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前提条件世界{三章、神の友と六人の御使い達}

これは僕と天使たちの不思議な旅のお話・・・‼


「ねえねえ、アプリオリ‼もっと君のお付きの人のこと教えてよ‼」

「お付きの人というか、天使じゃよ。」

「天使?でも、お話し出来るんでしょ?」

「そりゃ、勿論。あ奴らはわしの忠臣じゃからの。」

「ねえ、どんな天使たちなの?」

「ん~~、そうじゃの。まず、わしの忠臣たる天使たちは全員で六人おる。」

「六人?」

「名前だけなら、おぬしも知ってる六人じゃよ。有名じゃからの。」

「その六人って誰なの⁉」

「ビランチ、オルゴ、フェア、フォール、イプノ、グラントじゃよ。」

「ごめんアプリオリ。知らないや。」

「そうか笑。なら順番に説明していくとするかの。まずはビランチじゃ。ビランチは下界では最高神と呼ばれておる。あ奴には下界でのわしの権限を全て代行してもらっとる。じゃから、実質上の最高位の天使じゃの。」

「つまり、下界ではどの神様よりもビランチって天使は偉いんだね?」

「そうじゃ。わし以外の神は必ず、あ奴の許可なしにはわしには会えん。」

「どんな天使なの?」

「どんな?」

「うん‼」

「そうじゃの・・・一言で言えば“揺るがない”かの。」

「揺るがない?」

「ビランチは迷いという感情が極端に少ないのじゃよ。ヨハトよ。動揺という言葉を知っておるか?」

「それなら知ってるよ‼気持ちが大きく動くことだよね?」

「そうじゃ。しかし、ビランチにはそれがない。何事も平静にこなす。じゃから、全てにおいて理性的というか、流されない天使なのじゃよ。」

「何か、人生つまんなそうだね。」

「わしもそう思う。次にオルゴじゃが、あ奴は、柄が悪いの。」

「柄が悪い?天使なのに?」

「そうじゃ。あ奴は、言葉使いもあまり洗練されておらんし、声は大きいし、とにかく天使らしくない。」

「良いとこ全然ないね。」

「じゃが、勘がいい。それに頭も回る。下界の異変を一番最初に気づくのはいつもオルゴなのじゃよ。・・・つまり、危険を察知する能力が天使の中で突出しておる。」

「何か強そうな天使だね。」

「まあ、下界じゃ軍神じゃからの。次はフェアじゃが、あ奴はなんというか・・・色々と図々しい。それに太々しいの。」

「それって、良いところ?」

「・・・両方じゃな笑。良くもあり悪くもある。あ奴は、気になったことは絶対にそのままにしておかん。徹底的に調べ尽くす。どんな手を使ってもの。お陰で他の天使たちがどれだけ迷惑を被ったか・・・。」

「僕、その天使にはあまり会いたくないかも・・・。」

「・・・まあ、巡り合わせというものがあるからの。次は、フォールじゃの。あ奴はとにかく強い。」

「強いってどんな風に強いの?」

「逆境に強いのじゃよ。あ奴は不利な状況になればなる程力を発揮する。以前下界で72人の魔王に襲われたことがあっての。並みの天使でなくても消されてしまう程の状況であった。しかし、その圧倒的不利な状況から、魔王全てを倒し、生き残ったのじゃよ。」

「・・・それは、凄いの一言に尽きるよ。」

「あ奴は、下界では最強神じゃからの。次はイプノじゃ。あ奴は楽しい奴じゃ。」

「楽しい天使?」

「そうじゃ。わしの忠臣である天使たちは本来、神と天使という立場からあまり馴れ馴れしくしてくれん。じゃが、あ奴は良くも悪くも立場を気にせず親しくしてくれとる。そして面白い話を沢山聞かせてくれるのじゃ。」

