読み終えることが寂しくて、最後の一行が読めません【吉穂みらいさん作『眠る女』創作大賞感想】
私にとってそれは、吉穂みらいさんの力作『眠る女』、全10話です。
話を読み進めていく内に、読者である私たちは、主人公の葵が意識を保てなくなっていく様子と同化していきます。手先足先が冷え切り、生身の身体を失っていくが如くのその感覚は、作品世界に足を踏み入れた自分の意識が、平素とは違う世界に置かれしまったかのような、不可思議な感覚となって脳裡を駆け巡るのです。
葵と夫・時夫、キーパーソンのカオルをはじめとして、葵を取り巻く人々と彼女との関わりによって、少しずつ見えてくる真実は