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まあ料理ってもんはそういう日もある【わたしの小さな日常】

お盆の昼下がり。
京都一条寺のとある家で
「暗殺者のパスタ」事件が起こった。

YouTubeでリュウジのバズレシピを見て
お昼はこれだと決めた。
完成形は、パリッパリの焦げ目が食欲をかきたたせ
仕上げに辛さパンチが最強のゴリゴリパスタ系になるんだ。
トマト激辛パンチパスタ的なものが大好きな私には堪らないパスタだ。

そのとき余計なことを考えてしまったのである。
もっとパスタたくさん食べたいから、分量の2.5倍の量をつくろうと。
その結果、暗殺者どころか、穏やかでふくよかなノー暗殺者となってしまい
ゆるふわオタボディのようなコトコトとゆるく煮込まれたヨワヨワ系トマトパスタなってしまったのだ。

勿論ふだんはそれでいいのだが、今回はまず普通のパスタではない。
パスタを茹でずにフライパンで焦げ目をつけるように焼いてカリカリにするから、そのパンチがまた醍醐味なのである。
でも作ってる途中から、想像していた完成形とは遠ざかる一方で
2.5倍量の水を加えたらフライパンにひたひたになって、
パスタも水が吸ってぶにょぶにょになった。
このあとリュウジはもし多めに作るんだったら水は控えめにと忠告した。
それを聞いたわたしは「このことはなかったことにしよう」と思った。
完全に多すぎた。それ先に言ってよーーーって声なき声で発狂した。

そういう日もあるとMONO NO AWAREの歌詞を思い出しながら
やけくそになりながら私はパスタを頬張り
隣で食べる相方は「おいしい」って言ってくれたのが救いだった。
私はとにかくそういう日もあると
胸に刻みながら暗殺者のパスタを頬張った。

なんとか完食してシンクに移動すると
ポツンと残された新しく買った燕三条のフライパン。
その豹変した焦げマックス麺ひっつき状態にうろたえた。
焦げはなかなか頑固でフライパンからびくとも離れようとしないし
暗殺者のパスタに対する暗殺心で募らせながら、
もう、二度と思い出さないことにしようと悟ったのだ。

暗殺者のパスタが悪いわけではない。
でも私には普通のパスタが似合うことを知った日だった。
こういう思い出さないことを悟った思い出が
いつかキラキラと輝く思い出となることを
すこし期待しながら私はいろんな経験をするのかもしれない。
そういうのを忘れないためにも、
どんなことでも言葉に残したいと思います。

※やけくそになっていたので、写真撮るのを完全に忘れました。

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