天使たちの天外戦線(四章、世界の創造とその弊害)
リスパリオ「ネニア。」
ネニア「あれあんたは・・・。」
リスパリオ「俺を知っているのか?」
ネニア「ああ。リスパリオでしょ?」
リスパリオ「そうだ。だが良く知っていたな。」
ネニア「だって天界で有名だもん。あんたの風変りっぷりは。」
リスパリオ「俺が変わってるんじゃない。他の奴らが普通過ぎるんだ。」
ネニア「その発言。変わってる奴の典型だね。」
リスパリオ「そうか?」
ネニア「そうだよ。」
リスパリオ「ま、変わってる変わっていないかは別にして今日は別のことをあなたと話す為ここに来たんだ。」
ネニア「別のこと?何かな?」
リスパリオ「色々だ。ネニア。率直に聞こう。今の天界についてどう考えている?」
ネニア「・・・どう考えているってどういうこと?」
リスパリオ「この天界の行く末。熾天使の一人として天使長の近くにいる天使としてどう考えている?考えているか?」
ネニア「・・・まぁ考えようとはしているよ。」
リスパリオ「そうか。ネニア。俺は今回の件色々と不思議なことが起こっていると感じている。」
ネニア「不思議なこと?」
リスパリオ「まずチクエの消滅。彼が天使長に就いてから消滅までが早過ぎると感じている。」
ネニア「それについては答えがあるよ。」
リスパリオ「答え?」
ネニア「天使長チクエが何故こうも早く消えてしまったのか。その原因が知りたいんでしょ?」
リスパリオ「ああ。」
ネニア「それはね。予知神力のせいだよ。」
リスパリオ「予知神力だと?」
ネニア「うん。彼がこんなにも早く消滅してしまったのは予知神力を使ってしまったからなんだ。」
リスパリオ「その予知神力を使うと何故消滅に近づくんだ?」
ネニア「それはね、予知を行う際に消費する神力があまりに膨大過ぎるんだ。予知神力はその神力を持つ者の魂が肉体から離れて未来に飛びそして飛んだ先の未来を神力の力によって現実に訪れるまで固定してしまうという構造で成り立っていた。天界は様々な神力の発現があるけどこんなぶっ飛んだ仕組みは初めてだ。」
リスパリオ「・・・未来が現実に訪れるまで固定してしまうということはその現実と未来の空白期間を固定し続けるだけの神力が一度に要求されるということか?」
ネニア「そうだろうね。この仕組みを知った時何故天使長が代々壊れてしまうのかも良く分かったよ。」
リスパリオ「ただでさえ神力の使用はある程度肉体に負荷がかかる。それなのにその神力を無理やり引き出そうとすれば負荷がかかるのは当然か。」
ネニア「うん。恐らく今までの天使長たちはそうやって自分たちの身を削って予知をして事前に危機を回避してきたんだろうね。」
リスパリオ「だろうな・・・。」
ネニア「他に聞きたいことはある?」
リスパリオ「勿論だ。次はネニア。次の天使長候補は間違いなくあなただったはずだ。それが何故次の天使長はビランチになっている?」
ネニア「それは単純だよ。私が断ったからだ。」
リスパリオ「天使長の任を・・・ということか?」
ネニア「そうだ。」
リスパリオ「・・・因みに何故断ったのか聞いてもいいか?」
ネニア「大丈夫だ。理由はね。怖かったからだよ。最初天使長の任をチクエにやってほしいと言い渡された時私は絶対やりたくないって思った。その気持ちは最後まで変わらなかったけどビランチが代わりになるって言ったりセイやイプノが自分のことじゃないのに心配してくれたりしてるうちにそんな主張をしている自分が恥ずかしくなったんだ。けど結局ビランチが天使長に名乗り出て私は天使長にならなかった。ビランチは口では私を気遣ってくれていたけど内心は嫌だったはずだ。天使長がビランチになったのは私のわがままが原因なんだ。だから私は私なりに出来ることをしなければいけないって思ってる。」
リスパリオ「その出来ること・・・とは?」
ネニア「・・・随分とおかしなことを言っているかもしれないけどもしビランチが天使長として天界の者たちを危機に晒したり不当に虐げたりしたら私が真っ先に止めなきゃって思ってる。勿論ビランチはそんなことしないって信じてる。でもこの世界は“まさか”とか“そんなことが”といったことが起きる。そんな世界で更に上回る為には屈辱的なことでも苦虫をかみつぶしてでもやらなきゃいけないことも出てくると思う。チクエだって消えるのは嫌だったはずだ。それなのにこんな頼りない私たちに託すことを選んで消えていったんだ。だから私たちも覚悟しなくちゃいけない。いざという時はビランチを消してでも止めるといった誰も報われないような覚悟を。」
リスパリオ「・・・そうだな。」
ネニア「リスパリオにはある?そういった覚悟みたいなもの。」
リスパリオ「・・・どうだろうな。」
ネニア「・・・私はあると思うよ。覚悟。」
リスパリオ「何故だ?」
ネニア「だって権天使で熾天使に真正面からものを聞きに来るなんて普通だったら出来ないからね。」
リスパリオ「笑。」
ネニア「だからリスパリオは自分でも気付かないくらい覚悟が日常化してるんだよ。」
リスパリオ「熾天使にそう言ってもらえるとは光栄の極みだな。」
ネニア「笑。」
リスパリオ「ま、俺は断じて普通だがな!」
ネニア「〝やっぱそこは認めないんだ・・・汗。〟」
~~~~~
オッソ「あれ?ラーナはいないの?」
フォルテ「彼はセイの所に行っているよ。」
オッソ「そうなの。またまやかしの練習?」
フォルテ「らしいね。セイは“彼は私以上に才能があります。”って言ってたから。」
オッソ「それはご苦労様ね。」
フォルテ「そうだね。それで君はこんなところまできてどうしたんだい?」
オッソ「暇なの。」
フォルテ「イプノたちはどうしたんだい?」
オッソ「イプノはグラントに連れていかれたしプロイビーはフェアの所に行っちゃった。」
フォルテ「ニエンテは?」
オッソ「彼はイプノたちがいなくなる前に一人でフラフラどっか行っちゃったわよ。」
フォルテ「そうか。」
オッソ「だからさ、暇なのよ。」
フォルテ「暇だから・・・なんなのさ?」
オッソ「ちょっと手合わせしてよ。」
フォルテ「・・・君とはあまりやりたくないんだけどな。」
オッソ「何で?」
フォルテ「色々とやりづらい。」
オッソ「それは苦手と取っていいの?」
フォルテ「前言撤回。やろうか。手合わせ。」
オッソ「笑。じゃああなたから来て良いわよ。」
フォルテ「ハンデのつもりかい?」
オッソ「そのつもり。」
フォルテ「相変わらず嫌な奴だね。」
オッソ「それ面と向かって言う?」
フォルテ「事実じゃないか。」
オッソ「そう固いから色々やりづらいんじゃなくて?」
フォルテ「それは関係ないだろ?」
オッソ「どうかしらね?」
フォルテ「それより君の攻め方は実にいやらしい。」
オッソ「あらどういうところが?」
フォルテ「細々してるところさ。」
オッソ「それを言ったらあなたの鎖も中々のいやらしさよ。」
フォルテ「どこがだい?」
オッソ「どこから来るか分からないところ。持ってる鎖だけじゃなくて空間から突然出てくるなんて下手に大技が出せないじゃない。」
フォルテ「当然だ。出せないようにしてるんだから。」
オッソ「でもこの鎖本来は攻撃用じゃないでしょ?」
フォルテ「・・・何が言いたいんだい?」
オッソ「鎖って本来拘束具よね?ということはあなたの鎖は私を拘束する為にあるはず。」
フォルテ「だから?」
オッソ「だから拘束出来ていない時点であなたの負けじゃない?」
フォルテ「そんなことはないよ。」
オッソ「何故?」
フォルテ「だって君を拘束してるからさ。」
オッソ「どういうことかしら?」
フォルテ「君は僕が出す無数の鎖の対処に追われて僕を攻撃する暇が無い。違うかい?」
オッソ「・・・なら本当に暇がないか試してあげるわ。」
そう言うとオッソは無数の鎖の包囲網を抜け突っ込んできた。
フォルテ「!」
オッソ「〝・・・早い!〟」
フォルテは突っ込んできたオッソを蹴り飛ばした。
フォルテ「ごめんね。肉弾戦もそこそこ出来るんだよ。」
