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憎めないギャルは正しいギャル

ズケズケとした質問をされるのが好きだ。

突拍子もないことを聞いてくる人とは、不思議と仲良くなれるからだ。 

今日、納会と称して会社でみんなでピザやら寿司やら取って食べていたら、「ねぇ、体重何キロ?」とギャルに聞かれた。

ギャルは私の先輩だ。社風とは真逆に近い露出狂ファッションで毎日キメていて、フサフサのまつ毛が可愛らしい、普通に「ギャル」である。

「えっ、体重?!」と聞き返すと「うん、何キロ?」と普通のテンションで聞かれた。

吉田沙織くらいだよ、小型のゴリラとおんなじ、とか答えられたらよかったのだけど、あまりにも突然で「小学生男子みたいなこと聞かないで〜」と笑って返してしまった。
ギャルは笑いながら「思ったよりちっちゃいよね、私とおんなじくらいだもん!」と言われた。

これをマウントと思わせない、彼女の明るくあっけらかんとしか感じが、私はたまらなく好きだ。

昔、学校にいたギャルはみんな意地悪で、団地に住んでて、親が片親でグレましたみたいな女子ばかりで、めちゃくちゃ苦手だったけど、
彼女はそういう類の女子ではなく、根っからリア!パリピ !みたいないい奴だ。
このご時世にギャルをやっているなんて、やはり只者ではなく、何事も筋が通っている。由緒正しいギャルである。

実は高学歴なとこ、実は優しいとこ、誰にでも分け隔てなくタメ語を使うところ、とても愛嬌があって、憎めない。
「その服どこで買ったの?!可愛いー!」と懐いてくる日もあれば、「〇〇さんのメールアイコン見た?ビール片手にウィンクしてんだけど、こういう女まじ無理だわー」と、強めの丸の内OLに文句をこぼしたりもする。

「〇〇さんて超いいよね」「毎日お弁当作ってるの超偉いよね」などと周りの人を褒めるのに躊躇いなど一切なくて、頼まれた事が面倒だと「私その作業1番苦手!」などとハッキリ答えるし、その苦手な作業は10個くらいある。
逆に何が1番好きなの?仕事の中で、と尋ねると、「うーん、ない!笑」と最高の笑顔で答えてくれる。素直でよろしい。そういうとこがめちゃくちゃに可愛い。愛嬌は最高の武器だと思った。

そんな彼女も、来年職場を去ってしまう。
唯一心を打ち解けている(つもり)の先輩だったので、とても残念だ。
私の職場は1ヶ月に一人退職者が出るブラック企業なので、お疲れ様会的なものは面倒すぎて一度も参加した事はなかったけど、彼女の会だけは絶対に行きたいと思う。絶対に面白い。彼女が次にどんな職場に行って、どんな仕事をするとしても、心から応援したい。
私なんかが応援しなくても「マジがんばるわ」と勝手に頑張って生きていくであろうたくましさを持っている彼女だからこそ、誰よりも幸せになってほしい。

真新しいレザーのバッグを見ると「マジたまらん!」といって鼻に押しつけて匂いを嗅ぎまくる姿も、
「おじさんっていいよね…」と言いながらロバートデニーロの画像を見る姿も、
昼休みになると段ボールで壁を作って「今から海外ドラマ観るけど、卑猥なシーン多いから覗いちゃダメだからね!」と訴えかけてくる姿も、全力でめちゃくちゃ可愛かった。

この半年、彼女がいたから仕事がとても楽しかった。わからないことを聞いたら、わかるまで一緒に考えてくれて、困った時は一緒に解決してくれて、使えないポンコツおばさんが入社した時も、もーやめてー!と笑いながら適当にあしらって守ってくれた時も、本当救われてばかりだった。

大人になると、社会人として社会人らしく社会人にならなきゃいけないような気がして、服も言葉も世の当たり前に沿って振る舞って生きるのが当たり前と思っていたけど、
彼女の「自分は自分」というスタンスを曲げない強さには、本当にシビれる。

社長に服装注意されたり、名刺の渡し方やら歩き方やら怒られていた日も多々あったけど、そんな事気にも止めずに「自分の道」を爆進する彼女の存在は、私にとってはもはやカリスマアイドルに近いものとなっている。

やるべき仕事をちゃんとこなしてさえいれば、別にギャルでも良いじゃないか。30過ぎても好きな服を着て、思ったこと素直に言って、いつも周りに感謝を忘れない、そんな彼女はとってもカッコいいのだ。

「体重何キロ?」なんて質問、私は人にした事がない。
いつか私も、彼女みたいに1000%の愛嬌を持って人に聞いてみたいものだ。ブーメランが怖いから絶対聞かないけど。

このお金で一緒に焼肉行こ〜