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仕事のやりがい


私はいつも担当するお客様に「なにかご記念のご旅行なんですか?」と伺う。
これは、記念の旅行だった場合の対応がある為と会話の鍵でもある🔑

先日担当したお客様。
「何かご記念のご旅行ですか?」とご主人のいない時に奥様に伺うと、
「実は…、主人の脳に腫瘍ができて、手術もできないところにあってね、1週間放射線治療をしたんだけど、それでも完治とか小さくなるとかそういうのは期待できないってお医者様に言われてるの。」
「私達、年齢的にもそう長くはないじゃない?だから想い出を作りにきたの」
と教えてくださりました。

私は丁寧に真剣にお話を伺って、
でもこれは何か特別なことをするのではなくて、
笑顔で病気のことなんか忘れちゃうように明るく丁寧に接客することだなと思った。
というかそれ以外に出来ることが無い。

だからいつも通り、丁寧に明るく元気に接客した。

そうすると、ご主人様が朝食時に、
「実はね、昔、この旅館の目の前の旅館に泊まったの。その時にあ〜この旅館に一度は泊まりたい!って思ったんだよね」と一言。

昔からの夢のひとつだったんだな〜と。そしてそれが叶った日なんだな〜と思った。

帰りに靴を磨いて差し上げると、それをご覧になったご主人様が、
「流石!!やっぱり他の旅館さんとはサービスが違うね〜」と笑顔で喜んで下さった。

そして奥様もお帰り前に
「本当にありがとう。」とニコリ
ご主人様も私の名前を呼んでくださりニコリ

嬉しかったな〜

そして、奥様がアンケートをご記入して下さったものをお見送りした後拝見すると、
沢山丁寧にコメントまでして書いてくださっていて、
「お若いのに素敵なおもてなしでした。想い出に残る旅行になりました。ありがとう。多分最後の旅行になると思います。」と。

あ〜良かった。ちゃんと想い出に残る旅行にできた!と安心。そして少し寂しい気持ちに。

私は「特別な日をもっと特別に」「素敵な思い出の一役を担いたい」というモットーを持って就職活動をしていて、現在仲居という仕事をしている。
今回のお客様は、それが出来たかもしれないと思えた出来事だった。
やっぱり想い出に残る特別な旅行になったと言って頂くことに私は1番やりがいを感じる。
そして、私にとってこの旅館で仕事をすることは日常だけど、お客様にとっては夢の一日かもしれない。特別な一日かもしれない。それを忘れてはいけないなと思った。
まだまだ未熟。引き出しも少ない。気配りも行き届いていない。
だけど、そこに対して一生懸命に、笑顔で、取り組む姿はお客様にも届くと思う。

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