オッソ「何謝ってるの?もしかして勝った気でいるのかしら?だったらちゃんちゃら甘いわよ?」
フォルテ「!」
そう言うとオッソは右手の長剣でフォルテに切りかかった。
オッソ「〝なっわざと入り込んで手元を止めようと・・・。〟」
しかしフォルテはオッソの手元を抑えることで長剣を止めようとした。
フォルテ「〝ん、寸前で手元が止まった・・・ということは次来るのは・・・。〟」
しかしオッソは右手をすんでのところで止め代わりに左手の短剣をフォルテの腹に振りぬいた。
オッソ「はっ!」
しかしオッソが振りぬく直前にフォルテは地面を蹴り後ろに飛ぶことで直撃を防いだ。
フォルテ「・・・少し掠ったか。」
オッソ「・・・もう何よ。これも対応出来るの?あなた。」
フォルテ「・・・まあね笑。」
オッソ「ドヤ顔しないで。ムカつく。」
フォルテ「笑。」
オッソ「あーもうやめよ。つまんない。」
フォルテ「前回勝てたから次も勝てると思ったんだろ?」
オッソ「そうよ。」
フォルテ「でも甘かったね。もう前回の僕とは違うのさ。」
オッソ「・・・律儀に修行でもしてたのかしら?」
フォルテ「どうだろうね?」
オッソ「してたんでしょ?」
フォルテ「さあね。まぁ逆に君は随分とさぼってたみたいだね。前より弱くなったんじゃないかい?」
オッソ「ふん。次は勝つわよ。」
フォルテ「そうか笑。〝にしてもビランチは今頃何をしているのだろうか・・・。〟」
~~~~~
グラント「ねぇあれきれいじゃない?キラキラ光ってて!」
イプノ「そうだね。」
グラント「もう何よ!せっかく連れてきたのにその態度。」
イプノ「別に連れてきてほしいって頼んでないだろ?」
グラント「もうほんと可愛くないわね!あなた。」
イプノ「うるさいなぁ・・・はいはいきれいだね。きれいだよ。エネルギーの爆発は。」
グラント「そんな嫌嫌言われても全然嬉しくないわ。」
イプノ「〝めんどくさいなぁ・・・〟!」
ビランチ「(イプノ。今大丈夫?)」
イプノ「(大丈夫だよ。どうしたのかな?)」
ビランチ「(ちょっと手伝ってほしいことがあるの。詳しくは上神域で話すからとりあえず来てくれる?)」
イプノ「(分かった。すぐ行くよ。)」
ビランチ「(お願いね。)」
イプノ「(ああ。)」
グラント「ねぇイプノ。どうしたの?」
イプノ「天使長であるビランチからの呼び出しだ。悪いんだけどグラント。無の空間は君一人で見てくれたまえ♪」
グラント「え?」
イプノ「じゃ!」
グラント「あ、ちょっ!・・・もうせっかくイプノと見に来たのに・・・次はプロイビーでも誘おうかしら。というかビランチは何の用でイプノを呼んだんだろう?」
~~~~~
チクエ「やぁ久しぶりだね。ビランチ。ネニア。」
ビランチ「久しぶりって・・・あなた消えたんじゃなかったの?」
チクエ「僕もそうだと思ったんだけどね。何故かここに居る。」
ネニア「・・・本当にチクエ?」
チクエ「そうだよ。」
ネニア「嘘だ。チクエは消えた。今からそれを証明して見せる。」
チクエ「どうやって?」
ネニア「チクエなら私たちが二人で攻撃しても及ばない。」
チクエ「・・・そうだね。じゃ早速やってみると良いよ♪」
ビランチ「ししょー。その言い方チクエと言うよりイプノっぽく無いですかー?」
チクエ「・・・かもしれないですね。しかしラーナ。あなたも指摘する際に言い方が戻っています。どうせ演じるのなら最後まで努めなさい。」
ビランチ「はいー。すいませんー。」
セイ「・・・ふぅ私としたことが弟子より先にぼろを出してしまうとは油断しました。」
ラーナ「でもししょーも中々良い線言ってましたよー?」
セイ「ラーナ。それは本来私が言うセリフです。」
ラーナ「そうですかー?」
セイ「ええ。〝!〟」
ラーナ「どうしましたー?」
セイ「ビランチからの意識通信です。(どうしました?ビランチ。)」
ビランチ「(ちょっと手伝ってほしいことがあって。詳しくは上神域で話すからとりあえず来てもらっていい?)」
セイ「(構いません。)」
ビランチ「(ありがとう。じゃお願いね。)」
セイ「(あ、切る前に一つ。)」
ビランチ「(何?)」
セイ「(予知はどうなりました?)」
ビランチ「(モルテに出たからネニアと封じたわ。)」
セイ「(成功したんですね?)」
ビランチ「(ええ。ごめんね、心配かけたわ。)」
セイ「(いえいえ。)」
ビランチ「(じゃあまたあとでね。)」
セイ「(はい。)」
ラーナ「終わりましたー?」
セイ「ええ。」
ラーナ「ビランチ何の用だったんですかー?」
セイ「取り敢えず上神域に来てほしいと。なので修業は一旦中止です。」
ラーナ「了解ですー。」
セイ「では早速失礼します。」
ラーナ「はいー。」
~~~~~
イプノ「来たよ!ビランチ。」
ビランチ「あら早速。ありがと。」
イプノ「良いんだよ。寧ろ助かった笑。」
ビランチ「?」
イプノ「グラントに連れ回されてたんだ。抜ける良い口実が出来た。」
ビランチ「そう笑。」
イプノ「それで手伝ってほしいことって何だい?」
ビランチ「それはちょっと待ってくれる?その件で今セイも呼んでるから来たらまとめて話すわ。」
イプノ「分かった・・・ところでビランチ。予知はどうなったんだい?もう出たのかい?」
ビランチ「出たわ。」
イプノ「・・・誰に出た?」
ビランチ「モルテ。」
イプノ「・・・成程。天界で唯一力を持たない天使に出たか。」
ビランチ「ええ。でももう大丈夫よ。ネニアと一緒に封じたから。」
イプノ「・・・そっか。ビランチ。君の方はどうだい?」
ビランチ「?」
イプノ「体調だよ。何せ今回は色々とイレギュラーなことが多いすげ替えだ。もしチクエの勘が外れて天使長のすげ替え要因が予知じゃないとしたら・・・。」
ビランチ「そこも今のところ大丈夫そうだわ。私の体調も万全。」
イプノ「なら良かった。」
セイ「お待たせしました。」
ビランチ「大丈夫よ。待ってないわ。」
セイ「それで手伝ってほしいこととは?」
ビランチ「星の作成よ。」
セイ「星の作成・・・ですか?」
ビランチ「ええ。天使長だけに許された特権の一つ。世界創造の権利。今回はこれを行使するわ。」
イプノ「・・・星を作るのかい?」
ビランチ「ええ。」
イプノ「随分と早くないかい?」
ビランチ「今回は試運転よ。」
イプノ「試運転?」
ビランチ「星を作る過程を色々確認する為の試運転。」
セイ「成程。今回は星を作ることが目的ではなく星を作る過程を実際に行い知ることが目的なんですね。」
ビランチ「そう。」
イプノ「でも何でまた星を作ろうと思ったのさ?」
ビランチ「シェンスに何時か星を作ってほしいって頼まれててね。それを行う為にちょっとね。」
イプノ「シェンスは何の目的でそれを頼んだのかな?」
ビランチ「・・・あんまり言いたくないんだけど私たちと同じ姿をした無能な存在を作る為にそれを入れる世界が必要なのよ。」
セイ「・・・何ですか?それ?」
ビランチ「シンプルに言うと下位天使への皮肉。」
イプノ「・・・つまり無能に“無能でしょ?”って言う為に世界を作ってほしいと?」
ビランチ「そう。まぁ私としては時間はいくらでもあるし世界を創る練習にもなるし下位の天使たちの変化のきっかけにもなるからやらないよりはやってみようかと思ってるんだけど・・・。」
イプノ「・・・まぁ僕たちはどっちでもいいけどそうすると色々大変なんじゃないのかい?」
ビランチ「正直言うと結構大変。」
セイ「あまり無理しないでくださいね?汗。天使長はただでさえ苦労が多いんですから・・・。」
ビランチ「まぁ無理せずやるつもり。ちゃんと段階を踏んでね。」
イプノ「そっか。だから試運転するんだね。」
ビランチ「そう。無理せず精度の高いものを作れるように色々と知ってから作った方が良いと思って。」
セイ「まぁただ星を作るだけならすぐ出来るでしょうけどその中に私たちのように独立して活動する存在をいれるとなると色々と試運転は必要でしょうね。」
ビランチ「でしょ?今までの天使長はやってこなかった未知の領域だから慎重にいきたいの。」
セイ「そうですね・・・。」
