2023明治安田生命J2リーグ第35節大分トリニータ対徳島ヴォルティスの個人的な見どころを紹介
開幕戦以来となる大分と徳島の顔合わせ
2023年2月19日に今季のJ2リーグが開幕
その時は徳島のホームで対戦し、2-1で大分が勝利を飾りました
あれから約7カ月。徳島は吉田達磨監督をシーズン途中で招聘し、そこから現在3試合負けなしと順位を14位に上げています
一方の大分は前節甲府相手に悔しい逆転負けを喫し現在9位
シーズンもいよいよ終盤です。大分の9位は今季最も低い順位、一方の徳島の14位今季最も高い順位です
お互いに過去J1でも戦った両チーム。決して理想通りのシーズンを過ごしているとは言えないかもしれません
だからこそ、この終盤に強い気持ちを持って、更なる上昇を狙いたい一戦です
大分は30節の藤枝戦以来となる5試合ぶりの勝利で昇格に向けて
徳島は現在6試合負けなし。今季2度目の連勝を飾り、最後の最後まで昇格に向けて戦います
勝ち点「1」ではなく「3」を取りに行くタフな90分間に期待しましょう
(J2リーグ 解説:増田忠俊さん リポーター:成尾佳代さん 実況:能政夕介)※追記、修正の可能性あります
順位と前節の振り返り(2023/9/15時点)(リーグ戦のみ)
大分トリニータ:14勝8分12敗で勝ち点50 (43得点46失点)-3 で現在9位
リーグ戦4試合ぶりの勝利を狙った大分はアウェイで甲府と対戦
大分は前節から先発メンバーの変更はなし。サブにサムエルから藤本が代わりに控えていた
前半は甲府のミスもあり、セットプレーから高さのある羽田が今季初ゴールで先制
そして相手の連携ミスを、懸命にゴールに向かった伊佐がねじ込み3か月ぶりの得点を決めて2-0
長崎戦では2点を先行されたが、今節は大分が2点を先行して後半に入った
甲府はウタカを起用し、明らかに前半よりもプレー強度が上がる
新加入の松田もサイドから起点をつくり、甲府が1点を返して2-1に
ウタカが裏のスペースを狙い、甲府はプレーが明確になった事もありより自信を持って大分陣内へ
そこからオウンゴールを誘発し2-2の同点に
更にはGKテイシェイラの負傷もあり途中交代で西川が起用。PKのピンチは防ぐも、再度82分にPK献上し失点
2点のリードから悔しすぎる3-2の逆転負け
「落ち着きを失ってしまった」と試合後語っていた伊佐選手
下平監督も「悔しいの一言では言い表せない」と悔しさをにじませた
悔しい敗戦から今節はホームで切り替え、プレーと結果でサポーターの方に変化を示したい一戦になりそうだ
徳島ヴォルティス:8勝16分10敗で勝ち点40 (36得点43失点)-7 で現在14位
徳島は31節の山口戦に勝利後、8/22に今季監督を務めていたベニャート・ラバイン監督が契約解除
新たに招聘された吉田達磨監督と共に目下の残留争いから抜け出し、上位を目指す戦いがはじまった
そこからアウェイ金沢戦、清水戦と1勝1分けの戦績で戦い、新体制ではじめてホームでいわきを迎えた一戦だった
吉田達磨監督はチームトップスコアラーの森海渡に代えて、1トップに渡を起用。サブには高田に代えて外山が名を連ねた
前半の早い時間は変則的なシステムのいわきに押し込まれる展開が続くも、無失点で切り抜け、渡をターゲットに今度は徳島が押し込む時間をつくった
セカンドボールを回収しながらチャンスを伺っていた徳島は、セットプレー崩れで前線に残っていた石尾がルイズミ・ケサダのクロスに合わせて先制点を記録
SBからSBへのボールで先制に成功する
しかし、その後は渡、ルイズミ・ケサダと相次いで負傷交代
前半の内に3回中2回の交代機会を使用してしまう
