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天使たちとの能力戦線(三章、イプノの精神把握術)



イプノ「ミィディア。久しぶり!元気にしていたかい?」

ミィディア「イプノ!まぁぼちぼちかな。」

イプノ「そっか笑。それは良かった。今日はね、君に僕が使う技術を教える為に来たんだよ!」

ミィディア「どんな技術?」

イプノ「相手の精神性を把握する技術。相手がどの程度の人間なのか。どれくらい精神的に成熟してるのか。どんな考え方をするのかが分かるようになる。ざっくり言うとテレパスもどきだね。」

ミィディア「え!めっちゃ知りたい!」

イプノ「今から教えるよ。この技術を扱うには三つの要素が必要になる。」

ミィディア「その三つって?」

イプノ「観察力、警戒力、想定力。この三つだ。理由は一つずつ説明するね♪」

ミィディア「うん!」

イプノ「まず観察力だけどこれは言わずとも分かるよね?」

ミィディア「ああ。相手を知るには観察することから始まるからな。」

イプノ「そうだ。相手が普段の生活や特定の場面でどういった行動を取るのか。相手の使う言葉の中で良く出てくるキーワードのようなものは何なのか。自分以外の者と過ごしている時の様子。一人でいる時の様子。つい取りがちな行動。これらをなるべく早く理解し頭に入れておく。こうすることで早く分析することが出来るからね。」

ミィディア「そして対策を打つんだろ?」

イプノ「まぁそうなんだけど多くの人間はここで止まるんだよね。」

ミィディア「その先があるの?」

イプノ「ああ。それが次の警戒力。これはさっき話した観察力で得た情報で普段こうした行動をとるなら次はこうするだろう・・・とかふとした時にこうした癖が出るならここが泣き所になるだろうとか分析して対策した上で更にその対策が破られたとしたら自分はどう行動するべきか。瞬時に考える能力だ。まぁここは三つ目の想定力とも被る部分があるけど対策が破られることが想定出来そしてその時更にすぐに対策を打つことが出来るなら様子を見るという選択が出来るし逆に今張っている対策以外になければ早めに撤退するに越したことはない。」

ミィディア「そうだな。でもそれが出来れば警戒は必要だけど安心だな。」

イプノ「それがそうじゃないのさ。偶に二重三重に張った対策を吹っ飛ばして予想外の迫り方をしてくるパターンがある。」

ミィディア「え!そうしたパターンの場合はどうしたらいいの?」

イプノ「申し訳ないけど土壇場勝負さ。あらゆる知恵を総動員して対処する。グラントを想像してもらうと分かり易いかな汗。」

ミィディア「あ、成程汗。」

イプノ「性格はほんと千差万別でね。同じ性格は一つとしてないんだけどでも近い性格はあってある程度パターン化は出来るんだ。」

ミィディア「じゃあ天使全員をパターン分け出来る?」

イプノ「順序はバラバラになるけど名前を挙げてもらえれば出来るよ。」

ミィディア「そしたらさっき言ったグラント。」

イプノ「あいつは・・・良くも悪くも欲望のままに動く天使だ。基本的な特徴として本人は考えて動いてると思ってるけど直感で動いてる。まぁこれは見れば分かるよね?」

ミィディア「あ、あぁ・・・笑。」

イプノ「そして欲望のままに動いてるから偏見がない。考え方にそれなりの癖はあるけど相手の性格が暗いからこうだ!とか悪いから一概にダメといった決めつけが極端に少ない。まぁそこが熾天使たるところなんだろうね。」

ミィディア「度量の大きさ的な?」

イプノ「ああ。天使の位は総合的に判断されるから。そして極めつけが行動に一貫性がないことだ。つまり行動が読めない。」

ミィディア「成程・・・だからあのバッティングがあったわけか。」

イプノ「そうだ!あの時は本当に焦ったよ!オッソの伝言と長い地上生活ですっかり油断しきっていた!」

ミィディア「笑・・・他にも出来る?」

イプノ「いいよ♪誰かな?」

ミィディア「ネニアって天使なんだけど・・・。」

イプノ「ネニア?君ネニアに会ったのかい?」

ミィディア「会ったけど・・・それがどうしたの?」

イプノ「〝彼女がお忍びで動くなんてな・・・笑。〟いや何でもない。彼女の特徴だったね。彼女は楽観的で単純なグラントやプーロと違って現実的で悲観的だ。合理的とでもいうのかな。感情より理論や理屈で動く。筋が通っていればたとえ感情的にとても抵抗があることでも実行するある意味戦場の指揮に向いた性格だ。」