ビランチ「じゃあ早速始めていきたいんだけど・・・。」
イプノ「どうすればいいんだい?」
ビランチ「ごめんね。私も分からないの。」
セイ「・・・そうなんですか。」
ビランチ「どうしようかしら?」
イプノ「・・・何か説明書とかないのかい?」
ビランチ「?」
イプノ「ほら世界創造の手順が載った本みたいなの。」
ビランチ「・・・あるのかしらね?」
イプノ「宝物庫とかに行けばあるんじゃないのかい?」
セイ「そしたら早速行ってみましょう。悩むより行動です。」
ビランチ「そうね。」
~~~~~
イプノ「・・・あったかい?」
ビランチ「今のところないわね・・・。」
イプノ「神力とはとか色々な神力の説明書は出てくるんだけどね・・・。」
セイ「そういえばビランチ。予知神力を封じたんでしたよね?」
ビランチ「ええ。封じたわよ。」
セイ「そしたらその時に予知神力について何か分かったことなどはあるんですか?」
イプノ「確かにそれは僕も気になってた。ここには様々な神力の説明書があるけど予知神力だけはないからね。」
ビランチ「まぁそれは神力の希少性とそれの仕組みを理解出来る天使が今までいなかったからでしょうね。」
セイ「・・・ということは分かったことがあるんですね?」
ビランチ「ええ。」
イプノ「・・・どんなことが分かったんだい?」
ビランチ「神力の構造よ。」
イプノ「どんな構造何だい?」
ビランチ「色々とぶっ飛んでるわよ。まず仕組みとしては魂が肉体から離れて未来に行きその魂が神力の力を使って未来を固定している。」
イプノ「・・・確かにぶっ飛んでるね汗。」
ビランチ「幽体離脱からの時間移動。そしてその間の肉体維持。更に未来が現在に至るまでの固定。これらを無意識に一瞬で強制的に行うのが予知よ。実際彼の体を見た時多大な神力を消費した形跡と魂が強制的に肉体から剝がされたような形跡があった。」
セイ「・・・成程。どうりで天使長が代々短命なわけですね。」
ビランチ「ええ。いくら不死とはいえそれは普通に過ごしてるからこそ。一つでも神力の消費はなるべく避けたいのにそれを複数に一瞬で消費するなんて無理が過ぎるわ。」
イプノ「・・・封じれてほんと良かったね。」
ビランチ「ええ・・・あったわ!」
セイ「ホントですか⁉」
ビランチ「ええ。ほら!」
イプノ「世界創造の手順・・・まさかただの紙切れとはね笑。」
ビランチ「まぁそれも仕方ないかもね。なんせここ10億年くらいは世界なんて碌に作ってなかったから。」
セイ「チクエの時は作ってませんでしたしその前も作ってませんからね。」
ビランチ「とりあえず持ち帰りましょ。」
イプノ「ああ。」
~~~~~
フルート「・・・あ!」
イプノ「おやフルート。何しに来たんだい?」
セイ「また盗みですか?」
フルート「あ、いや・・・えっと・・・。」
ビランチ「フルート。もうここには来ないようにって言ったわよね?」
フルート「そ、そうだったっけ?」
ビランチ「はい両手を前に出して。」
フルート「・・・はい泣。」
ビランチ「30分拘束ね。少し反省なさい。」
フルート「・・・はい泣。」
イプノ「フルート。君来ちゃダメだったのか笑。」
フルート「みたい・・・だな笑。」
ビランチ「もう笑ってる場合じゃないでしょ?」
フルート「す、済みません汗。」
ビランチ「これからはここに来る度に30分追加していくからね?」
フルート「・・・はい汗。〝次からはもうちょっと慎重に行かねぇと・・・。〟」
イプノ「じゃ行こう。ビランチ。」
ビランチ「ええ。」
セイ「まったく笑・・・程々にするんですよ?」
フルート「はい!」
イプノ「笑。」
~~~~~
グラント「ビランチおつー!」
ビランチ「あれグラント?」
イプノ「げ、何でいるのさ⁉」
グラント「だってあなたが途中で逃げちゃったから暇になっちゃったんだもん。」
ドラーク「・・・私もいるわよ。」
イプノ「ドラーク〝・・・心なしか少しやつれてるような。〟」
ラーナ「ドラーク。お疲れみたいですねー。」
ドラーク「そりゃずーっと同じ話聞かされればね・・・。」
ラーナ「だそうですー。グラント。」
グラント「え?私のせい?」
ドラーク「ところでビランチたちは何してたの?」
ビランチ「世界を創る為の勉強みたいなもの。」
グラント「勉強?」
ビランチ「ええ。」
ドラーク「それってシェンスのやつ?」
ビランチ「そう。」
イプノ「何だドラーク。知ってたのか。」
ドラーク「シェンスが言いに来た時その場にいたからね。」
グラント「何々?何の話?」
ドラーク「世界を創るのをビランチに頼んだ話。」
セイ「で、その時のシェンスはどんな感じでした?」
ドラーク「プンスカよ。下位の天使が傲慢なのが気に入らないんだって。」
イプノ「だからってその皮肉に世界創造は壮大過ぎるけどね笑。」
ドラーク「わたしもそう思う笑。」
グラント「で、それ何なの?」
ビランチ「世界創造の手順。」
イプノ「・・・役に立ちそうかい?」
ビランチ「・・・なんとか。どうやら最初の手順だけはここに載ってるけどそれ以外はないわね。」
ラーナ「なんか本の一ページみたいですねー。」
イプノ「・・・失敗したな。もう少し探しとけば良かったかな?」
セイ「いやあれ以上探しても多分見つかりませんでしたよ。」
ビランチ「そうね・・・これの他には神眼神力とか道具を使う際の神力付与とか神力関係しか散らばってなかったし。」
ドラーク「そしたらこれでやるしかなさそうね。」
ビランチ「ええ。」
セイ「で、その手順にはなんと書いてあるのですか?」
ビランチ「まず星を生成する場所としては十分に広い無の空間で行うこと。とあるわ。」
グラント「他には?」
ビランチ「・・・星の生成に必要なのは神力を圧縮した物質引き寄せ効果のある核が必要になるって。」
ドラーク「・・・それだけ?」
ビランチ「あとは・・・待てば出来る。って・・・。」
ラーナ「とてもシンプルですねー。」
イプノ「シンプルというよりさっくりし過ぎだろ!」
ビランチ「引き寄せ効果のある核って・・・どうやって作ればいいのかしら?」
セイ「・・・引き寄せの効果のある神力を使うことの出来る天使に聞きに行けばいいのでは?」
ビランチ「だとしたらグラヴィーネかチュル、チェルあたりね・・・。」
ドラーク「ちょっと待って!」
イプノ「何だい?」
ドラーク「引き寄せ効果の神力が使えなきゃいけないなんてそれに書いてあるの?」
イプノ「書いてはないけど・・・でもそうじゃなきゃ作れないんじゃないかい?」
ドラーク「それは違うんじゃない?」
セイ「何故?」
ドラーク「だってそしたら今までの天使長が星を作って来たのはどうなるの?」
ラーナ「確かにおかしいですねー。もしグラヴィーネやチュル達のような神力が星の生成に必要不可欠なら代々天使長はそれらの神力を所有してるはずですからー。」
セイ「でもチクエは持っていませんでしたよ?」
ビランチ「それにチクエも前の天使長も星なんて作ってなかったし・・・。」
ドラーク「それじゃあやっぱり必要なの・・・?」
イプノ「そうなんじゃない・・・?」
セイ「必要だと考えればここ最近星が作られなかったのも説明がつきます。」
グラント「・・・ちょっと待って!」
ビランチ「何?」
グラント「ビランチ!後ろにも何か書いてあるよ⁉」
ビランチ「え!嘘⁉」
イプノ「何々・・・引き寄せ効果のある核は重神力や陰神力を持たなくとも神力自体をある一定の高さまで圧縮させれば自然と作ることが出来る・・・。」
グラント「やっぱ特定の神力が無くても作れるんだよ!」
イプノ「・・・にしても小さいな。」
セイ「ええ。もっと大きく書いといて欲しかったですね。」
ビランチ「グラント。こんなの良く見つけたわね・・・。」
グラント「へっへ~~ん!そこだけ赤かったから気になっただけよ!」
イプノ「にしてもこれで世界が作れそうだね。」
ドラーク「ええ。けど少し気になることが。」
グラント「ある一定の高さ・・・でしょ?」
イプノ「ああ。これが一体どれくらいなのか。分からない。」