「へえ‼そしたら、僕も会ってみたいな‼」

「心配せんでも、何れ会うことになるじゃろう。最後がグラントじゃ。あ奴は我儘じゃ。」

「我儘?」

「駄々っ子なのじゃよ。ヨハト。あ奴に限っては子供と接すると思ってもらっても構わん。」

「・・・じゃあ、グラントって天使に何か言われた時はアプリオリの名前を出すよ。」

「・・・是非、そうしとくれ。」

こうして、僕はアプリオリとしばらく別れ、旅へと繰り出した。


~~~~~


そして、僕は旅の初めに、ある女性に出会う。

「あー、退屈だなあ。」

「(そりゃ、退屈でしょうね。私の力使って戦ってたら。)」

「でも、使えるのに使わないなんてもったいないじゃん。」

「(もったいないって・・・。)」

「あ、いいこと思いついた‼」

「(何?)」

「クルデーレを狩りに行こう‼」

「(そんな、遊びに行こう‼みたいに言われても・・・‼)」

「お姉さん‼誰と喋ってるの?」

「(ヤバ‼いくら路地裏とはいえ、大きな声で喋り過ぎたか・・・‼)べ、別に誰とも喋ってないわよ?」

「嘘だよ。その天使誰なの?」

「‼」

「・・・あなた、私が見えるの⁉」

「見えるよ‼ねえ誰なの?」

「・・・彼女はグラントよ。それと彼女は天使じゃなくて破壊神。神様よ。」

「え?そうなの?でも、アプリオリが・・・。」

「ヨハト‼(その名前は他の人に言っちゃダメ‼)」

「?」

「(・・・な、何で?)」

「(アプリオリ様の為よ。下界の人間がアプリオリ様の存在を探し始めたら、私たちの存在に影響が出るの‼あなたはもう遅いからしょうがないけどこれ以上はダメ‼)」

「(わ、分かったよ・・・。)」

「ねえ、グラント。さっきあいつアプ何とかって・・・。」

「アプル・・・じゃない?」

「アプルって何それ?」

「アップルを言い間違えたのよ・・・ね?ヨハト?」

「う、うん‼そう、そうだよ‼」

「それより、クルデーレを狩りに行くんでしょ?」

「あ、そうだったわ。じゃ、坊や。またね♡」

そういうと、グラントと一緒にいたお姉さんは何処かへ行ってしまった。


~~~~~


そして、お姉さんとお別れしてから少し歩いていた時・・・。

「・・・何だろ。何か騒がしいな。」

「おーい‼みんな逃げろー‼ツィオ・ボンディーレとクルデーレが暴れてるぞー!」

「ツィオ・ボンディーレ?誰だろ?ちょっと行ってみよう‼」

「おい、兄ちゃん‼どこ行くんだい?」

「ちょっと、ツィオ・ボンディーレって人が居るところに・・・。」

「何馬鹿言ってんだい!あんなところにいたら、命が幾つあっても足りないよ‼」

「でも、見に行きたい!」

「・・・そしたら、ツィオについて教えてやるよ!あいつは破壊神と呼ばれるくらいの危険人物だ。巻き込まれたらただじゃ済まない・・・って、こっちに来た!」

そういうと、おじさんは走ってどこかに行ってしまった。

そして、僕はツィオ・ボンディーレという人を初めて・・・いや、再び、目にすることになる。

「クッソ!どういうこと⁉何で、念力が効かないのよ⁉」

「どうした?これでは本当に赤子のお守だぞ?」

「(ツィオ‼少し、溜めてから念力を打ちなさい‼そうすればもう少し、高威力で打てるわ!)」

「(・・・チッ!今まで溜めたことなんてなかったのに・・・‼)分かった!・・・こうなったらとっておきをお見舞いしてあげる!」

「攻印{飛雷}。」

「(・・・危な!てか・・・)ノーモーション⁉」

「(・・・今の力の使い方。アプリオリ様と同じだわ。)ツィオ!退きなさい‼」

「嫌よ!せめてこれを見舞ってから退く!」

「悪いな。とっておきがあまりにも遅いんで少し、力が漏れてしまった笑。」

「馬鹿にして・・・‼もうこれで終わりよ!」

「・・・守印。」

怖いおばさんがそういうと、とても大きな丸い紋章がおばさんの前に出現した。

「(どうなった・・・?)」

「いやぁ。久々にすっきりしたぞ。」

「・・・あれで無傷なの⁉」

「(・・・ツィオ。)」

「分かってる。」

「お姉さーーん‼」

「(・・・何だ?あの子供は。)」

「ヨハト‼」

「(クルデーレの気が逸れている・・・。)ツィオ!今よ!」

「う、うん‼あんたも来な‼ヨハト‼」

「え?わぁーーー‼」

こうして僕は、ツィオお姉さんに抱きかかえられながら、空を飛んでその場を離れた。


~~~~~


「お姉さーん!」

「何ー?」

「おっぱい、大きいねぇ。」

「・・・ヨハト。ここから投げ捨てるよ?」

「ごめんなさい!それだけはやめてー!」

「全く、とんだ変態坊やだこと。」

「それにしてもお姉さんは何で、あのおばさんと戦ってたの?」

「あぁ・・・それはね。賞金稼ぎをしてたの。」

「賞金稼ぎ?」

「ええ。あのおばさんはクルデーレっていってね。目に見えない不思議な力を使う指名手配犯なのよ。」

「へえ。不思議な力かぁ。でも確かに、変な紋章を出してたねぇ。」

「変な紋章?」

「うん。お姉さんの攻撃を守るように空一帯を覆うくらい大きな紋章が出てたよ?」

「・・・そうなんだ。」

「あと、もう一つ聞きたいんだけど、良いかな?」

「何?」

「お姉さんって何者なの?」

「(それは私が答えるわ。)」

「グラント!・・・余計なこと言わないでよ?」

「(分かってるわよ。彼女はツィオ・ボンディーレって言ってね、この世界で超能力者って言われているのよ。)」

「へえ、だからこうして空を飛べるんだ。」

「まあね。これからあんたを心優しい王様が治める王国まで送るから。一緒に行動するのはそこまでね。」

「分かった。」

僕は、ビジラ王が治める国へと送ってもらった。


