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ツーオンアイス 1巻 ジャンプ本誌掲載時感想

みなさんこんにちは。
ジャンプ歴20年Vtuberの寿司いくらです。
普段は毎週火・水曜にジャンプの感想を語り合う配信を行っております。

配信で話す内容をまとめたものを毎週記事として公開しておりまして、今回の記事はその中からツーオンアイス 単行本1巻収録分の内容を再編集したものとなります。
ようはジャンプで読んだ当時の感想ですね。

それではどうぞ!



●1話

表紙
22年17号『レイルウェイ/ゲイトウェイ』、22年49号『さっちゃんは石になった』の逸茂エルク先生の初連載!
読切が印象的だった新人作家さん3連続で新たな時代の萌芽を感じる。
表紙イラストは主人公とヒロインであろう二人のコンビ。一撃でフィギュアスケートの話だとわかるし色味も派手でいい感じですね。
巻頭カラー
3Pとも主人公のオリジン。
見開きで過去と現在を一緒くたに描いてるのは地味に珍しいパターンかも?
キャラをメイン2人に絞ってるのも作品の雰囲気的には正解な気がする。
ヒロイン意外とでっかいね……
本編
主人公、隼馬の幼少期から。
フィギュアとの出会いをめちゃくちゃ速攻で鮮烈に描いてるのテンポよくてえらい。
小学生で3回転4回転跳んでんのバケモンすぎるのでこんなん見たら脳焼きつくのもわかる。
なんでもやればできてきた主人公が初めてできないものに出会ってのめり込んでいくのは割と王道進行だね。
時は進んで3年後の東京。
時代設定が2021年なのは何か意味がありそう。
東京着くなり即スケートリンク突入、さらに即例の女の子と再会という展開の速さ。とにかくテンポ意識してるなー。
ちょいちょい作画が怪しくなる時あるけど(後の方の「ねえ それ今じゃなきゃ駄目?」のところとか)、初対面はしっかり美人だ。
20時にまた来いと言われてリンクに向かうと、アクロバティックに滑る二人組の姿が。
お姉さんが投げられてるところ、足が右上に来てるからそのまま真ん中のコマに行っちゃって、右下を自然にスルーしてしまうのでちょっと視線誘導微妙な気がするなー。一瞬混乱しちゃった。
滑ってたのは受付のお姉さんお兄さん。
お姉さん、「少年」呼びだし目ぇ真っ黒のメッシュバシバシで刺さる人大勢いそ〜〜
それはそうと隼馬とヒロインの話。
ヒロインの3回転半見せてからすぐ隼馬の3回転見せて(同じだ…!)と思わせるの演出うまいね。
軸ブレで完成度で劣っていることを描写しつつそれでも転けずにいられる体幹という取り柄も描いているの地味に小技が効いてる。
そこからさらに隼馬がどうやって練習してたかの回想に繋がるんだけど、
「小3から中2までの6年間」
「夜中1時から朝までの5〜6時間」
「冬の間 毎日」
く、狂ってる……!!
睡眠時間、20時に寝室に向かったとしても5時間だよな……その歳の頃でそれは……と思ったらまあまあ小柄だな主人公。筋通っちゃってるな。
終始余裕たっぷりだったヒロインもさすがにこれにはドン引きしてる。
まあでもこれだけ努力と狂気を備えてるということが分かれば天才少女が初対面で相方として誘ってくるというのもわかるね。
ちょうど相方探してるところにコレは確かにヒロイン視点からしても運命の出会いかも。
いきなりはちょっとねということで仮でペア結成。
最後にここでようやくお互い名前を教え合う……んだけど、隼馬が覚えてるのは当然として、ヒロインの綺更も覚えてたってのは読んでてなんだか嬉しくなるし、すごい物語が始まる予感を感じさせてくれるね。
ラストの見開きでは「序幕 ペア結成編」と。
うお〜〜いつ切られるか分からないジャンプで続く前提の演出とは攻めたな〜。
線とかの粗さはたびたび感じるけどキャラも雰囲気もいい感じで期待のできる第一話でした!
王道ボーイミーツガールだね!