ビランチ「まぁそれはもう試して探してみるしかないわね。」
セイ「じゃあ行きます?」
ビランチ「ええ。二人とも付き合ってくれる?」
イプノ「勿論!」
~~~~~
ビランチ「じゃあまずは私一人で軽くやってみるわね?」
イプノ「ああ。」
ビランチ「・・・・・・・・・。」
セイ「・・・どうですか?」
ビランチ「何も変化なしね。」
イプノ「神力が集まってるのは可視化出来てるんだけどね。」
ビランチ「じゃあ次。フルパワーでやってみるわ。」
セイ「はい。」
ビランチ「・・・・・・・・・。」
イプノ「・・・おっ!周囲の空間が・・・。」
セイ「ゆがみ始めましたね・・・。」
ビランチ「・・・けど物質の引き寄せまではいかないわね!」
イプノ「そうだね。」
ビランチ「あと核の位置をもう少し私たちから離した位置で作らないと巻き込まれそうね。」
セイ「それは私も思いました。微かですが引力のようなものを感じました。」
イプノ「ビランチ。体力はまだ大丈夫そうかい?」
ビランチ「ええ。でも一通り試したら今回は一旦戻るわ。」
イプノ「了解。」
ビランチ「じゃあ次。次は二人の神力も貸してくれる?」
イプノ「どうすればいい?」
ビランチ「私の肩に手を置いてくれる?」
セイ「何割でいきます?」
ビランチ「最初3割。あと7割で頂戴。」
イプノ「分かった。」
ビランチ「・・・・・・・・・。」
イプノ「〝・・・おっこれは・・・!〟」
セイ「核を中心に周囲の現象がゆがみ始めましたね・・・!」
ビランチ「・・・意外とコントロールが難しいわね・・・!」
イプノ「大丈夫かい?」
ビランチ「・・・・ふぅ。今日はここで止めとくわ。」
セイ「そうですね。ここは無の空間です。余裕を見といた方が良い。」
イプノ「で、どうだい?いけそうかい?」
ビランチ「次は恐らくね。感覚はつかんだわ。」
イプノ「結局3割も持っていかなかったね。」
ビランチ「これ以上やると後戻り出来なさそうだったの。」
イプノ「成程。」
セイ「じゃ早速戻りましょう。」
ビランチ「ええ。」
~~~~~
ネニア「〝久々に一人だ・・・嬉。〟」
ヴィーゴ「ネニア!」
ネニア「・・・ヴィーゴ。」
ヴィーゴ「そんなあからさまに嫌な顔しないでよ・・・泣。」
ネニア「だって・・・。」
ヴィーゴ「一人で寂しかったんじゃないの?」
ネニア「違うよ。やっと一人になれたと思ってたんだ。」
ヴィーゴ「・・・そっか。」
ネニア「で、何の用かな?」
ヴィーゴ「・・・率直に聞くよ。天使長を断ったのかい?」
ネニア「そうだよ。」
ヴィーゴ「何で断ったんだい?」
ネニア「やりたく無かったから。」
ヴィーゴ「そっか。」
ネニア「・・・それだけ?」
ヴィーゴ「何が?」
ネニア「いや聞きたいことはそれだけなの?」
ヴィーゴ「うん。それだけだよ!」
ネニア「そっか・・・。」
~~~~~
グラント「お疲れ!どうだった?」
ビランチ「コツは掴んだわ。」
ドラーク「なら良かったわ。」
ビランチ「早速だけど私は休むから暫く放っておいてね。」
ドラーク「了解。」
グラント「で、どんな感じだったの⁉」
セイ「星の生成ですか?」
グラント「そう!」
ラーナ「僕も少し気になりますねー。」
ドラーク「話しなさいよ。ビランチは寝ちゃってるから知ってんのはあなたたちしかいないし。」
イプノ「そうは言っても僕らも力を貸した程度だからあんまり詳しくは話せないよ?」
グラント「それでも構わないわ!」
イプノ「・・・じゃあ話すよ。」
ドラーク「収穫としてはどうだったの?」
セイ「ビランチは次はいけそうだと言ってました。」
ラーナ「どんな感じで試運転したんですかー?」
イプノ「まずはビランチが一人で軽く生成を試みた。」
グラント「それで?」
セイ「白い核のようなものが視認出来る程度でした。」
イプノ「次にフルパワーで生成を行った。」
セイ「結果周囲の空間が歪み微かに歪みを感じる程度でした。」
グラント「一番の神力を持つビランチでもそれがやっとなんだ・・・。」
ドラーク「〝・・・〟要するにビランチ一人じゃ世界創造をすることすら出来ないってこと?」
セイ「そういう事です。」
ラーナ「って考えると昔の天使長たちって化け物ですねー。」
イプノ「そうだね。昔は天使長一人で星を作ったり世界の均衡を保ったりしてたけどあれって僕たちじゃ想像もつかない程の神力がないと出来なかったんだね。」
ドラーク「ホントよね。それにここ最近星が作られなくなったのにも何か妙に納得がいったわ。」
ラーナ「単純に神力が足りないから作れなくなったってことですかー?」
ドラーク「そうでしょ。だって三つか四つ前の天使長なんて幾つも星を作ってたし。」
グラント「・・・そうね。そう考えると確かにバケモンだわ。」
イプノ「まぁでもこれからは昔と違って協力出来るわけだし結果オーライじゃない?」
グラント「そうね♪」
~~~~~
ウーノ「ネニア。」
ヴィーゴ「あ、君は・・・!」
ウーノ「ウーノだ。」
ヴィーゴ「どうしたんだい?こんなところまできて!」
ウーノ「少し退屈でなここまで来たんだ。」
ヴィーゴ「そっか!」
ネニア「〝・・・また来たよ。〟」
ウーノ「これからは下位の天使でも天使長に意見出来るようになったと聞いてそれならこうして一緒にいるのも許されるかと思って来たんだ。」
ネニア「そう。」
ウーノ「・・・駄目だったか?」
ネニア「いや別に・・・。」
ヴィーゴ「あ、ネニアは気にしなくていいよ!彼女は一人でいるのが好きみたいだから!」
ウーノ「〝それなら気にした方が良いんじゃ・・・。〟」
ネニア「〝・・・それあんたが言うことじゃないだろ・・・ちぇっ。〟気にしなくていいよ。私は少し休むから二人で話してて。」
ウーノ「あ、あぁ・・・。」
ヴィーゴ「じゃ話そうか!」
ウーノ「そ、そうだな・・・〝静かに話そう。〟」
~~~~~
ビランチ「・・・ッ・・・。」
グラント「あ、ビランチ!」
ラーナ「お目覚めみたいですねー。」
イプノ「ゆっくり休めたかい?」
ビランチ「ええ大分ね。」
セイ「ではまた行きますか?」
ビランチ「いやもう少し待って。まだ頭がホワホワするから。」
セイ「分かりました。」
ドラーク「にしても星を作るのは想像以上に大変そうね。」
ビランチ「まあね。セイとイプノから神力を借りないと作ることすら出来なそうだからね。」
グラント「でもこれから色々と試行錯誤して無事星を作れるようになったらまず最初に何を入れるの?」
ビランチ「まずは下位の天使たちに入ってもらって感想を聞くつもり。」
グラント「そうなんだ。」
ビランチ「・・・そろそろ行けそうだわ。」
イプノ「そっか。じゃ行こうか。」
ビランチ「ええ。」
~~~~~
ビランチ「じゃ早速始めるわよ!」
イプノ「ああ!」
セイ「ええ!」
ビランチ「・・・・・・・・・!」
イプノ「・・・結構持ってかれるね!」
ビランチ「・・・ごめんね!少し耐えてくれる?」
セイ「分かりました・・・!」
ビランチ「・・・・・・・・・よし!」
イプノ「物質の引き寄せが始まったね・・・!」
ビランチ「ええ!」
イプノ「もう神力はいいのかい?」
ビランチ「ええ。もう注がなくても勝手に集まってくれているみたいだから今は放置してるわ。」
セイ「そうですか。〝ん?あれは・・・。〟」
イプノ「・・・ビランチ。何か歪んできてないかい?」
ビランチ「そう?多分変化の途中だからこれでいいんじゃないの?」
セイ「ですが星の生成にしては少し違和感があるんですよね。」
ビランチ「どういうこと?」
セイ「良く見てください。物質や現象だけでなく核自体も歪み始めています。」
ビランチ「・・・確かに。」
セイ「・・・これでいいのですかね?」
ビランチ「・・・さぁ・・・―。」
キーン!
セイ「〝!〟」
イプノ「おいこれ爆発するんじゃないのかい⁉」
ビランチ「え⁉」
セイ「まずいですよ!」
イプノ「ビランチ!セイ!ここからなるべく遠くに・・・!」
そう言ってイプノはビランチとセイの服の襟を掴み全力で光る核から離れた。
ビランチ「今からじゃもう間に合わないわ!」
ドン!
