共感する力。共感を得る力。
サラリーマンをはじめて10年が過ぎました。
手配、サービス企画(商品企画)、販売(マーケティング)、サービス提供といったラインの仕事が中心でしたが、中には組織開発や採用にちょっぴり関わることもありました。
その中で一番大切だと感じた能力が「共感」に関わる力。
取引先の協力を得る
お客様に選ばれるサービス(商品)を企画する
お客様に商品を選んでもらう
会社の方向性を決める
会社を選んでもらう
そして、
お客様にサービス(商品)を利用してもらい感動してもらう
すべてにおいて、社内の人間、お客様、取引先、その他会社を取り巻く全ての人々と、共感をどう広げていくかが鍵だったと思います。
共感は言葉を合わせることからはじまる
コミュニケーション能力もマーケティング能力もある程度備わっている社員が30名ほど集まり、会社の戦略を考えるプロジェクトがありました。
この時の戦略とは、ポジショニング(SP)とそれを実現するための組織能力(OC)の策定、さらに、定めた組織能力を実行するために最も必要となる具体的な取り組み(KSF)と取組みが正しく行われていることを点検するための数値目標(KPI)を設定することです。
全員が生え抜きで、同じようなターゲットとの顧客接点がありました。そして、会社のミッションやビジョンに強く共感をしているメンバー達です。
「なんとなくだけど、目指している方向は一致している」
「いまさら話し合っても、自分たちの想いを確認するだけでは?」
そんな感じでプロジェクトはスタート。
まずは、個々の考える理想の姿を発表しあいます。
すると案の定、発表内容は同じようなニュアンスの内容でした。
がしかし、微妙に言葉が違うのです。
話が通じない!!
「お客様に喜んでもらうって、どうなったらお客様が喜んでることになるの?」
「顧客参画ってなに?推奨してくれる人を増やすこと?パートを増やすこと?」
「商品って?お金が発生することだけが商品なの?」
微妙に意図が一致しない言葉を紐解いて、砕いて砕いて砕いて、メンバー全員がその言葉を聞いて同じ絵を描けるくらいまで、必死に解像度を上げていきました。
そうすると、自分たちがそれまで行ってきた仕事について、なぜそれをやっていたのか、なぜ大切なのか、今までより高い次元で共通理解を持てました。
さらに、本来の目的との矛盾が見えた業務も数多く見つかったのです。
言葉を合わせることを通して、互いの仕事の重要性、やりがい、大変さについて共感を構築し、目指すビジョンを細部まで共有できた瞬間でした。
「伝える力」と「共感を得る力」
実は、前述の言葉を合わせてビジョンを共有する作業は、1年半かけて行いました。それくらい難しいことだったんです。
でも、それで終わりではありません。
組織を変えるのは、参画したメンバーだけでは出来ないからです。
代表取締役などの役員はもちろん、中間管理職、現場社員。
プロジェクトに参加していないメンバーに伝えて具体的な行動を生まないと何の意味もありません。
プロジェクトに参加していないメンバーに伝えるにあたって、プロジェクト内で言葉を合わせていたことには大きな価値がありました。
参加したメンバー内で言っていることの中身が微妙に違うなど、信頼を損ねるようなことをなるべく抑えられました。
さらに、言葉の裏側にあるイメージの解像度を上げていたため、自分の具体的な経験をふまえて目指すビジョンを伝えることができるようになっていました。
具体的な経験談は説得力が違います。
また、伝えたあとに相手から帰ってくる言葉への理解度も上がっていました。
「この言葉をこうゆうニュアンスで使ってくるということは、こうゆう経験があったのかな?」
「こうゆう言い回しをするということは、あの業務に関わってこうゆう気持ちになったことがあったのかな?」
これを見逃さずに、言葉にして相手に返すことで、さらに相手の共感を得て、同じ方向を向く仲間を増やすことができました。
結果、理想の姿にはまだまだ至れていませんが、これまで無かったKPIや取組が実現するなど、少しずつ仲間と変化を生み出せるようになりました。
その言葉の裏側にあるストーリーを掴む
共感することや共感を得ることは、言葉の裏側にあるストーリーを知り、高い解像度でイメージを共有することから生まれるのだと思います。
なぜその商品を一緒につくるのか
なぜお客様はその商品を選んぶのか
なぜ今その戦術をとるのか
なぜその会社で働きたいと思うのか
そして、
なにがお客様の心を動かすに至ったのか
同じ言葉でも、もしかしたら、その言葉にひもづく経験や想いは違うかもしれない。
言葉の裏側を一致させる必要はないけれど、違うことを知っているから、共感したり、共感を得たりするための工夫をこらせるのでは無いでしょうか。
結果、商品そのものや、それを作る会社や「私」を選んでくれる人と繋がれる。
だからビジネスが前を向くんだと思います。
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