見出し画像

天使たちの天界戦線(終章、智天使と地上王の出会い)

ドラーク「・・・どう?シントスちゃん。」

シントス「・・・見つけました。この先に天界に繋がっていない酷く歪んだ空間があります。」

ドラーク「・・・一つ聞きたいんだけどいい?」

シントス「はい何でしょうか?」

ドラーク「異界って結局何なの?」

シントス「・・・一言で説明するのは難しいですね。ですが例えていうなら隙間みたいなものかと。」

ドラーク「隙間?」

シントス「ええ。今この世界には天界を中心として様々な世界がありますよね?これらの世界は一つ一つがビランチさんの作った箱なんです。」

ドラーク「箱?」

シントス「例えばこの地球ですがこの地球という箱には様々な物体や生き物が入っています。ですがこれだけ多くの生物や物体や現象が入っていてもまだ他の存在を入れる余地があるんです。」

ドラーク「あーーなんとなく分かってきたわ。この地球という箱の中には入れた私たちですら目の届かないところがある。それが異界でありその目の届かないところに堕天使が隠れている可能性があるってことね!」

シントス「そうです。その目の届かないところが異界なんです。」

ドラーク「確かに箱を開けてみてもその中全部を見れるわけじゃないからね。」

シントス「はい。直接かき分けたりしない限りは。今私たちが行っているのは箱の中に直接入り隙間を見つけることなんです。」

ドラーク「成程ね。こりゃ、苦労するわ・・・。」


~~~~~


オルゴ「どうだ?ミスティオ。異界は見つかりそうか?」

ミスティオ「・・・ありました。ここから八十キロ先の川です。」

プーロ「よし、じゃ早速行こうぜ!」

オルゴ「(八十キロか・・・)ミスティオ。お前の感知は最大何キロ先まで出来るんだ?」

ミスティオ「最大は一億キロ先までです。ですが一億キロ先と言っても感知の鮮明さは遠くなる程薄まります。」

オルゴ「・・・成程な。(想像以上だ。)」

ミスティオ「もうそろそろ着きますがその前に一つ伝えておくことがあります。」

プーロ「ん?何だよ。伝えておくことって。」

ミスティオ「堕天使がいるかもしれない。気をつけろ。」

オルゴ「・・・何か感じるのか?」

ミスティオ「はい。異界とは別に動く存在が感知出来ます。弱いので堕天使かどうかは分かりませんが。」

オルゴ「了解だ。なら慎重に行こう。」

プーロ「・・・着きましたよ。」

オルゴ「どうだプーロ。何かいたか?」

プーロ「・・・なんかちっちゃい虫みたいのがうじゃうじゃいますね。」

ミスティオ「それだ。お前の力で異界から出して消してくれ。僅かだが堕天使と同じ瘴気を感じる。」

オルゴ「(・・・確かあれは災厄の一つ。)プーロ。消すんだ。」

プーロ「了解っす!」

オルゴ「・・・にしても思っていたよりも地味な作業だな。」

ミスティオ「済みません。こんな作業にあなたを付き合わせてしまって。」

オルゴ「謝ることじゃない。これも大切な仕事だ。地味な方が本来いいんだ。地球にとってはな。」

プーロ「・・・確かにそうっすね!」