~~~~~


そして、早速僕は不法入国者として、王様のもとまで連れてかれてしまった。

「やあ、ヨハト君。初めまして。私はこの国の王を務めている。レ・ビジラだ。以後お見知りおきをお願いする。」

「よろしくね!ビジラさん‼」

「さて、今回、君がこの王宮まで連れてこられたのは何故か分かるかな?」

「・・・入り口から、国に入らなかったから?」

「間違ってはいない。しかし、正確ではないな。・・・君は、空からこの国に入ったところを我が国の兵士に目撃されている。今回私が君に聞きたいのは、その目撃の真相と入国の目的だ。どうかな?出来れば素直に答えてほしい。」

「その兵士さんの言ったことは本当だよ!僕は空からこの国に入ったんだ。でも入った目的は答えられない。」

「何故?」

「ないんだ。」

「ない?」

「うん。僕はツィオ・ボンディーレって人に連れてこられたんだ。」

「空から?」

「うん。だからこれといった目的はないんだ。」

「・・・君はそのツィオ・ボンディーレとはどういう関係かな?」

「関係って程の関係はないかな。ただ、僕は天・・・神様を探しててね。ほら、ビジラさんの後ろにもいるでしょ?」

「‼・・・君、ビランチが見えるのかい?」

「うん!なんかつまんない天・・・神様だって聞いてるよ。」

「(アプリオリ様ね・・・。)私もグラントからあなたのことは聞いてるわぁ。よろしくねぇ。ヨハト。」

「よろしく!」

「(本当みたいだな・・・。)ビランチ。グラントと繋がっているのか?」

「え、ええ。」

「・・・成程、今のビランチの話でヨハト君の経緯が見えてきたぞ・・・つまりはこういうことだな。君はグラントを使役するボンディーレにグラント経由で出会い、そして仲良くなった。それでここまで連れてきてもらったんだな!」

「違うよ。」

「え?」

「(笑笑。)」

「笑わないでくれ、ビランチ汗。」

「(ごめんねぇ。こうしたあなたは久々に見たから、気が緩んだわ。)」

「・・・今は、一国の王なんだ。威厳は保たなくては。」

「(そうね。)」

「で、ヨハト君。違うのであればどういった経緯なのか教えてくれないかい?」

「分かった。僕は、ツィオお姉さんにグラント経由で会った。これは合ってるんだ。けどその後、一旦別れたんだ。理由はツィオお姉さんがクルデーレって人を狩りに行こうとしてたからなんだ。」

「クルデーレだと⁉」

「うん。僕はツィオお姉さんにそこで再度会うことになるんだけど、その時は戦闘中だった。それで、ツィオお姉さんが逃げる時に僕を拾ってこの国にまで運んでくれたんだ。」

「そうだったのか。にしても、そんなことが起こっていたとはな・・・。」

「ビジラさん。これでいいかな?」

「ああ。満足だ。それと、君の入国を歓迎しよう。ようこそ私の国へ。」

「ありがとう!」

「・・・これからは空以外からの入国をお願いしたい。・・・兵士が警戒してしまうのでね笑。」

「分かったよ!」

「ビジラ様!謁見の者がいるのですが!」

「ああ、済まない。通してくれ。」

「はっ!」

「ビジラ王。此度は私に謁見の機会を与えて下さり、誠に感謝申し上げます。」

「そう畏まらなくていいよ。気兼ねなく、肩の荷を下ろすつもりで話してくれ。」

「ありがとうございます。では早速。私はディクーチェ・オビリオ。探偵業を営んでおります。」

「聞き及んでいるよ。魔言探偵。君に言葉で勝てる者はいないと。」

「恐縮です♪」

「で、そのオビリオさんが私にどういった用件で会いに来たのかな?」

「今回私がここに来た目的。それは、私の著書。“言葉の使い方”をこの国で販売する許可を頂きたく参りました。」

「成程。では、その本を早速。見せてほしい。」

「ええ。是非、ご覧ください。」

「では、早速・・・。」

「私の著書をお読みの間、少し、お話ししてもよろしいでしょうか?」

「構わないよ。」

「感謝します♪私の著書である“言葉の使い方”とは、人間ならば誰しもが使用することを免れないであろう言葉をどのように扱えばよいのか。それを端的に示しています。ビジラさん。今、この国は平和ですか?」

「ん~、他国と違って私の国は争いは少ないが、平和とはまだ言い難いな。」

「ですよね。そして、あなたはこう思っているはずです。“この先、平和にもっと近づくにはどうしたらいいのだろう?”と。」

「まあ・・・それはな。」

「実は、その答えはその本の中にあるのです!」

「何?」

「詳しくお話ししましょう。人々は今まで幾つもの争いを経て、ここまで文明を発展させてきました。そして時は流れ、この国のように争いをせずとも共存していく道を見つけていく人々が現れます。そこで、新たに必要となるのが言葉の行使なのです。武器を行使し、生きていく時代は終わりました。これからは、言葉を行使し生きていく時代。そうした新しい時代にはこの本が必要なのです!」

