こどもとあそぶ。ことばであそぶ。〜⑫負けずぎらいさんも楽しめる工夫〜
負けるとかんしゃく!?兄弟ゲンカ!?どうする??
前回記事はこちらです。
勝ち負けのないゲームやルールの紹介
「すごろくを兄弟でやってみたけど、負けた方がかんしゃくを起こして大泣き」「結局いつも兄弟ゲンカがはじまっちゃう」などなど、兄弟がいるおうちでは、競争が絡むゲームをするのもときに大変。「ケンカするんだったらもうやりません!」とママが激怒して終わる、なんてことも。
そんなときは、勝ち負けにこだわらないゲームやルールを導入してみましょう。
たとえばすごろくで遊ぶとき。ゴールの順番で「1位、2位、3位」と決まったとしましょう。あらかじめ1から3の数字を書いたおみくじを用意しておきます。1位でゴールした人が、おみくじを1枚引きます。そこに書かれた番号の順位の人はチョコレートがもらえる、という新ルールです。
これは何をしているかというと、すごろくでゴールした順番は勝ち負けを表すのでなく、ただのラベルです。「1位になった人が代表でおみくじがひける」というのは、ゲームの親のような役割を担うだけの話になります。1位=一番偉い、というわけではなくなりますね。
そして、おみくじによってチョコレートがもらえる人が決まります。おみくじはただの運。最後尾でゴールしたとしてもチョコレートがもらえるチャンスが十分にあります。これにより、1位でゴールすることの優越感が少し薄まり、何位であっても勝ち負けには関係ないという新たな概念が生まれます。なお、すごろくだけでなくトランプなどにも応用できます。
勝ち負けでなく、協力するゲームを
「レインボースネーク」は、手持ちのカードを1枚ずつ場に出して、ヘビをつなげていくカードゲームです。
ゲームの中にあるルールブックとは少し違うのですが、私はいつも複数の子どもたちに「みんなで協力して、できるだけ長いヘビを作ろう!」と声をかけます。目的を「長くすること」にして、「手持ちのカードを早くなくした人が勝ち」にはしません。こうすれば「僕、青持ってるから!」「私は頭のカードしかないから誰かほかの人が出して!」など、協力する声かけが生まれます。
「ばくしょう!ことばつなぎゲーム」は、「いつ・どこで・だれが・だれと・なぜ・どうした」という作文を、カードをつないで作っていくゲームですが、これがまた面白い! 「さっき・雲の上で・お父さんが・忍者と・さびしかったから・穴に落ちた」など、子ども心をくすぐるワードのチョイスが秀逸で、ゲラゲラ笑いながら盛り上がれます。
なお、このゲームは本ルールに従ってやると順位がつきます。私は順位がつかないよう、カードを裏返しにして場に広げ、1枚ずつ順番に引いてもらって、できた文章を楽しむ遊びにしています。ひらがなが読める年齢推奨ですが、読めないお子さんの場合は大人が読んであげてください。
負けずぎらいの理由を考えよう
日常のあらゆる場面で、大人は子どもに「早くしなさい」とせかします。幼稚園や保育園でも「○○ちゃんが一番早かったね」などと褒め言葉として使います。「一番=偉い」「一番=いいこと」というルールを作っているのは、私たち大人に他なりません。
また、「勝つこともあれば負けることもある」という状況理解が苦手な子どももいます。先ほどの「一番=いいこと」の裏返しは「一番以外=悪いこと」であると決めつけてしまう子どももいるのです。その子の頭の中では「一番」以外の自分は想定できていません。
ですが、勝負は時の運。想定外のことが起こり得ます。一番以外をとってしまったとき、想定していなかったことが起こったことで、パニックやかんしゃく、怒りへとつながってしまうのです。
負けず嫌いが強すぎるお子さんに「勝つこともあれば負けることもあるよ」と、ゲーム終了時に声をかけてもあまり響きません。それよりも「一番になれなかったときはどうする?」「一番になれなかったときはどんな気持ちになるかな」とゲームの前に想定し、見通しを持たせてあげることが大切です。
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