見出し画像

舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~ミライへの伝言』その6 改稿&名神上映会の章

前回は、完成した脚本を改稿しなきゃいけないけど、新コンシューマ版のための前作ゲームシナリオ化とドラマCD脚本書下ろし、そして記録的な台風による浸水被害が襲い掛かってきた、という話だった。頑張れ、僕!

というわけで、今回はようやく上演台本に向けての改稿の話を書くことにする。

前作『君と旅する時の魔法』では、第四稿改が稽古初稿になった。
今作は、前回で「舞台用の脚本を書くにあたってのノウハウ」もあったので、劇団サイドから要求されるであろうこと、演出の市村啓二さんから要求されるであろうこと、もある程度理解していたので、初稿の段階から前作で修正したようなことはある程度クリアしていた(筈だ)。
だから、今作ではそんなに稿を重ねないだろう、と高を括っていたというのはある。
しかし、結果から述べさせてもらうと、『ミライへの伝言』は第五稿まで行ってしまった。
結局、初稿を脱稿してから稽古開始までに十分に期間があったので、ネット会議を重ね、試行錯誤を重ねることができたということだ。

そんな中、舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』の神戸と名古屋での上映会が発表された。

12月17日に神戸のLiveHouse CASHBOXで昼夜2回、12月18日に名古屋の万松寺のぶながホールで昼夜2回。ゲストに新田恵海さんと藤邑鈴香さんを迎え、上映会後にトークショーを行う、とのことだった。

名神上映会、新田さんのメッセージ
名神上映会、藤邑さんのメッセージ

名古屋であれば静岡からでも都内に赴く、くらいの感覚で行くことが可能なので、僕も12月18日に万松寺のぶながホールにお邪魔してきた次第だ。

実は春の上野での上映会の際、ゲスト陣の中で新田さんにだけお会いできなかったのだ。僕がゲストとして登壇した当日は藤邑さん、北原知奈さんと一緒に出演し、翌日は佐々木未来さん、藤邑さん、髙橋真理さん、石丸千賀さんが出演する回(あと篠原ありささんも観に来ていた)を観てから静岡に帰ったわけで、タイミングの関係で主演女優にだけ会っていない、ということもあって、なんとか身体を開けて、名古屋まで駆け付けてみた。

名古屋上映会の様子

この段階では僕は第三稿までを書き上げているので、MCの市村さんは当然、次回作の内容を知っている。だから、出演が確定している新田さんや藤邑さんたちが、台本を読んでないにしても大まかな話の内容を耳にしていたとしても、何もおかしなことではない。
しかし、市村さんの「稽古に向けて、稽古用の台本を渡すときのインパクトを大事にしたい」という方針のため、トークショーに出演していた新田さんも藤邑さんも『ミライへの伝言』の内容は、上映会を観に来てくれた方々同様まったく知らなかったのだ。

この日、架線トラブルの影響で東海道新幹線が停まってしまい、僕らはなかなか帰ることができなかった。
なので、新幹線が動き出すまで、僕たち(市村さん、新田さん、具志堅さん、藤邑さんら)は混雑した名古屋駅を離れ、ちょっとだけ飲み屋さんで話をしたのだが、次回舞台のネタバレをしないよう、大変だったことを記憶している。

ちなみに、僕が清水に帰り着いたのは23時半過ぎ。駅前の駐輪場は23時に閉まってしまうので、翌日、バスで駅まで自転車を取りに行ったことも、自転車のカギを忘れてもう一往復したことも、舞台D.C.IIIの歴史としてここに付記しておくw

改稿の主な流れはこんな感じだ。

初稿(第一稿)は120分以内を意識して、全体的にコンパクトにまとまっていたのだが、まずは前作のように「あとでカットすればいいや」的にスロットル全開で書いてしまおうということで第二稿で大幅に加筆。前作が12月の物語ということで今作は1月スタートにしたのだが、回想シーンとして、選挙の様子を加筆したのも第二稿だし、初音島編に入ってからの掛け合いも大幅に加筆させてもらった。
また、初稿では夢のシーンは、サラの夢⇒杉並の夢、間に生徒会室でのリッカの指摘を挟んで、メアリーの夢⇒瑠璃香の夢、だけだったのだが、第二稿では日替わりコーナとして、各人の夢を追加。

第二稿から第三稿へも多少加筆。あと清隆と姫乃の子供の頃のシーンを挿入する位置を序盤から中盤に変えたりもした。
脚本として一番、肥大化してしまったのが第三稿だ。

第三稿から第四稿へは現実的に冗長だと思う部分をカットする方針に。
やはり最初からコンパクトに書くより、のびのび書いてから無駄な掛け合いを省いた方が内容としては濃くなるようだ。
とはいっても、怪我をしたイアンに会いに行くシーンや、姫乃が四季の快気祝いを企画するフラワーズのシーンなどもカットしてしまったので、この辺は他メディア化するならサルベージしたいところ。

また第四稿で、「日替わりは夢」をやめて、夢のシーンをコンパクトにして全員の夢を夢渡りしていくことに変え、日替わりをリゾート島での内容に書き換えた。ここでカットされた細かな夢の描写は、上演パンフレットに抜粋されているので、読んだ人もいることだろう。

第五稿ではさらにシェイプされ、それをちょっとだけ修正した第五稿改が稽古初稿になった。

面白いのが初稿と稽古初稿のファイルサイズがそれほど変わらないこと。
ファイルサイズでいうと大体30KBくらい加筆して、28KBくらいカットしたことになる。
大筋では内容は変わらないが、情報密度が濃くなった、と言っていいだろう。
実際には、さらに稽古中に掛け合いなどがシェイプされていくわけで、舞台D.C.IIIの情報密度の濃さはこうやって生まれるのだ。

第五稿改(稽古初稿)を提出したのが2024年2月の頭。
続編としては考え得る最高のものができた、と思い込んでても、実際に役者さんに演じてもらわなければ、どうなるかもわからない。

でも、ここでようやく『ミライへの伝言』は脚本家の手を離れたのだった。
ここから先は、頼みましたよ。

《追伸》12月22日よりゲーマーズさんのゲーマーズ通販で『D.C.III P.S.~ダ・カーポIII~プラスストーリー』のオンラインくじ「ゲマくじ」が始まりました!
D.C.III P.S.で追加されたSTAGE EPISODE「君と旅する時の魔法」のイベント画がグッズになってますので、是非、チャレンジしてみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?