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Bリーグ2023-24シーズン第20節広島ドラゴンフライズ対長崎ヴェルカの個人的な試合展望

激闘の週末から中2日で迎える水曜日ナイトゲーム。連勝で勢いに乗る広島はホームに戻り4連勝を目指す
一方5連敗と苦しい状況の長崎だが、秋田戦・三遠戦でも粘り強く戦い、ポジティブな部分もあった。あとは勝利という結果のみ。バイウィーク前までに勝利を積み重ねていきたい

広島と長崎は2023年の年末にBリーグでは初対戦となった
その時は広島が連勝し、勢いに乗ったが、長崎はその借りを返したい一戦でもある。負けられない同地区対決。タフでフェアな戦いを期待したい

解説:仲摩匠平さん
実況:能政夕介

※加執・修正の可能性もあります

両チームの今季と前節について(1/29時点)19節終了時点

広島ドラゴンフライズ【平均78.8得点(リーグ11位)平均73.2失点(リーグ3位)】18勝15敗で西地区4位(3連勝中)

自信に繋がる連勝を飾り、広島はホームに戻ってくる
3連勝中の広島。そのスコアを見てみると80点以上を記録し、相手チームとの得点差は10点以上。特に前節を見ると36点差、21点差と自慢の守備が機能し安定感のある戦いが長かった

とはいえGAME2は前半は2点差で折り返し、粘る茨城に苦しむ時間帯もあった。それでもリバウンド、攻守の切り替え、何よりTOとFが少なく冷静に試合を運んだ。FTの成功率もGAME1の9/14から18/22と改善
ニックメイヨの3Pが決まり、エバンスもインサイドで効率よく加点。この2人でGAME2は24点ずつ奪った
ブラックシアージュニアは途中から出て来て活躍。直近4試合はベンチからスタートだが、この4試合だけで見ると平均14.8得点に10.3リバウンドと大きくチームに貢献している

島根戦、渋谷戦と敗戦した試合はアウトサイドのシュート確率を落とした。タフな守備に対して、攻撃に大きなアクセントを加える事ができない部分もあった。ただ、そこから切り替えて攻守でハードワークを見せ、広島は再び上位に向けて勝利を重ねている

平均失点は73.2失点でリーグ3番目に少ない堅守のチームだ。加えて安定感のあるインサイドでの得点で、成功率54%(2FG)はリーグ4位
茨城戦のGAME2のようにTOやFの数が少ないのも特徴かもしれない
チームで最長の平均プレイタイムはエバンスの28分18秒とタイムシェアをしながらチームで戦っている印象だ

ファストブレイクを得意とし、ポゼッション回数の多い長崎とは異なり、しっかりと確実に得点を記録してくる。とりわけORからの得点は平均13.5得点でリーグ6位の数値を誇る
広島は自分たちのリズムで40分間バスケを徹底できるかどうか。連敗を止めるために強い気持ちで戦う長崎相手にどのように戦うのか楽しみにしたい

長崎ヴェルカ【平均81.1得点(リーグ7位)平均83.9失点(リーグ20位)】14勝19敗で西地区6位(5連敗中)

ヴェルカスタイルはB1昇格後も輝きを見せた
開幕戦の千葉戦で連勝。そこから富山戦も勝利し開幕から4連勝を飾った
SR渋谷、島根、三河と連敗なく駆け抜けた10月
自分たちのスタイルを貫き、得点の取り合いを見せるハイスコアなゲーム展開を今季何度も見せてくれた
その結果平均得点は81.1点でリーグ7位を記録
B1初挑戦となる選手(松本、小針、チャンミンクク、ブラントリー、木林、タリキ、高比良、榎田)も多い中で素晴らしい戦いを見せている

だからこそ現在の5連敗というのは苦しい状況かもしれない
1/7の信州戦以来勝利なし。そして直近の5試合は80点以上を超える得点を記録できていない状況だ
リバウンドやスティールからの速攻。特にスティールはチーム平均で1試合あたり8.6回でリーグ1位に輝く
ファストブレイクポイントは17.0点でリーグ2位。1試合あたりの平均ポゼッション数は77.1回とリーグトップだ
ただ、リーグも後半戦に入る中で各チームは早い展開の長崎に対しても対策を講じてきている
攻撃をスローダウンさせられた秋田戦から、前節の三遠戦敗れはしたが、ハイテンポなバスケを展開した
加えて、メンバー交代もしながらハーフコートで上手く得点を取れる場面も見えた。発展途上のチームだからこそ、この先どのようにチームとして、個人として登っていくのか非常に興味深い
小針や荒谷、榎田に木林と若いプレイヤーも多くいる中で、コートに立ち、そこから得られる経験でチームに勝利を呼び込みたい

先日ブラントリー選手のIL登録がリリースされた。加えて前節はボンズ選手含めコンディションが気になる選手もいる。チームとして決して万全ではない状況の中で不要なファウルやTOは減らして、少しでも自分たちの時間を長くつくっていきたい