~~~~~


フォール「・・・どうだ?見つけたか?」

ソーマ「(・・・‼)フォールさん!まずいです!俺たち囲まれてます‼」

フォール「何?」

堕天使1「こんなところに天使がいるとはなぁ‼」

堕天使2「天界では勝てなかったが俺たちのテリトリーなら負けねぇぜ‼」

堕天使達「消えろ‼」

ソーマ「・・・‼」

フォール「ハアアアアアアアアッッッッ‼」

堕天使達「ぐああああああああっっっ‼」

ソーマ「(す、凄い・・・十名以上いた堕天使たちを一瞬で・・・。)」

フォール「大丈夫か‼ケガはないか⁉」

ソーマ「あ、はい・・・お陰様で。」

フォール「・・・にしても油断も隙もねぇな。こいつら。」

ソーマ「それにしても助かった。あなたが居なければ確実に消されていた。」

フォール「それは俺のセリフだ。お前が事前に感知してくれていたお陰ですぐに動けた。ここは植物が鬱蒼としていて視覚では気づきにくい。」

ソーマ「まぁそうですが・・・。」

フォール「・・・思っていたより骨のある仕事みてぇだな。これは。」


~~~~~


グラント「みんな上手くやっているかな~~。」

タッソ「それって道繋ぎのこと?」

グラント「うん。」

タッソ「それなら心配ないでしょ。シントスちゃんもソーマ君もプーロ君もみんな空間のことに関してはスペシャリストだからしっかりやるだろうしもし堕天使が出てきてもあの三人がついてるから消されることはまずないわ。」

プロイビー「・・・確かに。オルゴもフォールもドラークも天使の中じゃ容赦ないもんね。」

タッソ「そうね。特に裏切りに関してフォールを相手取るのはビランチでも骨が折れるわ。」

グラント「そうかな?イプノを完全に手玉に取るビランチだよ?」

タッソ「でもフォールも反逆に加担した天使の役半数を一人で仕留めてるからね。」

グラント「マジで⁉」

プロイビー「マジよ。なんせ大逆中に“こいつらも追加だ。”ってセリフを何度聞いたことか・・・。」

グラント「そっかぁ~~・・・そんなに強いんだ・・・(・・・‼)」

ビランチ「(今ちょっと大丈夫?)」

グラント「(大丈夫だけど・・・何かあったの?)」

ビランチ「(いや何かってわけじゃないんだけど経過報告よ。フェアが言葉を分けた件について。)」

グラント「(それなら今フェアいるから代わろうか?)」

ビランチ「(お願い出来る?)」

グラント「(は~い。)フェア。ビランチから意識通達‼」

フェア「あ、了解です。(代わりました。要件は何ですか?)」

ビランチ「(言葉を分けた件についてよ。この件なんだけど暫く人間の様子を見ていたら色々な言葉を扱うようになっててね。結果的に人間の成長に良かったみたいだからお咎めなしね。)」

フェア「(え?本当ですか⁉)」

ビランチ「(笑。本当よ。じゃ、そういうことだからまたね。)」