●2話

センターカラー!
練習の合間の風景。
やや引きのアングルなのが何気ない瞬間を切り取った感を演出しててGOOD。
淡い水彩塗りもスケートの雰囲気と合ってて良い扉絵。
本編
今回も序盤からガッツリリンクでスケート。
いきなりデススパイラル×2で笑った。なんでそんな物騒な名前なんだ。
早々にフィギュア競技の説明も。
まずシングルの説明から入ってその後ペア、サイドバイサイドの説明に入るのスムーズだし分かりやすい。
そしてずっと綺更の動きをトレースし続けていた隼馬は最初っから綺更と動き&息を揃えるのがめちゃくちゃスムーズ…という、ものすごく納得のいく主人公の凄さの説明も出てきた。
2人で合わせるペアならではの楽しさの片鱗も早くもちょっと感じられた気がする。
1話で隼馬の狂気じみた努力についてちゃんと描いていたからこそ、その努力が実を結んでいるカタルシスが感じられてすごく良いよなー。
同時に、相方を探していた綺更視点だとこんな都合の良い相方が現れることある!?って感じでそりゃ上機嫌にもなるってもんよ。
綺更があんま可愛くない(ショートヘアが好みじゃないので…)のはネックだけど、全体的に分かりやすいしテンポ速いしキャラが楽しそうなので面白く読めるな。

●3話

1ヶ月後の発表会に向けての練習。
"タイミングや癖が綺更と同じ"という得難い強みは持っているものの、経験不足によるそもそもの地力の足りなさが課題……というのはそりゃそうだよねということで入ってきやすい。
3回転も4回転も飛べる相方なのに自分のせいで2回転半に下げさせてしまっている──ってのもそりゃ隼馬からしたら悔しいよなー。
ペア競技漫画だけど相方の綺更が最初からハイレベルなので物語の構造としては隼馬の成長をガッツリ描くだけで成り立つ。作りが上手い。ちょっとハイキューと似てるかも。
「絶対本番で本気出さすからな!「…はいはい」
「私に本気出させてよ?」
追いつこうとガムシャラにやる隼馬とそれが密かにめちゃくちゃ楽しみな綺更、みたいなね。
この関係性なんか良いな。
最後にはもう発表が始まるところでヒキ。
4話にして本番って鬼のテンポの良さだな。でも決して飛ばし過ぎにはなってないジャンプ環境に適合した絶妙なバランス。
あとは本番の演技をちゃんと魅力的な絵で表現できるか否かに作品の進退がかかってると言っても過言ではないけど、果たして。

●4話

隼馬と綺更、初のペア演技。
全力を出させたい!の隼馬と、ついてこられる?の綺更で互いが互いの力を引き出し合うみたいな良いコンビ……!
絵もだいぶ頑張ってるけど、見開きはユニゾン一個一個を小さく描きすぎなのでもう少し大きく描いて迫力出してくれてもよかったかなあ…というか、トリプルアクセルでそれをやろうとしてたんだろうけどイマイチキマってなかったかなって感じ。
まあ再序盤だし転けてるしあえてそんなもんなのかもしれないけども。
でも「この2人今後どこまで行っちゃうんだ…!?」ってワクワク感あったし、「転け方まで同期してら」はちょっとクスッときて、最序盤としてはかなり良い演技だったんじゃない?読後感も爽やかで……
と思っていたところに……!!
舞い上がってペア競技にノリノリになった隼馬と、隼馬に追い抜かれついていけなくなる未来が見えてしまった綺更という残酷なまでのすれ違い。綺更、多分前の相棒にもそうされたんだろうな。
演技は揃ってたのにここまで気持ちが揃ってないの、皮肉すぎてたまんないな……
そしてさらにここに来てプログラム"映画「道」より"が効いてくるんですねえ〜……!
「近づいては離れる二人の人生の旅路」……クゥ~……!!
普通の漫画なら「すごいペアになる予感!」で終わらせてたところをさらに一段踏み込んできたのがかなり高評価で、個人的には新連載組の中で頭ひとつ抜けた気がしたな。 