ミィディア「そうなんだ・・・。」

イプノ「そういえば地上に災厄が放たれたのは知ってるかい?」

ミィディア「フルートのやつでしょ?」

イプノ「そう。その災厄は後に疫病と呼ばれることになるんだけどその疫病を人間が対応可能なレベルまで弱めたのはネニアなんだよ?」

ミィディア「対応可能なレベルって・・・どういうこと?」

イプノ「当時・・・大逆直後だね。災厄が放たれた時人間はバタバタと死んでいった。その時僕はこのままだと人間は本当に絶滅してしまうかもしれないと思った。けどいきなり地上にネニアが現れてね。一瞬で災厄を極限まで弱めて消えていったんだ。」

ミィディア「一瞬で?」

イプノ「ああ。本当に一瞬だったよ。いきなり地上に現れたのがネニアだと気づいた時にはいなくなっていたんだからね。そして人間は辛うじて絶滅を免れたんだけど最近までそのことで疑問が残っていたんだ。」

ミィディア「・・・そのことって災厄を弱めたこと?」

イプノ「そう。何で弱めたのか。」

ミィディア「それは人間を守る為だろ?」

イプノ「単に守るだけなら完全に破壊すればいい。」

ミィディア「出来なかったんじゃないの?」

イプノ「そんなはずはない。僕ですら破壊は出来るんだ。彼女に出来ないなんてことはない。」

ミィディア「・・・何でそう言い切れるの?」

イプノ「ネニアはね。ビランチより強いからだよ。」

ミィディア「え⁉でも天界の長ってビランチでしょ⁉そのビランチより強いの?」

イプノ「強いよ。なんせ本来天使長になるのは彼女だったから。」

ミィディア「じゃ、じゃあ何でネニアはあんな自由に動いてるんだよ?」

イプノ「彼女はその任を降りたからね。」

ミィディア「・・・何で?」

イプノ「さぁ・・・そればっかりは僕にも分からない・・・話を戻すね?そんな彼女が何故災厄を破壊せずに残したのか・・・その理由が最近分かったんだ。」

ミィディア「・・・何で残したの?」

イプノ「多分人間が災厄を克服出来ると考えたからだろう。彼女は災厄を極限まで弱めて存在させ続ければいつか人間が分析し克服することが出来ると考えていたんだろう。だから破壊しなかった。」

ミィディア「・・・本当にそうだとしたら凄いな。」

イプノ「ああ。そんな先まで予想出来たこと。そしてそれを実行に移したこと。実際に出来た事実があること全てが凄いよ。当初そんな考えを持っていた天使はいなかっただろう。ビランチを含めてね。なんせ人間は僕たちより劣った存在だと考えられてきたから。そんな劣った存在に災厄の問題を託すなんて発想正気の沙汰じゃない。何故なら色々と危う過ぎるからだ。けど結果人間は克服まではいかずとも対抗手段は持ち合わせている。それに後から振り返ってみると考え方に筋が通っている。僕たち天使は確かに人間より優れているだろう。けどそれは一対一で見た時の話だ。人間が生まれて死ぬという特性がある面を考慮すると一人の人間ではどうにもならないことでも後から生まれた人間ならどうにかなるかもしれない。何故なら新しく生まれた人間は死んだ人間が直前までに行っていたことをまっさらな何の偏見もない思考状態で途中経過から引き継ぐことが出来るからだ。これを繰り返せばいつかはたどり着く。ネニアはそこまで読んでいたんだろう。」

ミィディア「だとしたら流石天使長に選ばれるだけの知恵があるなと思うよ。」

イプノ「先見の明ってやつかな・・・?」

ミィディア「先見え過ぎだろ笑。」

イプノ「だね笑。」

ミィディア「あともう一人聞きたいんだけどいいかな?」

イプノ「いいよ。」

ミィディア「オッソってどんな天使なの?少し前に話したんだけどなんか色々とぶっ飛んでて良く分からなくて・・・。」

イプノ「あー・・・彼女はね、人間界だともう見ないタイプの天使だからミィディアが分からないのは無理もないかな汗。彼女はね、情に厚くて狂気的なフォールと情に薄くて合理的なビランチを足して二で割ったような性格だ。」