フェア「(はい。ありがとうございます‼)」

グラント「ビランチなんだって?」

フェア「お咎めなしだそうです‼」

グラント「良かったじゃない‼」

フェア「ええ‼」

プロイビー「じゃ、ついでにヴェールの件も決めましょうか。」

ヴェール「え?私のもですか?」

プロイビー「そう。」

グラント「プロイビー。下界を暫く見てみてどうだった?」

プロイビー「・・・問題なしかな‼」

ヴェール「やった‼」

ヴォルティ「笑。」

プロイビー「なんか人間たち最初は混乱してたんだけど次第に地上にある植物だったり物体を使ったり加工したりして簡単なケガとかは自分で治せるようになってるわ。」

ヴォルティ「へえー。凄いですねそれ。」

ヴェール「あたしのお説教が効いたのね。」

グラント「・・・かもね笑。」

オルゴ「おい戻ったぞぉ。」

プーロ「あれ?俺たちが一番乗り?」

ミスティオ「みたいだな。」

グラント「お帰り。異界は閉じたの?」

ミスティオ「ええ。現時点で俺たちの担当する範囲は全て。」

オルゴ「だがまた出た時はその都度閉じるんだと。」

グラント「どういうこと?」

オルゴ「・・・その前にお前たち。先に報告に行って休んでいいぞ。あとは俺から説明しておく。」

ミスティオ「助かります。では俺たちはこれで。」

オルゴ「・・・よし話の続きだな。さっきも言ったが現時点で存在している異界は全て閉じた。しかし全て閉じたからといってこれから先また新たに異界が現れないという保証はないんだ。」

グラント「何で?」

オルゴ「地球自体が生きているからだとさ。つまり人間の体と同じで時間が経つにつれて変化していく。代謝していくんだ。だから異界を閉じても地球が存在する限り定期的に異界は現れるらしいんだ。」

グラント「・・・成程ね。」

ドラーク「戻ったわよ~~。」

フォール「俺たちも戻った。」

グラント「四人ともご苦労様。何か変わったことはなかった?」

シントス「私たちは特に。」

ドラーク「ちょっと雑魚がちらほらいたくらいよね?」

シントス「ええ。」

グラント「フォールたちは?」

フォール「異界探しの初期堕天使たちの奇襲を受けた。」

ドラーク「え?それで大丈夫だったの⁉」

フォール「問題ない。ソーマが事前に感知してくれていたお陰で難なく対処することが出来た。」

ソーマ「いえこちらこそフォールさんに助けて頂きました。」

ドラーク「そ、そう。ならよかったけど・・・。」

グラント「まぁとりあえずみんな無事で良かったわ。」

フォール「これで一段落ってところか?」

グラント「とりあえずはね。」

プロイビー「・・・落ち着いたみたいね。」

フェア「あれプロイビー。どこか行くんですか?」

プロイビー「まぁちょっとした散歩よ。」


