なぜ日本企業は変われないのか Part.1
前回、「改善は変革ではない」という事を書きましたが、なぜ日本企業は改善大好きなのに、変革行動に積極的ではないのか考察してみたいと思います。今回は日本人の意識の側面から見ていきます。
技術的問題と適応課題
ハーバード・ケネディスクールでリーダーシップを教えるR・ハイフェッツ教授は職場や家庭で起こる問題は二種類あると言っています。「技術的問題」と「適応課題」です。
「技術的問題」は新しいスキルや知識があれば解ける問題で、いわゆる正解がある問題のこと。
「適応課題」は当事者自身が適応しなければ解決出来ない問題で、いわゆる正解がない問題のこと。
適応課題をわかりやすく一言で言うと、あなたが仕事で頭を抱える問題のことですね。「どうすりゃいいんだよ、これ?」とか思って仕事しているその問題のことだったりします。
本当に解決しなければならない適応課題は解決されない
あなたが上司と評価のための目標設定をするとします。技術的問題と適応問題のどちらの解決を多く目標設定に入れますか?
普通の人は技術的問題の解決を目標に多く取り入れると思います。いや、全部技術的問題にするでしょう。だって、正解があってわかりやすく、成果が出やすいですから。
一方で、本当に解決しなければならない適応課題は見て見ぬふりをされる傾向があります。
なぜなら、その手の適応課題は大概複雑で厄介、しかも解決に時間を要するからです。せいぜい半期や通期の結果で評価されるサラリーマンがそんな問題をこなしている余裕はないので、普通だったら誰もやりたがらないのです。
さらに厄介なのが役員や部長層です。この人達も適応課題に面と向かうのを嫌う傾向にあります。役が付いていてもやっぱりサラリーマンだからです。
ふだん仕事をしていると部長が何でそんな細かい仕事するんだって思うときないですか?やたら部下の仕事に介入してきたり、なんでかマイクロマネジメント始めてみたりとか。
人は楽な方向に流れていくんですよねぇ。みんな本当に解決しなければいけない面倒な適応課題を見て見ぬふりしている。こんな感じだからいつまで経っても組織の問題は解決されず、解決によって生まれる変革も起こらないのです。
たまに変革行動を取って成功したりすると、得てして主導した人は「異色の人」とか「変わった人」とか言われたりしますよね。だって、世間的には人がやらないことをする人ですから。横並び大好き日本人からはみ出た人です。
でも、これはまだ日本企業が変革出来ない理由の一部でしかありません。次回は組織の側面からなぜ変革出来ないのか見ていきたいと思います。
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