古今和歌集第2の歌群は春の雪を歌います。現代ではイルカの歌った名曲「なごり雪」などを思い起こすとぴったりでしょう。古今和歌集では比較的重く見られていたようで、7首続けて並べられています。
0、本文と訳
1、参考歌等
3。そっくりですね。パクったというより、「〇〇というのはどこのことなのだろう、ここ□□でまだまだ雪が降っている」という形式で多くの人が歌を読んだんじゃないかな、なんて思います。
5。鶯と雪の組み合わせに景色の妙を見出した万葉集と、鶯と雪の対比に面白みを見出した古今集。どちらがお好みですか?
7。どちらが先だったのかは分かりません。春が来た春日山で爛漫の陽射しを想像させる凡河内躬恒の歌の方が共感しやすくて僕は好き。
2、評価
藤原俊成の『古来風躰抄』では3、4、5、6、7が褒められています。
3、系列
時代を隔てた歌を並べてみても、今回はあまり差異が目立ちません。「春の雪/残雪」の歌は古代でそれほど詠み方が変わらなかったのかもしれません。
4、近世
近世からは一茶の句をピックアップ。光孝天皇の百人一首歌「君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ」を彷彿とさせます。王朝和歌の伝統が尊ばれていたことを想像させます。和歌の伝統があってこそですが、一茶のあっさり感も気持ちが良いと思います。
5、近代
春の雪には対比を導く何かがあるのでしょうか。ネガティブな「我」が対比されている点では古今和歌集の文屋康秀歌と共通しています。ただ康秀が最後に感想として「わびしき」と言うのに対し、啄木が我が身の形容として「かなしくも」と歌う点は大きな違いでしょう。「かなし」く雪を眺める我を見つめる外なる我の存在を感じさせる一首です。
6、授業案
3の「春霞」歌はパターンとして認識され、多くの人に同形の和歌が詠まれたのではないかと思います。そこでここでは3歌にいくつか穴をあけ、好きな言葉で埋めてパロディ和歌を作ってみましょう。
<題>次の穴あき和歌の穴を、自由に埋めなさい。ただし57577のリズムは厳守すること。
その他の表現も適宜変更して構わないでしょう。ただし元ネタが何かわかる程度にしておきましょう。
それでは僕は、鹿児島に引き付けて詠んでみましょう。
花吹雪散れるやいづこ桜島昭和火口は灰を吹きつつ
今回の古今和歌集1人ゼミは以上です。最後までお読みくださりありがとうございました。