~~~~~


フォルテ「ウーノが人間たちに平和を説いてから暫く経つけど争いは相変わらず無くならないね。」

ヌーラ「考えは浸透してきているんですがね。」

ビランチ「まぁでもそれはそうなんじゃない?頭では分かっていても実行に移すのは別だろうから。」

ヴェン「確かに。一朝一夕で出来るような話ではありませんからね。こればかりは。」

カリタル「なんせ我々ですら完璧には出来ていないですからね。」

ヌーラ「・・・ですね。」

デーチ「・・・。」

ウーノ「ん?どうしたんだ?デーチ。」

デーチ「・・・いや人間たちが平和に近づく為にはやはり我々がもう少し近くで色々と一緒に考えていくのがいいんじゃないのか?と思えてきてな・・・ビランチ。俺がしばらく下界に行くことを許してはもらえないだろうか?」

ビランチ「んー・・・そうねぇ・・・。」

デーチ「あまり人間に干渉的になっていけないのは分かっている。しかしもう少し核となる考えが人間たちに生まれなければ平和は実現しないと俺は思う。せめてその核となる種のようなものを数個でいいから地上に作りに行くことを許してはもらえないだろうか?」

ビランチ「・・・確かにこのままだと少し放任過ぎるかしらね。分かったわ。デーチ。あなたが暫く地上に降りることを許します。」

デーチ「ありがとう。ビランチ‼」

ビランチ「・・・もし必要なら他の天使を伴ってもいいから。」

デーチ「了解した。」

ビランチ「けど経過報告だけはしてね?」

デーチ「ああ必ず。」


~~~~~


ノーヴェ「・・・どうだ?地上の様子は?」

シェンス「・・・なかなか興味深いことが起きてるかも。」

オルゴ「興味深いこと?なんだそれは?」

シェンス「人間たちの中に死が近づくにつれて何故か前向きになる奴が出てきているわ。」

チェル「それはもしや・・・レナが説教したのが効いたのでは?」

シェンス「レナ。前地上に降りた時説教したって言ってたけど・・・何を言ったの?」

レナ「何ってお前らは永遠に生きて何をするんだ?って聞いただけだよ。」

モルテ「それで人間は何て答えたんですか?」

レナ「黙ってたよ。それに“そういえばそうだ。”って答える奴もいた。それで分かったんだがあいつら自分が存在する意味に無自覚だったんだ。」

モルテ「・・・成程。そういうことですか。」

ノーヴェ「そういうことってどういうことだ?」

モルテ「死が近づくにつれて前向きになる人間が出る理由です。今のレナの話を聞いてなんとなく分かった気がします。」

ノーヴェ「俺にはさっぱりなんだが・・・。」

モルテ「つまりですね、人間たちは普段意識してこなかった自身の存在価値を死という逃れられない宿命によって初めて意識し始めたんですよ。そして消えゆく僅かな時間で向き合うことによってせめて最後は価値あるものにしようと頑張っているのではないか?ということですよ。」

ノーヴェ「・・・なんか精神的にクるものがあるな。」

オルゴ「・・・その感覚に近いかどうかは分からないが俺も自分が消されるかもしれないと思ったときは仲間のことを思う。」

モルテ「・・・それは消える側の人間の気持ちに近いのでしょうね。」

シェンス「消えるかもって思うと私は私が消えた後の仲間の辛い顔を考えて“簡単に消えられない‼”って思うからそんな感じなのかな・・・。」

ノーヴェ「それなら俺も良く分かるぜ。」

リスパリオ「そういう時は無限に力が出てくる。」

アッズ「・・・存在が消えるってしかも必ずって・・・本当色々考えさせられるな。」


~~~~~


プロイビー「地上も大分栄えてきたわね~~。人間たちもあたしたち天使みたいにリーダーを作って生きているし知恵も火をもってかけてた頃と比べ物にならない程ついてきてる。でも中途半端に知恵を付けたことで考え方が一々浅ましいというか醜いというか・・・洗練されてないのよね・・・。」


~~~~~


ソロモン「バエル。こいつは・・・そうだな。知恵を与えてくれる悪魔ということにしよう。」

プロイビー「悪魔が知恵を与えるって矛盾してない?」

ソロモン「確かに普通は天使が知恵を与えてくれるがこいつが与えてくれる知恵は英知などではない。人を貶めるような悪知恵だ。」

プロイビー「成程ね。だからこんな気持ち悪いんだ。」

ソロモン「まぁ悪魔だからな。」

プロイビー「いや悪魔でもこんなに気持ち悪くないわ。ってか見た目はこんなに気持ち悪くないわ。中身が気持ち悪いのよ。」

ソロモン「中身?」

プロイビー「分かんない?精神性よ。考え方がキモいの。人が苦しんでる姿を見て快感を得る感じよ。それにこのとなりの足がいっぱい生えてるのは何なの?」

ソロモン「こいつはブエルだな。地獄の総裁だ。」

プロイビー「いやだから地獄の総裁こんなにキモくないから‼もっとカッコいいいから‼」

ソロモン「なんだよ‼さっきから文句ばっかり言ってうるさいな‼別にいいだろ?想像なんだから‼」

プロイビー「想像だったら尚更美しく描きなさいよ‼これじゃあまりにも可哀そうだわ‼」

ソロモン「誰が・・・ってさっきから随分と馴れ馴れしく我に話しかけてくるお前は誰だ?」


