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天使たちの天界戦線(五章、熾天使たちの大逆)

ラスポ「(・・・しばらく見ない間に地上の人間たちもだいぶ増えたな・・・にしてもこのだだっ広い地上を片っ端から探すのは効率が悪過ぎるな・・・ここはひとつミスティオに探知をお願いしてみるか・・・ミスティオ・・・‼聞こえるか・・・‼)」

ミスティオ「(・・・何だ?ラスポか?)」

ラスポ「(ああ。今どこにいる?)」

ミスティオ「(地上にいるけど?)」

ラスポ「(助かった‼一つ頼みがあるんだがいいか?)」

ミスティオ「(ん?何だ?頼みって?)」

ラスポ「(地上で天使の力が異常に高い場所を感知で割り出してくれないか?)」

ミスティオ「(・・・それって今天界が騒がしいことと関係してんのか?)」

ラスポ「(・・・詳しくは言えないがしてないとは言えないな。)」

ミスティオ「(・・・分かった。少し時間をくれ。)」

ラスポ「(恩に着る・・・‼)」

スパツ「・・・ラスポ。ここで何してるの?」

ラスポ「スパツ‼君こそここで何してるんだ。」

スパツ「僕はリスパリオに人間の成長具合を見てくるように言われたんだよ。」

ラスポ「そうか・・・俺も同じだ。ビランチに頼まれた。」

スパツ「そっか。じゃ僕は向こうを見てくるよ。ここは君が見てくれるんだろ?」

ラスポ「ああ。」

スパツ「じゃ、またね。」

ラスポ「ああまたな。(・・・分かったか‼)」

ミスティオ「(ああ。そこからずーっとまっすぐ行ったところだ。目印は・・・十字架を掲げる建物。)」

ラスポ「(了解した。)・・・行くか。」


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イプノ「・・・さて。これだけの数の天使が集まってくれたわけだが今回集まってもらったのは他でもない。この地上に住まう人間たちについてだ。」

セイ「君たちも知っての通り人間は私たち天使の手によって生まれました。しかし彼らは完全な形では生み出されませんでした。」

イプノ「彼らは僕たち天使の手によって生み出されたにも関わらず不完全なんだ。」

セイ「彼らは私たちと同じ姿をしながらも完全ではないのです。」

イプノ「・・・そう完全ではない。不完全・・・いや‼不完全でもないんだ・・・‼」

セイ「彼らは私たちの不死性を持ち合わせてはいない・・・しかし‼知恵を有している‼・・・では完全でも不完全でもない彼らの存在とはいったい何なのでしょうか?彼らの在りどころとはどこに存在するのでしょうか‼」

イプノ「・・・ないんだよ・・・どこにも。彼らが彼らとして存在出来る場所はどこにもないんだ・・・でも元を辿ればこんな宿命を人間が背負うことになったのは誰のせいだと思う?」

セイ「それは・・・私たち天使に他なりません‼私たち天使が人間を完璧に生み出せなかったに他なりません‼しかし‼この事実を天界は長らく無視し続けているのです‼」

イプノ「僕たちは何度も悩み考えた・・・天使として人間を生み出した者としてこのままでいいのか・・・‼」

セイ「そしてようやく答えは出たのです‼」

ディオ「・・・その答えとは?」

イプノ「それは・・・ビランチを神の座から引きずり下ろし人間を一から作り直すこと‼」

セイ「酷な運命となった人間たちを一から作り直してあげることこそが唯一の救いとなるのです‼」

堕天使1「うおおおおおおお‼」

堕天使2「そうだそうだーーー‼」

イプノ「さぁ‼行きたまえ‼君たちの思うがままに‼」

セイ「あなたたちは・・・自由です‼」

堕天使3「ビランチを倒しに行くぜーーー‼」

堕天使4「人間たちを終わらせてやるんだーーー‼」

堕天使達「うおおおおおおお‼」

ラスポ「(・・・クッ、これは一足遅かったか・・・‼とりあえずビランチに報告を・・・)」

イプノ「ディオ。質問ありがとう♪」

ディオ「あんなのでよければ幾らでもするよ‼」

イプノ「その気持ちは本番まで取っておくんだ。それとロッサ・・・分かってるよね?」

ロッサ「・・・消せばいいんだろ?」

イプノ「そうだ。じゃ、先に行ってるよ。」

ロッサ「了解・・・よう。天界の使者殿。」

ラスポ「(・・・‼ばれていたのか・・・)・・・分かっていたのか。」

ロッサ「ああ。最初からな。そこで何をしてるんだ?」

ラスポ「何って話を聞いていたんだよ。」

ロッサ「ほうそんな端っこで隠れるようにか?で、話を聞いてどうするつもりだったんだ?」

ラスポ「どうって別にどうもしないがな。(烏よ今のうちにビランチに・・・‼)」

ロッサ「そうか。俺はてっきりこの情報をビランチに流すのかと思ってたんだがな。」

ラスポ「(こいつ・・・分かっててわざと泳がせているような口ぶりだな・・・)何故俺がそんなことするんだ?」

ロッサ「・・・例えばビランチから密命を受けているとしたら?」

ラスポ「(・・・イプノの読みか・・・‼)・・・だとしたら君はどうするのかな?ロッサ君。」

ロッサ「別に?どうもしない。」

ラスポ「(・・・何を考えている⁉)」

ロッサ「ただ・・・地上の生き物を天界に入れるのは感心しないな。」

そう言うとロッサは指先から目視出来ない程細い糸を出しラスポの放ったカラスを首をはねて殺した。

ラスポ「(・・・しまった‼伝えの烏が‼)」

ロッサ「それとそんなことをするお前もな。ラスポ。」

そして続けざまにラスポの肩を神糸で貫いた。

ラスポ「なっ・・・‼クッ‼(しまった神力の糸を刺されてしまった‼・・・意識が・・・遠のいて・・・い・・・く・・・。)」

ロッサ「・・・さて、行くか。」


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フォルテ「・・・どうしたんだい?ビランチ。」

ビランチ「・・・ラスポの意識が途絶えたわ。」

リスパリオ「・・・始まったな。」

ビランチ「ええそのようね。みんな覚悟なさい・・・‼」

フォルテ「なら僕は今すぐ下神域に行くよ。」

ビランチ「頼むわ。」

オルゴ「なら俺はラーナを呼び中神域で待機だ。」

ビランチ「お願いね。」

ブッピラ「俺たちも下神域へと行き戦力を把握してくる。」

ドラーク「了解よ。」

オッソ「じゃああたしたち潜入組は暫く姿を消すから。」

ビランチ「ええ・・・頼むわね・・・。」

オッソ「承知よ。」

ノーヴェ「じゃ、俺たちも姿を消すぜ。」

ヌーラ「・・・セイたちのこと頼みます。」

ビランチ「了解よ。」


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オルゴ「・・・以上が作戦だ。」

ラーナ「了解ですー。」

オルゴ「どれくらい取りこぼすと思う?」

ラーナ「ちょっと読めませんがそれなりの数は取りこぼすでしょうねー。まぁセイとイプノは確実でしょう。」

オルゴ「それは・・・そうだな。」


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ペスト「・・・なんか今日は嫌な予感がするな・・・。」

ピオージャ「そうか?・・・まぁここ最近天界がピリピリしてるからそのせいじゃねーか?」

ペスト「それだけが理由ならいいんだけどな・・・。」

ラーマ「・・・おいみんな‼下から何か上がってくるぞ‼」

トラン「何?・・・あれはセイとイプノじゃないか?」

スパヴェンタ「それにディオやムジカたちもいるね。」

ガンペーデ「ってか何だよ?あの数の天使たちは⁉」

トレ「もしかして・・・あいつらビランチのところに向かってるんじゃねーのか?」

パンピ「あんな大所帯でか?何で?」

トレ「分からん。」

ペスト「とりあえず本人に聞いてみようぜ。」

パンピ「おーい‼お前たち何してんだー‼」

トラン「・・・おいあいつら。武器を持ってるぞ。」

ラーマ「・・・どうやら話合い出来る雰囲気ではないようだな。」

トレ「・・・総員‼戦闘態勢‼」


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スパツ「・・・これは一体どういうことだ⁉なぜ天使たちが人間を襲っているんだ⁉」

