しかめっ面したおじいちゃんはデイサービスで椅子から一歩も動こうとはしない
「暑いから涼しいところで座って過ごしましょう!」
否!
「しっかり水分を摂って、帽子をかぶって日陰を歩けば大丈夫!」
ぼくは後者の考え方。細心注意を払って散歩にいくよ。
さて、今日の話ってのはさ、
「それもまた人生」って話なんだけどね。
右の手首には湿布が貼ってあってさ、
椅子に座って微動だにしないわけよ、そのおじいちゃん。
もう地蔵。地蔵よりももっと地蔵。
目の焦点はどこに向かっているのか、
向かう先にはさ、デイサービスの真っ白な壁しかないのよ。
「時間よ、早く過ぎ去ってくれ」
病院の待合室で、奥さんの出産を待つ旦那みたいな。一時間に一本しかないバスに乗り遅れた後みたいな。プロポーズしようと思って最高級フレンチレストランを予約したのに時間になっても相手がこなくてすっぽかされた後みたいな。
とにかくもう、微動だにせず。
脈はあるが振動もせず、椅子と一体化しているのよね。
痛風が再発して、手首に激痛が走るらしい。ちょっとの振動で。
だから、じっとしているほかないんだって。
心をへし折る痛さなんだね。痛風って。
ぼくなったっことないからなぁ。
痛風って「贅沢病」って言われるじゃん。だからかな、なんか「うーん、自業自得ってこともあるよね」って思ってしまう。なんか「大丈夫ですか?」って言葉が素直に出てこないのよ。
「そらそやろ」ってなことで。
そんなことは言わないけどね。もちろん。
前の会社の上司でさ、酒好きな人がいてさ、
酒のアテに「白子」をつまむことにどハマりしてしまったらしいのよ。プリン体のミルフィーユ状態。あっちゅーまに、痛風になったらしい。
痛風で激痛が走ってもなお、白子の魔力に心奪われていて、しかめっツラで奥歯噛み締めながら白子啜ってたって言っててさ「どーしよーもねーなぁ」と思った。
そのおじいちゃんはもさ、例外ではなくて。
痛風でてるのに、毎日ビール飲んでるのよね。90歳越えてるからさ、アルコール飲めること自体すごいことではあるけども。
「痛い痛い」って言いながら、缶ビールをプシューッっと。
「痛みが治るまで、ビール控えましょう。」なんて、舌がちぎれて前に飛び出るぐらい言ってきたけれどね。どーしよーもないね。手首だからよかったと思うしかないね。足だったら歩けないもの。
どうしよか。
そのおじいちゃんの顔をWANTEDとして「この人にビールは売らないでください」ってビラを配ろうか。
もしくはノンアルコールビールが毎日郵便ポストに届くように、サブスク契約を結ぼうか。
それともデイサービスに来た時は、しこたま水を飲んでもらってアルコール分を尿で流してもらうか。これは正しいなぁ。
いやいや、いっそのことデイサービスで少量のアルコールを提供して、帰宅したら即寝してもらった方が酒量は減るかな。
そういえば他のおじいちゃんで、
毎日夕方、近所のスーパーに発泡酒買いに行く人がいたんだけど、道の途中で転倒したらしく、翌日のデイサービスに肌着血だらけになって来てたこともあったな。お風呂に案内して脱衣したら血まみれ。まぁ擦り傷程度だったからよかったけど。事情を聞いて家の中も見て来たら、発泡酒はしっかり空だったらしい。
こわいでぇ〜。アルコールってやつは。
自制心を外してくる・きよる・きやがりよるの三段活用やで。
まぁでも、それが人生なんだよな。
好きなもん食って、好きなもん飲む。
それが人生の楽しみならば、上手に「痛風くん」と付き合っていってくださいな。
ぼくの同級生はさ、
酒の飲み過ぎで40で死んでしまったけどね。
そういう人生だったのよ。
ネタにしてるぞ。悪りぃけど。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。