ビランチ「・・・・?」
セイ「・・・どういうことですか?」
ビランチ「何で私たちはこんな遠くにいるの・・・?」
イプノ「・・・ふぅ。」
ビランチ「イプノ・・・あなた今何かした?」
イプノ「・・・いや。ただ・・・。」
セイ「ただ・・・何です?」
イプノ「この場所ぐらいまで離れるよう強く念じながら移動はした。」
ビランチ「そしたら念じた通りここまで飛んだってこと?」
イプノ「・・・ああ。」
ビランチ「・・・ということは空間移動が使えたということ?」
イプノ「多分。じゃないとこの距離を一瞬で離れることなんて出来ない。」
セイ「確かに翼で飛ぶには遠過ぎる距離ですよね。」
ビランチ「とりあえず助かったわ。イプノ。」
イプノ「あ、あぁ・・・。」
セイ「・・・・戻ってみますか?」
ビランチ「いや待って!何か流れてきてるわ!」
セイ「これは・・・!」
イプノ「恐らく星生成の爆発の際に生まれたものだろう!」
ビランチ「セイ!イプノ!私の空間固定で全部止めるから下手に動かないで!」
イプノ「けどそれにしては範囲が広過ぎるよ!」
ビランチ「でもそれしかないわ!」
セイ「〝クッ!私にこの黒い靄を払う力があれば・・・!〟」
ビランチ「まずいわね・・・空間固定が追い付かないわ!」
イプノ「・・・そしたらもう一度僕が空間移動を・・・。」
ビランチ「そんなさっきしたばかりで出来るの?」
イプノ「分からない!でもやらない——〝・・・炎?〟」
セイ「イプノ、ビランチ。少しじっとしていてください。」
ビランチ「セイあなたその炎・・・!」
セイ「私もイプノと同じように新しい神力が使えるようになったようです。今からここら一帯を炎で包むので少しじっとしていてもらえますか?」
ビランチ「わ、分かったわ・・・!」
セイ「・・・・・・!」
イプノ「・・・ふぅ助かったよ。セイ。」
セイ「いえいえ。」
ビランチ「・・・戻りましょうか。」
イプノ「そうだね。これ以上はどんな危険が降りかかるか分からない。」
セイ「それに今のように運良く対処出来るかも分かりません。戻りましょう。」
ビランチ「ええ。」
~~~~~
グラント「お帰り!」
ラーナ「どうでしたー?」
ビランチ「結果から言うと失敗ね。」
ドラーク「まぁそう簡単にはいかないわよね。」
イプノ「ああ。」
セイ「無事帰ってこれましたよ・・・。」
グラント「何?そんな危険な感じだったの?」
イプノ「危険なんてもんじゃないさ!危うく消えるかもしれなかったんだ!」
ラーナ「星の生成。思っているより随分と大変なんですねー。」
イプノ「ああ。しかも変な黒い靄も出てきたし・・・。」
セイ「何だったんでしょうね・・・あれは・・・。」
ドラーク「分析とかはしなかったの?」
イプノ「それを出来るような状況じゃなかったからね。」
グラント「へぇ・・・。」
イプノ「流れとしては星の生成は一旦成功したかのようには見えたんだけど直後にその星が爆発してね。」
グラント「え?爆発には巻き込まれなかったの⁉」
セイ「イプノのお陰で何とか。」
イプノ「・・・空間移動が発現してね汗。」
グラント「え、あんた空間移動が出来るようになったの⁉」
イプノ「・・・ああ汗。」
ラーナ「じゃあ見せてくださいよー。」
イプノ「ちょっと待ってね・・・。」
グラント「・・・あれ⁉消えた!」
イプノ「上だよ!みんな!」
グラント「・・・ほんとに出来るようになったんだ・・・。」
イプノ「よいしょ!・・・とまぁこんな感じだ。」
セイ「これのお陰で何とか爆発自体の被害は受けずに済んだんですが・・・。」
イプノ「その後にその核爆発の周辺に変な黒い靄が広がり始めてね・・・。」
ビランチ「それはセイの神炎で何とかなったのよ。」
グラント「え?セイも新しい神力を発現したの⁉」
セイ「・・・ええ笑。」
グラント「・・・いいなぁ。」
ビランチ「ま、そういうわけで一回目の生成は失敗したわ。ごめんね。二人とも。」
イプノ「良いよ♪中々にスリリングだった笑。」
セイ「私も貴重な経験が出来ました笑。」
ビランチ「それなら良かったわ。」
セイ「次はどうします?」
ビランチ「次は・・・勿論やろうと思ってるけどあなたたちは休みなさい。」
イプノ「・・・それは助かるんだけど・・・君の神力は大丈夫なのかい?」
ビランチ「それは大丈夫。今回はあなたたちの神力コントロールにしか神力は割いてないから。」
セイ「成程笑。それで今回は前回より神力が吸い取られた感じだったんですね笑。」
ビランチ「ごめんね。事前に言わなくて。」
イプノ「良いよ。そのやり方の方がお互いウィンウィンだ。」
ビランチ「そう言ってもらえると助かるわ汗。」
グラント「じゃあ次はセイとイプノ以外で行くの?」
ビランチ「そうなるわね。」
グラント「誰と行くの?」
ビランチ「フォルテとオルゴ。」
イプノ「・・・手堅い選択だね笑。」
ビランチ「でしょ?」
イプノ「じゃそういう事なら僕は遠慮なく休ませてもらうよ笑。」
ビランチ「ええ。暫く付き合ってもらってありがとね。」
イプノ「良いんだよ♪」
グラント「あ、私も行くー!ビランチ!またね!」
ビランチ「ええ笑。」
セイ「では私たちも行きますか。」
ラーナ「ですねー。」
セイ「では失礼します。」
ビランチ「セイもありがとう。」
セイ「楽しかったです笑。では。」
ドラーク「・・・私もそろそろ離れるわ。」
ビランチ「あらあなたも?」
ドラーク「ええ。ちょっとネニアの所に行こうかな?って。」
ビランチ「成程ね。」
ドラーク「じゃ失礼するわ。」
ビランチ「了解。」
~~~~~
ネニア「・・・んっ・・・。」
ヴィーゴ「でさ、イプノはグラントに引っ張られてたんだよ!」
グラヴィーネ「それは災難ね笑。」
ソレ「でも普段通りの光景なんじゃないか?」
グラヴィーネ「だから災難なのよ。いつもいつも振り回されるイプノが可哀そうだわ!」
ソレ「成程笑。」
ウーノ「あ、ネニア。起こしてしまったか?」
ネニア「〝・・・増えてる。〟いやよく休めたよ。」
ウーノ「それならいいんだが・・・。」
グラヴィーネ「〝・・・〟ネニア。」
ネニア「何?」
グラヴィーネ「ビランチがさ、これからは上天使を通さず直接話を持ち掛けていいって言ってたけどそれってあなたにも適用していいの?」
ネニア「良いよ。」
グラヴィーネ「あれって天使長がビランチだから適用するとかじゃなくて?」
ネニア「・・・多分ビランチは天使長に直接意見していいってことを伝えたかったわけじゃないと思うよ。」
ヴィーゴ「どういうことだい?」
ネニア「ビランチはこれからの天界は階級の差を気にせず言葉を交し合えるようになってほしいって思いでそういったことを言ってるんだと思う。」
ソレ「成程。同じ天使として対等に・・・ということか。」
ネニア「うん。実際今までの天界は上天使・中天使・天使で明確なコミュニティの隔たりがあった。」
ヴィーゴ「そうだね。」
ネニア「そういった隔たりは悪いとは言わない。けど彼女が託された天界はそんなチクエが言うつまらない天界じゃない。きっと階級の隔てなくしっかりと考えの持った天使ならどんな階級だろうが天界全体の方向性に関与出来るようなそんな皆でワイワイ作っていく天界だ。」
ウーノ「そうか・・・。」
ネニア「私はわがままで天使長を降りた。だからビランチにとやかく言う権利なんてない。けどビランチが天界を作る手助けみたいなものはするつもり。」
グラヴィーネ「・・・そっか。何かちょっと見直したかも。」
ネニア「どういうこと?」
グラヴィーネ「前まで熾天使ってみんな上にどっかり君臨してるイメージがあったけど何か私たちと考えてることあんまり変わらないんだなって。」
ネニア「・・・そうかもね。」
ヴィーゴ「それよりさっきの話の続きしようよ!」
グラヴィーネ「そうね!」
ウーノ「ネニア。良かったらあなたもどうだ?」
ネニア「・・・そうだね。聞くだけならいいよ。」
ヴィーゴ「やった!じゃ次はフォルテとセイの話なんだけど・・・。」
ネニア「〝・・・みんなで何かするのもそんなに悪くないのかな。〟」