スパツが地上を回っていると同じ天使が人間たちを様々な方法で襲い殺していた。

アッズ「おいスパツ‼無事か⁉」

スパツ「あ、あぁ・・・‼それよりこの状況は何だ⁉」

レナ「分かんねぇ。けどこの状況ただ指をくわえて見ているわけにもいかねぇだろ。」

レナとアッズは人間を襲っている天使たちに対し神の矢を放ち人間殺害の妨害をしていた。

スパツ「確かに・・・。」

アッズ「ここは俺たちに任せて天界に状況を報告してきてくれ。お前ならすぐのはずだ‼」

スパツ「分かった‼少しだけ辛抱してくれ‼」

そう言うとスパツは空間移動の神力を使いすぐさま天界へと戻った。


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スパツ「・・・何だこれは。」

スパツが天界に戻ると今度は多くの天使が下神域で戦っていた。

トレ「スパツ‼いいところに来た‼お前も加勢しろ‼」

スパツ「トレ‼これはいったいどういう状況なんだ⁉」

トレ「分からん‼だが見ての通り今下神域の天使たちは他の天使たちから攻撃を受けている‼」

トレは三本のうち二本の刀を使い他天使の攻撃をいなしていた。

トラン「あいつらは下神域にいる俺たちを見つけるなり武器を出して向かってきた。それにこの神域に入る直前セイとイプノの姿を見つけたんだが今はその姿が見えない。」

トランは刀で一人一人を確実に仕留め戦っていた。

スパツ「・・・例の二人か‼」

トラン「そうだ。」

スパツ「・・・実は今地上でも同様のことが起こってる。」

ガンペーデ「マジかよ⁉」

ガンペーデは神の鎧を神力で身にまといながら次々と足技で他天使を伸していった。

スパツ「ああ。僕は地上の状況を報告する為に天界に戻ってきたんだ。」

トレ「チッ‼このくそ忙しい時に・・・‼」

フォルテ「大丈夫かい⁉君たち‼」

ペスト「フォルテ‼あんた何でここに・・・。」

フォルテ「今それは後だよ。」

イプノ「やっと熾天使がひとり来たと思ったら君か。」

フォルテ「そういう君は隠れて高みの見物かい?イプノ。」

ブッピラ「大丈夫か‼お前ら‼」

ラーマ「・・・‼(ブッピラ。それにウナ、イアス、ヴェッキ、フォール。錚々たる顔ぶれじゃないか‼)」

フォルテ「・・・彼らの指揮は任せたよ。」

フォルテは早速セイに向かって飛び始めた。

フォール「了解だ‼」

ブッピラ「カリタル、チュル、チェル‼お前たちは、地上を守りに行け‼」

カリタル「分かった。」

チュル「了解‼」

チェル「了解した‼」

フォール「スパツ‼お前は再び地上に戻り人間たちを守ってこい‼」

スパツ「了解しました‼」

イアス「ガンペーデ‼お前もスパツと一緒に地上を守ってくれ‼」

ガンペーデ「・・・分かりました。天界は任せましたよ‼」

イアス「ああ‼」

ヴェッキ「デーチ、ウーノ、ヴェン‼お前たちも地上に行け‼」

ヴェン「・・・大丈夫なのですか?私たちも行って。」

ヴェッキ「心配は無用。ここにはラーマ、トレ、トラン、パンピ、スパヴェンタと中天使・天使の中でも屈指の実力者たちがいる。」

ブッピラ「それに俺たち上天使もいるんだ。ついでにフォリア。お前も地上に行くんだ。」

フォリア「私も・・・ですか?」

ブッピラ「今は天使の力が一人でも多く地上に欲しい。」

フォリア「成程・・・了解です‼」

ブッピラ「頼んだぞ‼」

ヴェッキ「パンピ‼」

パンピ「はい‼なんでしょう?」

ヴェッキ「お前にはある使命を与える・・・‼」


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アッズ「おいスパツはまだ来ねーのか‼応援を呼びに行ったんじゃねーのかよ⁉」

レナ「俺にキレんな。あいつは俺たちを裏切るような奴じゃねぇ。今は信じて待つしかねぇ。それにこの程度でへばるたましゃねーだろ?」

アッズ「勿論だぜ‼」

アッズは一発一発の強力な神矢をレナは放射線状に広がる追尾型の神矢をそれぞれ放ちながら人間を守っていた。

スパツ「二人とも待たせた‼」

アッズ「遅いじゃねーか。待ってたんだぜ⁉」

スパツ「悪い報告に手間取った。天界でも色々あってね。」

レナ「・・・天界でも何かあったのか?」

スパツ「ああ。下神域が今セイたちに攻められている。」

アッズ「‼。・・・マジかよ・・・そりゃ・・・。」

スパツ「ああ。でももう心配ない。下神域には今フォルテを含めた上天使が六人いる。それにこの地上にも続々と天使たちが助けに降りてきている。きっと今頃ここ以外の場所にも天使たちが人間を守る為に降りてきているはずだ・・・‼」


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カリタル「・・・ここか‼」

チュル「思ったより数が多いな・・・‼」

チェル「考えてる暇はない。片っ端から片づけるぞ・・・‼」


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トゥオ「何なんだよ・・・これ。何で人間が天使に襲われてるんだよ・・・‼しかも天界も何か騒がしいし・・・どうすればいいんだよ・・・‼」

堕天使1「おいここにも人間がいるぜ‼殺せ‼殺すんだ‼」

人間1「や、やめろ‼やめてくれーーー‼」

トゥオ「(どうすれば・・・‼)」

堕天使2「殺せ‼殺しまくるんだ‼一人残らず殺すんだ‼」

人間2「誰か、助けてくれーーー‼」

トゥオ「(ビランチ・・・シェンス・・・僕はどうすれば・・・そうだ・・・僕は天使なんだ・・・彼らを・・・人間たちを守らないと・・・‼)」

トゥオが人間を守ろうと覚悟した時堕天使が神炎に焼かれ空から落ちていった。

堕天使たち「うぎゃあああああっ‼」

デーチ「良かった・・・何とか間に合ったみたいだ。」

ヴェン「人間の方は無事みたいですね。」

トゥオ「あぁ・・・君たちは・・・‼」

ウーノ「どうやら彼の方も無事なようだ。」

デーチ「良かった・・・本当無事で・・・‼」

トゥオ「でも何で君たちがここに・・・?」

ウーノ「なに。頼りになる上天使の命で地上に来たのさ。」

ヴェン「今天界でも同様の状況になっていましてね。」

トゥオ「え?そうなの⁉」

デーチ「心配することはない。天界は上天使たちが守ってくれている。俺たちは地上の人間たちを守るよう言われてこうしてきたのさ。だからトゥオ。今出そうとしていた勇気を俺たちにも分けてはくれないだろうか?」

トゥオ「・・・勿論‼君たちがいてくれるなら僕は何度でも戦えるよ‼」


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アッズ「・・・成程。セイとイプノが反逆を起こしたわけか・・・‼」

ガンペーデ「しかも天界中を焚きつけた大規模なものをな・・・‼」

レナ「・・・にしてもビランチの次に力のある二人が反逆とはな・・・。」

スパツ「・・・正直上天使六人いても止められるかどうか・・・。」

ガンペーデ「は?マジかよ⁉あの六人で止められねぇなんてことあるのか⁉」

レナ「・・・俺はあると思ってるぞ。別に仲間の力を疑ってるわけじゃねーが熾天使ってのは天使の中で一番力があるから熾天使なんだ。それに加えてこっちは熾天使一人と座天使五人。生憎智天使には一人も戦える天使がいねぇ。(・・・本当は一人だけいるが今回あいつは戦わねぇだろう。)同じ上天使でも階級が二つも違え力の差は歴然だ。」