ハーフタイムには柿谷から西野にメンバー交代を行い、難しい試合展開を落ち着かせ徐々に徳島が試合のペースを握る
それでも残留を争ういわきも積極果敢にゴールに迫り、徳島もホセ・アウレリオ・スアレスを中心に粘り強く守備をして失点を許さない
すると終盤には西野の仕掛けからゴール前で混戦となり、攻撃参加していたCBの内田が勝利を決定づける貴重な追加点を奪って2-0で勝利
苦しいメンバー状況の中だったが、ホームのサポーターに勝利を届けた一戦になった
大分は4試合勝利なし。徳島は6試合負けなしとこの状況だけ見ると、大分は難しい試合になるかもしれません
それでも、過去逆境を乗り超え、歴史を紡いできた大分だからこその奮起に期待がかかる一戦になりそうです
加えて下平監督、吉田達磨監督は共に柏レイソル時代選手・指導者として先輩後輩関係にも当たる間柄
お互いに知っている部分も多い中で、どのような策を講じ、試合にぶつけてくるのか?勝たなければいけない状況と一戦だけにメンバー編成や試合中の采配にも注目したい一戦です
過去の対戦戦績(リーグ戦のみ)
過去の対戦成績はリーグ戦で見ると17度対戦して大分の6勝、徳島の5勝、引き分けが6回とほぼ五分五分の戦績です
今季は開幕戦で徳島のホームで対戦し2-1で大分が勝利
(大分:野村・宇津元が得点 徳島:西野が得点)
昨季、大分のホームでは1-0で大分が勝利(長沢の得点)
徳島のホームでは2-2の引き分け(徳島:藤尾・白井が得点 大分:サムエル・梅崎が得点)
現在の所属選手の得点記録
大分は対徳島戦では野村、宇津元、サムエル、長沢、梅崎、町田が得点を記録
※2021年のカップ戦では長沢が得点を記録
徳島は対大分戦では渡が2得点、西野、白井が得点を記録
渡は2017年在籍時にホーム、アウェイ戦共に決勝点を奪い勝利に貢献
白井は柏レイソルのアカデミー出身でもあり、両監督にも縁がある選手です
所属選手の古巣対戦
大分トリニータ)
野村 直輝(2019年に在籍。39試合7ゴール12アシストを記録)
徳島ヴォルティス)
渡 大生(2020年に在籍。23試合2ゴールを記録)
長谷川 雄志(2019-21の3年間在籍。61試合プレー)
過去の戦績は五分五分。今季開幕戦での対戦カードは7か月の時を経てどんな変化を見せてくれるか?
大分はリーグ後半戦苦しんでいる中でこの終盤に復調の兆しを掴みたい
徳島にとっては逆襲の9月。勝って更なる高みを目指したい
今シーズンの成績(リーグ戦のみ)
大分トリニータ:14勝8分12敗で勝ち点50 (43得点46失点)-3 で現在9位
先制試合:19試合 13勝4分2敗(32節仙台、34節甲府戦で逆転負け)
先制された試合:13試合 1勝2分10敗(26節の熊本戦で今季初の逆転勝利)
スコアレスドロー:4節清水、18節秋田戦でスコアレスドロー
ホーム: 9勝2分6敗 勝ち点29 23得点 21失点 得失点+2
アウェイ: 5勝6分6敗 勝ち点21 20得点 25失点 得失点-5
リーグ戦では18名が得点(藤本6得点、野村が5得点、中川・松尾・高畑・伊佐が4得点、長沢、弓場、安藤、宇津元が2得点、羽田、鮎川、保田、ペレイラ、野嶽、上夷、茂、サムエルが得点を記録)
複数得点:13試合
複数失点:11試合(現在3試合連続複数失点中)
無失点:8試合
無得点:8試合 最多得点は金沢戦で4得点を記録
<得点>前半18得点 後半に25得点
<失点>前半は19失点 後半27失点
今季は43得点中セットプレーでの得点は13点の30.2%。高畑が直接FK2本、野村もFK,CKからチャンスをつくりPKで22節得点も記録
46失点中セットプレーからの失点18で割合は39.1%(FKから4失点,CKから9失点、PKで4失点)※4試合連続セットプレーから失点中
