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あとがき{条件世界}




まずは読者の皆様。

この条件世界を最後まで読んで頂いたこと誠に感謝申し上げます。


この条件世界は其々全く異なる力を持つ者たちが最終的にはひとつの大きな流れに巻き込まれ抗いようのない強制力によって動かされていくというどの世界にでもある目に見えない“条件”を表した作品になっています。


ですがこの物語に出てくる人たちはただ条件に従って動かされるだけでなく課された条件の中で其々工夫をして生きています。


現代でも人々は誰一人として同じではない条件を課されながらも日々工夫し生きています。


貧困や先天性の病という条件。

将又お金持ちという条件。


貧困という条件を課されれば生活に苦しみ先天性の病という条件を課されれば病と共に生きていかなければなりません。


お金持ちという条件が課されれば他の者より多く税金を納めなければならないという条件が課されます。


そしてこの条件。

複数の種類が存在します。


一つ、ある一定数に継続的に課されるもの。


法律やルールなどがこれにあたります。


二つ、限定的且つ半永久的に課されるもの。


不治の病や遺伝などがこれにあたります。


三つ、突発的に課されるもの。


震災や疫病などがこれにあたります。


その他にも世界に存在する条件は挙げればキリがありません。


また条件とは不利なものばかりでなく有利に働くものもありますがそれは普段意識していないものが殆どです。


家があり食べ物があり服があるというのは生存競争の中では確実に有利な条件です。


家があれば外界との境ができあらゆる面で守られますし食べ物が継続的にかつ安定的に手に入るのは飢えを心配しなくていいからです。


服も細かい物質などから身を守る鎧となるので変に怪我をして病気になることを防ぐことが出来ます。


長々と語ってしまいましたが私が条件世界の“条件”という言葉に込めた意味は前記のようなものです。


そしてこの条件。

置かれている状況によっても変わります。

何でも知ることが出来る力。

これはインターネットのない時代であれば非常に有利な条件であったでしょう。

ですが現代には紛れもなくネットは存在する。


そして誰でも少しパソコンをいじれば携帯を触れば簡単に情報が手に入る。


こうした状況で如月の能力は殆どの有利な条件を果たさなくなります。


使えるのか使えないのか。


どんな大きな力を持っていようともどんな凄い力を持っていようとも世界から求められなければ社会から求められなければ意味がない。


・・・そもそも意味がないといけないのか?意味なんてあるのか?


よく人は生きていくことに意味を求めますが私は生きていることに意味はないと考えています。


何故生きているのか?ではなく生まれたから生きている。


つまり意味ではないのです。

結果の問題なのです。


ここまでは頭では分かっている人がある程度いるでしょう。


問題はその先。


意味なく生きている世界でどう生きるのか。


大半の者は自身だけの意味を作り生きています。


何故なら怖いからです。


自分が死ぬ時になって何にもないと感じることが怖いのです。


死に際になって何もないと感じることを想像して今が怖くなる。


だから意味を作りそれに期待し絶望し執着するのです。


この生き方は私にとってとてもまぶしい生き方と同時に危険なものだと感じます。


何故なら意味をなくした時は生命の保証がないから。


なら意味なく生きろというのか?と思う方。


私はそう考えてはいません。


私は意味なく生きるのではなく最初から生きる意味なんてないのだからただ生きていく。


この考えのもと生きていく。


精神的な面でみると意味が分かりませんが行動的にみるとよく分かると思います。


皆さん仕事をしたりご飯を食べたりしてますがそれらは全て人間の生活に必要なことであり何者でもない視点から人間をみると皆さんは“ただ生きている”のです。


人間という生物が生きている。


人間一人一人行動に差はあれど皆必ず食事を取り休養を取り時には生殖行為を行い生きている。


厄介なのが他の生物にはない高度な思考能力。


これがまさしく“条件”であり生きるのに幸にも不幸にも働く条件だと私は感じます。


条件世界に存在する者たちの現代とはミスマッチな過ぎた力。


何でも出来るようになった後も人間はこの世界で生きていかなければいけない。


このことを失念していた。

想像が欠如していた。


つまり条件とは永劫に付き合っていかなければならない人生のお供なのです。



著者 Midi

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