぬものになってしまった。

それが今の宗教の世界であり、
それが今のアートの世界だと感じる。


私は特定の宗教(信仰)には興味はなく、
ただその祈りのエネルギーの強さに感動をおぼえる一凡人だ。

ただアート業界でアートと政治経済について多くのことを感じた。
そこで感じた色々なものが少しずつ昇華し
「何故、人になったのか」を考えるに至ったのがここまでの経緯、
それを以降を記してゆこうと思う。


美術品を前にしたときにぐっと身体中が、目頭が熱くなる瞬間や、
作者の解説を見た際に何故と考え紐解くこと、
その美的感動が、
ジンジン伝うエネルギーが自分には堪らず、
美術が好きで仕方ない。

そのエネルギーのまま展覧会業界で仕事をしていた。

展覧会は人々の美的感動の大きなエネルギーがあって初めて成り立つ。

しかし、その内部の人間にはそのエネルギー・心がない
というか、心をかけている時間がない、というのが現場だ。

とにかく巨額なお金を託されたブラックバスターを
回してゆく人々はその仕事の中で
頭のなかはお金と数字で埋め尽くされ
美しいと思う心を置き去りにしていた。
(そもそも金しか追っていないのもまぁ、多々ある)

現代において作家から離れた美術品=ドレスで着飾った金・権力ということは多分…間違いないと思う。

で、問題なのは同じ美的感動やエネルギーを持ちつつも
それを利用するあまり、日本の美術社会を回すなかで
その思いを歪んだ形で持ってしまっている大人たちがいること。

そもそも金目当てという大人の方が潔いというか、
そうでなくて美術品への心やエネルギーを持っていながらも
金や権力の渦の中で「そういうもの」だと
諦め歪んでいった大人の方が、何癖もある。

で、私はそういう大人の本心を引き出して一緒にやってゆきたかった、
美しいと言い合えるエネルギーでいいものを仕事にしてゆきたかった。

しかし、私の心の速度では展覧会事業に関わることは困難を極め
その世界から去ることにした。



今でもやはり美術品のそばで仕事をしたい気持ちは変わらない。
好きな美術、その美しいと思う作品を人々に届けたい、
感動を共有し、生きるエネルギーのして欲しい、
そんな風に思っているが、今では、ないのかもしれない…


そこで美術品が私たちに受け取られるまで(美的感動が届くまで)の
ルーツを考えてみた。

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生産農家ー加工販売ー収集販売ー作家・学校ー展示or販売事業ー受け手

かなりアバウトなため悪しからず…

下流の美術は作家から離れた以降(政治色強い方も度々いるけれど)
やはり政治や金が大きく絡んでくる。

しかし上流では、このような見えていない人々の
小さな仕事が結集している。

紙やキャンバスの元となる素材を生産する農家がいて
加工する職人がいて
売ってくれる画材屋がいて、
それらが作家とまみえて初めて国をも動かす美術品になる。

そういう見えなくてもいいから
自身の心をかけられる仕事をしてゆけたらと、思う。

和紙職人や岩絵具職人…
格好良いな、華美でなくでも心をかける仕事。


今、はまだわからないけれど
心の内にこのエネルギーを育てておこうと思う。

なんだか自分の意思表明みたいになってしまったけれど
時々、見返したときに
何かヒントになるかもしれないのでこのまま記録しておこう。



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