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【ドラマ木曜22時】大奥 第二話 上様の弱さと御台所の強さ

大奥の中、御台所としての生活を始めた倫子だったが、理解できない風習にうんざりしている。それでも倫子のそばで強く仕えるお品だけが唯一の心の支えだった。そんな中、お知保の罠にはめられ、お品は大奥を追い出されそうになる。それを止めるには、女中に配る懐紙入れ300個を完成させなければいけない。自分のせいで倫子にまで苦労をかけることを申し訳なく思うお品に対し、お品への嫌がらせはもとはと言えば、自分を嫌がらせるためだと自分自身に責任を感じる倫子。二人は懸命に懐紙入れを縫っていくが、何度も邪魔が入り、そして……。

今回も盛大に嫌がらせをする大奥の人々。上様の目に留まるため自分磨きに専念する、などということはまるで無く、とにかく他人を排除することに精を出す。
そんな中、少し変化が見えたのが、お知保であった。お品との間であからさまに火花を散らす彼女だが、家治に向けるまなざしは恋をする女性そのものという様子だった。また、上様のお渡りを知らせに来たときにも、意地悪なお知保ではなくどこか悲しそうにも見えた。彼女が家治に抱く思いも今後の展開に大きく影響することを暗示させる描写となった。

第二話で、少しずつ浮彫になったのは、家治の弱さと倫子の強さだった。家治は将軍でありながら、老中の田沼の言いなりになっている。幼少期の何かの記憶が、家治を恐れさせている。そしてその恐怖につけ込み、脅すことで思い通りに事を進めようとする田沼の悪知恵にはぞっとする。家治が孤独の中、震えるような背中を見せるのに対し、倫子は一話よりさらに強く逞しくなっている。懐紙入れを作り終えた後、「無用な嫌がらせやそしりは断じて許しません」と言い放った倫子。すでに御台所としての覚悟と品格が見えている。倫子のその強さに家治も心を動かされる。傷を背負って孤独に生きる家治をその強さと優しさで倫子が包み込む。そんな穏やかで優しい時間が訪れるとき、二人の生きる場所はどんなところだろうか。お品と同様、倫子が変える大奥を、家治と倫子が互いで作り上げるその世界を見届けたいと思える第二話となった。

一話に比べて、声も少し低く、強さをまとった倫子。お品を傷つけられることで戦う決意をする彼女は、大奥の頂に立つものらしく背筋を伸ばして、そこに君臨する。愛らしさと強さを兼ね備えた倫子と女たちの争い、家治と男たちの争いを楽しみに見守っていきたい。

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