「・・・ふむ。成程。とりあえず、この本を一通り読ませてもらった。」

「・・・どうでしょうか?」

「うむ。我が国で販売することを許可しよう!」

「本当ですか⁉」

「ああ。少し、読んでみたがとても興味深いものばかりで、再度、時間を取ってじっくり読んでみたいと思った。特にこの“初対面の相手から長期的な関係まで使える会話術11ヶ条”というのは汎用性が高いと思った。」

「嬉しいです!そこはわたしとしても力を入れた項目なので!」

「そうか笑。・・・その代わりと言っては何だが、私の著書を広告してはくれないだろうか?」

「交換条件というものですね?いいですよ♪どのような本なのですか?」

「ちょっと待っていてくれ。今持ってくる。」

「分かりました。」

「それにしても良かったね。オビリオお姉さん。」

「・・・さっきから私の話をニコニコと聞いていましたが、あなたは誰ですか?」

「僕はヨハト。よろしくね!」

「ええ。よろしくお願いします。」

「ところで、その後ろにいる天・・・人は誰だい?」

「(・・・この子、フェアが見えている?)・・・何を言っているのですか?誰もいませんが?」

「そんなぁ・・・。」

「済まない。待たせた。これだ。」

「これは・・・至高の思考ですか。」

「そうだ。どうかな?」

「(・・・内容は荒いですが、まあ、所々、要点は押さえていますね。)・・・とても核心的な内容でいいと思います。」

「それは良かった。」

「では、交渉成立ですね。」

「ああ。」

「終わったの?」

「はい。」

「そしたら、後ろにいる人紹介してよ!」

「まだ言ってるんですかぁ?だから、いないと言ってるじゃありませんか。」

「おっかしいなぁ・・・ビジラさんのビランチと同じだと思うんだけど・・・。」

「・・・ビランチ?」

「あ、ヨハト君!そういうことは・・・‼」


~~~~~


「・・・成程。ではあなたはこの神が見えるのですね?」

「うん‼」

「そして、ビジラさん。あなたが最高神ビランチを使役する者だとは思いませんでした。どうりでこの国が、稀にみる安泰国家として名を連ねているわけですね。」

「それは、私も同じだ。魔言探偵。その力の源が言葉の女神フェアであれば、その噂も腑に落ちる。」

「・・・。」

「・・・。」

「(ま、まあケンカはよしましょ?)」

「(そ、そうですよ!せっかく著書の販売許可をもらったんですし。)」

「・・・そうですね。別にケンカをしているわけではありませんが、ここは大人しく引きましょう。言葉を行使する者として美しくありませんからね。」

「・・・ふう。助かるよ。私としてはこの国を守りたい。その為に少し警戒したんだ。許してくれ。」

「いえいえ。一国の王として、国民の安全を心配するのは当然の反応です。そして、ビジラさん。あなたは稀にみる話の分かる王様とお見受けしました。」

「あ、ああ・・・。」

「そこで、一つ提案をしたいのですが。」

「提案?」

「ええ。その提案とは“情報交換をしませんか?”」


