読書感想文『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』
子供の言い間違いって可愛いよね〜と色々調べていた時に出会った、ゆる言語学ラジオの「AKACHAN'S MISTAKE AWARDS」。
子供の面白い言い間違いを特集しているコーナーなのですが、今井むつみ先生が「子供の言い間違いって実はものすごい推論が詰まってる!(意訳)」というようなお話をされていたところから興味を持った本です。
今井むつみ先生と秋川喜美先生の共著です。
どんな本?
言葉少なに語るにはあまりにも深い本なので、大筋を損ねない程度にざっくりふんわりご紹介します。
なんで子供に語りかけるときはオノマトペをたくさん使うのだろう?
言葉を「知っている」とはどういうことなのか?(記号接地問題)
子供はどのような推論を経て言語のルールを学ぶのか?
こういった問いについて考えていく本です。
日本語に限らず、外国語、時には手話までもを含めながら考察していきます。
お気に入りポイント
いろいろありますが…
わかったことはとにかく赤ちゃんってすごいってこと!
◯が白だと知っている赤ちゃんに◯と●を見せ、「黒はどっち?」と聞いたらちゃんとわかるんですって。
「◯は白だから…違う方!」って考えるんですって。
すごくないですか?
それから、「開けて」という言葉を過剰一般化してしまう話に大共感!!!!!!
息子は、抱きしめられているけれど離してほしい時、くっついたレゴブロックを外してほしいとき、母のお腹を出してほしい時に「あけて」と言います。
日本語としては正しくないけれど、確かにくっついた2つのものを分けるイメージはこれらのシチュエーションに共通している…。
他の言語ならば正しい言葉選びになる場合があると知り…
「日本語わかりにくいよね、でもその感覚はめっちゃいい線いってるんだよ!」
と心から優しく捉えられるようになりました。
感想(長編)
いや〜興味深い!
今まさに言語を習得しようとしている子供たちをどのような道筋で導くか?の参考になる本です。
子供の言語習得を促すために、語り掛けをしよう!とか絵本をたくさん読もう!とはよく聞きますが、その狙いについてはあまり理解していませんでした。漠然と、単語量を増やすだとか助詞を理解させるくらいに思っていました。
全体を通し、言葉を使うために必要な能力、ステップを噛み砕いて説明する箇所がありますので、今後の育児の方向を見直すのに非常に役立ちました。
とりあえず、↓こんなふうに意識してやりたい!
「言語を習得するにはこんな力が必要なのね」と知る
「うちの子供はこの力が十分かな?」と確認する
鍛えたい力に合わせた声かけや遊びをを始める
しばしば、子供の言語発達は「単語をいくつ知っているか?」「単語をいくつ繋げて話すことができるか?」といった具合に測られがちです。
現在、息子は4ヶ国語環境で生活しています。
家では日本語、学校ではスペイン語と英語、カタルーニャ語を少々。
当然ながら、我が家の息子は日本でずっと育った子供よりも流暢な日本語を話せません。
ここだけを切り取れば、「うちの子大丈夫!?」と心配になるかもしれません。
しかし、この本を読めば子供の中では実にさまざまな推論、検証が論理的に(時にアブダクション的に?)行われているのに気がつきます。
小さな成長をどんどん発見できるようになるので、子供をいっぱい褒めたくなっちゃうこと間違いなしです。
言葉を習得し始めたお子さんをもつ方や、2か国語以上の環境で子育てしている方に一度読んでみていただきたい本です。
育児の合間に読むには少し重い本かもしれませんが気になる部分だけでも良いのでぜひ…!
ゆる言語学ラジオも面白いのでぜひ。
YoutubeやVoicyで(無料で!!)聞けますよ。
amazonも置いておきます。アフィリエイトではありませんので安心してご覧ください。
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