スパツ「どうか無事でいてくれ・・・みんな・・・‼」


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トレ「クソッ‼倒しても倒しても湧いて出てきやがる‼」

トレは攻撃をいなすことを止め今度は片っ端から堕天使達を消していった。

ラーマ「でも今は目の前の敵を倒していくしかないと思うよ‼」

ラーナは居合で一人一人を消さずに気絶されることで戦闘不能にしていった。

ヴェッキ「ラーマの言う通りセイとイプノはフォールたちに任せ俺たちは他の中天使・天使を片っ端から捕獲していくぞ・・・‼」

ヴェッキもどうしようもない場合を除いて消すことはせず天使を倒していった。

トレ「・・・にしてもこんな時にあの命令は酷じゃねーか?剣を穢さずに相手を捕縛しろなんてよ。」

ヴェッキ「フッ・・・確かにはたから見たら酷い命令かもな。しかしこういう時だからこそ天使として必要な行動をとり続けることが奴に力を与える。」

ラーマ「やれやれ・・・こんな時でも修行か・・・厳しい師匠ですね・・・。」


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イプノ「やれやれ。しつこいなぁ。君たちじゃいくら束になっても敵わないよ♪」

セイ「そうですよ。いくら上天使と言っても一番下の座天使程度ではね。」

イプノとセイは下神域一帯を使って飛び回ることでブッピラたちの攻撃を躱していた。

ブッピラ「だがお前たちは俺たちの相手をしている限りビランチのもとには行けないぞ。」

ブッピラは神雷や神炎、暗器を飛ばしながら体術を仕掛け下位天使たちに被害が行かないよう牽制していた。

フォール「座天使でもお前たちの足止めくらいはできる。」

フォールも二つの剣を持ちながらセイとイプノの動線を読み攻撃を仕掛け続けていた。

イプノ「いや出来てないよ。僕たちは足止めされてるんじゃない。ただ遊んでるだけさ。」

セイ「私たちが君たちを相手にしてもなお手が空いていることを今ここで証明してあげましょう。」

セイがそう言うと神力がヴェロに向かって放たれた。

ブッピラ「(・・・何をする気だ)・・・ヴェロ‼」

ヴェロ「・・・‼、うわっ‼」

フォルテ「おっと。危ないじゃないか。」

しかしその神力はフォルテの神の鎖によってかき消された。

ブッピラ「(・・・フォルテがいなければヴェロは今確実に消されていたな。)」

フォルテ「フォール。君は僕と変わり堕天使を捕縛するんだ。いいね?セイの相手は僕がする。」

フォール「・・・了解だ。イプノはどうするんだ?」

フォルテ「イプノはブッピラとウナで押さえるんだ。いいね?」

ブッピラ「了解だ。」

イプノ「やれやれ。まだ遊びの時間は続くのか・・・。」


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ウナ「全然減らんな。」

ピオージャ「・・・ほんとっすね。」

ウナ「だが戦況は幾分か落ち着いてきたか。」

ピオージャ「そうっすか?」

ウナ「ああ。・・・‼、丁度いい。お前も地上の援護に行け。」

ピオージャ「え?今からっすか?」

ウナ「ああ。俺も今フォルテから呼ばれイプノの相手をしなければならない。お前ひとりで天界に残っては命はないだろう。いいから行くんだ。」

ピオージャ「・・・了解っす‼」


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アッズ「にしても全然減んねーな。」

ガンペーデ「むしろ増えてんじゃねーか?」

レナ「んなわけねーだろ。」

フォリア「大丈夫か‼お前ら‼」

レナ「フォリアじゃねーか。今更登場か?」

フォリア「いやさっきまでカリタルたちと居たんだがはぐれちまってよ。一人じゃ危険なんでお前たちのところに来たわけさ。」

レナ「成程な。」

スパツ「(・・・いない。)」

レナ「おいスパツ。お前さっきから何探してんだ?」

スパツ「・・・いないんだよ。ラスポが‼」

アッズ「ラスポだと?あいつも地上にいんのか⁉」

フォリア「ミスティオじゃなくてか⁉あいつならデーチ達の方にいるが・・・。」

スパツ「ラスポだよ‼彼には大逆が始まる前地上で会ってるんだ‼」

レナ「・・・こりゃ最悪の事態も考えておかねーとかもな・・・。」

スパツ「・・・クソッ‼」

フォリア「・・・‼おいあれ・・・ラスポじゃないのか⁉」

スパツ「本当だ‼倒れてる‼」

レナ「ここは一旦外していいからフォリアとスパツはラスポの状態を確認してこい。」

スパツ「ありがとう・・・‼」

フォリア「おいラスポ!大丈夫か⁉」

ラスポ「・・・・・・。」

スパツ「ラスポ‼しっかりするんだ‼僕だ!スパツだよ‼」

ラスポ「・・・・・・う・・・こ・・ここは・・・?」

スパツ「良かった・・・意識が戻った‼」

ラスポ「・・・あ・・そうか・・・俺はロッサに神力の糸でやられ意識を失っていたんだ・・・。」

フォリア「もう大丈夫だぜ。今天界も地上も大変なことになってるがここら辺の敵は粗方俺たちが倒したからよ。」

ラスポ「・・・そうか・・・そうだ‼ミスティオは無事か⁉」

フォリア「そっちの方も心配ない。ミスティオならあんたより先にデーチ達が保護してる。」

ラスポ「・・・そうか。」

ヌーラ「話は終わったようですね。」

ノーヴェ「そしたらあとは俺たちに任せてくれ。」

フォリア「・・・あんたたち‼何でここに‼」


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デーチ「トゥオ。体力は大丈夫か?」

トゥオ「まだ大丈夫‼・・・でも・・・。」

ヴェン「ええ。ミスティオが危険ですね。」

ウーノ「・・・これ以上敵が増えると少しまずいな。」

ヴェン「はい。彼を守り切れなくなる恐れが・・・。」

ピオージャ「助っ人登場‼」

デーチ「ピオージャ‼何でここに⁉」

ピオージャ「何でってお前たちの力になる為に決まってんじゃねーか‼」

ウーノ「・・・助かる‼そしたら早速で悪いがそこにいるミスティオを天界の安全な場所まで連れて行ってくれないか?」

ピオージャ「・・・いいけどそれはどこにあるんだよ?」

ウーノ「それはミスティオ。お前なら感知出来るはずだ。天界の端に集まる天使の力を‼」

ミスティオ「・・・あそこか‼」

ウーノ「ああ。そこまでピオージャは護衛を頼む‼」

ピオージャ「了解‼」


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ヴィツ「クソッ‼何で!何でだよ‼お前ら‼何でビランチを・・・天界中を敵に回すようなことするんだよ‼」

パンピ「気持ちは分かるが今は目の前の敵を倒すのが先だろ?」

ヴィツ「分かってる‼こいつら倒してあいつらをぜってー止めてやる‼んでもって何でこんなことしたのか聞き出すんだ‼・・・ぜってー通さねぇぞ‼お前ら‼」


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トラン「(・・・ここら辺の敵は粗方片付けたか。そろそろ俺もウナたちの加勢に行く)・・・⁉」

ムジカ「彼らに~~~♪永遠の安息を~~~♬彼らの魂に~~♩永遠の光を~~~♫」

トラン「(何だあいつは?)」

ムジカ「・・・貴様も聞くか?レクイエム。」

トラン「聞くわけないだろう。」

ムジカ「それは残念だ。聞けば楽になれただろう。地上で消えた天使や人間たちのように。」

トラン「消した・・・だろ?勝手に消えた風な言い方をするな。」

ムジカ「消してやったのだ。愚かな天使長によって生み出された哀しき存在を。完全でも不完全でもない不確かな存在を。」

トラン「勝手に憐れんでいろ。だが何故人間が生み出されたのか貴様は分かっていないようだから一言言っておく。ビランチは俺たちとわざと同じ存在を創りそしてそれを我ら天使たちに見せつけることで目に見えぬ成長を促したんだ。しかしお前はそれを知りもせず勝手に憐れんでいる・・・ビランチを愚かと言ったがそれはお前の方だ。お前には今までの天使の分も含めてきっちりと罪を償ってもらうぞ‼」