~~~~~
フォルテ「君何時までやるつもりだい?」
オッソ「私が勝つまで。」
フォルテ「・・・はぁ受けなきゃ良かった。」
オッソ「私は助かるわ。良い修行になるから。」
フォルテ「・・・プライドはないのかい?」
オッソ「全然。寧ろここで勝てれば実力の向上も目に見えるし勝ちも得られるから万々歳よ。」
フォルテ「全く・・・〝ん?〟」
オッソ「どうしたの?」
フォルテ「ビランチからの意識通信だ。(何だい?)」
ビランチ「(ちょっとこれから上神域まで来てくれる?)」
フォルテ「(何でだい?)」
ビランチ「(手伝ってほしいことがあるの。)」
フォルテ「(手伝ってほしいこと?)」
ビランチ「(通信だと長くなるから上神域で直接話したいんだけど・・・。)」
フォルテ「(分かった。少し私用を片付けたらすぐ行くよ。)」
ビランチ「(頼むわね。)」
フォルテ「(ああ。)」
オッソ「ビランチ何だって?」
フォルテ「手伝ってほしいことがあるから上神域まで来てくれだとさ。」
オッソ「そうなの。」
フォルテ「だから修行はここまでだ。」
オッソ「・・・それって私もついて行っちゃ駄目?」
フォルテ「・・・さあね。」
オッソ「でもビランチなら行っちゃえばもうなし崩しで許すわよね。」
フォルテ「かもね。」
オッソ「じゃあ私も行く。」
フォルテ「何で?」
オッソ「だって暇だもの。それにビランチが天使長として何をしようとしてるのか知りたいから。」
フォルテ「そうか。じゃ行こうか。二人で。」
オッソ「ええ。」
~~~~~
レナ「じゃお前たちかかってこい。」
アッズ「誰か一人でも一撃入れられたら何でも聞いてやるぜ?」
ヴェン「勿論手は抜きません。」
ペスト「・・・どうします?デーチ。」
デーチ「・・・レナとは俺がやる。」
ペスト「じゃあ俺たちはアッズとヴェンですね!」
デーチ「ああ。」
オルゴ「あ、ピオージャは俺とだ。」
ピオージャ「え⁉何で⁉」
オルゴ「流石にアッズとヴェン二人で三人相手にするのは荷が重いだろ笑。」
レナ「余計な気を回すな。」
アッズ「俺たち三人で十分だぜ!」
オルゴ「そうか?」
ヴェン「ええ。私たちはそんなに弱くありません。」
オルゴ「そうか笑〝・・・!〟」
レナ「どうした?」
オルゴ「ビランチからの意識通信だ〝・・・。〟」
トゥオ「ビランチ何の用でした?」
オルゴ「何か手伝ってほしいことがあるから来てほしいだとさ。」
レナ「そうか。」
オルゴ「だからやはり俺抜きでやってくれ。」
アッズ「言われなくても最初からそのつもりだぜ。」
オルゴ「そうか。じゃあな。」
レナ「おう。」
ヴェン「では覚悟は良いですか?皆さん。」
デーチ「勿論!」
~~~~~
フォルテ「来たよ。ビランチ。」
ビランチ「ありがとうフォルテ・・・ってオッソ?」
オッソ「暇だから来たわ。」
ビランチ「そ、そう。まぁいいわ。」
フォルテ「で、何の用だい?」
ビランチ「待って。あともう少しでオルゴも来ると思うから。」
オッソ「そうなの。」
オルゴ「来たぞ・・・ってフォルテたちもいるのか。」
オッソ「私は暇つぶしに来たの。」
フォルテ「で、改めて何の用で呼んだんだい?」
ビランチ「これから二人には星の生成を手伝ってもらおうと思ってるの。」
オルゴ「星の生成だと?」
オッソ「それって三世代くらい前の天使長がやってたアレ?」
ビランチ「そう。」
オルゴ「で、その星の生成は何の為にやるんだ?」
ビランチ「〝えっと・・・何の為だったかしら・・・〟確か私たちと同じ存在を作る為・・・なんだけど・・・。」
フォルテ「そうか。」
オルゴ「じゃ早速やろう。」
フォルテ「僕たちは何をすればいいんだい?」
ビランチ「神力を貸してくれればいいわ。その力で星の核を作るから。」
オッソ「待ってビランチ。あなた星の作り方知ってるの?」
ビランチ「ええ。少し前にセイとイプノで作ろうとした時に説明書を見つけてね。」
オルゴ「そうなのか。」
フォルテ「で、その説明書は今あるのかい?」
ビランチ「あるわよ。ほらこれ。」
フォルテ「・・・たった一枚だけかい?」
ビランチ「ええ。宝物庫で探しては見たんだけどこれしか見つからなかったわ。」
オルゴ「・・・だがこれは何かの本の一ページなんじゃないのか?」
ビランチ「多分そうだと思うんだけど・・・。」
フォルテ「そしたら改めて探してみた方が良くないかい?」
ビランチ「・・・そうね。二人とも付き合ってくれるかしら?」
フォルテ「構わないよ。」
~~~~~
ビランチ「・・・あらフェア。珍しいわね。」
フェア「〝げっ!〟あ、あぁ!ビランチ!また来たんですね!」
ビランチ「また・・・?」
フェア「あ・・・。」
ビランチ「・・・あなたフルートね。」
フェア「ち、違いますよ汗。」
ビランチ「じゃあ何で前回来たことを知っているのかしら?」
フェア「・・・智天使だから?」
ビランチ「はい一時間。」
フルート「・・・っちくしょー!」
オルゴ「お前懲りないな。」
フルート「だって宝物庫の中の物ってすっげー魅力的なんだもん!」
ビランチ「なら素直に申請してから来なさいな。」
フルート「けど・・・。」
ビランチ「別に絶対に見せないとは言ってないじゃない。」
フルート「でも駄目って言われてるほうが燃えるっていうか・・・。」
フォルテ「〝・・・成程。これはもう治らないな。〟」
ビランチ「もう・・・じゃ行きましょ。二人とも。」
オルゴ「ああ。」
~~~~~
ビランチ「・・・どう?あった?」
フォルテ「今のところないね。」
ビランチ「そう・・・。」
オルゴ「そういえば少し前にイプノ達とやったと言っていたがその時はどうだったんだ?」
ビランチ「その時は結果から言うと失敗したわ。」
フォルテ「どんな風にやったんだい?」
ビランチ「まずさっきの紙切れの書いてある通り核を作って安定させたと思ったんだけど直後に核が弾けてね。爆発しちゃったのよ。」
オルゴ「その爆発は大丈夫だったのか?」
ビランチ「ええ。イプノが空間移動の神力を発現させてその時は何とかね。」
フォルテ「へぇ・・・!」
ビランチ「けどその後に変な黒い靄が出たのよ。」
フォルテ「黒い靄?」
ビランチ「ええ。」
オルゴ「・・・それってこれに載ってるもののことか?」
ビランチ「オルゴそれ・・・。」
オルゴ「やはり一枚だけしかなかったがな。」
フォルテ「どれなんて書いてあるんだい?」
オルゴ「・・・埃がかぶってて黒い霧以外は良く見えないな。」
ビランチ「・・・他にはない?」
フォルテ「・・・無いみたいだね。」
ビランチ「じゃあ一旦持ち帰ってから見ましょ。」
フォルテ「そうだね。オッソも一緒に見れば何か分かるかもしれない。」
~~~~~
ビランチ「戻ったわ・・・ってあれ?」
レナ「よう、ビランチ。これからは上天使以外とも対等でありたいって言うから来てやったぞ。」
トゥオ「〝ホントに良かったのかな・・・。〟」
ピオージャ「よろしくっす!」
オッソ「ですって。良いの?ビランチ。」
ビランチ「〝レナって結構肝が据わってるわね・・・笑〟ええ勿論。大歓迎だわ。よろしくね。みんな。」
ペスト「よ、よろしくっす・・・。」
レナ「な?大丈夫だったろ?」
デーチ「〝ビランチの心が広くてほんと良かった・・・。〟」
オッソ「で、例のものは見つかったの?」
オルゴ「ああ。一枚だけな笑。」
オッソ「また一枚か・・・笑。」
オルゴ「ああ笑。」
ピオージャ「その紙切れ何すか?」
フォルテ「これはね、世界を作る為の説明書の一部だ。」
アッズ「世界を作る説明書?」
ビランチ「今後遠くない未来に三世代くらい前の天使長が行ってた世界創造をしようと思ってね。でもやり方が分からないから宝物庫に何か手引書が無いか探してたの。」
ヴェン「で、見つかったのがそれなんですね?」
ビランチ「ええ。あとこれも。」
アッズ「・・・たった二枚か。」
ビランチ「私たちもそう思うわ笑。」
ペスト「・・・この二枚で出来るんですか?」
ビランチ「何とかね。運良く世界の作り方の部分が見つかったから。」
