見出し画像

【ドラマ木22時】大奥 第三話 大奥に生きるのは、心を持つ人間であった

登場人物

五十宮倫子 … 小芝風花
徳川家治 … 亀梨和也
お品 … 西野七瀬
お知保 … 森川葵
松平定信 … 宮舘涼太
松島の局 … 栗山千明

あらすじ

家治のお渡りはあるものの何もない倫子は、上様の気持ちが分からない、と不安な日々を送っていた。そんな中でも、大奥内での嫌がらせは続き、「添い寝姫」というあだ名をつけられたり、食事に異物を仕込まれたり、布団に蛇を入れられたりと苦悩の日々が続いていく。一方、側室を持つよう迫られた家治は「子はいらん」と言い放つ。家治は幼い日の記憶が今も傷を残しており、子どもを持つ気になれずにいる。家治の傷やお知保の想い、定信と倫子の関係、松島の過去など、登場人物の抱える事情がさまざまに明かされる中、家治は倫子を呼び出し、二人きりで話をする。初めて見る家治の優しいまなざしに倫子は心を動かされ……。

家治の傷

家治の父は、女癖の悪い人だった。家治の母は邪魔にされ、檻に入れられ食事も与えられないなど、ひどい仕打ちを受けていた。父から与えられた体への負担は、結局母を死に追いやった。それを一番近くで見ていた家治は、深く傷つき、心を閉ざしてしまった。

お知保の想い

ひと時だけ暇をもらい、実家に戻ったお知保。そこは、廃れた場所だった。母は病気に倒れ、妹は看病と弟たちの世話、家事に追われ苦悩していた。帰ってきてほしいと願う妹だったが、お知保には果たさなければいけない想いがあった。お知保は確かに家治を慕っていた。幾人もの女性が集う大奥で、家治の目に留まるには偉くなるしかない。普段は意地悪に見えるお知保は、自分の想いをかなえるため、覚悟を決めたのだった。

通じ合う倫子と家治

さまざまな人の想いが明かされる中、家治の過去を知った倫子は、冷たい瞳の中に隠した悲しみに心を痛める。そしてその優しさは家治の心を少しずつ溶かし始める。夜、倫子を誘い出した家治は、夢や希望をまっすぐに語り始める。そしてそのすべてをかなえることは難しいかもしれないという悲しみを再び瞳に宿した家治は、倫子に「好きに生きろ」と告げる。第三話冒頭で、気持ちが分からないと思っていた倫子だったが、家治の本当の心に触れたような気がする。そして二人は、互いに心通わせ始める。

大奥に生きるのは、ただの人間であるということ

第一話で定信が言った通り「人を人とも思わぬ者たち」ばかりが集う大奥。嫌がらせやそしりに溢れ、気の休まる時間がない。しかし、そこに生きる人たちも確かな人間であるということを再確認する回となった。それぞれが、想いを抱え、目的のために突き進む。それが例え負の感情でなくても、複数に交じり合う想いは、ときには敵対し、攻撃しあう。誰かの幸せは誰かの不幸を意味し、望まなくても果たさなければいけない務めがあり、望んでも手に入らないものがある。そういった苦悩の中を生きているのだと、改めて知ることとなった。そんな中でも、倫子と家治の間には確かに温かい時間が流れていく。大奥史上最も切ないと謳われた今作の中、彼らがどんな運命をたどるのか、益々楽しみになった。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?