ミィディア「・・・どういうこと?」

イプノ「まずビランチとフォールの部分から説明するね?ビランチはミィディアも知っている通り冷酷に思える程合理的だ。」

ミィディア「知ってる。だから感情の揺れが極端に少ないんだよね?」

イプノ「まあね。でもそれは彼女が情を意識していないというわけではないんだ。情を意識するのが極端に苦手なだけ。苦手だから結果的に冷酷に見えて情を蔑ろにしているように見えるだけ。けどオッソは違う。オッソは情を普通に意識しないんだ。」

ミィディア「・・・それはどうして?」

イプノ「意識する必要がないと思っているからだ。これはね、大して差はないように見えると思うんだけどこれから先相手を把握する時には重要になるから覚えておいてほしい。決定的に違う部分があるってことを。」

ミィディア「決定的に違う部分?」

イプノ「ああ。ビランチの情に薄いって面とオッソの情を重要視しない面の決定的な違いについて。これは精神性を見極める面で非常に重要になる。」

ミィディア「・・・その決定的な違いって何?」

イプノ「意識の差だ。ビランチのように情に薄い面を持つ人間は決して情を無視しようとして無視してるわけじゃない。これがどういうことか分かるかい?」

ミィディア「本当は情を無視したくないって思っている場合があるってこと?」

イプノ「その通りだ。つまりしたくても出来ないと葛藤を抱えている場合があるんだ。次にオッソの情を重要視しない人間というのはもう分かると思うけど意図的に意識しないという選択をしている。」

ミィディア「・・・ってことは本当は意識出来るけどあえてしていない場合があるってこと?」

イプノ「そうだ。こうした本当に些細だけど大きな影響を与える違いというのは無数にある。見誤らないように今後の教訓として頭に入れといてくれ。」

ミィディア「分かった。」

イプノ「次にフォールの面から説明するけどあいつは情に厚くて狂気的だ。あいつは元々つんけんしていたんだけどいつからか仲間想いになってね。けどその仲間が危機に晒されたり天界の意思に背くような・・・まぁ大逆が良い例だね。そうした奴が現れた時は一番狂気的になる。」

ミィディア「・・・常軌を逸しているってこと?」

イプノ「そう。例えば一人で熾天使三人を相手にしようとしたり大逆に加担した天使の半数を抹殺したりとにかく異常になる。」

ミィディア「え⁉フォールって熾天使三人を相手にしたことあるの⁉」

イプノ「それは例えばの話だよ笑。でも大逆の方は大方事実だ。」

ミィディア「えげつないな・・・。」

イプノ「こうした狂気的な部分をオッソも持っている。彼女は当たり前みたいな感覚でよく話をするんだけど天使を消した天使は同じように消すべきか?といった考え方があるとするよね?」

ミィディア「・・・うん。」

イプノ「人間に置き換えた方が分かりやすいね。人間を殺した人間は同様にして死刑または終身刑にすべきだという考え。これ自体は何らおかしいことを言ってるわけじゃないし殺された人間を大切に思っていた人間からすれば寧ろ自然な感情だ。けどいざ実際にそうした考えが実行に移されると決まると当然躊躇するよね?」

ミィディア「ああ。実際に殺される人間と関係なくても少し怖いとか思うからな。」

イプノ「天使も思うんだ。そしてその感情は普通なんだ。何故なら殺される人間の姿を見て一瞬でも自分の姿と重ねてしまうのが知恵の弊害のひとつにあるから。けどオッソやフォールはそういう時に迷わないモードになれるらしい。」

ミィディア「何?迷わないモードって?」

イプノ「躊躇しなくなる状態だって。そうした状態になると精神の均衡を崩さず相手を消せるようになるらしい。それを聞いた時僕は二人を敵に回しちゃいけないなと思った。」

ミィディア「でも回してんじゃん笑。」

イプノ「まあね笑。でも幸いなことにフォールは僕より位が低いしオッソも半分味方みたいなものだから何とかなってるのさ。」

ミィディア「危ういね。」

イプノ「ああ。つまり今までの話を総合するとオッソは情を意識することを選択でき自身の狂気も使いこなすことが出来るということだ。」

ミィディア「・・・最強じゃね?それ。」

イプノ「ある意味ね。自分自身を抑えるという形でなく操り最大限に発揮して制御するという点において彼女は最強だ。なんせ情を意識するかしないかを選択出来るんだから。」

ミィディア「分かったうえでするしないを選択出来るんだから心理戦では有利だよな。」

イプノ「心理戦だけじゃないよ。実戦でも有利だ。加えて彼女は自身の狂気も支配下に置いているから知恵を行使するという点においては熾天使の名に恥じないくらいに極めている。」