オルゴ「その一枚目がそれだ。」
オッソ「・・・ちょっと見ていい?」
ビランチ「良いわよ笑。」
レナ「・・・この核ってよ、重神力か陰神力がないと出来ねぇんじゃねぇか?」
ビランチ「レナ。後ろの赤文字見て?」
レナ「後ろの赤文字?」
アッズ「あ、何か小さな文字で書いてあるぜ!」
デーチ「・・・こんなの良く見つけられましたね汗。」
ビランチ「それグラントが見つけたのよ笑。」
デーチ「そうなんですか笑。」
オルゴ「で、今回見つけたのがこれだ。」
トゥオ「それには何が書いてあるんですか?」
オルゴ「黒い霧についてだ。といっても俺たちもこれから読むんだが。」
フォルテ「・・・どうだい?ビランチ。」
オルゴ「お前の言ってた黒い靄と関係ありそうか?」
ビランチ「・・・ちょっと待ってね。」
オッソ「ねぇその黒い靄って何?」
フォルテ「ビランチが星の生成に失敗した際に見たやつだよ。」
オルゴ「星が爆発した時に出てきたんだと。」
ビランチ「・・・多分これであたりね。」
レナ「なんて書いてあるんだ?」
ビランチ「この黒い霧は星が寿命又は過度な外部負荷によって安定性を欠き崩れた際に発生する瘴気である。」
オッソ「・・・他には?」
ビランチ「ところどころ埃が取れなくて見えないけど決して触れてはいけないって書いてあるわ。」
オッソ「・・・何で触れてはいけないかは・・・。」
ビランチ「残念ながら見えないわね。」
ピオージャ「そうっすか・・・。」
フォルテ「でもこれを見る限りだとちゃんと星を作れば黒い霧は大丈夫なんじゃないかい?」
ビランチ「そうみたいね。」
フォルテ「じゃあ早速行くかい?」
ビランチ「そうね。オルゴ、フォルテ。行きましょう?」
オルゴ「おう。」
~~~~~
フルート「3・2・1・・・よっしゃ!取れた!早速行くぜ!」
~~~~~
フルート「流石のビランチもこんな直ぐには来ねぇだろ~♪・・・あれ?こりゃ・・・黒い霧の特徴?何々・・・この黒い霧は決して触れてはいけない。ましてや吸ってもいけない。もし仮に触れてしまえば体の自由が利かなくなり吸い込んでしまえば知恵を脅かすからである。そしてこの黒い霧は崩壊の際だけでなく生成まもなくしてからも発生することがある?ひぇ~~何かおっかねぇ代物だなぁ〝・・・でもこれ何の説明書だ?〟」
~~~~~
ビランチ「じゃ始めるわよ。」
フォルテ「ああ。」
オルゴ「おう。」
ビランチ「・・・・・・・・・!」
フォルテ「結構吸われるね・・・!」
ビランチ「ごめんね!もう少しだけ耐えてくれる⁉」
オルゴ「了解だ・・・!」
ビランチ「もう手を放していいわよ!あとは私でやるわ!」
フォルテ「了解!」
ビランチ「〝前回はここで歪んだのよね!だったら・・・・・!〟」
フォルテ「〝・・・凄い。白い光を中心としてあらゆる物質が集まってきている!〟」
オルゴ「〝成程・・・これが核か・・・!〟」
ビランチ「・・・よし!どうかしらね!」
フォルテ「・・・大丈夫そうだね。」
オルゴ「どんどん物質が集まってきている。」
ビランチ「じゃあ一旦戻って様子を見ましょう。それで落ち着いたら下位の天使たちに入ってもらって感想を聞くわ。」
フォルテ「了解。」
~~~~~
ヴィーゴ「それでさ、ネラったらドゥエにいっつもちょっかい出してるんだよ?」
ソレ「そうなのか笑。」
ヴィーゴ「うん!」
グラヴィーネ「あいつがちょっかい出してるのってドゥエだけじゃないわよ?アルジェントとリスパリオにも出してるわ。」
ソレ「そうなのか?」
グラヴィーネ「そうよ。」
ネニア「〝・・・こうして聞いてるだけでも下位の天使たちの知らなかった一面が見えるのか。〟」
ドラーク「あらみんな。仲良くやってるじゃない。」
ネニア「ドラーク。」
ドラーク「〝何だなんやかんやで意外とみんなと上手くやってるじゃない。〟」
ヴィーゴ「あ、ドラーク!何しに来たんだい?」
ドラーク「なにちょっとした報告にね。」
グラヴィーネ「報告?なんの報告なの?」
ドラーク「天使長の活動報告。彼女今星の生成をしてるわよ。」
ウーノ「星の生成?」
ネニア「あ、それって・・・。」
ドラーク「ネニアは知ってるわよね。シェンスが私たちと同じ存在を作る為に星を作ること。」
ネニア「〝・・・同じ存在だったっけ?まぁそうだったかも。〟うん。」
グラヴィーネ「その同じ存在って何の為に作るの?」
ドラーク「〝なんだったっけ・・・〟それはシェンスに聞いた方が早いかも。提案したのはシェンスだから。」
ウーノ「そうか・・・まぁシェンスのことだから何か考えがあるんだろう。」
ヴィーゴ「そうだね!シェンスは智天使の中でも賢いからきっと何か考えがあるのかもね!」
ドラーク「そうね。〝・・・にしても同じ存在の創造目的って何だったっけ・・・。〟」
~~~~~
ビランチ「戻ったわ。」
レナ「お、戻ったか。」
オッソ「で、どうだったの?星の生成は?」
ビランチ「一応成功したわ。」
デーチ「そうですか。」
ピオージャ「じゃあ今回は爆発せずに済んだんすね?」
ビランチ「ええ。」
アッズ「で、これからはどうするんだ?」
ビランチ「これからは下位の天使たちに入ってもらって感想を聞くわ。」
オッソ「そうなの。」
ペスト「じゃあ星の生成は一旦様子見ってことですか?」
フォルテ「ああ。」
オルゴ「そうだ。」
トゥオ「じゃ一旦解散ですか?」
ビランチ「残念ながらそうなるわね。」
~~~~~
天使1「ここが天使長の作った星だってよ。」
天使2「にしても私たちみたいな下位の天使が星の調査に行けるなんてね!」
天使3「ああ!昔じゃありえなかったことだぜ!」
天使1「・・・ん?これは・・・!」
~~~~~
オルゴ「・・・ん?お前は・・・!」
天使1「オルゴさん!助けてください!」
~~~~~
フォルテ「・・・ん?」
オルゴ「(フォルテ。今すぐ来てくれ!)」
~~~~~
フォルテ「オルゴ。どうしたんだい?」
天使1「フォルテさん・・・!」
フォルテ「君たち確か星の調査に行っていた・・・。」
天使1「はい・・・。」
フォルテ「その体・・・もしかして動かないのかい?」
天使1「・・・はい。」
フォルテ「オルゴ。ビランチには・・・。」
オルゴ「もう伝えた。これからこいつらを抱えて上神域まで行くぞ!」
~~~~~
ネニア「・・・!」
ヴィーゴ「ん?どうしたんだい?ネニア。」
ネニア「ビランチからの意識通信だ。」
グラヴィーネ「・・・何があったの?」
ネニア「分からない。けど私まで呼び出すなんて相当な事態だ。」
ドラーク「・・・そうよね。」
ネニア「ごめん皆。少し外すよ。」
ヴィーゴ「分かったよ。」
~~~~~
オルゴ「さて俺たちは早速星の中に入って調査を始めるぞ。」
フォルテ「いったい何があったのか。分からなければビランチも対策の打ちようがないからね。」
オルゴ「下位の天使たちからはプロイビーから探りを入れる。俺たちは本体から探りを入れるぞ。」
フォルテ「気を抜くなよ。」
オルゴ「ああ。」
~~~~~
ネニア「来たよ。ビランチ。」
ドラーク「何があったの?」
ビランチ「一大事よ。」
イプノ「・・・星の中で天使が原因不明の災いを受けた。」
セイ「・・・プロイビー。どうですか?」
プロイビー「・・・彼の魂自体は問題ないわ。ただ・・・。」
セイ「ただ・・・何です?」
プロイビー「体が脳の反応を受け取っていない。正確には脳自体は正常に反応を送っているけどそれに体が答えられていない。体の途中でその反応が切れてる。」
ビランチ「・・・ネニア。どうしたらいいかしら?」
ネニア「・・・とりあえずプロイビーに全員を見てもらおう。各判断はそれからだ。」
プロイビー「了解・・・さっきも言ったけど彼は魂に問題はない。けど肉体が原因不明の災いによって蝕まれているわ。」
天使1「・・・こいつらはどうなんですか⁉プロイビーさん!」
プロイビー「・・・彼女の方は魂も肉体も反応が無いわ。」
天使1「そんな・・・!」
プロイビー「ただ存在維持活動は続いてる。」
イプノ「・・・意識は感じられないのかい?」