~~~~~


ソロモン「さっきから随分と馴れ馴れしく我に話しかけてくるお前は誰だ?」

プロイビー「誰って・・・(あれ?あたし何で人間と喋ってるんだろ。ってかあれ?人間と喋ってる?・・・どういうこと?)」

ソロモン「おい誰なんだ。お前は⁉」

プロイビー「ちょっと待って‼その前に確認させて‼あなた私の声聞こえるの⁉」

ソロモン「・・・あぁ聞こえるがそれが?」

プロイビー「(・・・もしかして)・・・姿は?」

ソロモン「勿論見えている。それが何なのだ。だから会話が出来るんじゃないか。それより俺の質問に答えろ。お前は誰だ?」

プロイビー「(・・・これって超一大事じゃない・・・‼とにかくビランチに報告だわ・・・‼)」

ソロモン「さっきから・・・聞いているのか?これ以上答えないのであれば他の者を呼ぶぞ?」

プロイビー「・・・呼んでも多分意味ないわよ。それとじゃあね‼」

ソロモン「あ!おい・・・‼消えた・・・何だったんだ?あいつは・・・?」


~~~~~


プロイビー「ドラーク‼一大事‼」

ドラーク「うわっ‼いきなり帰ってきたと思ったらどうしたの⁉」

フェア「地上で何かありましたか?」

プロイビー「うん‼」

グラント「それってイプノ関連?」

プロイビー「違う‼けど一部門で判断出来るようなことじゃないからビランチに取り次いで‼」

ドラーク「分かったわ。(・・・ビランチ。あたし。ドラークだけど。今大丈夫?)」

ビランチ「(ええ大丈夫よ。何かあった?)」

ドラーク「(プロイビーがビランチに取り次いでほしいって言うから意識を送ったの。今代わるわね。)」

プロイビー「(ビランチ‼至急上天使を集めて‼)」

ビランチ「(少し落ち着きなさい。何があったの?)」

プロイビー「(地上にあたしの姿と声が聞こえる人間が現れたの‼)」


~~~~~


シェンス「呼ばれた通り来たわよ。」

ビランチ「ご苦労様。部門は大丈夫なの?」

シェンス「レナに任せてるから大丈夫よ。」

ビランチ「そう。」

ノーヴェ「あんたのところは大丈夫なのか?」

ビランチ「こっちもウーノに任せてるから大丈夫。」

ブッピラ「ビランチ。さっきの話本当なのか?」

ビランチ「ええ。けど詳細はみんな揃ったらね。」

フォール「部門指揮はドゥエに任せてある。」

ビランチ「了解よ。」

グラント「ごめ~ん‼遅くなったわ‼」

ビランチ「大丈夫よ。“力”がまだ来てないから。」

ドラーク「部門指揮はソーマ君に任せてきたわ。」

ビランチ「了解。」

フェア「・・・そういえばオッソはどうするんですか?」

フォルテ「そっちは心配ないよ。今ヌーラが意識を飛ばしてる。」

ヌーラ「・・・オッソに伝え終わりました。」

ビランチ「ご苦労様。」

ヴェッキ「俺たちが最後か。」

ビランチ「まぁ集まる時に最後の部門は必ず生まれるものだから気にしないで。」

フォルテ「じゃ、始めよう。今回僕たちが集まった件について。」

ビランチ「プロイビー。経緯の説明を。」

プロイビー「はい。まず話は私が地上に散歩しに行った時から始まるんだけどあたしはその時地上にある大きな建物の中を散策してたのね。そこで・・・なんていうのかな・・・変な本を書いてる人間を見つけたの。」

ウナ「変な本?」

プロイビー「ええ。なんか悪魔とか変な紋章を書いて“この紋章は何とかって力が込められている。”とか“このエバル?は知恵を授ける悪魔だ。”とか書いてあったの。」

グラント「・・・うん。」

プロイビー「あたしはそれを見て“悪魔なのに知恵を授けるっておかしくない?”って言ったの。そしたら返事はここでは割愛するけど返事が返ってきてね。であたしはその後その人間と普通に暫く会話するの。で、しばらくしてから“ところでお前は誰だ?”って言われてそこで初めて“あれ?あたし人間と会話してんじゃん‼”ってパニックになって天界まで逃げてきたの。」

ビランチ「・・・成程ね。」

ヌーラ「本当に姿も声も聞こえるのですか?その人間は。」

プロイビー「ええ本当よ。本人に確認したもの。」

ノーヴェ「その人間プロイビーのこと随分変な確認するやつだなって思っただろうな笑。」

プロイビー「そうね笑。でも大切じゃない。」

ノーヴェ「確かに。」

ブッピラ「俺も確認したいことがある。その人間悪魔のことを書いていたということだがイプノとかが関わっている気配はあるか?」

プロイビー「んーそれはないかな。今後関わる可能性は否定出来ないけど現時点では人間の妄想どまり。だって悪魔の名前も姿もあたしたちが見たことないものばかりだったもの。」

