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まちづくりの視点で考える

⚫︎「人口減少はもはや止められない。」
2023年、1973年以来初めて全47都道府県で日本人の人口が減った。2022年には出生率80万人割れ(77万人)という状況の中、政府もいくつかの少子化対策を講じてはいるようではあるのだが…

「このままではいけない!」

こども園発で考えていく視点で、「まちに潤いを取り戻す」為の術を考えていくというのが今回の提案の主旨である。

これからのこども園にとって「少子化」は、今後の園運営においても切実な問題である。
しかしながら、この事は、幼児施設や児童福祉施設運営ばかりの問題ではなく、
社会全体において「人が少なくなる」という事自体が、その地域のたち行きが危うくなる重要な問題に直結していることは、もはや言うまでもない。

奥州市水沢区をモデル地区としている



⚫︎「コロナ禍が転機をもたらす」
リモートワーク/リモート会議というワードがコロナ禍を期に盛んに使われるようになった。
コロナ禍を過ぎた今、リアルに会う事の大切さを再認識している一方で、コロナ禍を経験する事で、「場所に束縛されなくとも仕事が出来る働き方」に気づけた人たちも少なくないであろう。特に子育て世帯にとって、仕事はリモートで大半の事はこなしていける事に気づけた事で、わざわざ都心で暮らしていくよりも、より魅力的な環境の中で子どもを育てていく事を選び、より豊かな暮らし方を求めて生活空間を地方都市へと移すという選択に大きく舵をきる人々が多数見受けられるようになった。
⚫︎今、暮らし甲斐のある地方都市が脚光を浴びている。
地方において、まちが活性化していく兆しが今のこの状況にあると考えている。まずこの地で「暮らす人」を呼ぶことが何より先決事項であると私たちは考えている。
観光シンボルがいくつあるかではない、そこの場所に居を移して暮らしていけるポジティブな理由があるまちが選ばれていく。そして、それを如何に維持し、更新し、かつ循環していけるのかが、まちの生命線でもある。

⚫︎はじめの一歩は「地方留学」
場所に束縛されなくとも仕事が出来る子育て世帯にとっての最終的な場所を選択する理由の多くは、場所と子どもとの相性によるところが強くあるのでは無いだろうか。
移住志願世帯の多くは、子どもとその土地との相性を図る為にも、覚悟を持って移住するよりも前に、その土地との相性を体験できる「地方留学」的な期間を設けながら、移住準備を図っていきたいと思うであろう。
この移住希望世帯を如何に受け入れていけるかと言う事が、今後の地方都市が生き延びる為に大切な「はじめの一歩」となると考えている。
今回のわれわれの提案は、この「はじめの一歩」について提案である。
今回、岩手県奥州市のこども園を一つのモデルケースとして、ケーススタディ提案を行った。
この園は既に、こども食堂を実施したりと、この地域の子どもが格差なく育っていける仕組みづくりについて試行錯誤しながら実践を行なっている。
このまちで子どもが豊かな経験をして育っていく事で、やがては水沢のまちが育っていく事に繋がっていくという信念を持って、現在このこども園を運営されている。

⚫︎「園庭で暮らしてみる」
さて、今回のわれわれの提案のまず第一歩として、イラストに示した様な園庭提案を行った。
園庭にトレーラーハウスを設置し、ここを1世帯のみが宿泊できる施設とし、こども園の子どもたちも遊び込める園庭環境となるよう計画している。
移住希望の子育て世帯の仮の住まいとして、園に通う子どもたちの生活を実際に見ながら、遊びながら、この地のリアルな生活を通じて体験できるようにする試みである。
移住希望の保護者は子どもの姿を見守りながら、この園に通う「人」たちの雰囲気を直接感じ取れるとともに、保護者同士のコミュニケーションを通じて、このまちの総体を読む事にも繋がる。その為の体験施設を園庭に用意していると言うのがこの計画の意図である。
又この宿泊で得た収益の一部は、こども食堂の運営費に回していくことができればと考えている。
(あるいは、宿泊施設としての運営は近隣にあるホテルなどの協力を仰ぐなどし、地域に開いて、まちの活性化に繋げても良いであろう。)

今のまちの状況からすると、人口減少化は更に拍車がかかってくると思われる。
人が少なくなる以上、これから先のまちの姿も過疎化していく事が目に見えている。
そんな中で、その疎らとなった地を如何にして「こどもの場」に変容させる事ができるか…そこがこれからのわれわれ見つめる課題でもある。
暫定的な場として計画しても良いと思う。
それらが、つながっていき、変容体としてのまちの姿を目論みながらも、至る所に子ども環境を生み出していく事によって子どもが育つ環境イメージがつく。
それが結果的に子育て世代が住みつくまちへと繋げて行きたい…という考えである。
そこに今私たちは挑戦していきたいと考えている。

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