事業会社でコンテンツマーケティングに挑戦して感じたこと

コンテンツマーケティングと言われて、まずイメージされる成果は、SEOで上位を取ることや、ブランドリフトだと思います。

私が会社でコンテンツマーケティングに取り組んだ際は、もっとふわっとしたものですが、どちらかと言えば後者を目的としたものでした。

でも、ブランドリフトって、施策と数字の動きの因果関係を明確にして、関係者と共通認識を持つことがすごく難しいですよね。

私が所属していた組織は、良くも悪くも組織が大きく、マーケテイング施策にある程度お金を使えたため、様々な施策が同時進行し、どの施策がどの数字を動かしたのかはっきりしない中で、コンテンツマーケティングを進めていくことになりました。

強いチャネルがあるが故に顧客接点の開発が後手に回る

さらに、私の所属していた組織には、長年顧客に利用されている販売チャネルがありました。

売り上げの大半が特定の会員に向けた既存媒体から立っている状態だったのです。

外から見ると贅沢な環境ですが、内から見ると、会員の減少と新規顧客の獲得がうまくいかない状況に悩み続け、なんとか新規チャネルを開発し、新しい顧客とつながれる仕組みを求めていたのでした。

ただし、チャネルの新規開発と新規顧客の獲得を声高に叫ぶのは、マーケティング部門や経営企画部門などの、どちらかというと管理部門の人間で、ライン部門の人間は、目の前の売り上げ目標を達成するために、どうしても既存媒体に注力せざるを得ないのでした。

上辺だけのコンテンツでは、中の人もお客様もついてこない

前述のような環境だったため、より多くのお客様と繋がるために、コンテンツマーケティングをやりましょう!といっても、積極的な協力を得ることは難しい日々がつづきました。

コンテンツマーケティングの一環ではじめたブログも、やむなくライン部門の既存媒体を見ながら私が記事を作る日々。

ある程度、テキストライティングの教科書で勉強しながら記事を書いたので、見た目は小綺麗な記事をアップすることができました。

しかし、公開後、瞬間的にPVは付くものの、継続してお客様に読まれているとはとても言えず、社内の人間も、ブログの存在を認知していないことがほとんどでした。

そのような状況が続く中、記事作成と並行して、コンテンツマーケティングをやる意味や、コンテンツを通してお客様と世界観を共有することの大切さを、社内で説いて回りました。

人を動かすのは商品の作り手が滲ませる熱量と鮮度

そんな中、ブログの立ち上げから1年が経ちました。

ライン部内でも、コンテンツマーケティングの魅力に共感し、自らブログ記事を作ってくれるメンバーが現れはじめました。

公開される記事は、商品PRの要素が強いものが多かったのですが、中には、商品に付随したお客様の役に立つ情報が確かにありました。

もともと、お客様に商品を利用してもらい、喜んでもらうことで利益をあげてきた作り手たち。

扱う情報の鮮度や熱量は、やはり、違います。

商品の作り手が自ら手がけたコンテンツの中で、長く読まれる工夫をこらしたものは、公開後、一定数のお客様を集め続け、さらに、次の購買プロセスへお客様を誘導することができるようになってきました。

マーケターができることは作り手の「日々の仕事」を届けること

こうしてみると、お客様に刺さるのは、商品の作り手が日々おこなっている業務の中にある、細やかな工夫や試行錯誤、誰かのためにやっている仕事のひとつひとつから生じる成果(テキスト、数字、あらゆる情報)なのだと思います。

これらの成果をお客様に役立つ形にどう変換するか。
お客様に自分ごととしてとらえてもらうために、どう見せるか。

作り手である彼ら彼女らの仕事を、一片も無駄にしない。
誰かのためにやってる仕事を確実に成果に繋げる。

とても綺麗ごとに聞こえますが、そんなマーケティングが増えたら、人が自然と他人を大事にできる世の中になるのではないかと思えたのです。

コンテンツマーケティングへの挑戦を通して、マーケターという仕事がとても幸せで意味がある仕事だと思えたのでした。



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