シェンス「その姿さ、今ここで再現出来る?」

プロイビー「出来るわよ?ほら‼」

シェンス「うわっ‼気持悪っ‼」

プロイビー「でしょ?だからあたし言ってやったのよ‼悪魔は見た目が気持ち悪いんじゃないって‼」

ビランチ「そ、そう・・・。」

オルゴ「(あのビランチが引いている・・・。)」

ドラーク「(やっぱキモすぎるわよね・・・あの悪魔は・・・。)」

フォルテ「で、その悪魔はどんな悪魔なんだい・・・?」

プロイビー「地獄の総裁だって。」

全員「・・・・・。」

イアス「お、俺⁉これが・・・?」


~~~~~


イプノ「ヌーラなんだって?」

オッソ「地上にプロイビーの声と姿が見える人間が現れたんですって。」

イプノ「・・・それは興味深いね。」

セイ「・・・ついに現れましたか。我々と対話が出来る人間が。」

オッソ「ようやく知恵が開花したということね。」

イプノ「そうだね。それにしても・・・その人間。見えるのはプロイビーだけなのかな?」

オッソ「どういうこと?」

イプノ「プロイビー以外にも対話出来る天使や悪魔はいないのかな?」

セイ「・・・もしかして。」

イプノ「ああ。確認してくるよ。」

オッソ「なら私も行く。その人間の住む場所知ってるのあたしだけだから。」


~~~~~


ソロモン「(・・・にしてもさっきの奴は何だったのだ?急に光に包まれ消えていった。)」

従者1「ソロモン様‼ツロよりヒラム様がお見えです!」

ソロモン「おお!すぐに通せ!」

従者2「はっ!」

イプノ「(成程。名はソロモンというのか。この人間。)」

オッソ「どう?何か分かった?」

イプノ「ああ。かなりね。彼の名はソロモン。どうやらこの土地を統括する王様らしい。例えるなら天使長ビランチだな。この土地の者はソロモンの指示には絶対的に従う。そして彼にはある趣味があってね。どうやらかなりの妄想癖があるんだ。その妄想で悪魔だったり目に見えない力を想像して紙に描いては楽しんでいる。けど彼自身悪魔や天使といった存在を見たいと強く望むだけで実際に見ることは出来ていない。」

オッソ「・・・何で見ることが出来ていないって分かるの?」

イプノ「・・・あれ出鱈目なんだ。悪魔の名前も姿も。僕が天使をやっていたころにもあんな名前の奴見たことがない。それに悪魔の姿が醜悪過ぎる。僕が人間を想像する時でもあんな醜くはなかったな笑。」