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リスパリオ「・・・済まん遅くなった‼」

ヴェッキ「遅いぞリスパリオ‼今まで何をやっていた‼」

リスパリオ「ここまで来るのに少し手間取ってな。なんせあなたより位が低く力がないもので。」

ヴェッキ「それだけ皮肉を言えれば上出来だな(・・・上から何か来る‼)お前ら‼俺から離れろ‼」

ディストル「よう‼」

リスパリオ「・・・お前はディストル‼」

ディストル「久しぶりだな天界の参謀殿。それに座天使殿もこんなところで雑魚のお相手とは・・・なんの冗談だ?」

ヴェッキ「お前こそ座天使のいる場所に能天使一人で突っ込んでくるとはなんの冗談だ?」

ディストル「いや自分より低い階級しか狙わねぇ腰抜けの座天使に一言言ってやろうと思ってな。そんなせこいことしてねぇで一人でも多く強い天使を倒してみやがれ‼ってな。それとも自分より強い天使を狙うのは腰が引けるか?」

ヴェッキ「(・・・こいつの挑発に乗るつもりはないが今ここでこいつを止めないと俺たちの仲間が無駄に消されかねない。それにこいつの考え方は危険だ。なんとしても止めなければ・・・‼)リスパリオ‼お前はラーマたちと合流し一人でも多くの天使を捕縛しろ。こいつの相手は・・・俺がする‼」

リスパリオ「・・・了解した‼」

ディストル「・・・‼、まさか乗ってくれるとはな。あんたのことちょっと誤解してたぜ。お堅いだけかと思ってた。」

ヴェッキ「お堅いだけで上天使は名乗れない。それなりに遊び心も持ち合わせていないとな。」

ディストル「これは思ったより楽しめそうだ・・・‼」


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イアス「ったく‼いったい何人いるんだ‼堕ちた奴は⁉倒しても倒してもキリがねぇ‼(・・・堕ちた天使の数もそうだがそれにやられた天使の数も多い・・・‼)・・・‼」

味方天使1「・・・。」

イアス「・・・何で意識もねぇのに攻撃してくるんだ⁉」

ロッサ「・・・何故だと思う?」

イアス「・・・お前はロッサ‼」

味方天使2「・・・。」

イアス「お、おい‼お前までやめろ‼(・・・もしかしてロッサに操られてんのか⁉)・・・お前仲間に何しやがったんだ⁉」

ロッサ「・・・さぁ何をしたんだろうな。」

味方天使たち「・・・・・・。」

イアス「・・・ッ‼お前・・・‼」

ロッサ「さぁ操演の始まりだ・・・‼」


~~~~~


イプノ「さぁさぁ!君たち二人でいつまで僕の攻撃から地上を守り切れるかな?」

イプノは神力をウナに連続で撃ち続けていた。

ウナ「(・・・この俺が地上に神力が降り注ぐのを防ぐので手いっぱいとはな・・・。)」

ブッピラ「(・・・クソ。隙がない。かといってこちらから仕掛ければ確実に隙を突かれ形勢は一気に不利になる。そうなれば地上はおろか天界も危ない。)」

イプノ「おやおや。もしかして二人とももうバテたのかな?だとしたら情けないなぁ。仮にも上天使を名乗る二人がスタミナ切れなんて。」

ウナ「だったら神力なんて使ってないで実際に組み合ったらどうだ?・・・あんたも分かってるよな。俺とまともに組み合えば無事では済まないことが。だからこうして地上を人質に取り俺を嬲り消すように決して近づかず遠方からの神力を連発してるんだもんな。」

イプノ「・・・それだけ喋れるならまだまだやれそうだね‼」

ブッピラ「・・・ウナ‼左から何か来る‼」

ウナ「・・・‼」

ディオ「やっほ~~~‼僕も混ぜてよ。」

イプノ「これはこれは・・・どうしたんだい?こんな危ないところに来て。」

ディオ「雑魚相手じゃ詰まんなくてさ。いい加減強い奴とやりたいなーとおもって。イプノだけずるいよ‼こんな面白そうなやつらと戦って‼」

イプノ「別に僕は面白いと思って戦ってるわけじゃないよ笑。君たちの為を思って強い天使を引き付けてあげてたんだけど・・・君がそこまで言うなら代わってあげてもいい。」

ディオ「ほんと⁉」

イプノ「ああ。いい加減遊びにも飽きたからね。」

ウナ「お前まさか逃げる気か⁉」

ディオ「おっと行かせないよ。イプノからのお許しも出たんだから僕と戦ってよ♪」

ウナ「・・・クッ‼」

イプノ「じゃ、頼むよ。」

ディオ「はいよ‼」

ブッピラ「ウナを撒いてもまだ俺がいることを忘れるな‼」

イプノ「二人でやっとだったんだから一人じゃ無理だよ笑。」

ブッピラ「待て‼」

スパヴェンタ「じゃ、また二人に戻ったらどうなるのかな?」

ブッピラ「・・・あいつはスパヴェンタか‼」

イプノ「君じゃ僕の足止めは無理だと思うよ?笑。」

ブッピラ「お前じゃ無理だ‼引くんだ‼」

スパヴェンタ「でもやらないと・・・(じゃないとビランチを守れない。)」

そう言うとスパヴェンタは神眼でイプノの目を強く見つめた。

イプノ「・・・これは幻術‼」

スパヴェンタ「どうだ・・・‼」

イプノ「・・・何てね♪」

スパヴェンタ「何⁉」

イプノ「やっぱり効かないなぁ。」

スパヴェンタ「(何故だ⁉あいつに幻術を見破るスキルなどないはず・・・‼)・・・まさか⁉」

イプノ「そうそのまさか。ということで・・・バイバイ。スパヴェンタ。」

スパヴェンタ「ぐああああっっっ‼」

ブッピラ「スパヴェンタ‼」

イプノ「(・・・これでブッピラも撒けたな。)」


~~~~~


グラント「負傷者は全員ここに寝かせなさい‼私たちが治すから‼」

シェンス「・・・にしてもあいつらとんだ大馬鹿やらかしてくれたわね。」

シュルケル「ほんとだよ全く‼誰が治すと思ってんだ‼」

ヴェール「治す方の身にもなってほしいわ全く‼」

ソーマ「・・・そんなこと言ったら俺たちだってお前たちを隠す方の身にもなってもらいたい。」

プーロ「本当だぜ‼」

シントス「あたしたちが臨時で作った世界がなかったら今頃堕天使たちに狙われて回復どころじゃないんだから‼」

グラント「こら‼みんなケンカしない‼大変なのはみんな同じです‼だから今は少し辛抱して?・・ね?」

シントス「まぁ・・・グラントさんが言うなら・・・。」

グラント「ありがと♪」

シェンス「・・・で、あんたこれからどうすんのよ。」

グラント「何が?」

シェンス「行くんでしょ?イプノのとこ。」

グラント「・・・ばれてたか笑。」

シェンス「あんたの顔見れば分かるわよ。で、行くの?」

グラント「ええ。戦うことはまだ出来ないかもしれないけど・・・その場にはいたいの。」

シェンス「だと思った。了解。分かったわ。行ってきなさい。」

グラント「ごめんね?」

シェンス「いいのよ。それよりここの指揮は誰に任せるの?」

グラント「あなたに任せていい?」

シェンス「あたし?別にいいけど今はあたし以外にも適任がいるでしょ?ノーヴェとか・・・。」

グラント「それはそうなんだけど・・・ノーヴェは今ヌーラについてるしオッソは潜入しなきゃでしょ?ノーヴェはまだヌーラが不完全の件で定まらないのが心配なのよ。それに指揮なら得意でしょ?」

