あとがき{前提条件世界}
まず初めに、前提条件をお読み頂きありがとうございます。
この作品は、条件世界に存在する書物を残した人々がどういう時代に生き、どういう思いで継承書を残したのか。学問書を書いたのか。
そんな条件世界で回収されなかった伏線のようなものが詰め込まれています。
そして、前作より、濃密に五種類の力を使う人々が関わっていきます。
如月の物語には、自然や天使の力を扱う能力者が介入し、自然神の物語では不本意ながら多くの死者を出してしまいます。
さらに三章では神の声が聞こえる少年ヨハトが登場し、四章では作中最強のクルデーレが登場します。
彼女はこの物語に登場するどの人物よりも強いです。
その強さは、誰一人欠けていない五神家が協力し、初めて互角で戦えるほどの強さです。
そして、逆に不憫なのが、前作では印紋師より強さを誇っていた使役者です。
今作では色々な場面で負けています。
ジオーネは先守に。ヴィータはビジラに。ボンディーレに至っては、如月を滅ぼした後はクルデーレ、イモータ、先守とありとあらゆる場面で苦虫を嚙み潰しています。
ですが誤解しないで頂きたい。彼らは弱くないのです。
ただ、相手にした者たちが強過ぎた。
まず、クルデーレ率いる印紋師集団。
能力を使うことが当たり前の戦乱期を唯一、生き抜いた彼女。
それに加えて、その彼女に教えられた先守とヨルディエ。
この三名と五神家の親世代は、“能力者基準で”強いのです。
対し、使役者であるジオーネ、ビジラ、ボンディーレ、ヴィータ、イモータは“一般人基準で”強いのです。
この世界で彼らは、五本の指に入る能力者として知られていますが、それは表での話です。
裏では、一般の世界の中に、狭くはあるが能力者だけが存在する世界があります。
それは現代でも同じでしょう。
本当に人としてのレベルが違うのであれば、周囲に自身を認識させるのも、隠し、慎ましく生活するのも思いのままなのです。
何故なら、あらゆる面において及ぶはずがないからです。
茶目っ気のあるドジを踏むなど、こちらの希望的観測。
逆に、凄さが認識できるのであれば、実は大して凄くないのです。
周囲が見て分かる程度の凄さ。
これは決して、表で活躍している人を否定しているわけではないので、言い回しに引っかかった方にはご容赦頂きたい。
しかし、簡単に理解できるものは、やはり簡単に破られてしまうものなのです。
さて、私はここで一つ。皆様が確実に疑問に持つであろう、ある問題について解説させて頂き、この場を閉めたいと思います。
それは、メテン・ジオーネが執筆した「暗示・催眠・洗脳の対応策」について。
この著書を読んだ後に、この物語を読んだ方は確実にこう思うでしょう。
“著書での人物像と違くね?”と。
安心してください。この問題に対して私はしっかりと納得できる答えを、疑問を抱いた方々に提供いたします。
まず、彼がこの本を執筆した理由。
それは、権威の保持です。
この暗示・催眠・洗脳の対応策。題名の通り、対応策として有益な情報が載っています。
しかし、この技術や知識をどうやって彼は入手したのでしょう?
答えは簡単です。“実際に相手に使って知った”のです。
そして、実際に使って知った彼はこの技術に固執するあまり、自身の名前を記し、本にしてまで後世に残そうとしました。
“ここに記してある技術はすべて私のものだ”と言わんばかりに。
そうした狂気の本なのです。
彼は嘘をつくプロです。
三章で真実を見つけるプロと口論にもなりましたが、そこでも彼は、何一つ真実を暴かせませんでした。
といっても、彼が書いた本の執筆目的はともかく、対応策としてはそれなりに使えることでしょう。
まあ、ブアメードのようなあまりにも時系列とは合わないところは無視して、呼んで下さい。
それでは皆様。次はいつ会えるかわかりませんが、この作品を読んで、たくさん感情を動かしてください。
ではまた・・・。
著者Midi
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