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望郷

関西の大学にかよう友達の家に泊まり3泊4日の関西旅行に行った。



東京で生まれ育った私にとって、関西、という場所はどこか異国の雰囲気のようなものを持つ場所である。

エスカレーターは右に乗る、市街地にいる人もイントネーションが全部違う。地名もぜんぜん読めない。

もちろん春休みに観光地にいたからではあるが、会話量も会話の熱も、東京よりワンギア上だなと感じた。街に漂う空気が、少し暑い。


泊まっているのは友達の家で、中学の修学旅行で泊まった祇園のホテルとかではない。
この(これを言うのは憚られるが)片田舎の閑静な住宅街に慣れた友達と寝泊まりすると、どこかこの街に生活していると錯覚してしまう瞬間もある。

だから修学旅行とかよりずっと居心地がよかったしこのままここで暮らせたらなんて思ったりする。



でもこういうときに限って変なことを思いだす。


山手線の緑とか、京浜東北の青とか、総武線の黄色とか、発車メロディとか。東京の地下鉄の暗くて狭い感じとか。


ひねくれすぎて、やっぱり東京が恋しくなって、東京駅で新幹線を降りて山手線に乗ったときに本当に嬉しかった。似たようなサラリーマンが行列を作るのも、疲れ果てた人が電車ですやすや眠るのも。



東京という場所はたくさんの人の憧れである。でも。
これはマウントでもなんでもなくて、私はその東京とやらを、身近にみて育ってきたから、誰かの憧憬は私の日常なのだ。


割と最近まで、地元愛なんて言葉を軽視する自分がいた。  
私はこの街になにもしていないし、電車に乗って出かけてしまうことが多いので、自宅のある場所でも知らないところも多い。
でも、長年確実に何度も踏みしめてきた土地が、今の私をつくっている、そしてその土地は東京で。

愛なんて深い言葉ではまだ言えないけど、なんとなく、私を作っている東京という無機質だけれどたくさんの想いが詰まったこの地に、感謝をしたいと思う。そして今ならいいとこだよって断言する。


この春上京した全ての人へ、ちょっと電車混むしたくさんあってわかりにくいかも、でもね、よく見たら電車間違えないしネットにもたくさん載ってるし、そのうち慣れるよ。人いすぎて逆に孤独かも知れないけど、あなただけじゃなあと思う、いろんな人がいるよ。たのしい。


















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