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3.11に思いを寄せる。年1回続く文通。

先日、東日本大震災から9年が経過した。

今でも良く覚えているが、当時は楽天の大阪支社に務めていました。決して高いビルではなかったですが、上の階にいたので椅子が移動するくらい揺れたことを覚えています。

その時は、すぐさま担当している店舗さんへの安否確認や、同期・友人の心配をしながら1日があっという間に過ぎました。

TVで繰り返される津波の映像。当時、関西にいたとはいえたくさんの恐怖や不安が頭の中にはありました。

同時に、「自分に何かできることはないか?」と語りかけながら過ごしていました。

「東北に行かない?」友人の一声

社会人になって、3年目。いろんな各地で友人が働いていました。そんな中、東京で働く友人から関東の状況を聞きました。その友人は「自分たちも車で向かったが、渋滞かつガソリンの補給状況が難しく引き返してきた。すぐに支援に行くのは難しい」と伝えてくれました。

それでも、その友人は「何かできることしたいよな。今からできるときに備えて準備しよう」そう言って、大学時代の友人を集めて立ち上げたのが「太陽プロジェクトでした」

そこから社会人でしたので休日の合間を縫って、何度も話し合いを進め手探りながら方法を考えていきました。

宮城県石巻市にある河北総合センタービッグバンという施設で、夏の暑さが盛りの7月の3連休に全国から集まった有志メンバー55人が一緒に活動を行いました。

流しそうめん、デザートの炊き出し、舞台でのショー、ダンス、歌、児童との水あそび、スイカ割り、ペイント等

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現地の人と一緒に手作りの企画も行いました。自粛ムードや、「まだ心から笑うことが難しい」という話を聞かせてくれた大人の方がいる一方で、笑顔で元気に駆け回る小さな子供たちを多くいました。

当時中学生だった現地の子が、話をしてくれました。最初は外から来た私たちに対しては一定の距離感を保ってのコミュニケーションでした。

ただ、徐々に心を開いてくれた中で、「学校に行けない。」「学校がなくなった。」「家も流された。」「もう何もない。」と表情がなく、「それでも生きなきゃいけない。守らないといけない。」と。今の現実を言葉にしてくれました。

一生友だち

被災した人に対して自分たちのできることはなんだろうか?それは実際に現地に赴くまでにたくさん考えさせられた課題でもありました。

多くのボランティア団体が素晴らしい支援をされていました。もちろん、今も変わらず支援されている団体や個人も多くいらっしゃると思います。

私たちは、何か特別なことができなくても、そこで出会った人たちが困ったときに力になれる。相談できる。そんな関係を目指そう。と「一生友だち」という言葉を掲げました。

一緒に踊って、歌を歌って、「また来年も来るよ」とメッセージを残して。

継続と繋がり

太陽プロジェクトは昨年に第9回目を迎えて、今もまだ仲間たちがその灯を絶やさずにいます。

私は第4回までは一緒に現地に赴き、活動に参加していましたが、状況が変わり現在は関西で資金を集める等の後方支援に当たっています。

参加人数は減りましたが、それでも最初に立ち上げたメッセージの想いを引き継いで今でも現地の人との交流は続いています。

3月11日から5日間経過して、こうして記事を書こうと思ったのは1通の手紙がきっかけでした。

毎年年賀状のやりとりをしている1人のおばあちゃんからでした。

当時渡波町の仮設住宅に避難されていたその方は、第2回以降地域のとりまとめや、いろんな場面で力添えをいただいた方です。

第5回目以降参加できなくなった私は、毎年年賀状を送っています。年に1回の文通です。昨年末に投函した年賀状の返事がなく、少し心配をしていました。ただ、すっかりと日々の生活の中でそのことも忘れてしまっていました。

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忘れられることの寂しさ

文面を見て、改めて今の状況の厳しさを感じました。

確かに、生きるために自分の事や自分に近い人の事を守るためにエネルギーを使うことは当然だとも思います。それ自体は普通のことで当たり前のことでしょう。

ただ、一方でやはり孤独や寂しさという感情がどうすれば生まれないのか、そのために何ができるのか。そうした事を日々考えていきたいなと改めて思いました。

全ての人を助けること、癒すことは難しいかもしれません。それでも、関わってくれた人、自分の手の届く範囲で誰かに対してできる何かは、探せばきっとたくさんあるのだと思います。

少し暗いニュースの多い今だからこそ、自分ができることを見つけていこうと思います。そして、今年は年に1回ではなく、返事の便りのために筆を取ろうと思います。


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