オッソ「でも何でプロイビーとは対話出来たのかしら?」

イプノ「そこだけが謎なんだよなー。僕の声も聞こえないみたいだし。」

オッソ「あー・・・なんか奇声発してたわね。あたしあれおかしくなったのかと思っちゃった笑。」

イプノ「勘弁してくれ笑。ついでに意識も送ってみたけどガン無視さ。あとあいつプロイビーが天使だって気づいてないぜ?」

オッソ「は?それはどういうこと?」

イプノ「同じ人間の一人だと思ってる。自分の部屋に入ってきた不法侵入者だとね。」

オッソ「・・・その鈍感さ、誰かさんを思い出すわ。」

イプノ「・・・本当だね笑。」


~~~~~


ビランチ「さて!ここから仕切り直すわよ!まずやらなければならないことは三つ。一つその地上の人間の名前を聞くこと。これはプロイビーあなたがやりなさい。」

プロイビー「あたしが?」

シェンス「だって今んところ話せるのあんただけじゃ~ん。」

ビランチ「そういうこと。次はその人間がどの程度天使が見えるかの確認。」

ノーヴェ「それって面通しをするのか?」

ビランチ「とりあえず上天使のみだけどね。面通しは各部門である程度時期をばらして行うこと。最後が天使の存在の口止めよ。まぁこれは対話出来る人間に限ったことじゃないけどなるべく広まらないように注意すること。」

ブッピラ「了解だ。」

ビランチ「何か質問とかある?」

オルゴ「・・・質問というわけじゃないんだが最初は誰が行くんだ?」

ビランチ「プロイビー。あなたが行きなさい。誰か伴ってね。」

プロイビー「了解。で、帰ってきたら引き継げばいいのね?」

ビランチ「ええ。」

プロイビー「分かったわ。」

ビランチ「じゃ、そういうことだから解散ね。」


~~~~~


ドラーク「最初あんたが行くんでしょー?」

プロイビー「そうよ。」

ドラーク「誰と一緒に行くの?」

プロイビー「フェアと行こうと思ってる。」

フェア「え?あたしとですか?」

プロイビー「・・・嫌?」

フェア「嫌ではないですがなぜですか?」

プロイビー「それは天使の中で交渉事が一番得意な天使だから。」

フェア「・・・成程ぉ。」

グラント「(・・・嬉しそうね。)」

フェア「じゃ、早速行きましょう!」

プロイビー「え?あ、そうね・・・。」

フェア「行ってきます‼」

ドラーク「行ってらっしゃーい。」

グラント「・・・行ったわね。」

ドラーク「次は私たちで行きましょ。」

グラント「そうね。」

ドラーク「少し地上散策も兼ねて。」

グラント「本当⁉」

ドラーク「本当よ笑。どうせばらしていくんだから少しくらい余裕みてくれるでしょ。ビランチも。」

グラント「やっと地上に降りられるんだぁ・・・‼」


~~~~~


フェア「何処ですか?」

プロイビー「あそこあそこ。あの塔の頂上よ。」

フェア「じゃ、行きましょうか。」