両チームのメンバー編成

広島ドラゴンフライズ
HC:カイル・ミリング(3年目)

■選手(継続)
寺嶋良
朝山正悟
アイザイア・マーフィー
船生誠也
ケリー・ブラックシアー・ジュニア
上澤俊喜
中村拓人
ドウェイン・エバンス
ニック・メイヨ

■新加入(IN)
山崎稜(群馬から加入)
ロバーツ・ケイン(ストーニーブルック大学から加入)
河田チリジ(10/26に契約合意)※帰化申請が今季認められた
武内理貴(12/11に特別指定選手として加入)
三谷 桂司朗(12/19に特別指定選手として加入)2019-22,2022-23シーズンも広島でプレー経験あり

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
カイ・ソット(横浜へ移籍)
辻直人(群馬へ移籍)
佐土原遼(FE名古屋へ移籍)
井手拓実(東京Zへ移籍)

長崎ヴェルカ
HC:前田健滋朗(2年目)

■選手(継続)
松本健児リオン
小針幸也
狩俣昌也
マットボンズ
髙比良寛治
野口大介
榎田拓真

■新加入(IN)
森川正明(横浜BCから加入)
荒谷裕秀(宇都宮から加入)
チャンミンクク(韓国のクラブから加入)
ニック・パーキンズ(イタリアのクラブから加入)
ジャレル・ブラントリー(オーストラリアのクラブから加入)※IL入り
馬場雄大
木林優(12/29に特別指定選手として加入発表)
ディクソンジュニアタリキ(熊本より再加入)
デボーンワシントン(1/30に加入発表)過去信州や仙台、新潟でもプレー

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
松井智哉(鹿児島へ移籍)
山本エドワード(香川へ移籍)
ウィタカケンタ(鹿児島へ移籍)
山崎凛(滋賀へ移籍)
パブロ・アギラール(福岡へ移籍)
近藤崚太(東京Zへ移籍)
ジョーダン・ヘディング

両チーム主力の大半は残り、HCも継続。これまで積み上げてきたスタイルをより強固にしていくシーズンとなる
広島はメイヨ、エヴァンス、ブラックシアージュニアと外国籍選手が安定感を見せている。そして日本人プレーヤーは寺嶋を筆頭に攻守でやるべきことをきっちりで行っている印象だ
特別指定選手として再加入している三谷はスターティング5にも抜擢され今季躍進を見せる。若手、中堅、ベテランのバランスも良い塩梅の広島が後半戦勝利を積み重ねるか楽しみにしたい

長崎はB3からB1まで駆け上がったメンバーも残しながら、代表でも活躍を見せた馬場の加入がチームの起爆剤にもなった
新加入のパーキンズ、ブラントリーは平均で2桁得点も記録。馬場やボンズも得点面で大きくチームに貢献している
森川の負傷離脱は影響として大きいが、若い荒谷に小針、そして経験のある狩俣ら日本人プレーヤーもチームをけん引していきたい

筑波大学で共に戦った三谷と木林のコート上での再開も楽しみだ
また、朝山と野口は2008年北海道で共にプレーした経験も
河田と松本も2017年は奈良で共にプレーもしている
こうしたコート上での再開にも注目していきたい

過去の対戦成績(広島2勝 長崎0勝)

今季は長崎のホームで年末に対戦。広島がアウェイの地で連勝を飾った
GAME1は広島のニックメイヨが3Pを効果的に決めて24得点とチームをけん引。ブラックシアージュニアは安定したシュート成功率とリバウンドでも脅威になりダブルダブルと勝利に貢献した
一方の長崎は得意のファストブレイクで上回り、ペイントエリアでの得点も積み重ねていった。ボンズ、ブラントリー、パーキンズ、馬場と2桁得点を記録。その一方で外のシュートはなかなか決まらず悔しい敗戦となった

GAME2では、1Qから広島が猛攻を見せる。ロバーツケインの8得点をはじめ、チームで3Pを4本を決めて28得点をマーク。前半で差をつけて折り返した。後半は長崎の反撃を受けるも、上澤やエヴァンスの活躍も光り連勝を飾った試合だった
敗れた長崎も、馬場やチャンミンククが3Pをしっかりと決めて、前日の課題をしっかりと修正できた。その一方で得意のファストブレイクがなかなか機能せず、インサイドでの得点が思うように積み重ねる事ができなかった

2023-24シーズン(広島2勝)

長崎 64-79 広島 2023.12.30
長崎 68-86 広島 2023.12.31

週末ゲームとは異なり、水曜ゲームはスカウティングや、コンディション調整など難しい部分もある
今季ここまで、広島・長崎共に今季水曜ゲームはここまで3勝2敗と勝ち越している状況。前回対戦では広島に軍配が上がったが、今節はどのような戦いになるか注目したい