大分は現在4試合勝利なしも3試合続けて複数得点を記録。一方で守備でも複数失点を記録(4試合で1分3敗の6得点8失点)
特にセットプレーからの失点がこの4試合では多いだけに(CKから3失点、PKから2失点)注意をしたい
また、30節の藤枝戦以来となる無失点を目指し、ホームで勝利を積み上げたい
徳島ヴォルティス:8勝16分10敗で勝ち点40 (36得点43失点)-7 で現在14位
先制試合:15試合 7勝7分1敗(24節水戸は逆転負け)
先制された試合:14試合 1勝4分9敗(18節町田戦は逆転勝利)
スコアレスドロー:6節秋田、11節・23節群馬、26節東京V、33節清水戦でスコアレスドロー
ホーム: 5勝7分5敗 勝ち点22 18得点 20失点 得失点-2
アウェイ: 3勝9分5敗 勝ち点18 18得点 23失点 得失点-5
リーグ戦では14名が得点(森が12得点、柿谷が7得点、西野が3得点、坪井・棚橋・西谷が2得点、エウシーニョ、渡、白井、石尾、安部、児玉、内田、杉本が得点を記録)
複数得点:10試合
複数失点:14試合
無失点:10試合(現在4試合連続無失点)
無得点:11試合
<得点>前半19得点 後半に17得点
<失点>前半は9失点 後半34失点
前半15分以内に7得点。後半の開始15分以内に11失点また、後半31分以降に16失点
今季は36得点中セットプレーでの得点は9点の25.0%。柿谷がFK、CKでチャンスメイク。森もPKで21節に得点も記録。ルイズミケサダもCKでアシストを記録
43失点中セットプレーからの失点16で割合は37.2%(FKから1失点,CKから13失点、PKで1失点)※後半にCKから13失点を今季記録
徳島は31節の山口戦以来4試合連続で無失点を記録
選手のアクシデントもありつつも集中した試合運びを見せている。また前節はDFの選手が得点を記録し勝利に貢献。終盤に向けて監督交代後もチームは上向きだ
ただ、数字上は今季セットプレー、特にCKからの失点が多く13失点
最後に失点した30節の栃木戦もCKから、そして開幕戦の大分での一戦も決勝点はCKからの失点だった。直近の4試合同様に、粘り強い戦いで開幕戦での悔しさを晴らしたい
今季も今節入れて残り8試合。PO圏内に位置する6位岡山が勝ち点51
大分は勝ち点差「1」で9位だがここからは得失点差も重要になる
徳島は勝ち点差「11」だが、残り8試合で可能性は他力にもなるが残っている
お互いに苦しい時期を戦う中で、勝利と共に得る自信を成果に繋げていきたい
個人的な見どころ
今季の開幕戦で対戦した両チーム。試合は終盤アディショナルタイムに宇津元がCKから押し込み2-1と大分が勝利を飾りました
約7か月後、大分は4試合勝利なしでPO圏内から外れ苦しい状況に
一方の徳島はシーズンを通じて苦しみながらの戦いから、この終盤に6試合負けなしで14位まで順位を上げてきました
大分が再び上位争いへ割って入るか?
徳島が更に登るのか?
下平監督、吉田監督は柏レイソルで選手時代共にプレーし、指導者としても共に学びました
そんな中での個人的な注目点は3点
1点目は関係性の深い両指揮官の采配に注目です
まずはメンバー編成
ホームの大分は現在4試合勝利なし。特に守備面では複数失点が続いています
前節はGKのアクシデントもあり、今節は中盤と守備ライン、GKで誰を起用するか注目です
また無失点を続ける徳島の守備を攻略するためには、サイドと中央の両面に加え、セカンドボールの回収からの切り替えも重要になってきそうです
高さのある長沢や強かなプレーができる伊佐に対し良い形をつくることができるかどうか?