ミィディア「・・・狂気の行使も位に影響してるの?」

イプノ「まぁ少しはね。様々なプラス面を総合して位は決められるから。」

ミィディア「そうなんだ・・・。」

イプノ「あとミィディアには常識では通用しない人間たちに相対する時の心得みたいなものを教えよう。」

ミィディア「常識では通用しない人間たちって?」

イプノ「下界ではマニピュレーターと呼ばれているのかな?彼らはね、やっていることは最低なんだけどとてもしつこく手強いんだ。」

ミィディア「分かる!すっごいずるいよな!」

イプノ「そういえば君の父親がそうだったね。」

ミィディア「母親の方も幾分かそうだよ。」

イプノ「でもそっちは君がある程度洗脳を解いたお陰で基本は大丈夫になったじゃないか。」

ミィディア「でも時々ヒステリックになって感情で動かそうとしてくるんだよなー・・・。」

イプノ「でも対処出来る範囲なんだろ?」

ミィディア「まぁ油断しなければね。」

イプノ「笑。まったく君は生まれてからずっとサバイバルだね。」

ミィディア「家もあるのにな・・・それに最近妹が少しやばいんだよな。」

イプノ「どういう風にやばいんだい?」

ミィディア「負の感情が強い。それと偏見が強い。」

イプノ「・・・あんま言いたくないけど危ういね。」

ミィディア「でも大人になったらもう放っておくよ。」

イプノ「それが良いね。」

ミィディア「流石に大人になったら自分の人生くらい自分で管理してもらわないと。」

イプノ「君ばかりに負担がいくもんね。」

ミィディア「ああ。」

イプノ「まぁ僕から言わせてもらうとその妹は少しぬるいかな。」

ミィディア「俺もそう思う。」

イプノ「ミィディアは物心ついたころから色々な面で孤独だった。両親は敵で学校連中も敵。周りの大人である先生も敵。そんな中で僕たちだけを頼りにここまで来た。けど彼女はある程度は話が通じるようになった母親ともう憔悴しきって抵抗をしない父親。それに君の影の助けの元生きてきた。学校連中や教師陣ともある程度協調的に出来ているようだ。まぁ生きていくだけなら不自由はないのに気に入らないだけで君に対して敵対心を持ってる・・・報われないね。君。」

ミィディア「本当だよ。はぁ・・・。」

イプノ「でも僕たちだけは本当の君を知ってるから。」

ミィディア「そう言ってくれると助かるよ。」

イプノ「好きな人のことだって好きな気持ちが分からないとか鈍感なふりして作ってないんだろ?あの毒父が完全に死ぬまではその運命に巻き込まないように。」

ミィディア「まあな。並の意思力じゃあのクソに抵抗することは出来ないからな。」

イプノ「・・・君の見立てだと君自身が自由になれるのは何歳くらいなんだい?」

ミィディア「妹が大学に行く為に俺が金を出さなきゃいけないと仮定するとあと二年は潜むように耐えなきゃいけない。その後は徐々に金を貯め戻して30を目途に自立するつもりだ。」

