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波のように襲う病や怪我。何に気づけばいいのかっ、私よ。その4

前回の記事からうんと時間が経っていた。びっくりするが、それほどあの《痛み》がなくなっているからなのだ。

年末から3か月。まだ歯は治療中なのが、それは痛みがなく歯医者に通うのを忘れていたからだ。

ではこの3か月何があったのか。厳密にいうと《なかった》のだ。

歯の不安を抱えながらも実家に帰省し、痛みが合ったら落ち着いて過ごせないと普段は飲まない薬を1週間分もカバンに忍ばせていた。結果一度も飲んではいない。

母との対面は緊張ものだった。
まだわたしの心のどこか奥底に私自身をそのまま受け入れてほしいという思いがこびりついているのだと知るのが怖かった。そしてその願いはわたしの思うカタチで叶うことがないと受け入れるのが嫌だった。

その事実に目をそらせないことが起こった。
わたしが訪問する前日に父が発作を起こし、緊急入院をすることになった。死を予感させる事態だったので、訪問するだけの予定が1週間ほど滞在することになった。ついでに気になっていた家の断捨離をパートナー博揮と弟と一緒にすることになり、母は動揺した。

開かずの納戸にはわたしが昔チャレンジした《日本語教師養成講座》のテープセットがでてきた。それを見た母は「結局あんたはやらんかったよね」と言った。その時わたしは沸騰した。「何でお前にそんなこと言われないかんの?」と母に怒りをぶつけた。
すると母は「親に向かってお前って何て言い方!!」私はすぐさま「母だと思っていない」と。母は言い方や立場をとても気にする。でも、自分が逆の立場ならそんなことすら忘れて好き放題言い放つ。

わたしは怒りに飲まれそうだった。でもはたと気づいた。何十年たっても彼女はわたしの本意に興味関心をもつことがない。この怒りは虚しさだった。
どれほど熱心に自分の内なる想いを彼女に伝えても彼女はいつも自分は傷ついた、自分は裏切られた、自分はこんなに大切に想っているのに分かってもらえないと嘆く。幼い頃のわたしは何が彼女に起こっているのかわからず困っていたんだと知った。

その夜、いつものハイヤーセルフからのメッセージのように、それは穏やかに「お母さんはアスペルガーだよ」という声が降ってきた。

びっくりしたが、とても腑に落ちる、ずっしりとしっくりとくるメッセージに納得した。
そうか、母は軽度のアスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)だったのか。

✔ 社会的コミュニケーションの困難
✔ 対人関係の困難
✔ こだわりが強い
✔ 感覚の偏り

これまで教育の業界にいたのにもかかわらず、気づかなかったことにかなりのショックを感じたが、その後弟にその事実を伝え、サイトをみながらこれまでの母の態度や行動、父との関係、わたしやおとうとへの態度や社会との関係について話しあった。

そして私たち家族は知らずにしてカサンドラ症候群に陥っていたことを知った。

カサンドラ症候群とは、家族や身近な人にASD(自閉スペクトラム症)などがあることでコミュニケーションを築くことが難しく、対人関係の問題や心身の不調が生じている状態です。現在、明確な診断基準は定められていませんが、カサンドラ症候群の症状を訴える人も増えているようです。

リタリコ発達ナビ

この50年間の葛藤が終わると思うとホッとした。誰も悪くなかったんだ。
むしろ母も今の時代ならもっと母に合うかかわりを家族や社会ができただろうが、それも叶わなかったんだ。

母は理解できないだろうが、現状を伝えてみた。思った通りピンとは来ていないようだ。ただ、母と父、親子の関係に本当に苦しんできた弟はすくなくとも自分が原因ではないことをこの時に伝えられたのは安心だった。

長らく私たち姉弟は家族関係に苦しんでいたからだ。そして父も母との関係に苦しんだだろうし、本来の朗らかな父が陰極になっていったのも、母がその父に怯えたり、反発したり、嫌ったりしながら生きるのも辛かっただろう。

わたしは理解し合えないということを受け入れることで、母を理解する一歩になると、それは慈悲の心を学ぶ機会なのだと受け入れた。

全ての痛みがここにつながっていたというのはかなり驚きだけど、本当にその日を境に痛みはない。

こどもの頃の苦しさ、寂しさ、悔しさが解けていく。
そしてやっぱりこの世界は善悪のに極論では解決できないと知る。しかし愛は必ず存在し、選択することができる。

これを書いている今日。ドライマウス気味なわたしの口腔内はかなりウエットだ。いつも愛を感じると身体中の細胞がシュワシュワと湧きたち、血が巡る。緊張が解け、リラックス状態になる。頭が冴え、五官が敏感になる。まるでこの美しい世の全てを感じるために。

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