シェンス「・・・成程ね。まぁ分かったわ。受けてあげる。指揮。」

グラント「ありがと。」

ノーヴェ「おーい‼戻ったぜ‼」

グラント「お帰り・・・ってラスポじゃない⁉あなた程の天使が・・・何があったの⁉」

ヌーラ「彼はビランチの密命でセイたちの動向を探っていたのです。そして地上である怪しい集会がセイとイプノによって行われていたことを突き止めたのです。」

ノーヴェ「けどその最中ロッサに見つかり気絶させられたんだと。」

シェンス「これ以上は大逆の後に聞いたほうがよさそうね。」

ヌーラ「そうですね。」

ピオージャ「おーい‼誰か‼ミスティオを匿ってくれねーか⁉」

グラント「ピオージャ‼ここまでミスティオを連れてきてくれたのね‼」

シェンス「で、地上は今どんな感じなの?」

ピオージャ「天界と似たようなもんすよ。堕天使がうじゃうじゃいます。でも今のところ人間の大半は守り切れてはいます。」

ノーヴェ「そうか。じゃ、お前は再び地上に戻って加勢しに行け‼」

ピオージャ「そのつもりっす‼」

ヌーラ「ノーヴェ。あなたは地上で引き続き負傷者の回収をお願い出来ますか?」

ノーヴェ「お前はどうするんだ?」

ヌーラ「下神域の様子を見に行こうと思います。」

ノーヴェ「・・・そうか。もう大丈夫みてーだな。」

ヌーラ「‼、・・・ええ。おかげさまで。」

ノーヴェ「じゃ、行くぞ‼ピオージャ‼」

ピオージャ「はい‼」

ヌーラ「私も行ってきます。」

シェンス「りょ‼」

グラント「私はヌーラが戻ってきたらいくわ。」

シェンス「了解。」


~~~~~


セイ「(そろそろ頃合いですかね・・・)いつまでついてくるつもりですか?」

フォルテ「(・・・何を企んでるんだ。)君を消すまで。」


~~~~~


ディストル「(・・・イプノとセイ。抜けたか)・・・そろそろ終わりにするか。」

ヴェッキ「(何だ?急にしおらしく・・・)・・・‼」

ディストル「じゃあな‼久々に楽しかったぜ‼」

ヴェッキ「あ、おい‼・・・(いや今がチャンスだ。今のうちに負傷者の回収に急ぐんだ・・・‼)」


~~~~~


ロッサ「(無事に抜けたようだな・・・)そろそろ終演だ。」

イアス「何?」

ロッサ「じゃあな。」

イアス「お、おい‼待てよ‼・・・。」

トレ「俺が追う‼」

イアス「待て‼負傷者の移動と捕縛天使の移動を優先するんだ。」

トレ「・・・了解。」

イアス「大丈夫。あとはビランチたちに任せようぜ。」


~~~~~


ディオ「(そろそろかな・・・)やっぱり強い天使とやるのは楽しいね。でも僕はこれから大事な用があるから失礼するね。」

ウナ「(これ以上やってもこいつを消すことは出来ても捕まえることは出来ない。あとはビランチの判断に任せるか・・・)・・・好きにしろ。」

ディオ「・・・‼いいのかい?そんなあっさり見逃しちゃって。」

ウナ「お前どうせ捕まるくらいなら俺と刺し違えて消えるつもりだろ?」

ディオ「・・・消えるつもりはないけどね。でも君の情けに免じてここは大人しく行かせてもらうよ。」


~~~~~


ムジカ「(・・・そろそろか)貴様との闘いそろそろ引き上げねばならん。」

トラン「何故だ?」

ムジカ「予定があってな。俺はこれから中神域を超えて上神域へ行かねばならん。」

トラン「(・・・武器も折れ負傷天使もそれなりに増えてきている。これ以上詰めても無意味か・・・)そうか。ならお前との決着は次だな。」

ムジカ「・・・すんなりと譲ってくれてありがとう。」

トラン「別に構わんさ。(ここを超えてもビランチやドラークに消される定めだろうからな・・・。)」


~~~~~


フォー「やれやれ・・・やっぱりきやがったな。反逆に応じて宝を盗む不届き者どもが。」

ビランチ「ちょっといいかしら?」

フォー「あんた・・・何でここに⁉」

ビランチ「ちょっと宝物庫の様子が気になってね。でもあなたが守ってくれているなら安心のようね。」

フォー「勿論だぜ!」

ビランチ「・・・でも少し心配だから念の為この災厄の箱だけは預かっておくわね?ほら万が一にでも盗まれたりしたら大変だから。」

フォー「お、おう。分かったぜ。」

ビランチ「じゃ、引き続き守りの方頼むわね?」

フォー「おう。」


~~~~~


オルゴ「(・・・準備はいいか?)」

ラーナ「(いつでもいけますー。)」

ラーナは幻の神力で実態のある偽天使を700体程作り出した。

オルゴ「(よし‼)・・・こい反逆者ども。」

そして自身はビランチに化け堕天使達を迎え撃つ準備を整えた。

ビランチ「こんな感じでどう?」

オルゴ「ああ上出来だ。それに加えてもう少し天使を出してくれ。」

ビランチ「了解よ。」

加えてラーナは偽天使を300体程作り出した。

オルゴ「(流石ラーナだな。分かっていても無意識に本物のビランチの影がちらつく。)」

セイ「やれやれ・・・しつこいですね。いい加減鬼ごっこは飽きましたよ。」

フォルテ「僕もだよ。そろそろ決着をつけよう。」

ビランチ「セイ。あなたはやっぱり抜けてきたみたいね。」

セイ「(・・・?)当然でしょう。むしろ抜けられない方が不思議でしょう。」

ビランチ「そうね。」

フォルテ「オルゴ。こいつの相手は僕がする。邪魔するなよ。」

オルゴ「分かってる。」

ディオ「おまたせ~~!」

ディストル「(‼、何でビランチがここにいるんだ。)」

ロッサ「(・・・ここは中神域のはず。)」

オルゴ「なら俺とビランチはこいつらの相手か。」

ビランチ「そうね。」

セイ「クフフフッッ・・・‼」

フォルテ「何がおかしいのかな?」

セイ「いえ別に・・・。」

ディストル「(・・・こりゃ厄介な誤算だ・・・ってか本物か?)」

ディオ「それにしてもビランチまでこの中神域にいるとはね。びっくりしたよ‼」

オルゴ「(・・・これは疑われているのか?それとも単純な驚きか?)」

ビランチ「私がここにいては何か不都合なことでもあるのかしら?」

ディオ「全然‼」

ビランチ「じゃあ始めましょうか。あなたたちの審判を。」