~~~~~


「情報交換?」

「はい。確か、この世界には六人の神を使役する者がいると聞きます。」

「ああ。世界の謎の一つだ。」

「私は推測の域は出ませんが、その使役者であろう存在を二人知っています。もし、あなたも知っているのであれば、教えて頂けませんか?」

「・・・構わないが、期待に副える情報かは分からないよ?」

「構いません。それは私も同じなので。」

「・・・分かった。」

「ありがとうございます♪そしたら、お食事がてら、話を詰めましょう。」

「・・・?」

「いえ、別にご馳走になろうというわけではありませんよ?しかし、ビジラさんはともかく、ヨハト君はお腹がすいてますよね?」

「うん。そろそろお昼だからねぇ。」

「だそうです。なので、かの安泰国家の料理に舌鼓を打ちながら情報共有と行きましょう!」

「(・・・成程、魔言探偵。これは神の力関係無く彼女の気質だな・・・汗。)そ、そうだね汗。じゃ、場所を変えようか・・・。」

こうして僕たちは、ビジラさんたちと食事場に移動した。


~~~~~


「で、早速。情報共有をしましょうか。」

「そうだね。だがその前に。彼について紹介させてくれ。彼はヨハト。神が見える少年だ。」

「そのようですね。私の後ろにいるフェアが見えていたみたいですし。」

「フェアっていうんだね!よろしくね!」

「(よろしくです♪)」

「じゃ、まず私が持っている情報を提供致します。私が神の使役者として目をつけているのがツィオ・ボンディーレとスパード・ヴィータ。」

「前者は当たっている。何故なら、ヨハト君がボンディーレに憑くグラントを確認している。」

「それは、どういうことでしょうか?」

「彼は、ボンディーレに運ばれて、空から入国したんだ。」

「へへへぇ~~~。」

「へへへって・・・(あなたねぇ・・・。)成程。それでヨハト君はここにいるのですね?大方、不法侵入者としてここまで連れてこられたのでしょう。」

「まあ、そんなところだ。次は、私だな。私の見解は少し違う。わたしはクルデーレとヒルデガルド・ヨルディエ。そしてエッセレ・イモータ。このあたりが怪しいと踏んでいる。」

「クルデーレとヨルディエは知っています。ですがエッセレ・イモータとはどんな人物なのですか?」

「イモータはソロモン王国の兵団組織団長だ。」

「あ、小国でありながら、奇跡的に存続している王国ですね?」

「そうだ。あそこは私の国と不戦協定を結んでいるのだが、そこにいるイモータはいち兵団長でありながら途轍もない雰囲気を感じた。」

「・・・成程。」

「ねえ、ビジラさん。オビリオお姉さん。僕、知らない人いっぱいいるんだけど、その人たちについてもう少し詳しく教えてくれないかな?」

「いいですよ♪じゃ、まずツィオ・ボンディーレから。彼女はこの世界では最高峰の超能力者です。そして、一人で戦局を思い通りに出来ることから戦争屋としての一面も持ち合わせています。」

「そして、彼女はその力から、破壊神又は人間爆撃機と恐れられている。偶然にも使役している破壊の女神グラントと同じ異名だね。」

「次はスパード・ヴィータ。彼は齢22歳という若さで世界最高の剣士として雷名を轟かせています。」

「そして、フリーの殺し屋でもある。」

「彼は、最近その殺し屋稼業で、ある一族を滅亡させました。」

「・・・それは、私も初耳だ。」

「そんなはずはありません。恐らく表では名前を伏せられていますが、この名前を聞けばピンと来るはず。“如月”ご存じありませんか?」

「あ・・・聞いたことがある。」

「ヴィータは分家の如月を滅亡させました。本家はボンディーレに滅ぼされています。」

「・・・そんな人だったんだ。」

「・・・続けますね?次はクルデーレ。彼女は目に見えない力を使う、世界的指名手配犯です。」

「・・・何を犯したのかは、分かっていないけどね。」

「・・・恐らく、政治的パフォーマンスでしょう。」

「・・・というと?」

「彼女が強過ぎるんです。どの国の軍隊も彼女には敵わなかった。しかし、一国が一個人にも敵わないなど、国の威信に関わる。ですから、当てつけのように指名手配されているのでしょう。実際、各国は指名手配しながらもクルデーレを捕まえようとしないですし、クルデーレ自身も自分から国を攻めようとしたことは一度もない。彼女が相手にするのは、仕掛けてきた相手のみ。それも、その相手も途中で逃げるとあれば、深追いすることはない。と聞きます。」

「成程ぉ。だからツィオお姉さんは逃げられたんだぁ。」

「・・・ボンディーレが逃げた?」

「そうだよ。」

「じゃあ、クルデーレはボンディーレより強いということになりますね。」

「だね。」

「じゃ、次だね。次はヒルデガルド・ヨルディエ。彼女はクルデーレと同じで不思議な力を使う。」

「そして彼女は度々街を破壊して回っています。目的は分かりませんが、その残虐さと破壊した街に残る刻印から冷刻の魔女として暗躍しています。」

「最後は、エッセレ・イモータ。さっきも話したが、ソロモン王国の兵団組織の団長だ。彼は周辺諸国に不死身の戦神と恐れられている。」

「・・・成程ねぇ。二人とも、ありがとう!」

「例には及ばないよ。」

「いえいえ。・・・ところで、その異名。気になりますね。」

「オビリオさんも気になるか。」

「ええ。ですが、今考えても仕方ないですね。イモータについてはビジラさんの本を宣伝をしながら調べてみます。」

「助かるよ。」

「最後に、気になる繋がりでお伝えしたいのですが、霞の術士をご存じですか?」

「噂だけはな。だが、実態がつかめない。」

「・・・この国をもってしても、つかめていないのですか・・・。」

「オビリオさんはどうなのかな?」

「私もこのことについては噂止まりです。噂が事実であること以外はつかめていません。」

「・・・どんな噂なの?」

「・・・為政者の没落に霞の影あり。そういった噂だよ。」

「時の権力者や為政者が、ある日突然、見る影もなく各地で散財や不祥事。ひいては一族滅亡などと言った、あらゆる理由で力を失い、命を絶っているのです。」

「あまりにも、こうした不幸が続く為、人々はいつしか、我々には見えない何かの存在・・・つまり、霞のような存在が裏にいて、この事態を引き起こしているのではないか?と噂するようになったんだ。」

「・・・そして、それが出来るのは洗脳や催眠などに長けた、幻術使いや洗脳術士の他にはいない。なので、人々はその一連の出来事を引き起こす存在を“霞の術士”と呼ぶようになったのです。」

「・・・もし、その霞の術士がいるなら本当に凄いよね。」

「ええ。なにせ、本当に名前すら知られていないのですから。」

「・・・そうだね。よし!情報共有はこれで終わりかな?」

「そうですね。いやぁ、それにしてもこんなにも親切な王様は私初めてです♪」

「そうか?」

「ええ‼これは、お世辞でもなんでもなく本当にそう思います。」

「そう言ってくれるとは、一個人として嬉し——。」

「ゔゔおおおぃぃ‼取り込み中失礼するぜぇ‼レ・ビジラ!てめぇの命をさらいに来た。」