●5話

綺更の過去から。
「女子選手は選手生命が短い」
を強調しておいて憧れの人に
「男の子だったらよかったのにね!」
と自分で鍵をかけていた部分をサクッとブッ壊されるのえげつねえ〜……
そしてだからこそその後ペア競技に希望を見出したのも、フィギュア界から姿を消していた理由もめちゃくちゃ納得のいく流れになっていて良かったね。
たっくん、憧れのお兄ちゃんポジにこんなんいたらそりゃ人生狂わされるだろという説得力がある。
あとしれっと今もシングル続けてんのも何なんだお前…!って感じよな。まあ明らかに後々ボスキャラとして出てきそうではあるけど。
隼馬には綺更の過去を聞かせた上でペアとシングルどちらの道もあると提示。
綺更、過去に自分が道を奪われたから自分は奪わないっていうの、生きた人間らしい筋が通ってていいねえ。
隼馬は隼馬で一時の感情で軽率にペアを選ぶのではなく、しっかり悩んだ上でシングルもやって決めると答えてるのは偉いね。
そしてここでもまた「道」が効いてくるのか。キャラのドラマに楽曲の持つテーマ性を巧みに絡めてて、この競技ならではの文脈の噛みあいが良い読み味になってる。
岐路の看板の演出もしっかり効いてていいな〜。

●6話

大会に向けての基礎練回。
前回ラストの重たいノリとは打って変わって、ギャグ多めに説明と練習をテンポよくやってて楽しげな雰囲気だったね。
隼馬と綺更が既に結構仲良しで、ちょいちょい挟まるやりとりが微笑ましくて好き。なんか相棒ってよりは姉と弟みたいな。
綺更の「飽きてきてそうだからいじってあげなきゃ」、気配りしてくれる優しさと素直じゃない気の配り方が一手で描かれててすごい良いな。わたしの中ではここでさらっとガッツリ好感度上がったわ。
それに対し隼馬は「綺更に気づかないくらい集中してた」ってので、"スケートにどんどんのめり込んで、上手くなっていくのも楽しい"というのをしっかり描けてるな〜と思った。
「隼馬 50m」
でカタルシスもあったし、スポーツもので上達過程を面白く描けるの本当に偉いよ。
それでいて最後はジュニア部門でなくシニア部門に出て、名だたる選手たち&綺更とも勝負するという少年漫画らしい茨の道に自ら突っ込む主人公!それでこそだね!
相変わらず展開のテンポも良くてかなり良いなあ。


●7話

霧島杯直前。
冒頭の隼馬綺更の絡み、やっぱ綺更はお姉ちゃんみすごいあるよな〜って思った。仲良しだし隼馬もどんどん楽しくなってきてて良いね。
帰路では夏夜さんと二人きり。
夏夜さん、怖いイメージだったけど「最初から気づけなくてごめんね」とか意外と優しい人だ。
しかも「組めば救えるって訳でもない」とか「隼馬が選ぶのはあくまで選手人生の「一歩目」」とかめちゃくちゃ重要だけど気付きにくそうなところをしっかり導いてくれるのめちゃくちゃちゃんとした大人というか先輩というか。
「俺は夏日と心中する覚悟でやってるよ」と闇も覗かせてきたけど、このくだりのおかげでグッと良いキャラになった気がする。
男女ペアとか、先輩後輩コンビとか、『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』を思い出しちゃうな。
その後は綺更サイドも。
隼馬は綺更に引っ張り上げられてフィギュアの楽しさを知り始めたけど、逆に綺更の方も隼馬のおかげで楽しさとか希望を取り戻してた。互いに良い影響及ぼしあって、それでいて依存しているわけでもない……すでにすごい良いペアになってんじゃん。
最後には霧島杯開始。
ちょっと周りを描写したら早速綺更の演技。
隼馬のおかげで吹っ切れて、精神面でも前向いたのでトリプルアクセルも成功!
良い流れ……からの次回センターカラーでおそらく隼馬の演技!
タイミング完璧でいいねえ!

◇振り返り

めちゃくちゃテンポいいなこの漫画。
馴染みのないスポーツなので競技の説明もやるんだけど速度を損なってない。
ペア競技ならではの楽しさ、苦悩、文脈のエモさなんかもばっちり仕込んできてるしもっと伸びていい作品だな〜。
魔々勇々カグラバチとともに、新連載3連弾が全部当たりってすごい。3つともこのまま続いてくれ〜〜!!

というわけでツーオンアイス1巻の感想でした!
次巻の感想でまたお会いしましょう!
よければコメントやスキの方よろしくお願いします!
それではまた!

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