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「食とからだを巡る冒険」滞在記録⑧〜王滝村の畑と食〜

近藤太郎さんと杉野明日香さんによる手厚いサポートのもと、「食」を巡るリサーチは王滝村のさらに内部へ、より深く、歩みを進めることができました。
日常の中に学びの機会が溢れていて、行く先々で出会う人たちが、自然と共生していくためのレッスンを展開してくれました。人と出会っていく中で、地域で起きていることが少しずつ透けて見えてくる面白さがあり、こういった場所で今、切実に求められていることと自分のやっている活動がどのように接点を持つことができるだろうということを考える、すごく良い機会になったなと。

今回はその中でも畑を営む王滝のお母さんたちの取り組みを紹介していきます。

6月17日、地域のお母さんたちの畑作業のお手伝いをさせていただく。

トウモロコシの苗周りの雑草抜き作業


この地域に限ったことではないのかもしれないけど、複数人で共同の畑を管理していたり、それぞれの畑作業を手伝い合ったりする、畑コミュニティが存在していた。
畑作業が目的で集まっているのだけど、面白いのはお母さんたちの間で様々な情報交換がなされていたこと。村や社会情勢、自分の畑の近況報告、天候による今年の傾向、害虫対策、野菜づくり講座など、畑のあちこちで様々な情報が飛び交い、タイムラインが次々に更新されていた。

突如はじまる、ナス育成講座
お土産としていただいたさやえんどう豆の色々な食べ方や冷凍保存のコツをお母さんたちが教えてくれた。郷土食や地場野菜を使ったレシピの伝承が、こういった畑コミュニティから生まれていることを知る。


集落支援員の宮本さん

畑作業で出会った宮本さん。地域の休耕田の活用のために精力的に活動されていて、ちょうど常八の目の前の畑を開墾する場に立ち会うことができた。これからここは田んぼとなり、稲を育てるそう。

村中には手付かずの休耕田がたくさんあり、同時に高齢化によって今ある畑の維持をどうしていくかという問題が起きている。
村中のあらゆる現場に足を踏み入れることで、畑づくりや作物の作り方はもちろん、その周囲に広がる状況を吸収し実践している宮本さんは本当にパワフルウーマンなのでした。


続いて向かったのは、村の奥深くに位置する滝越エリア。
一段と空気も水も澄み渡り、未だ手付かずの自然が残る聖域のような場所。

この地で生まれ育ち、ご両親が営んでいた旅館業を受け継いでおられる三浦恵美子さんを訪ねた。恵美子さんは畑も営んでいる。

お手製の朴葉飯

恵美子さんが朴葉飯を振舞ってくださった。
酢飯ではなく炊き立て熱々ご飯を包むスタイル。三浦家では朴葉シーズンになると決まって日常的に作っているそう。恵美子さんお手製山椒の甘辛煮ときゃらぶきも、お漬物も、味噌汁も全てが抜群に美味しかった。

恵美子さんの畑
見たこともないほど大きなキャベツの葉を常八の鶏たちのお土産にいただく。


山ごんぼう(山ごぼう)の葉の活用術も教えていただく。
王滝の道端で手に入る山ごんぼうの葉。この時期に収穫して下処理をしたのち、冬まで冷凍保存して草餅にするそう。自然の恵みを余すことなく生かす知恵はとにかくすごい。

冬まで冷凍保存して草餅にする
帰り道に早速山ごんぼうを見つける明日香さん


森きちキャンプ場 奥の川 聖域だ!
透き通ったエメラルドグリーン

他人がなかなか立ち入ることができない山深い場所で、土地の自然と一体化しながら「食」をつくり、工夫し、暮らしている人々の考えに触れ、多くを考えさせられる旅となりました。

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