~~~~~


「てめぇの命をさらいに来た。」

「‼」

「ヴィータ!」

「お、有名な探偵さんと小僧も一緒か!安心しろ!後でまとめてあの世に連れてってやる!取りこぼしはなしだぁ‼」

「(この人が・・・というか、この人の後ろ・・・。)」

「・・・オビリオさん‼ヨハト君を頼む!」

「へ⁉」

「(ビランチ!)」

「(了解よぉ。)」

「あ、ビジラさん‼」

ビジラさんはオビリオお姉さんに僕を任せると何処かへ消えてしまった。


~~~~~


「ゔゔおおぃぃ。今のは何だ?」

「・・・ちょっと場所を変えさせてもらった。関係ない人は巻き込めないからね。」

「(・・・あれは、空間移動だ。)」

「(・・・空間移動?じゃあ、こいつは・・・。)」

「(ああ。最高神ビランチの使役者だろうな。)」

「・・・さっきから意識が疎かだが、もしかして神と話しているのかな?」

「・・・‼」

「その反応は図星か。」

「さあ、どうだろうなぁ‼」


~~~~~


「どうしよう!オビリオお姉さん!ビジラさんが!」

「少し落ち着きなさい‼ヨハト君!」

「でも・・・。」

「大丈夫です。ビジラさんが何処に行ったのか推理して見せます。探偵として。」

「本当?」

「ええ。まず、彼の取った行動をお浚いしましょう。彼は、ヴィータとともに何処かへ消えた。どうやって消えたのか。それは最高神ビランチの力ででしょう。」

「・・・どんな力なの?」

「最高神ビランチは時間と空間を司る神と言われています。ということは、過去や未来、ひいては現代のどの場所にも存在出来るということ。」

「・・・どういうこと?」

「まず、時間を司るということは、今私たちが生きていた現代より後にも先にも飛ぶことが出来るということ。ですがこれはビランチが禁止しているでしょう。」

「・・・?」

「何故なら、人々の歴史を否定する行為ですからね。次に空間を司るということは、一瞬で遠くに移動出来る可能性を有しています。」

「・・・それなら、何となく理解出来る‼」

「笑笑。今回ビジラさんは、この能力を使ってヴィータと共に飛んだのでしょう。」

「じゃあ、ビジラさんは無事なんだね?」

「ええ。恐らく、この城で一番広い場所で戦っているはずです。」

「そしたら・・・!」

「ええ。あそこしかないでしょうね。一番最初に通った玄関前の大きな地面しかないスペース。」

「じゃあ、すぐ行こう!」


~~~~~


「じゃあ、すぐ行こう!」

「いえ、ダメです。」

「何で?」

「戦いの邪魔になるからです。ですが、確認しには行きますよ!ですので、そのスペースが見える場所まで急ぎましょう!」

「うん‼・・・にしても大丈夫かな、ビジラさん。」

「心配はいらないと思いますよ?」

「でも、僕見ちゃったんだよね・・・。」

「何をですか?」

「そのヴィータって人の後ろに、ビジラさんやオビリオお姉さんさんのように神様を使役してるのを・・・。」

「・・・‼」

「やっぱ、まずいよね・・・。」

「急ぎましょう!」


~~~~~


「・・・ふう。強い。」

「(・・・チッ!全然手応えがねえ・・・。)ゔおぃ。お前、手抜いてんだろぉ。」

「いや、抜いていない。むしろ逆だ。こんな全力を出したのは久々だ。流石は、世界最高の剣士なだけある。」

「おちょくってんじゃねえ!今、てめえを屠ってやる。」

「ビジラさん‼」

「オビリオさん‼ヨハト君!」

「逃げてください!ビジラさん!彼は神の使役者です!」

「・・・知っているよ。」

「・・・なら、他の強い兵士に戦いを任せるべきです!」

「・・・何故?」

「何故って、あなたが死んでしまったら、この国はどうするんですか?ヴィータと戦って死んでしまえば無駄死にです!」

「・・・オビリオさん。それは違うな。」

「?」

「国を脅かす者を相手に、率先して、命を張れぬ者は王ではない。我が国の為、民の為に、命を張れぬ者は国王失格だ。中には、兵士をあてがえばいいという輩もいるが、兵とて国の民。民を犠牲にする国家は何れ必ず滅ぶ。それに、王とは皆の権限を一手に引き受けている。つまり、嫌な言い方をすれば、民の権限を独占しているのだ。しかし、それは彼らを守る為に与えられた権限。そして責任だ。外敵から、病から、貧困から、あらゆるものから民を守る責任が王にはある。それに、我が国は、一賊如きに滅びる柔な国ではない。」