~~~~~


アッズ「これで地上の堕天使は粗方捕縛したな。」

レナ「ああ。」

ドゥエ「おーい‼お前ら無事かー‼」

フォリア「ドゥエ‼それにカリタルたちもいるじゃないか‼」

カリタル「向こうの堕天使たちは粗方捕まえ終わったんだがどうする?」

レナ「天界に連れていくしかねぇだろうな。」

ドゥエ「けどどこに連れてけばいいんだ?」

レナ「そこが分かんねぇんだよな。せめて上天使がいれば分かるんだが。」

ウーノ「おーい‼無事かー‼お前ら‼」

ガンペーデ「ウーノたちもこっちに来たな。」

レナ「ああ。」

ノーヴェ「お前ら‼今地上はどうなっている⁉」

レナ「・・・いいところに来たな笑。」

ドゥエ「向こう側の堕天使は粗方片づけた。」

レナ「ここも同じく。」

デーチ「あっちも俺たちが全て片づけた。」

ノーヴェ「そうか・・・よくやったな。お前ら‼」

ウーノ「いえいえ。」

レナ「で、こいつらはどこに連れて行けばいいんだ?」

ノーヴェ「それはピオージャ‼あそこに案内してくれねーか?」

ピオージャ「了解っす。」

レナ「残りの堕天使はどうするんだ?」

ノーヴェ「俺が捕まえてくる。お前たちは一足先に行って羽を休めておけ・・・本当にこんなわけわかんねぇ状況の中よく動いてくれた。感謝するぜ。」

カリタル「当たり前のことをしたまでだ。俺たちは・・・天使だからな。」

ピオージャ「笑。じゃあみんな。今から案内するから俺についてきてくれ‼」

レナ「了解。」

ノーヴェ「(・・・プロイビー。ちょっと頼みがあるんだがいいか?)」


~~~~~


ヌーラ「(・・・どうやら終わっているみたいですね。)」

フォール「おいヌーラ‼お前・・・ノーヴェと一緒じゃないのか⁉」

ヌーラ「フォール‼(傷だらけだ・・・)今ノーヴェは地上に行って捕縛した天使と負傷天使の先導に行っています。それで私は天界の方の先導に来たのです。」

フォール「・・・もう大丈夫のようだな。」

ヌーラ「ええ。心配をかけました。」

フォール「気にするな。」

パンピ「あ、ヌーラ‼こっちに来てくれ‼リスパリオがケガしてるんだ‼」

ヌーラ「すぐ行きます‼」


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ペスト「・・・どうやら終わったみてーだな。」

ヴェロ「そのようですね。」

ペスト「にしてもお前がセイに狙われた時は正直終わったと思ったぜ笑。」

ヴェロ「僕もですよ笑。でもフォルテのお陰で消されずに済みました。」

ペスト「やっぱ熾天使の相手は熾天使だけだな・・・。」


~~~~~


イアス「・・・終わったな。」

トレ「あぁ・・・。」

イアス「ヌーラが来たみたいだぜ?」

トレ「今更・・・遅ぇんだよ笑。」

イアス「だな笑。」


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ウナ「スパヴェンタの様子はどうだ?」

ブッピラ「問題ない。催眠にかけられただけで魂は消されてはいない。」

ウナ「そうか・・・丁度ヌーラも来たみたいだし案内してもらおう。安全なところへ。」

ブッピラ「ああ。」


~~~~~


ラーマ「リスパリオ。大丈夫か?」

リスパリオ「大丈夫に・・・見えるか?」

ラーマ「・・・あまり。」

リスパリオ「だろうな・・・だが心配するな。大丈夫ではないがこうして喋ることくらいなら出来る。」

ヴィツ「心配すんな。今パンピがヌーラを呼んできてるからもうすぐの辛抱だぜ。」

リスパリオ「済まんな。」

トラン「無事だったかお前ら。」

ヴィツ「トラン。お前武器折れてんじゃねぇか。」

トラン「・・・ムジカに逃げられた。」

ヴェッキ「だが消されずに存在しているだけでも大したものだ。よくやった。」

リスパリオ「座天使に褒められるとは光栄の極みだな。」

ペスト「でも実際よくやったと思うぜ?俺たち。」

ヴェロ「本当ですよ。何が何だか分からないまま。」

トレ「よく動けたもんだろ?俺たち。」

イアス「まあな笑。」

ヌーラ「大丈夫ですか?リスパリオ‼」

リスパリオ「大丈夫ではないが・・・存在に別条はない。」

ヌーラ「そうですか・・・よかった。」

ブッピラ「こっちも負傷者だ。」

ウナ「スパヴェンタがイプノにやられた。」

ヌーラ「大丈夫なのですか?」

ブッピラ「傷の方は問題ない。しかしやられ方に問題が出てきた。」

ヌーラ「どういうことです?」

ブッピラ「こいつは俺とウナがイプノと戦っている時に加勢して“イプノに”やられている。」

トラン「・・・成程。だとしたら催眠でやられているのはおかしい。」

ブッピラ「ああ。あいつの力は物質干渉系の・・・つまりグラントと同じように衝撃波系の神力のはず。催眠系はセイやラーナ。またはフルートのような天使にしか使えないはず。」

ラーマ「でもグラントはスパツやヴェロのような神力やプロイビーほどじゃないけどそれに近い神力も使えるじゃないか。イプノもそのパターンじゃないのか?」

ウナ「確かにイプノもヴェロやスパツのような神力の使い方をすることは確認している。だが問題はイプノが複数の神力の使い方を有していることじゃないんだ。」

ヌーラ「催眠系の神力を使えることが“今”分かった。これが問題ですね。」

ブッピラ「そうだ。俺たちは知らなかった。恐らくビランチやドラークも知らないだろう。」

イアス「どうする?」

ブッピラ「決まっている。知らせに行く。ウナ。スパヴェンタは任せていいか?」

ウナ「大丈夫だ。」

ヴェッキ「・・・今からで間に合うのか?」

ブッピラ「・・・中神域を飛ばせば多分間に合う。あそこはフォルテたちに任せるしかない。」

ヴェッキ「まぁイプノが催眠を使えるならいち早く知らせないとな。」

ブッピラ「ああ。じゃ、行ってくる。」

ヴェッキ「頼んだぞ。」

フォール「大変なことになったな。」

ヌーラ「本当ですね。では私たちはシェンスのところに行きましょう‼」


~~~~~


ディストル「(流石熾天使。この四人で戦っても勝てる気がしねぇ。)」

ディオ「やっぱ強いね。オルゴ‼」

ディストルは刀で上から切りかかり鍔迫り合い状態のまま刃を押し込みながら突きをかますもオルゴに避けられ蹴り飛ばされた。

ディオはオルゴをひたすら殴り蹴りをかまし50メートル以上吹っ飛ばすも吹っ飛んでいる最中にオルゴが体勢を立て直した為結果殆どダメージを与えられずにいた。

オルゴ「逆にお前ら弱過ぎるぞ。まぁしょうがねぇか。最初から満身創痍だったからな。」

ディストル「そういうお前は満身創痍の格下天使四人相手にご満悦だな。」

オルゴ「お前も口だけは減らねぇな。」

ロッサ「(・・・何故だ?)」

ムジカ「(・・・おかしい。)」

ビランチ「あら後ろの二人はどうしたのかしら?何故攻撃しないの?」

ムジカ「待っていろ今仕掛けてやる・・・ぐおっ‼」

ムジカはビランチに化けたラーナに仕掛けようと切りかかるもオルゴに邪魔されてしまった。

オルゴ「ビランチの前に俺がいるのを忘れてるぞぉ‼お前‼」

ムジカ「(やっぱりだ。)」

ビランチ「もう一人はどうしたのかしら?」

ロッサ「(・・・何故神力の糸で周囲の天使を操れないんだ・・・?)」

ビランチ「来ないならこっちから行くけど。」

ムジカ「・・・本当に来れるのか?」

ビランチ「何を言ってるの?」

ロッサ「(ムジカ・・・何を・・・成程。そういうことか。)ムジカはあんたが本当に俺たちを攻撃出来るのか?と言っているのさ。」

ビランチ「勿論出来るわよ?(オルゴ。もう限界じゃないですかー?)」

オルゴ「(・・・かもな。)ビランチはお前たちを気遣って今まで力を抑えていたんだ。」

グラント「そうそう‼ビランチはあんたたちなんていつでも消せるのよ‼」

そう言うとグラントは颯爽と現れた。

ビランチ「(・・・え?)あ、あなた何でここに?」

グラント「勿論。セイとイプノを捕まえる為に来たのよ。でもイプノの方はまだみたいだけど?」

イプノ「誰がまだだって?」

グラント「ついに来たわね。イプノ。」

イプノ「ちょっと前まで泣き虫ちゃんだったのにもういいのかい?」

グラント「全くどこから見てるか知らないけど覚悟は決まってるから安心なさい。あなたを全力で止めてみせます。」

ビランチ「まぁそういうことだから覚悟なさい。あなたたち。」

ロッサ「その前にあんたビランチじゃないだろう。」

ビランチ「そんなわけないじゃない。何を言ってるのかしら?(・・・僕はバレた後どうしたらいいですかー?)」

オルゴ「この期に及んでビランチが怖くなったのか?(全力で逃げていいぞ。)」

ビランチ「怖くても逃がさないわよ?(了解ですー。)」

グラント「・・・確かに何かビランチっぽくないわね・・・。」

オルゴ「(味方のお前が疑ってどうする・・・‼)」

ムジカ「俺も思っていた。何故ならビランチ本人は俺たちに一度も攻撃をしてきていない。」

ディオ「・・・確かにそうだね。僕たちはオルゴに手いっぱいで攻撃を仕掛けられなかったけどそれは逆にビランチにとってはチャンスのはずだ。なのに仕掛けないってことは・・・。」

