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働くことは辛い、大変、でも尊い

朝家を出て会社に向かうまでの道でたまに思う。

「会社行きたくない」

仕事は概ね好きだが半年に一回くらいは会社行きたくないの発作が出る。
大抵はやり残した仕事があるとか、クライアントとトラブルが起きているとか、そんな事情が裏にある。

そんな時私は祖母のことを思い出すようにしている。

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1993年、私の地元に集客機能を兼ね備えた観光の拠点「道の駅 とみうら 枇杷倶楽部」が誕生した。豊かな緑と小川に恵まれたその観光施設で祖母は創設時から働いていた。

更に2003年に創設された同市内にある「道の駅 おおつの里 花倶楽部」にも従事し75歳まで元気に働いた「スーパーおばあちゃん」なのである。

祖母はよく私に仕事の話をしてくれた。
栽培しているイチゴや花のこと、お客さんのこと、次のイベントのこと。

話してくれる祖母の顔はイキイキとして、本当に楽しそうで、辛いとか疲れたとか辞めたいとか、そんなことは一回も聞いたことが無い。

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昨年92歳で祖母は亡くなった。
晩年は老人会の会長を務め、劇で白塗りをしてみたり、コロナ禍で外出が出来なくなるまで色々なところに出かけたりと最期まで楽しそうだった。

遺品を整理していると、使い古された祖母のノートが出てきた。
まさか遺書でも書いてたか!?と思い、中を見てみると祖母の詩が書いてあった。

時代の流れも変わるもの 大津の山里バスの列
降り立つ人の一声は アア、きれいとあの笑顔

〜略〜

おばあちゃん元気でいいわねと 褒められ菜花一つかみ
お客さんよろこび又くるねと 明るいあの声バスの中
みなさんと一緒にたのしいわ 日頃のつかれもふきとばし
まだまだ元気で働こう
(1996年)
時代の夜明けが いよいよ来ましたわ
きそいあったり 助けたり
それぞれお仕事頑張って こころの大輪咲かせてね
みんなみんな仲良く育ってほしい
さようなら さようなら好きなお仲間さん

いろいろお世話になりました
たのしい想ひ出 山程あるわ
わかってほしいの この気持ち
飛ぶ鳥あとをにごさずに
とんでとんでゆきます 第二の人生
さようならさようなら 好きなお仲間さん
(2005年)

いつもニコニコ楽しそうに仕事の話をする祖母。
そんな祖母だったので今まで考えたこともなかったが、サービス業である以上クレームはもちろんあっただろうし、イチゴや花を育てるのだって一筋縄ではいかないことがたくさんあったのだと思う。
きっと嫌なことや、悲しいこともあっただろうなと今なら想像することが出来る。

しかし、祖母はそれを隠していたというわけではなく、嫌なことよりも大好きな同僚や、お客さんとの会話の中で楽しさを見つけることが上手かったんじゃないのかなと思う。

ーーー

働くことは辛くて大変だ。嫌な上司もいれば、言いがかりのようなクレームを受けることもあるし、ミスをすることもある。

一方でフォローしてくれる同僚や、愚痴を聞いてくれる友人、ありがとうと言ってくれる人がいること、そして何より今日の自分の仕事が巡り巡って誰かの役に立っていることを忘れてはいけない。

ああ、仕事行きたくないな。今日は美味しいランチを食べよう。

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