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あとがき(天使たちの日常戦線)


さて読者の皆様最後まで読んで頂きありがとうございます。

いや~~書いてしましましたね。

天使の戦線シリーズ第三作目。

まさかここまで書くとは思っていませんでした。

今回は三作目にして新たな天使たちが登場しました。

この天使たちは部門に所属していない天使です。

ですがだからと言って堕天使になるかといえばそうでもないいわば中立派の天使たちです。

その天使たち視点で前半はあらゆる視点から大逆を評価していきました。

後半はタイトルにもあるような天使たちの日常を意識して表現しました。

特にイプノとフェアの掛け合いは書いている中で意図せずギャグからシリアスになり思っているよりも自然な流れを作れたように思います。

さて今回は究極的なある問いについて考えていきたいと思います。

それは「人は何故人を殺してはいけないのか。」

まずこの問いに対しての回答には様々な理由を挙げることが出来ます。

感情を抜きにして考えればメリットよりデメリットの方が大きいから。

罪と罰の考えを用いれば他人の命を奪うことは大罪だから。

他にも法律で犯罪とされているから倫理的道徳的に良くないから人を殺せばその人を大切に思う者から報復を受けるから・・・などあげればキリがありません。

そしてこの問いには複数のパターンがあると私は考えています。

一つ。ただ単に純粋に何故殺してはいけないのか分からないパターン。

このパターンはとても厄介です。

何故ならこのパターンは何故人を殺してはいけないのか?に対して絶対的かつ本質的な答えを求めているからです。

誰もが“○○だから人は殺してはいけない”と納得出来るような答えを求めているのです。

感情論でも合理的でもない「人はいつか必ず死ぬ。」といった絶対的な事実のような答えを求めているのです。

しかしそんなものは今のところ存在していません。

歴史を振り返ってみても自身の権利を守る為人間同士殺し合いをしてきた過去があり人類の歴史は戦いの歴史といわれることがあることからもいざとなれば人は人を殺しています。

この本質的な答えを探す為日常戦線では“天使は何故天使を消してはいけないのか?”という問いに置き換え考えましたがそこでも答えは出ませんでした。

そしてそこで描いたのが二つ目のパターン。

殺してもいい理由が出来れば殺すことが出来る!と思い苦しんでいるパターン。

詳しく説明しましょう。

まずグラヴィーネは大切に思っていた天使が同じ天使によって消されてしまったという過去を持っています。

そしてグラヴィーネは大切な天使を消されたことによって存在する意味を見いだせないまま存在するようになります。

毎日毎日ただ茫然と時が過ぎ去る日々。

しかし自分達天使は何にも悪いことをしていないのに何故か大切な天使を消した天使たちは人間界に追放されているという多少の不便はあるものの楽しそうに過ごしている。

それがとても許せない。

何でこんな目に合わなければいけないのか。

何でこんなに苦しいのか。

どうしたらいいのか。

こんなにも辛いのに何もせずにはいられない。

人間界に天使がいるのを見る度に思い出す。

大切に思う天使がいないという事実を。

それなのに天界も地上もずっとあの時から変わらない。

誰に何を言われても変わることなんて出来ない。

だって消えたという事実は変わらないのだから。

こういった感情を彼女は抱えていました。

なので大逆の主犯のイプノの言うことなんて勿論聞けないしそれを放置していたビランチの言うことも聞けない。

静観していたネニアの言うことも勿論聞けない・・・どうせビランチやイプノのように堕天使を野放しにしてほしいってことを間接的に伝えてくるだけ・・・。

そう思っていた彼女はネニアの話を聞いてとても驚きました。

それは彼女は本気で答えの出ない問題について考えていることを知ったから。

そして答えが出ていないにしてもその過程に新たな可能性を見た。

もしかして考え続ければ今はまだでも何時かは見つかるかもしれない。

本質的な意味で消してはいけない理由を。

そう思った時彼女は初めて存在する新たな理由を得たのです。

長々と語ってしまいましたがこれは人間にも言えることだと私は思います。

確かに今はまだ人が人を殺してはいけない本質的な理由は見つかっていません。

しかしいつか人類は辿り着くでしょう。

その本質的な答えに。

あるいはもう辿り着いているかもしれません。

この世界にいるまだ見ぬ誰かが。

最後に終章では力部門の多くの天使たちがメタ発言をしていましたがその辺については大目に見てあげてください。

偶には天使だって言いたくなる時もあるのです。

それではこれにて失礼しています。

次回は少し時間が空くと思いますが何れまた・・・。


著者Midi

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