セイ「今目の前にいるビランチは偽物だからですよ・・・‼」

フォルテ「オルゴ済まない。合流させてしまった。」

オルゴ「いや構わん。寧ろよくここまでセイを抑えてくれた。感謝するぞ。」

イプノ「ビランチが偽物?どういうことだ?」

グラント「・・・あ、ラーナね‼そうでしょ‼」

ビランチ「(・・・・・・。)」

オルゴ「馬鹿‼お前・・・‼」

グラント「え?・・・あ‼」

イプノ「プッ・・・ハハハハハッッッ‼味方の変装を自分からバラすなんて・・・フハハッッ‼こんな間抜けなことがあるかい?」

フォルテ「・・・君やらかしてくれたね。」

セイ「・・・クフフフフッッ‼久々に心から笑いましたよ笑。こんな時でも揺るぎませんねぇグラントは。」

グラント「う、うるさいわよ‼」

イプノ「まぁそんな楽しませてくれた君たちにささやかなプレゼントだ。(中天使・天使である君たちはもう逃げていいよ♪)」

ロッサ「(・・・分かった。)」

イプノがそう言うとビランチに化けたラーナ目掛けて神力が飛んで行った。

ビランチ「・・・‼」

フォルテ「ラーナ‼」

イプノ「・・・おや?無傷か。」

しかしその神力はグラントが同じ神力を放つことで相殺された。

グラント「さっき足引っ張っちゃったからこれでチャラにしてくれる?」

フォルテ「ああ。特別にね。」

グラント「ありがと♪」

セイ「それにしてもオルゴはどこに行ったんですか?」

グラント「さぁ?それをいったらあなたたちのお仲間もいないじゃない。何処へ行ったのかしら?」

イプノ「なに座天使を相手にした後更に熾天使の相手は可哀そうだから逃がしてあげたのさ。」

フォルテ「でもこれで心置きなくやれるね。」

セイ「いやまだです。あなたたちとやる前にやらなければいけない相手がいます。これは私の置き土産ですが無事抜けられるといいですね・・・‼」

イプノ「じゃあね~~♪」

そう言うとセイは幻の神力を中神域一帯に放った。

フォルテ「・・・これはセイのまやかし‼」

グラント「何これ⁉」


~~~~~


ラーナ「大丈夫ですかー?お二方ー。」

グラント「‼・・・何?どうなったの⁉」

ラーナ「グラントとフォルテはセイのまやかしにかかっていたんですよー。」

フォルテ「・・・礼を言うよ。」

ラーナ「いえいえー。」

グラント「フォルテもう行くの⁉」

フォルテ「ああ。セイを止めないといけないからね。」

ラーナ「グラントはどうしますー?」

グラント「も、勿論あたしも行くわよ‼あなたこそどうするの?」

ラーナ「僕は逃げますー。元々オルゴからまやかしがばれたら全力で逃げていいって言われてますからー。」

グラント「・・・さっきはごめんね?」

ラーナ「ほんとですよー。おかげで雰囲気ぶち壊しのカオス状態になっちゃいましたしー。まぁでもグラントが来た時から嫌な予感はしてましたけどー。」

グラント「一言多いわよ‼」

ラーナ「笑。じゃ頑張ってください。僕はシェンスのところから祈ってますんで。」

グラント「ありがとう。じゃ行ってくるわ。ビランチのいる上神域へ。」


~~~~~


ブッピラ「(急いでビランチに知らせなければ・・・‼)」

ブッピラは下神域から上神域を目指し飛んでいた。

オルゴ「ブッピラ‼お前そんなに急いでどうした⁉」

ブッピラ「あんたこそ急いで下に向かっているとは・・・何があったんだ⁉」

オルゴ「セイとイプノ以外の堕天使が今地上に逃げている‼これをオッソに伝えなければ‼」

ブッピラ「ならそっちは俺に任せろ‼その代わりあんたにはビランチに報告してほしいことがある‼」

オルゴ「何だそれは?」

ブッピラ「イプノの能力についてだ‼あいつは衝撃波系の神力の他に催眠系の神力を有している。つまりセイやラーナと同じ精神干渉系の力だ‼」

オルゴ「・・・‼分かった‼それをビランチに伝えてくればいいんだな⁉」

ブッピラ「ああ‼」

オルゴ「そっちは俺がビランチに伝えてくるから堕天使の件頼んだぞ‼」

ブッピラ「了解だ‼」


~~~~~


ドラーク「・・・そろそろ来るわね。」

ビランチ「そうね。」

オルゴ「ビランチ‼ドラーク‼あんたたちに報告が・・・」

イプノ「何の報告かな?」

オルゴ「イプノ‼(あともう少しのところで間に合わなかったか・・・‼)」

イプノ「やぁビランチ。元気そうだね。」

ビランチ「あなたこそ快活ね。」

セイ「やれやれ。上神域はビランチとドラーク。それにオルゴだけですか。」

ドラーク「何?もしかしてみんなが総出で出迎えてくれるとでも思った?」

イプノ「相変わらず嫌味な言い方だね。ドラーク。」

ドラーク「あんたのいつもの皮肉よりはましよ。」

ビランチ「まぁ無駄話はそれくらいにしてあなたたち二人には消えてもらうから。覚悟して頂戴ね。」

オルゴ「(・・・クソ。伝えるタイミングを逸した‼)」

イプノ「それは君たちの方だね・・・‼」

ドラーク「・・・‼」

オルゴ「・・・しまった‼」

イプノがそう言うとビランチ以外の天使が一瞬意識を失いかけた。

ビランチ「・・・しっかりなさい‼二人とも‼」

オルゴ「・・・ッ‼」

ドラーク「ビランチ・・・あ、あいつらは⁉」

ビランチ「目の前よ‼」

イプノ「まさかあれを一瞬で解かれるなんてな。正直驚いたよ。」

ビランチ「天使長の肩書きは伊達じゃないのよ。」

ドラーク「今何が起きたの・・・⁉」

オルゴ「恐らくイプノの催眠だ。」

ドラーク「は?でもあいつは・・・。」

オルゴ「分かってる。そんな力は今まで使ってなかった。しかしブッピラがスパヴェンタに催眠をかけるイプノを確認している。」

ドラーク「・・・あいつ程の力で催眠を・・・厄介ね。」

オルゴ「ああ。しかし済まない。俺も何とかあいつらが来るより前に伝えようとしたがあと一歩遅かった‼」

ドラーク「過ぎたことはいいわ。それよりセイはどこ?」

ビランチ「セイならあちらでフォルテと戦っています‼」

ドラーク「了解‼あたしはフォルテを援護するわ。」

オルゴ「俺は隙を見てイプノを捕まえる‼」

イプノ「僕の催眠にかかるのにどうやって捕まえるのかな‼」