イプノ「30って言ったら普通目線で見てもちょっと遅いくらいだね。」

ミィディア「ああ。これくらいなら何とか普通を装える。」

イプノ「流石僕たちが見込んだ人間なだけはあるね。」

ミィディア「まあな。」

イプノ「じゃそんなミィディアにマニピュレーターと相対する時の心得を教えて今日は帰ろう。」

ミィディア「その心得って何だ?」

イプノ「“信用ならないということを信じよ。”」

ミィディア「どういうことだ?」

イプノ「かみ砕いて説明すると“マニピュレーターと呼ばれる奴らは信用ならない存在だということだけは信じられる。”ということだ。」

ミィディア「何となくは分かって来たけどまだ分からない。」

イプノ「だよね。例えば毎回嘘をつく人間がいたとしよう。」

ミィディア「ああ。」

イプノ「その人間は初対面で必ず嘘をつくと言われている。君ならこの嘘をつく人間のどこに焦点を当てる?」

ミィディア「必ず嘘をつくという点だな。」

イプノ「だよね。これは別の言い方をすると“その人間は嘘をつくという点だけは信用出来る。”となるよね?」

ミィディア「あ、成程。」

イプノ「そして今の話をさっきの話と合わせると“マニピュレーターと呼ばれる奴らは決して信用してはいけない。”となるわけだ。」

ミィディア「じゃあ“信用ならないということを信じよ。”というのは“決して信用せず警戒し続けろ。”ってことにもなるのか?」

イプノ「そういうことだ。彼らには常識やルールといった縛りが効かないんだ。」

ミィディア「・・・確かにそうだな。」

イプノ「更に厄介なのが彼らには催眠や洗脳が効かないんだ。」

ミィディア「え、何で?」

イプノ「催眠や洗脳の強制力を上回る心の破滅性を持ち合わせているからだ。」

ミィディア「心の破滅性?」

イプノ「ミィディア。相手に馬鹿にされたらどういう気持ちになる?」

ミィディア「嫌な気分になる。」

イプノ「褒められたら?」

ミィディア「嬉しくなるな。」

イプノ「だよね。こうした反応ってある程度の人間なら同じ反応を示すよね?けどマニピュレーターは違う。マニピュレーターには常識というものがないお陰かこうした心に対する一定の反応法則が存在しない。褒めたら怪訝な顔をしたりバカにしているのか!と怒ったりする。逆に貶したつもりが嬉々として感謝してきたりする。」

ミィディア「そうか。心の反応法則がイカレているから破滅性なのか。」

イプノ「そうだ。催眠や洗脳は心の反応法則を逆手に取った攻撃手法だ。しかしその利用する法則が存在しないとなると一気にその力の影響力は皆無になる。」

ミィディア「洗脳が効かないのか・・・。」

イプノ「下界で言うと心理学だったりメンタリズムのような技術だね。あと更に残念なお知らせとして言葉も通用しない。」

ミィディア「それって・・・。」

イプノ「君フェアに言葉の使い方を時々習っているよね?」

ミィディア「ああ。」

イプノ「あれも通用しない。勿論普通に生きていく上ではかなり使える技術の内の一つ何だけど彼らには通用しない。」

ミィディア「まじかよ・・・。」

イプノ「・・・時々フェアとは会うことがあるけど彼らに限っては終わりがないと言っていたよ。」

ミィディア「終わりがない?」

イプノ「勝敗のない戦いになるってことさ。始めたら最後勝つことはない醜い結果に終わるということさ。」

ミィディア「まぁ言葉も洗脳も効かないもんな・・・。」

イプノ「対面の交渉も効かない。言葉の舌戦も終わりがない。心理戦を仕掛けてもその心がそもそも正常に機能していない。だからと言って実力行使に移ってたとえ倒したとしても勝ったと言えるのか・・・知恵が不完全な弊害がまさかこんな形で出るとはね・・・。」

ミィディア「でも地上だとそういう人は無闇に責めれないんだよな・・・。」

イプノ「法律で色々決められているからだろ?」

ミィディア「ああ。」

イプノ「けど始まりを辿れば天界の身から出た錆なんだよな・・・。」

ミィディア「もどかしいな・・・。」

イプノ「そうだね。まぁだから彼らはとても手強い。」

ミィディア「そしたらどうすればいいの?」

イプノ「今のところ僕たちの中で出ている結論は相手にしないことだ。」

ミィディア「え?」

イプノ「下手に刺激しないで遠くから見ておく。これに尽きる。元々彼らにこっちの存在を認識させなければ何も始まることがないから実害はゼロになる。」

ミィディア「天使にしては実に古典的な・・・。」

イプノ「臭いものに蓋をするような対処法だということは分かってるよ?でも彼らを相手にするのはとても不毛なんだ。それに実害がとても大きい。」

ミィディア「まぁそうなんだけど・・・。」

イプノ「僕と同じ好戦的な君のことだ。少しでも勝てる可能性があるなら倒しておきたいって気持ちは分かる。でもこればかりは生かさず殺さずでいた方が良い。」

ミィディア「んー・・・。」

イプノ「もし君の父親が弱っていなかったら?を想像するとよく分かるよ。」

ミィディア「!」

イプノ「セイの力で魂を飛ばして憔悴させていなかったら君たちはどうなっていたと思う?」

ミィディア「・・・金をむしり取られて死んでた。」

イプノ「だろ?弱体化してもなお気に入らないことがあれば叫び家のものを盗み嫌がらせを続けている。」

ミィディア「・・・分かったよ。大人しく退く。」

イプノ「それがいいよ。君の限りある人生の為にも。」

ミィディア「ああ。」

イプノ「じゃ僕が伝えられることは伝えたからもう行くね?」

ミィディア「分かった。」

そういうとイプノは消えていった。

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