「ですが・・・‼」

「我は諸子の先頭にある。これだけは譲れない。」

「・・・ビジラ王!」

「・・・兵士が来たよ‼」

「(・・・潮時だな。)ビジラ!今回の勝負は預けてやる!次は容赦しねえぞぉ!」

そういうと柄の悪いヴィータさんは、何処かへ、行ってしまった。


~~~~~


「・・・ふう。行ったか。」

「ビジラさん‼大丈夫ですか?」

「何とかね。」

「良かった・・・。」

「ビジラ王!ご無事ですか⁉」

「ああ。問題ない。それより、お前たちに被害はないか?」

「・・・それ何ですが、私共には怪我はおろか、かすり傷一つありません。」

「・・・それは良かった。」

「・・・不思議ですね。」

「何がだい?」

「彼らに被害がないことがですよ。」

「・・・確かにね。」

「申し訳ありません!警備についていながら賊の侵入に気づけず・・・‼」

「気にするな。今は何より、皆が無事なことを良しとしよう。」

「・・・分かりました。」

その後、僕たちはビジラさんが落ち着いたのを確認してから、各々、その場を後にした。


~~~~~


そして、僕は、またしても新たな天使の使役者を見つけることとなる・・・‼

「ふう。これまで色々なことがあったな・・・。」

「・・・ですから、あなたは何者なのですか?」

「あなたが答えたら、大人しくお答えしましょう。」

「・・・ん?何だろ。」

僕は遠くで言い争い?をしている女性と僕と同じくらいの男の人が目に入った。

「あらあら、あなた知らないんですか?女性と会った時にはまず、男性の方から名乗るというマナーがあるんですよ?」

「(・・・また、口から出まかせを。)」

「そんなマナー存じ上げませんね。逆に人に名前を聞くならまず自分から。こうした言葉があるのは存じているのですが。」

「でしたら、この言葉も忘れてはいけませんよ?亀の甲より年の功。東洋のことわざです。意味は・・・。」

「知っています。年長者を敬えということでしょう?ですが、あなたのように強気な年長者は初めてですよ。」

「私もここまで強気な若者は初めてです。」

「(・・・口喧嘩?)」

「(やあ、ヨハト。初めまして♪)」

「(・・・誰?)」

「(アプリオリ様から、聞いてないかい?イプノだ。よろしく♪)」

「(君がイプノかぁ‼よろしくね!)」

「(それにしても、ごめんね♪僕の予想だともうちょっと楽しい出会いになるはずだったんだけど・・・。)」

「(・・・喧嘩してるね。)」

「(・・・これはこれで面白そうだから、少し見ていようか?)」

「(う、うん・・・。)」

「いやはや、困りましたね・・・。私はただ道を歩いていただけだというのに。」

「ただですか・・・あなたは明らかにただ人ではない雰囲気を感じるのですが。」

「何をどう感じるというのですかねえ・・・ん?君は誰です?」

「僕はヨハト‼よろしくね!」

「あ、ヨハト君‼」

「また会ったね、オビリオお姉さん‼」

「(オビリオお姉さん?・・・この女、ディクーチェ・オビリオか‼これはますます正体を明かせませんね。)」

「(・・・ん?雰囲気が変わった?)」

「では、私はこれで・・・。」

「待ってくださいよ~~。」

「何故、待つ必要があるのですか?」

「だって、今私の名前を聞いて明らかに動揺しましたよね?」

「いいえ?」

「嘘ですね。なら何故、あなたはここを急に立ち去ろうとしたのですか?」

「急にではありませんよ?牛の世話があるんです。」

「違いますね。本当は私が探偵だからでしょう?さっきまであなたは、私を取るに足らない、いち、一般人として見ていました。しかし、私の名前を聞くなり、その態度は変わりました。何故か。それはあなたに探偵を相手にすると不都合な理由があるからですね?」

「どうでしょう?」

「探偵を相手にすると不都合な理由。置き換えると、探偵と対をなすような存在ということになります。犯罪者か裏の人間か・・・将又、今噂されている霞の術士だったりして?」

「(流石は魔言探偵だ。)クフフフッ、面白い見解だ。」

「だとしたら、あなたが頑なに名前を明かさないのにも納得いくのですがねぇ。」

「違いますよ?」

「では名前を教えていただけませんか?」

「そうですね・・・わたしの名前は・・・。」

「名前は・・・?」

「————。」


~~~~~


「・・・‼」

「・・・お姉さん‼オビリオお姉さん!」

「・・・はっ!あれ?あの少年は?」

「牛の世話があるって言って、どっか行っちゃったよ?」

「(最後まで、嘘は通していきましたか・・・。)」

「もう、いきなり倒れるからびっくりしちゃったよ!」

「それなんですがね。恐らく、彼は霞の術士だと思います。」

「へ?何で?」

「私が倒れたのは、彼の催眠を受けたからです。ヨハト君。何でもいいのですが、彼のことで気になったことはありませんか?」

「気になったことというか、びっくりしたことはあるよ。」

「・・・それは何です?」

「あの人、イプノの使役者だった。」

「イプノ⁉」

「ねえ、そのイプノってどんな神様なの?」

「・・・イプノは神様ではありませんよ。」

「へ?」

「悪魔です。」

「悪魔?」

「ええ。邪視の始祖イプノ。彼に睨みつけられた者は、呪いを受けると言われています。そしてイプノは元々熾天使だったと言われています。」

「熾天使って?」

「天使のトップですよ。」

「え⁉じゃあ、もの凄く強いんじゃないの⁉」

「そうですよ。そのイプノを使役している催眠を使う少年・・・ですか。」


