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1 歴史上もっとも「想定外」を経験した〇〇だからこそ生まれた対応術

本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載のリンクは最下部に記載してあります。

1. 想定外にどう立ち向かうか

要するに、未来の事は誰にも分からないということだ。おおよそのパターンから起こり得る状況は推察できるものの、何でもかんでも想定内として扱うことができると考えるのは無理がある。あらかじめ、想定できない事があると認識した上で、「想定外」の事象が発生した場合の対処の仕方を知っておく必要がある。

さて、そうは言っても、そんな対処の方法をどのように見出せばよいのか。個人の勘や経験か、あるいは想定外を経験した方々の伝記でも読み込んで、自分なりにまとめたり、そういう経験からメソッドを導き出した何らかの本でも参考にすべきか。今の人間に未来が分からない以上、おそらく、そうする他ない。

では、ここで皆さんに考えてみていただきたい。人類の歴史の中で、最も数多くの想定外を経験している組織や人は誰か。なおかつ、単なる安心感や安泰の獲得のためという目的意識を超え、自分や他の命をかけてまで究極の状況に対峙してきた存在は何か。ひょっとしたら、それはあなた自身かもしれないし、昨今の記録的な数々の異常気象を経験している今の私たちかもしれない。

最も数多くの「想定外」を経験している存在、一つ挙げるとしたら、それは、私は「軍隊である」とあえて言い切る。

人間は、その知性とともに本能を備えているため、闘争を繰り返している。視覚を含めた五感によって相手との相対差を認識することによって、生存を担保すべき自己と他者、獲物とを区別する。そして、時には命がけの戦いによって、種の保存と繁栄を達成しようとするものだと私は理解している。

軍隊は、それら人間の根本的な闘争がより論理的に構成された戦いにおける、複雑で最も自己の生存を脅かす可能性のある事象の一つである。自然災害や病原菌によるパンデミックなどとは異なり、自己の目的達成のために意図的に相手方の生命を奪ったり、傷つけたり破壊活動を行う。そのために、相手を騙し、相手のとっての想定外を作為して勝利を獲得することを目指し続けている。

敵対する相手方は、常に「想定外」の戦略・攻撃を用いてくる。そんな軍隊では、想定外に対応できる行動プロトコルが自然と作られ、そして常に洗練されてきた。そして、これは各国が概ね一致している、という普遍的な物でもある。

もちろん、日本の自衛隊にも同様に現存する考え方である。本コラムでは、その考え方をより一般化して分かりやすく、かつ使いやすいよう解説を試みるものであり、特に若いビジネスマンが日々の仕事の中で困ったり、悩んだりしている不条理な出来事に対してお役に立ちたいとの思いから企画した。

>次回:仕事でいきなり「想定外」に襲われた時、あなたは・・・

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