~~~~~


ソロモン「・・・にしてもあいつは何だったんだ?」

プロイビー「こんにちは~。」

ソロモン「あ、お前は・・・‼」

プロイビー「あ、覚えてた?」

ソロモン「当たり前だ‼散々俺の悪魔を馬鹿にしやがって‼」

プロイビー「それはごめんね?でもあまりに衝撃的だったから・・・。」

ソロモン「・・・まぁそれは許してやる。」

プロイビー「本当⁉ありがとー!」

ソロモン「代わりにお前は何者か教えろ。」

プロイビー「あたし?あたしはプロイビーよ。よろしく。」

ソロモン「やっと名前が聞けたな。俺はソロモン。この地を統括している。」

プロイビー「知ってる。上から見てたから。」

ソロモン「上から?どういうことだ?」

プロイビー「だってあたし天使だから。」

ソロモン「・・・天使?」

プロイビー「アンタも絵に描いているじゃない。それ。あたしたちそれよ。」

ソロモン「・・・何を言っているんだ。ふざけているなら従者を呼ぶぞ‼」

プロイビー「呼んでみなさいよ。多分意味ないと思うけど。」

ファラオ「ねぇ貴方。さっきからうるさいけど誰か来てるの?」

ソロモン「ああ‼ちょっと来てくれないか‼」

ファラオ「入ります・・・って一人じゃない。」

ソロモン「・・・え?」

ファラオ「え?って・・・こっちのセリフよ。妄想も大概にしてよ。」

ソロモン「あ!ちょっ・・・‼」

プロイビー「・・・ね?」

ソロモン「・・・何で我だけに見えるのだ?」

プロイビー「それは・・・私たちも聞きたいわ。」

ソロモン「・・・ん?私たちということはプロイビーの他にも来ているのか?」

プロイビー「・・・見えない?」

ソロモン「ああ。」

プロイビー「声は?」

ソロモン「・・・聞こえんが。」

プロイビー「そっかぁ・・・。」

フェア「残念です・・・。」

ソロモン「何か済まんな。話せずに。」

プロイビー「いや気にしないで。あと私たちこれで帰るけど最後に一つ。あたしたちの存在は誰にも言わないでね?」

ソロモン「何故だ?」

プロイビー「天罰が下るから。」


~~~~~


プロイビー「戻ったわよー。」

グラント「お帰り。どうだった?」

フェア「・・・グスン。」

ドラーク「あ、言わなくてもわかるわ。見えなかったのね。」

フェア「はい・・・残念です。」

グラント「まぁ気を落とさないで?見える方が珍しいんだから落ち込むことないわよ。」

フェア「でも話したかったです・・・。」

プロイビー「まぁそれはねぇ・・・。」

ドラーク「・・・とりあえずあたしたち次行くから部門お願いね?」

フェア「了解です。」

ドラーク「あ、その前に名前は?」

プロイビー「ソロモンだって。」

ドラーク「了解。」


~~~~~


イプノ「・・・行ったね。」

オッソ「そうね。」

イプノ「思ってたより早く来たな。プロイビーたち。」

オッソ「そのお陰で帰るのが遅れたわ。」

イプノ「そうだね。じゃ、さっさと帰ろう。次の天使が来る前に。」


~~~~~


グラント「プロイビーが見える人間。ソロモンってゆう名前なんだね!」

ドラーク「そうねぇ。にしてもこのあたりのはずなんだけど・・・。」

グラント「・・・イプノ‼」

ドラーク「え?」

オッソ「(嘘でしょ・・・。)」

イプノ「何で見つかるかな・・・僕。」

グラント「あんたこんなところで何してるのよ。」

イプノ「ソロモン君と話がしたくて来たんだ。」

ドラーク「(・・・こいつ何であたしたちですら今さっき知った人間の名前を知ってるの?)」

イプノ「でも僕たちは見えないらしくてね。話すことは叶わなかった。」

オッソ「まぁそういうことだからここは見逃してよ。」

グラント「・・・そう簡単に見逃せるわけないでしょ?」

ドラーク「グラント。あなたは今回下がってな。もう次はないでしょ?」

イプノ「やれるのかな?ここで。」

ドラーク「あたしなら一瞬で終わるわ。」

ドラークがそう言って空に手を挙げると地上の雲からオッソたちに向かって雷が落ちてきた。

オッソ「・・・間一髪だったわ。」

イプノ「僕もだ。大逆の時に君の技を見てなければ、ここで捕まっていたね。」

しかしオッソたちはその雷を神力を込めた刀と神力で難なく防いだ。

オッソ「じゃ、あたしたちはここで消えるから。」

イプノ「じゃあね。」

イプノがそう言うと何もない空間に穴が開きその空間へ入っていった。

ドラーク「・・・ったく。空間移動ね。」

グラント「戻ったらブッピラに伝えましょ。」

ドラーク「そうね。じゃ、行きましょうか。ソロモンのところに・・・。」


~~~~~


~~3か月後~~

ビランチ「・・・大体面通しは終わったようね。」

フォルテ「で、結果は?」

フェア「対話が出来るのはプロイビーとヴェッキのみです。」

ノーヴェ「少ね~~~!」

フォール「本当だな。」

ヌーラ「・・・どうしますか?ビランチ。」

ビランチ「あたしは別に無視しても問題ないと思うけど・・・みんなはどう?」

ブッピラ「俺も構わないと思う。堕天使も介入の余地がないのであれば別に注意することもないだろう。」

シェンス「・・・普通の人間と同じようにほっとけばいいんじゃない?」

オルゴ「(自分が対話出来ないから半ば適当になってるな・・・。)」

ビランチ「じゃ、この件はこれで終わりね。」

全員「了解‼」

この時より約三千年後。

ソロモンとは比較にならないほどの数の天使たちと対話をし友となる少年が現れる。

だがその少年と天使の物語はまた別の話・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?