~~~~~


僕たちは、このまま一緒に、エッセレ・イモータという人が団長を務める、ソロモン王国へと向かった。

「ダメだ。入ることは許されない。」

「えぇーー、おじさんのケチ!」

「悪いな。坊主。別にお前たちを信用してねえわけじゃねえんだ。今、ソロモン王国は国王の殺害予告を受け、厳戒態勢がしかれている。」

「・・・その、殺害予告はどこから出ているのですか?」

「かの有名な破壊神様からだ。」

「ツィオ・ボンディーレですか・・・。」

「ああ。お前ら!避難は終わったか?」

「終わりました!」

「なら、お前たちは国王の護衛につけ!ボンディーレは俺が相手をする!」

「はっ!」

「あと、こいつらの護衛にも何人かつけ!」

「はっ!」

「・・・あの団長さん、一人で大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だと思うよ。」

「何故、そう思うのですか?」

「だってあのおじさんの後ろにもいるもん。」

「それは・・・神がですか?」

「うん。」

僕たちが話をしていると、ツィオお姉さんが空を飛んで、ソロモン王国へとやってきた。

「は~い♡ソロモン王国の皆さん!初めまして♪ツィオ・ボンディーレよ?って、なんだ。もっと大勢で待ち構えてるのかと思ったら、おっさん一人なんて拍子抜けしちゃうわ~。」

「がっかりさせて悪いな。」

「本当よ。ソロモン王国はよっぽど兵士が足りな——。」

ドン!

「・・・危な‼」

「・・・クッ!」

イモータおじさんは、ツィオお姉さんが喋り終わる前に、地面を蹴って突っ込み、空に浮くツィオお姉さんに奇襲を仕掛けた。

しかし、イモータおじさんは、ツィオお姉さんの念力で弾かれてしまった。

「(何?あのおっさん⁉地面からここまで突っ込んでくるなんて・・・何て跳躍力なの⁉)」

「(流石に超能力者相手に正面突破は虫が良過ぎたか。なら、まずは、あいつを撹乱して地面に落とす・・・‼)」

地面に弾かれたイモータおじさんは、怯むことなく、すぐに体制を立て直し、あらゆる方向から、ツィオお姉さんに攻撃を仕掛けていった。

「フン!」

「・・・ッ‼」

「ハッ!」

「・・ッ‼」

「ハアアァッ!」

「・ッ!」

「・・・ハアアアアァァァッッッ‼」

「グッ!」

「よし!」

イモータおじさんの猛攻により、ツィオお姉さんは空から落ちてしまった。

「(・・・トドメだ・・・‼)」

「(・・・‼)」

「(・・・消えた‼)」

「ハアハア・・・まさか、テレポートを使わされるなんてね・・・。」

「チッ!」

「・・・ソロモン王国が今まで存続してきた理由が分かりましたね。」

「うん。」

「これは強いですね。あのボンディーレが防戦一方です。」

「けど、建物はボロボロだね。」

「イモータさんの跳躍でですね。けど、それは些細な問題なのでしょう。レンガを砕いて国を守れるなら安いものでしょうし。」

「そうだね。」

「さて、そろそろ、仕上げだ。」

「(・・・これはもう退き時ね。)」

「・・・ッ‼・・・・・・消えた。退いたか。」

「イモータおじさん!大丈夫⁉」

「ああ。問題ない。・・・ってかお前ら。何で俺の名前を知っている?」


~~~~~


「何で俺の名前を知っている?」

「それは、ビジラ王から聞いたからです。」

「あの人から?」

「ええ。私は、数日前、ビジラ王にお会いさせて頂きました。そして、ある依頼を承り、この地まで足を運んだ次第なのです。」

「何の依頼だ?」

「彼の著書。“至高の思考”の広報活動を承り、ここまで来ました。」

「・・・何で、ここなんだ?」

「それは、ここは彼の国と不戦協定を結んでいると聞いたもので。」

「不戦協定を結んでいるってことはソロモン王国とビジラさんの国は仲がいいってことでしょ?」

「成程な。だからまずはこの地というわけだ。」

「ええ。」

「・・・おい。」

「はっ!何でしょう?」

「国王に、友好国の使者が来たと言って入国許可をもらいに行ってくれ。」

「承知いたしました!」

「・・・では!」

「ああ。まだ、入れるかどうかは分からねえが一個人としてはお前たちの入国を歓迎する。」

「ありがとう!」

「礼はいらねえ。」

「イモータおじさん!一つ聞きたいことがあるんだけど!」

「何だ?」

「その後ろの神様の名前を教えてよ!」

「・・・お前、フォールが見えるのか?」

「うん‼」

「イモータ団長!」

「何だ?」

「ヨハト様達の入国許可が下りました。丁重におもてなしを・・・とのことです。」

「了解だ。なら、ここからは、中で話そう。」

「うん!」

僕とイモータおじさんとオビリオお姉さんは、中に入った後、ビジラさんと話したことと、同じ内容の話をし、注意を促した。

そして、その後、僕たちはそれぞれ別れ、新たな出会いを求め、ソロモン王国を後にするのであった・・・‼

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