徳島は白井と永木が直近の試合ではダブルボランチを形成し中央を固く守ります。大分としても前節の後半守る時間が長かっただけに、しっかりとボールを握る状況をつくりたい。そのために中盤で戦える選手の起用が誰になるか楽しみです
徳島はケガ人に加え、累積警告が3枚のプレイヤーが7名(ホセアウレリオスアレス、柿谷、白井、内田、杉本、エウシーニョ、坪井)と残り試合を想定しつつメンバー編成を行わなければいけません
前節は渡とルイズミ・ケサダが負傷交代。SBが本職ではない石尾が右のSBでプレーし、前節は3バックも併用しながら勝ち切りました
今節は大分相手にスタートから3バック、4バックどちらから始めるのか?左SBは外山や西坂がいますが、久々の先発メンバーに起用される選手のモチベーションにも注目したいところです
あとは両指揮官が試合の展開に合わせてどのような選手交代、動きを見せてくるか?性格などパーソナルな部分は知っているからこそ、その戦い方に加え、前節の修正や今後に向けてどのような戦い方を見せるか楽しみです
2点目はセットプレーです
前述した通り、お互い特にセットプレーからの守備に課題があります
大分は直近の試合でCKとPKからの失点があり、徳島は無失点試合が続きますが今季で見るとCKからの失点が多く13失点
更にそのCKからの失点は全て後半で、疲労度やメンバー交代などの影響もあるかもしれませんが、そうした粘り強さを出せるかどうか重要になってきます
大分は高畑と野村のセットプレーは1つの武器ですし、もちろん高さのある長沢、ペレイラ、安藤もいますし、今季は実に43得点中11得点はヘディングで記録
難しい試合展開でもセットプレーから流れを変える可能性も高い試合かもしれません
徳島は吉田達磨監督就任後は失点を許しておらず、この辺のテコ入れも意識して取り組んでいるかもしれません
CBの森昂大は今季大きく成長を遂げており、石尾もヘディングは強いですが高さの面では大分に分がある分、ポジショニングや良い状況でプレーさせない意識が必要にもなってきます
ただ、攻撃面では精度の高いキックがある永木の加入もあり、バリエーションは増えました。お互いに特に守備面には課題がある分、その点に集中しながら流れを得たいところです
最後3点目は1点目の部分と重複する部分もありますが中盤の攻防です
徳島は1アンカーからダブルボランチにポジション変更をしてからここ6試合負けなし
特に永木と白井のコンビネーションは試合を重ねる事により精度を増し、お互いに良い点が出ている印象です
ボールを奪うところ、そこからの切り替え、更にはプレスに行った後のフォローやDFの動きに合わせた適切なポジショニングも含めて、中盤2人のパフォーマンスが試合結果にも大きな影響を与えるように思います
大分は直近2試合や羽田と保田のコンビ。ここに弓場や野村もプレー機会が多いポジションです
今季はここの組み合わせについてはケガ人の影響も多く、なかなか固定ができずに難しい局面もありました。若いフレッシュな選手やフィジカル的に強いプレーヤーもいますが、状況によっての判断や守備強度の部分で相手を上回る事ができるかどうか?
特に直近の複数失点の部分も踏まえて、今節は特に球際での勝負や冷静な判断がより求められる一戦になりそうです。前節同様であれば若い保田と、CBでもプレーできる羽田にこのポジションが任せられます
お互いの良さに加えて周囲との連携、攻守においてのハードワークで主導権を握る事ができるか?攻撃に移るまでのプロセスの部分に注目したいところです
順位だけみると9位と14位の対戦ですが、今季のJ2は勝ち点が詰まっており、大分も今節勝てばPO圏内に戻る可能性も十分にあります
また、徳島も残留を確定させたわけでもなく、熊本が天皇杯で戦う事もありスケジュールが変則的になるため今後控えている大宮や熊本との対戦でも勝利を飾り、まずは残留を確定させ更なる上昇を狙いたいところです
お互いに大きな転換点となるこの1戦
開幕戦からの変化と共に、熱く痺れるシーズン終盤に向けてどんな戦いを見せてくれるか是非お楽しみください!
サポートいただいた内容は今後の記事や取材等に充てさせていただきます。少しでも良い内容をお届けできるようにしていきます。