個人的な見どころ

今季3度目の対戦となる広島VS長崎
前回対戦では2桁点差をつけて広島が連勝でした。長崎の試合後のコメントを見ても、広島のDFに苦しんでいた印象でした
広島目線で見ると連勝を伸ばすために、今の良い状況をどれだけ継続できるかどうか?
一方の長崎目線で見ると、苦しい状況ではあるものの自分たちの良さにフォーカスしながら1段また登っていく事ができるかどうか
それぞれのチームの向き合い方は非常に興味深いところです

その中で個人的に重要だと感じている点は3つ
①長崎のメンバー編成
②広島は守備で、長崎は攻撃でリズムをつくりたい
③アウトサイドの攻防

①長崎のメンバー編成
長崎はジャレル・ブラントリーがIL入り。一方で1/30にデボーンワシントン選手の加入も発表されている

恐らく短期契約という形になるが、日本での経験もあるワシントン選手が長崎のスタイルにどのようにマッチしていくのか注目したい

そして前節の4Qは主にセカンドユニットの選手たちがコートに長くたち、良さと課題の両面を見せた。少し足を引きづっていたパーキンズ、そして馬場のコンディションも含めてチーム一丸となって戦う一戦となりそうだ

水曜日の後にはホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦と同地区対決が続く長崎。その後はアウェイ戦も続くため、この週末に向けても上向きのチーム状態をつくっていくためにベンチから出場する選手たちの躍動に期待したい

②広島は守備で、長崎は攻撃でリズムをつくりたい
前述した通り失点数がリーグの中でも低い広島はアグレッシブさと冷静さの両方を持ち合わせている印象だ
得点力のある選手が多くいる一方で、プレーする選手たちの守備意識は非常に高い
平均リバウンドはチームで39.2回(リーグ11位)と中位にいるが、日本人プレーヤーのリバウンド平均は2回。ブラックシアージュニア、エバンスがリバウンドの要ではあるが、メイヨ・河田も高さがありORも強力だ
TOの少なさ、Fの少なさも流れを失わない広島の特徴の1つでもある
広島はこれまで通り、誰が出ても安定した戦いを見せて自分たちのペースでバスケットをする時間を長くつくりたい

一方の長崎は得意の攻撃面でいかに広島のFを誘えるかもポイントになりそうだ。また、スティールの平均数はリーグ1位でもあるので、いかに相手のTOを誘発することができるかどうかも大切になってくる
アグレッシブな守備は諸刃の剣として、Fの数も多くなってしまう
そこを個人の守備だけではなく、チームの守備意識として臨む事ができるかどうか
そして得意のファストブレイクだけではなく、ハーフコートバスケットでもいかに流れを止めずにプレーすることができるかどうかも注目したいポイントだ
前節はペイントアタックからのアウトサイドシュートを決める場面もあった。個でも打開ができる選手はいる一方で、ハーフコートのバスケットでも長崎らしいアグレッシブな攻撃を見せて流れを多くつくっていきたい

③アウトサイドの攻防
今季のここまでを見ると3Pの試投数、成功数、成功率の全てで長崎は広島を上回っている

広島:3Pの1試合平均 9/27.9 成功率32.1%
長崎:3Pの1試合平均 9.5/29.0 成功率32.6%

ただ、広島は3連勝の3試合はアウトサイドが好調
SR渋谷戦のGAME2は9/21で42.9%
茨城戦のGAME1は10/38で26.3%と成功率は下回るも多くのシュートを放った
そして茨城戦のGAME2は11/28で39.3%と高い水準を見せている

一方の長崎は5連敗中の数値を見ると、成功率30%を上回ったのは前節のGAME1のみ8/26で30.8%
直近5試合は1試合平均の試投数は27.6回と平均は下回るもほぼ同水準を記録
成功数は1試合平均7本
チームの中でも高い成功数を誇っているブラントリー、森川の負傷は影響として大きいが京都戦・三遠戦で2本の3Pを決めた小針や、秋田戦で4本の3Pを成功させた荒谷といった若手の気持ちの乗ったプレーに注目したい

広島は中へのアタックからボールムーブをして前節は上手くアウトサイドのシュートの起点をつくっていた
結果的にメイヨはGAME2で4本成功。寺嶋や山崎もGAME2では2本の3Pを成功させている
高さのある選手も擁しているため、インサイドでの強さも誇っていく中で、中と外とを上手く使い分け的を絞らせない攻撃で確実の外のシュートの成功率を高めていきたい

同地区対決。そして中2日での一戦。更にはまた週末試合が待っているタフな日程となる。2月はB1リーグはバイウィークを挟むものの、それまでにしっかりと終盤に向けて勝利を重ねていきたい両チーム

まずは1戦必勝。未来に繋げるためにどんな戦いを見せてくれるか、明日のナイトゲーム楽しみにしたいと思います


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