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戯曲を読むということ

先日劇場関係者の方と僕の二人で、とある演劇の公演に関するトークイベントをやりました。

僕はどっちかって言うとお客さん側に近い立ち位置というか、演劇好きの素人目線でのトークを展開していくポジションだったと思うんですけど、それでもやっぱノー知識じゃやってらんないんで戯曲を読み込んだり過去の公演を観たり勉強してったんですよ。

で、僕の仕事上の立場的にも劇場関係者の方に求められたのが、「戯曲を読むということとは」ってテーマで。
改めて素人の僕がなぜ戯曲を読むのかを考えるきっかけになったので、備忘録的に残しておこうと思います。

そもそも戯曲って何なのさ、という方も多いと思います。

戯曲とは

舞台で観客を前にして俳優が演じる劇的内容(筋の展開)を、登場人物の対話・独白(台詞(せりふ))を主とし、演出・演技・舞台の指定(ト書)を補助的に加えて記したものをいう。
(日本大百科全書(ニッポニカ)より)

平たく言ってしまえば演劇の台本です。

大体最初に登場人物の紹介が簡単に書かれ、舞台のイメージを伝えるト書から始まり、セリフが綴られていきます。

ハリーポッターシリーズの「呪いの子」が、戯曲でしたよね。
あれ舞台化されたやつだから。

で、この戯曲ですが、一度も読んだことないって人多いと思います。
小説は読むけど戯曲はねぇ…って人の方が多いと思う。

でも僕は戯曲を読むのも好き。
じゃあなぜ戯曲を読むのかってのが今回の話です。


まず大前提として、今回書くのは「観客視点で戯曲を読むこととは」です。
プレイヤーとしての場合、単純に練習で読んだりするんでね。

僕は観客視点で戯曲を読む場合、観劇とセットであることが前提だと思ってます。
単独で読んでも面白いですが、ちょっともったいないって感じです。

では観劇の前に読むのか後に読むのか、ですが、それぞれに良い所があるのでそれを紹介します。

観劇前に戯曲を読むとは

壮大なネタバレになります。

これはしょうがない。だって戯曲を元に舞台が創られるんだもの。
しかし、良いところもあります。

・脳内で演出家になれる
まったく舞台を観ていない状態で戯曲を読むと、まっさらな気持ちで自分が演出家になれる。
例えば最初のト書を読んで、自分なら舞台をどう作るかな?って想像する。
キャストのセリフの言い方1つでも、こんな言い方かな?と想像する。
この感覚を体験できるのは、観劇前に戯曲を読んだときだけです。

しかしこっからがミソなんですが、
そのあと観劇すると絶対どこかは想像と違うんですよ。
多分舞台は想像を超えてくるし、キャストの話し方もニュアンスが違ったりする。

自分の想像と違ったということは演出が違ったということ
演出が違ったということは物語の解釈が違ったということ

1回自分で考えたこととの違いを楽しめたり、言わば答え合わせみたいな感じですかねえ。
物語をより深く理解する手助けになります。

・物語がスムーズに頭に入ってくる

先に読んでるんだから当たり前だろと思われるかもしれないですが、作品によっては難しい固有名詞が多く登場したりするんですよ。

舞台は当然初めて観た人でもわかるように伝わるようにつくられてるので、物語が追えなくなることは無いし意味はわかると思いますが、それでも一瞬聞き慣れない言葉が来ると気を取られてしまう人も多いと思います。
先に戯曲を読んでいれば、キャストのセリフが驚くほどスムーズに頭に入ってくるんですよね。


と、ここまで色々書きましたが、そもそもこれができるのは再演作品等がメインです。
初演作を先に戯曲読んで観劇することは中々難しい。
てか初演作はネタバレ無しに観たいよね。
ってことでメインは観劇後なのかなと。

観劇後に戯曲を読むとは

観劇していると、キャストのセリフで気になるキーワードなどが出てくることがあります。
しかし聞き慣れない言葉をいつまでも覚えておけるほど、僕達の頭は優秀では無い。

戯曲を読めば、それが思い出せます。
思い出した上で、自分で調べたりするための助けになる。

物語をより掘り下げて理解することができるんです。

なので戯曲は、一度観劇後の早い段階で読むのがオススメだなと思います。

上演後、その場で戯曲の販売をしていることも多いと思うので、その場で買って帰って読んでも良いでしょうね。

中々戯曲を買う習慣が無いという人は、図書館によっては戯曲も揃えているので一度チェックしてみても良いと思います。


ちなみに時間が経ってから戯曲を読むことは無いのか、という話になると、時間が経ってから読むのもオススメです。

素晴らしい舞台であれば、記憶が薄れていったとしても戯曲を読めば脳内に蘇ってくるでしょう。
あの時自分が観たあのキャストのあの声でセリフが動き出すと思います。
ト書を読めば素晴らしい舞台美術が頭の中に浮かぶはず。

この追体験ができるのも戯曲の魅力だと思ってます。


まとめ

というわけで、戯曲を読むということの個人的な話でした。

観劇を前提として書きましたが、観劇することが無い人が戯曲から入るのもありだと思います。
それで舞台を観てみたい!って順番もありだよなあと。

全部の戯曲買うのはとてもじゃないけどお金が足りないので、上手く図書館とかを使いながら楽しんでいきたいものです。

以上、ただの演劇好きのお話でした。


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