~~~~~


セイ「・・・まさかイプノが催眠をかけ油断した瞬間に奇襲を仕掛けてくるとは・・・随分と姑息ですね。」

フォルテ「それを言ったら人間を人質にとって戦いを仕掛けている君たちの方が姑息だと僕は思うけどね。」

フォルテは二人が油断した隙に後ろからセイに奇襲をかけていた。

セイ「合理的・・・そういってほしいですね。戦力的に我々は圧倒的に不利だ。なので如何に効率的にあなた方の戦力を分散出来るかが・・・グッ‼」

セイがフォルテとの一騎打ちに夢中になっているところドラークは神雷をセイに向けて放った。

ドラーク「目の前の敵に集中し過ぎなんじゃなくて?あなたたちは今熾天使四人を相手にしてるんだから。」

セイ「・・・(・・・なんて神力だ。まともに当たっていたら確実に意識を失い消されていた。)」

フォルテ「どうやら今ので動けなくなったみたいだね。丁度いい。君が下神域でヴェロにしようとしていたことと同じことをしてあげよう。」

ドラーク「・・・あっけない終わりね。」

セイ「・・・それはどうでしょうね。」

セイがそう言うとドラークとフォルテの周囲一帯に薄紫の煙が立ち込めた。

ドラーク「フォルテ‼」

セイ「どうやらビランチを倒す時は今ではないようだ。久々に楽しかったですよ・・・‼」

フォルテ「ドラーク‼僕が完全にまやかしにかかる前に雷をありったけ僕の周りに降らせまやかしを相殺するんだ‼」

ドラーク「りょ、りょうかい‼」


~~~~~


ビランチ「そろそろ大人しく消えてくれないかしらねぇ。イプノ?」

ビランチは飛び回っているイプノの後を追うように空間の固定&消滅を繰り返し出した。

イプノ「・・・(・・・ビランチの空間固定に捕まったら終わりだ。いや実際はまだ終わりじゃないが・・・もし一瞬でも僕が時空を抜けるタイミングよりビランチが消滅させるタイミングが早ければ僕の存在は完全に消滅する。)」

ビランチはイプノの動線に空間固定の神力を放ちその全てを空間圧縮によって消滅させていった。

ビランチ「あらイプノ。もう会話もしてくれないの?それとも会話も出来ないくらい余裕がないのかしら?」

ビランチの空間固定&消滅とは半径1メートルほどの範囲を球体状に固定しその範囲に入った対象物を超新星爆発の要領で消し炭にするものであった。

そしてその発動速度は一回に付き0.5秒。

それをビランチは一秒間に三回ほどの速さで繰り出していた。

イプノ「(ここはイチかバチか一気にビランチの懐に飛び込んでありったけの神力をぶつけるか・・・‼)余裕がないかどうかは今に分かるさ‼」

ビランチ「・・・‼」

イプノ「(よしもらっ・・・‼)」

ビランチ「・・・惜しい。もう少しだったのに。」

イプノ「(・・・危なかった‼あと少し遅かったら確実に消されていた‼にしても・・・あの距離でも対応出来るのか⁉)」

ビランチ「イプノ。あなたに一ついいことを教えてあげましょうか?」

イプノ「・・・今更何を教えてくれるのかな?」

ビランチ「あたしの力についてよ。あたしの力って何か知ってる?」

イプノ「当然だ。空間支配だろ?」

ビランチ「そう。空間支配。じゃここで一つ問題。私は下界で何と呼ばれているでしょうか?」

イプノ「簡単だ。時の審判者。」

ビランチ「そう時の審判者。ということは?」

イプノ「・・・何だい?まさか時間を支配できるとでも言いたいのかい?」

ビランチ「言いたいんじゃないのよ?・・・出来るのよ?」

イプノ「そんな・・・まさか(・・・そうか‼だからあの時ビランチは催眠を一瞬で・・・‼)」

そうビランチが催眠にかからなかったのはイプノが催眠にかける前に時間を止めその影響範囲から逃れていたからだった。

正確には軽くかかった状態で時を止め催眠を完全に解いてから時間停止を解除したのだった。

ビランチ「どう?分かった?」

イプノ「・・・なら何で人間を一から作り直さないんだ‼」

ビランチ「それは・・・あたしたちがあたしたちの罪から逃げないためよ。」

イプノ「・・・‼」

ビランチ「感傷に浸ってる場合じゃないでしょ?あなたは今あたしと戦ってるんだから。」

イプノ「・・・クソッ‼」

グラント「苦戦してるわね。イプノ。」

オルゴ「あのビランチが相手だからな。」

グラント「それはそうなんだけど・・・ビランチってあんなに強かったんだ。」

オルゴ「俺も同じことを思っていた・・・やっぱり天使長はビランチ以外ありえないな。」

セイ「(・・・退きますよ‼)」

イプノ「(・・・分かった‼)」

グラント「あ、待ちなさい‼」

オルゴ「問題ない‼俺が追う‼」


~~~~~


オルゴ「まて‼」

イプノ「待たないよ‼」

イプノはオルゴに向けて神力を放った。

オルゴ「グッ‼・・・逃がさん‼」

オルゴはまともにイプノの神力を食らったが気合で耐え追い続けた。

イプノ「(あいつどんだけタフなんだ・・・‼)」

オッソ「悪いけどここは逃がしてもらうわよ。オルゴ。」

そう言うとオッソが現れオルゴの前に立ちふさがった。

オルゴ「お前は・・・オッソ‼」

オッソ「あたしもあっちにつくことにしたわ。やっぱり人間を放っておけないし。(ごめんオルゴ。暫くあたしの芝居に付き合ってもらうわ。)」

オルゴ「だったら尚更天界に残るべきじゃないのか⁉(・・・分かった。)」

イプノ「・・・どうやら最後の最後にツイていたみたいだね。僕たち。」

セイ「恩に切りますよ。オッソ。後で会いましょう。」

オッソ「ええ・・・行ったわね。」

オルゴ「・・・逃がしそうだけどな。」

オッソ「そこはごめんってば。」

ブッピラ「そっちは心配するな‼俺が追う‼」

オルゴ「ブッピラ⁉」

ブッピラ「見ての通り伝言は伝えた‼」

オルゴ「済まん‼俺は一歩間に合わなかった‼」

ブッピラ「気にするな‼最終的にビランチに伝わればそれでいい‼じゃあ俺は行く‼」

オルゴ「ああ。頼んだぞ‼」

オッソ「・・・そしたらあたしはブッピラが退かれたころ合いを見て地上であいつらと合流するわ。」

オルゴ「頼む。それより今お前たち潜入組の状況はどうなってる?」

オッソ「オンブとネラは一足先にロッサたちのところに潜入してるわ。」

オルゴ「・・・なら良かった。」


~~~~~


イプノ「そういえばセイ。さっきの雷大丈夫かい?」

セイ「いえ大丈夫ではありませんね。なんせ片腕がまだ動きませんから。」

イプノ「・・・まともに食らってたらやばかったね。」

セイ「ええ。確実に気絶させられ捕まっていました。」

ブッピラ「・・・追いついた‼」

セイ「・・・ブッピラですか‼」

イプノ「君は働き者だね・・・‼」

ブッピラ「イプノ。俺に催眠は効かないぞ‼」

イプノ「そうだった‼ならこれはどうかな?」

そう言うとイプノは神力を放った。

ブッピラ「・・・クッ、それも効かん‼」

ブッピラは神雷で神力を相殺した。

イプノ「(これ以上足止めされたらドラークやフォルテが来てしまうな。)」

セイ「イプノ。もう一度催眠をお願い出来ますか?」

イプノ「・・・何をするんだい?」

セイ「いいから。ここは私の言う通りに。」

イプノ「・・・分かった。」

イプノが催眠の神力を放つとそれに重ねてセイが幻の神力を放った。

ブッピラ「何度やっても同じだ。俺に催眠は・・・‼(しまった‼これはセイのまやかしとイプノの催眠の複合暗示か・・・‼)」


~~~~~


セイ「・・・あれでブッピラと雖も少しは足止め出来るでしょう。」

イプノ「それにしてもよく考えたね。神力の融合なんて。」

セイ「いえね。あなたが催眠を使えなければあのような逃げ方は出来ませんでした。」

イプノ「・・・催眠は出来れば知られたくなかったからね。」

セイ「分かります。確か催眠は心が読めなければ使えない神力。心が読めると知られたら彼らは常に疑心に駆られてしまいますからね。」

イプノ「そう。そんな中で信頼関係は生まれない。勿論ビランチやグラント達はそんな目で見ないけど逆に僕らの方が・・・ねぇ?」

セイ「そうですね。ドラークやノーヴェなどの上天使はそうした目で見ないでしょうが下の階級の天使は必ずしもそうとは限らない。それにそんな気持ちで天界にいられるのはこちらとしても申し訳ない。」

イプノ「・・・僕たち意外と気が合うね♪まぁとりあえずロッサたちのところに行こうか。」

セイ「そうですね。流石の私もそろそろ神力の限界です。」

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