プロイビー「ただ話せないだけなら私の全知で感じられるけど・・・彼女はその意識すらはっきりしないわ。」
天使1「・・・クソっ!」
ネニア「彼は如何かな?」
プロイビー「・・・彼は意識はあるみたいね。けど話が出来ないみたい。」
イプノ「それは・・・彼みたいに反応の問題かい?」
プロイビー「違うわ。そこの彼の場合は体が反応に応答しない不具合のみだけどこの彼は魂が少し損傷してる。その影響で意識はあるけど魂が正常に機能していない。だから感情表出活動が上手く出来てない。」
イプノ「・・・そうなのか。」
ドラーク「どうするの?ビランチ。」
ビランチ「〝・・・どうすればいいのかしら。〟」
ネニア「〝・・・〟ビランチ。まずは彼らの処遇を決めてあげよう。」
ビランチ「そ、そうね。まずあなた。」
天使1「は、はい!」
ビランチ「少し残ってくれる?」
天使1「分かりました!」
ビランチ「それからこの二人はイプノとグラントとプロイビーで見てあげてくれる?」
プロイビー「分かったわ。」
ビランチ「じゃあ早速。どうしてこうなったのか話せる範囲でいいから話してくれる?」
天使1「・・・はい。まず俺たちは三人で星の中に入りました。そしたら少し歩き始めた時妙な靄が見えてきたんです。」
セイ「それは・・・黒い靄ですか?」
天使1「は、はい!そうです!」
ビランチ「嘘!・・・そ、そんな・・・!」
ドラーク「その黒い靄って・・・。」
ビランチ「ええ。以前爆発の時に出たやつだと思うわ・・・にしてもまずいわ。」
ネニア「何がまずいの?」
ビランチ「今フォルテとオルゴが星の調査に行ってるのよ!」
ドラーク「彼らは・・・そのこと知らないの?」
ビランチ「知らないはずよ!」
イプノ「・・・これは無事に帰ってくるのを待つしかないね。」
ビランチ「〝・・・どうか無事に返って来て!二人とも!〟」
~~~~~
フォルテ「ふぅ。」
オルゴ「大丈夫か⁉フォルテ。」
フォルテ「ああ。何とかね。しかし・・・・・。」
オルゴ「運が良かったな。俺たち。」
フォルテ「そうだね。」
~~~~~
イプノ「・・・プロイビー。どうだい?」
プロイビー「・・・彼女の存在維持活動は続いてるわ。けど・・・。」
イプノ「けど・・・何だい?」
プロイビー「・・・言いたくないわ。」
イプノ「・・・分かった。」
グラント「二人とも!シュルケルはもうすぐで着くって!」
プロイビー「分かったわ!」
グラント「・・・にしても私も全知使えないかな・・・。」
イプノ「グラント。こんな時にふざけてる場合じゃ——。」
グラント「ふざけてないわ!私悔しいの!熾天使なのにこんな時何も出来ないなんて・・・!」
イプノ「〝グラント・・・〟!」
シュルケル「来たぞ。何があった?」
イプノ「シュルケル。端的に言う。彼女たちは原因不明の災いに侵された。君の治癒の神力で治してくれないかい?」
シュルケル「・・・やってはみるが期待はしないでくれ。」
イプノ「・・・分かった。」
シュルケル「あと私の判断でヴェールも呼んでいる。じきくるだろう。」
プロイビー「分かったわ。」
イプノ「グラント!何を・・・!」
グラント「・・・!」
プロイビー「グラント?」
グラント「・・・彼女もう・・・!」
プロイビー「え?〝・・・本当だ。もう殆ど活動が止まっている。〟」
イプノ「グラント・・・もしかして。」
グラント「・・・うん。」
イプノ「・・・そうか。」
グラント「〝こんな時に・・・発現するなんて・・・〟!」
ヴェール「来たわよ。」
シュルケル「ヴェール。早速だが・・・。」
ヴェール「分かってるわ。」
シュルケル「まずは彼女からやるぞ。」
ヴェール「ええ。」
シュルケル「・・・どうだ?」
グラント「〝・・・〟変わらない。」
シュルケル「〝・・・やはり無理か。〟」
ヴェール「・・・次は彼ね。」
グラント「ちょっと!彼女はまだ——。」
イプノ「グラント・・・。」
グラント「・・・うっ・・・!」
ヴェール「・・・始めるわよ。」
シュルケル「・・・どうだ?」
プロイビー「こっちも何も変わらないわ・・・。」
イプノ「・・・そうか〝・・・これは!〟」
ヴェール「そもそも何でこんなことになったの?」
イプノ「それは・・・彼女たちに聞いた方が早い。どうやらフォルテとオルゴが何か情報を持ち帰って来たみたいだからね。」
~~~~~
オルゴ「・・・戻ったぞ。」
ビランチ「あなたたち!大丈夫だった⁉」
フォルテ「ああ。何とかね。」
セイ「で、調査の結果はどうだったんですか?」
オルゴ「簡潔に言うぞ。星の中に黒い靄があった。」
ビランチ「!」
フォルテ「それでその黒い靄は僕とオルゴである程度燃やし尽くしたよ。」
ドラーク「燃やし尽くしたって・・・星の中にその黒い靄があるってこと?」
フォルテ「僕たちが見た限りではそうだね。」
ビランチ「・・・。」
ネニア「ビランチ。黒い靄が何か?だったり何故黒い靄が星中に発生したのか?だったり黒い靄に脅かされた天使たちの処遇だったりで考えることはいっぱいあるだろうけどまずはその靄が存在する星をどうするか決めよう。」
ビランチ「・・・どうするかって?」
ネニア「壊すのか。存続させるのか。」
イプノ「・・・今。どういう状況だい?」
ビランチ「・・・イプノ。」
ネニア「今は星の処遇を考えてる。」
ドラーク「そっちは・・・どうなったの?」
ヴェール「こっちは・・・一人消えたわ。」
ネニア「・・・そう。」
シュルケル「で、これはどうして起きたんだ?」
オルゴ「簡潔に言うと星を生成しその中に入って起きた。」
天使1「黒い靄には直接触れてたりはしてないのですがしばらくしたら突然症状が出ました!」
ヴェール「〝・・・ということは目視では確認出来ない何かが原因ね。〟」
ドラーク「で、ビランチ。何から解決する?」
ビランチ「・・・まずは星を何とかするわよ。ネニア。」
ネニア「ん?」
ビランチ「私と一緒に星を封印してくれる?」
ネニア「分かったよ。」
ビランチ「セイ。あなたも一緒に来てくれる?」
セイ「何の為にですか?」
ビランチ「黒い靄対策としてよ。」
セイ「・・・成程。オルゴとフォルテは今戻って来たばかりですからね。」
ビランチ「ええ。お願いね。星の対処が終わったら黒い靄の正体。何故黒い靄が星中に発生したのか?黒い靄に脅かされた天使たちの処遇についてを考えるから。」
グラント「了解!」
ビランチ「じゃあネニア、セイ。早速。」
セイ「分かりました。」
ネニア「うん行こう。」
~~~~~
セイ「で、私たちはどうすればいいですか?」
ビランチ「セイ。今回はネニアに神力を全振りするわよ。ネニア。これから私とセイが神力を与えるからその神力で星を封印してくれる?」
ネニア「分かったよ。」
ビランチ「神力の種類は・・・。」
ネニア「構築でしょ?」
ビランチ「ええ。じゃいくわよ!」
セイ「はい!」
ネニア「・・・・・・・・・〝チクエ・・・力を貸してくれ!〟」
セイ「〝・・・これが構築の神力・・・!〟」
ビランチ「〝・・・クッ!神力を吸われるのって結構つらいのね・・・!〟」
ネニア「二人とももう少しだけ頑張って!」
セイ「・・・分かりました!」
ネニア「・・・よし。出来たよ。」
セイ「で、次はこの黒い靄を焼き尽くせばいいんですね?」
ビランチ「ええ!〝・・・おっとその前に・・・空間固定からの移動。そして箱に入れて・・・完了ね。〟」
セイ「分かりました!ではビランチ、ネニア。今度は私に神力を貸していただけますか?」
ネニア「分かったよ。」
セイ「・・・では行きますよ!」
ネニア「・・・凄いね。これが神炎か・・・。」
セイ「・・・はい完了です。」
ビランチ「ありがとう。二人とも。」
ネニア「じゃ戻ろうか。」
セイ「ビランチ。体力は大丈夫ですか?」
ビランチ「ええ。まだ半分は残ってるから大丈夫。」
ネニア「そっか。じゃあとりあえず戻ろう。」
ビランチ「・・・そうね。」
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